「裏声」「ファルセット」そもそも声はどうやって出ているのか
声帯
食道から気管にはいるところに声帯というカーテンのようなものがあります。
ふだん息をするときはカーテンは開いています。
声を出すときはこのカーテンを閉じて隙間から息を出します。
するとこのカーテンがブルブルと震えて音になります。
あとは舌や口の形を変えて、音を変えます。
振動数
声帯で出る振動数は85~1100Hzぐらい。
ギターの6弦の開放弦ミ (E2) が82.4Hz。
おなじくギターの1弦19フレットがB5で987.8Hz。
ギターでは弾けないけどその上のC#6が1108.7Hz。
ギターの最低音と最高音が人間の声帯とほぼおなじ音域というのは偶然とは思えない。
じつによくできていると思いませんか。
もちろんふつうの人は1100Hzの音は出ません。
音叉・時報
音叉はA4で440Hz。
ギターでは1弦5フレットのラです。
ギターは楽譜どおりに弾くと、じつは1オクターブ下の音が出ているのでこういう解析をするときにはいつも混乱します。
言い換えるとギターでは実際の音より1オクターブ上で楽譜に書いています。
実音で書くと低すぎてほとんどの音が五線譜の下のほうに行って、加線だらけになって読みにくいからです。
ピアノでは音域が広いので、右手はト音記号、左手はへ音記号という暴挙に出ています。
ピアニストはよくあれで弾けるな。
440HzはむかしのNHKの時報の低いほうの音でもあります。
高いほうが1オクターブ上の880Hz。
おじさんが地声で出せる最高音がちょうどこの音叉の440Hz。
A4のラです。
1100Hz出せる人ってほんとに人間なのか?
ソプラノ歌手ぐらいです。
音程は何で決まるか?
- 材質
- 太さ
- 長さ
- 張力
まず材質です。
ギターならナイロン弦やスチール弦。
ピアノはピアノ線というぐらいだけどスチール弦、つまり金属弦です。
そして断面積、つまり太さ。
太いほうが音が低く、細いほうが音が高くなります。
それから長さ。
ギターやバイオリンなどの弦楽器では、弦を左指で押さえることで長さを変えています。
響孔、ブリッジに近くなる、つまり短くなると音が高くなります。
弦楽器では演奏中は長さを変えることで音程を変えています。
そして張力。
テンションです。
チューニングするときに張ると音が高くなり、緩めると音が低くなります。
声帯
声帯はもちろん材質は変わりません。
太さ (厚み) も長さも変わりません。
なので張力で音程を変えます。
筋肉をつかってカーテンを引っ張ると音が高くなり、緩めると音が低くなります。
でも引っ張って音を上げるのは限界があります。
声帯を引っ張る筋肉の力の限界です。
筋肉なので鍛えればあるていど音を上げられます。
でも、限界があります。
地声
ふだん日常会話で出している声で甲状披裂筋をつかって出す。
チェストボイス (胸声) ともいう。
裏声
輪状甲状筋をつかって出す。
ただ自分でどの筋肉を動かしているのかわからないので感覚と、じっさいに出る音で覚えていくしかない。
裏声の出しかた
さて引っ張って音程を上げるのには限界があるので、それより高い音を出すにはべつの音の出しかたが必要になります。
ここからは想像です。
だって自分の声帯は直接見えないもん。
もちろん他人の声帯も。
ネットで検索すると声帯が半分閉じて、半分開いた絵が出てきます。
これがほんとかどうかわからないけど、もしほんとうなら、ギターとおなじように長さを短くして音程を上げていることになります。
おじさん的には口笛の原理ではないかと考えています。
唇が声帯だったら
唇が声帯だと思ってください。
唇を強く閉じてむりやり息を出してみてください。
プププとおならのような音がします
おならの音がする原理はまったくおなじです😄
ここで唇の力を変えてみてください。
強く唇を閉じると音が高くなり、力を緩めると低くなります。
これが声帯で音の高さを変えている原理です。
口笛
ではここで唇を完全に閉じないですこしだけ隙間を開けて空気を出したらどうなりますか?
