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「カセットガス」「出ない」「残ってる」
カセットガスが出なくなった
だんだん火が弱くなって、さいごは自然に消えます。
ガスがなくなったと思って捨てますよね。
じつはまだ残ってます!
それは気化熱、ガスの膨張でカセット本体が冷たくなってしまうからです。
これから、それを説明します。
まずは、ガスとはなんぞや? というところから。
LPG
Liquefied Petroleum Gas (液化石油ガス) の略
LPGというと一般的に「プロパンガス」と思われるけど、あくまで「液化石油ガス」なので炭化水素のガス全般をさします。
ちなみにLNGは
Liquefied Natural Gas (液化天然ガス) の略です。
メタン、エタンなど炭素が1コ、2コのものが多くふくまれます。
プロパン
化学式 C3H8 炭素が3つ、くっついた炭化水素です。
沸点 約-42℃
-42℃で沸騰する→気体 (ガス) になるということです。
わたしたちが日常生活している温度では、気体 (ガス) の状態です。
なので家庭のガスとしてつかわれます。
ブタン
化学式 C4H10 炭素が4つ、くっついた炭化水素です。
プロパンより1コ多いですね。
沸点 -0.5℃
気温が氷点下になると液体になってしまいます!
液体にならなくても10℃くらいまで下がってくるとガスの出が悪くなって火が弱くなります。
アウトドア用品のガスも一般的にブタンガスがつかわれるので、寒い日に外で使おうとすると火が弱かったり、点かないこともあります。
n-ブタン (ノルマル・ブタン)
じつはブタンには炭素の繋がりかたが2通りあって、まっすぐ1列にならんだものを「n-ブタン」といいます。
「ノルマル」とはnormal (英語でノーマル、ふつうの) という意味です。
これが上に書いたように-0.5℃で液体になってしまうので寒いところではつかえないのです。
イソ・ブタン
これに対して、まんなかで枝分かれしているのが「イソ・ブタン」です。
こちらは沸点が約-12℃なので、n-ブタンより寒いところでもガスの状態でいられ、火が点きやすいです。
なので、アウトドア用品のガスにはイソ・ブタンが混ぜられているものもあります。
イソ・ブタンの割合が大きいほど寒いところ向きです。
その分、値段が割高になりますが、寒いところでは必須です。
圧力 (気圧) と沸点
カセットガスを振ると中でシャバシャバ音がするのがわかりますね。
ガスを高圧で詰めこむことで「液体」にしています。
ライターのガスもそうです。
圧力をかけると常温でも (沸点より高くても) 液体になります。
これは水も同じで、圧力をかけると100℃でも沸騰しません。
圧力釜はこれを利用しています。
反対に、富士山のような高い山に行くと気圧が低いので100℃より低い温度で沸騰してしまいます。
ちなみに富士山頂では87℃で沸騰してしまいます。
すると温度が低いので米がうまく炊けないんですね。
気化熱
冬の寒い台所などでは火が弱くなりがちなのですが、それに追い打ちをかけるのが「気化熱」です。
液体が気体 (ガス) になると、その名も「気化熱」といって「熱」が奪われます。
汗かいてそれが蒸発 (気化) することで体温を下げるのもこの原理をつかっています。
カセットガスからガスが出てくることでカセットの温度がまわりの気温よりも下がってしまい、ガスが出にくくなってしまいます。
なので、残り少なくなってくると、まだガスが残っているのに温度が下がることで火が消えてしまいます。
時間をおいてから点けると、火が点くことがあります。
膨張と圧縮
液体が気化して気体 (ガス) になるときだけでなく、気体のままでも、膨張すると温度が下がり、圧縮すると温度が上がります。
自転車のタイヤにポンプで空気を入れると、ポンプが熱くなった経験はないでしょうか?
温度と圧力
温度が高いと気体 (ガス) は膨らみ、低いと縮みます。
これはビーチボールやビニールボートを日なたにおいとくとパンパンに膨らみ、反対に日が陰ってくるとしぼむのでわかりますね。
ぜったい火であぶらないでください!
完全に使いきってから捨てる
まだガスが残ってるのに生ゴミといっしょに捨てて、ゴミ収集車の中で爆発したり、火事になることがあります。
かならず使いきってから、自治体の指示にしたがって処分しましょう。
ガス抜きしたり穴を空けたりするときは、屋外の火の気がないところで。
ガスがたくさん残っている状態でのガス抜きは危険なので、かならず火が点かなくなるまで使いきってからにしましょう。
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