高い音が出ますね。
さっきまでのプププではぜったい出ない音です。
これが口笛です。
そして唇はくっつけないで唇の緊張度 (テンション) を変えることで音程が変わります。
口笛の場合は、じっさいには舌を前後に動かして口内の空間の大きさを変えることで音程を変えていますが。
これが裏声の原理ではないでしょうか。
じゃあどうすれば口笛状態にできるのか
裏声は地声とまったくちがう出しかたなのでスイッチを切り替えなければなりません。
手探り
原理や理屈がわかっても手足の筋肉とちがって声帯は見えないので自分が思ったように動かせません。
これは残念ながら感覚に頼るしかありません。
力を抜く
ただ理屈を知ったことで、闇雲に音を上げようとするのではなくまず力を抜くことが必要だということがわかります。
地声で音程を上げていくときは声帯を引っ張るのでどんどん力がはいりきつくなり限界点が最高音です。
その上を行こうとすると力がはいったままです。
大きな声を出そうとしない
大きな声を出そうとするととうぜん力がはいります。
最初は蚊の鳴くような声でいいから、とにかく音が出ることだけ考えましょう。
隙間をつくる
声帯をピンと張った状態ではなく、すこし緩めて隙間を作らなければなりません。
ただ力を抜けとか、隙間をつくれとか言われても、目に見えないのでやりようがありません。
お風呂にはいったときに出る声・溜息・息漏れ声
熱~いお風呂にはいったときに「はあ~」って息が出ますね。
あれです。
なんならじっさいにお風呂にはいってやってみてもいいです。
あっ、冗談じゃなくて、おじさんはお風呂にはいったときに喉から笛のような音が出てびっくりすることがあります。
まさに声帯の口笛状態。
お風呂だと湿度もあるのでやりやすいのかもしれません。
お風呂から出るとなかなかあの音が出ません。
もう1つお風呂は共鳴箱なので音が大きく聞こえるせいでやりやすいのかもしれません。
リラックスして、声を出そうとしないで、軽く声帯を閉じた状態で息を漏らす。
似た感じの音が出るのに、溜息があります。
一時期流行ったアニメの息漏れ声もこの仲間です。
息が漏れてしまっていて声帯がしっかり振動していないので声は小さくとても聞き取りづらいです。
あれは百害あって一利なしでしたね。
生の声じゃないんだから編集で音量を上げることはできるはずなんだけどそれをやらないのでただひたすら聞こえないだけです😄
聞こえないのでボリュームを上げるとほかのキャラクターがとつぜん大声で怒鳴ったり、爆発音がはいったりして、鼓膜が破れます。
すこしだけ音を重ねる
このままではほんとに喉笛のままなので、そこにすこしだけ音を重ねます。
すこしだけ声帯を閉じるのです。
完全に閉じてしまうといつもの地声になるので、すこしだけ。
この完全に開いていないけど、完全に閉じていない隙間を体感として覚えるにはなんども繰り返して練習しなければなりません。
繰り返すけど目に見えないので喉の感覚だけが頼りです。
最初は母音
母音も舌の位置を変えて音を変えているので、最終的に音を変えるのは喉ではなく口の中です。
人によって出やすい母音はちがうと思うので自分が出しやすい音でいいです。
むしろ「あ」でもなく「い」でもなくただ音が出ればいい。
いちばん舌がリラックスするのは「う」ですが、おじさんはもうちょっと開いた「あ」のほうが出しやすいです。
できるようになったら子音
子音はむずかしいです。
母音は舌の位置は変えてもどこにもつけないし、息の通り道を塞ぐこともありません。
だけど子音は舌で息の通り道を邪魔して出す音です。
k, p, t, g, b, d (か、ぱ、た、が、ば、だ) などの破裂音はいったん空気の通り道を完全に塞いでから破裂させるのでむずかしいです。
m, n (ま、な) は口を塞いで鼻から息を出すのでこれまたむずかしいです。
声門音
裏声で出ている音は声門音[h]なので厳密には母音ではありません。
[a (あ) ]のつもりでも[ha (は) ]、[e (え) ]のつもりでも[he] (へ) になっています。
ここで注意が必要なのは、日本語の「ふ」は[ɸ]という両唇音、「ひ」は[ç]という口蓋音なので、声門音[h]ではないということです。
なので練習するなら「は」「へ」「ほ」がいいですね。
熱いお茶を冷ましたり、ろうそくの火を消すときの「ふー」じゃなくて、冷たい手を温めるときの「はあ」です。
ああこれもいいですね。
お風呂にはいったときの「はあ」や、手を温めるときの「はあ」で練習しましょう。
力を抜いて、リラックスして。
子音を付け足す
「か」はほんらい[ka]なんだけど、[kha]のように音を出します。
むずかしいです
[k]は後舌を口の奥、喉の入口に当てて塞いで破裂させる。
そしてすぐ「はあ」という息を出す。
「さ」だったら[sa]ではなく[s・ha]のように出す。
「しゃ」じゃないですよ。
ひらがなで書くと「す・はあ」という感じ。
[s]は舌先を前歯の後ろに近づけて隙間風を出します。
そしてすぐ「はあ」と息を出します。
はじめは無理に子音を出そうとしなくていいです。
空耳
人は音だけで言葉を聞いているのではありません。
文脈、前後関係、シチュエーションなどを総合して、いま出てくるであろう言葉を予測しているのです。
だから、たとえばあなたが
「桜があいた」と言っても、人の脳は「桜がさいた」と処理します。
いわゆる空耳効果です。
切り替え
地声と裏声は出しかたがちがうので連続して出すのはむずかしいです。
地声から連続して裏声にするのはまず無理だと思ったほうがいいです。
もしできる人がいたらスーパーマンです。
だから、ある音程まで行って、そこから裏声にするときはスイッチを切り替えます。
滑らかに上がっていくのではなく、ポンとジャンプする感じ。
滑らかな滑り台ではなく、階段や飛び石を飛ぶ感じです。
感じ、感じと言うけど、ほんとにこれは感覚に頼るしかないので。
スキーのように「膝を曲げて腰を落として」のように目に見える形は言えないのです。
いや一応「声帯の隙間をすこしだけ開けて」と言ったけど、目に見えないから感覚に頼るしかないですよね。
開けすぎればふつうの呼吸をしてるときと変わらず、音は出ません。
地声のときの声帯よりちょっとだけ力を緩めて、ちょっとだけ隙間をつくります。
カーテンを開けるのではなく、隙間からちょっとだけ外を覗く感じ。
無意識にできるようになるまで練習あるのみ
あなたは歩くときに、右足に体重を移動して、左足を持ち上げて、それを前に出して、地面に着いたら今度は左足に体重を移動して…なんて考えていますか?
何も考えないで歩いていますよね。
でも足だけでなく体中の筋肉がバランスを取るために動いています。
あなたは最初から歩けましたか?
覚えていないと思うけど、最初は立つこともできませんでした。
何かにつかまって立って、そのうち何もつかまらないでバランスが取れるようになり、そのうち歩けるようになりました。
裏声も最初は意識して、試行錯誤して、そのうちあるときふと高い声が出たら、それが再現できるように繰り返します。
つぎの日になったらまた出なくなっているかもしれません。
でもそれを毎日繰り返しているうちに、歩くように裏声が出るようになります。
たぶん✌
きっと️
おじさんはまだ発展途上にあります。
これが自由自在に出るようになれば、「素直になれなくて」が歌えるようになる。
