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「見送り」「サンタ・ポーラ」
目的地はSanta Paula (サンタ・ポーラ)
飛行学校の訓練も終わり、いよいよ本来の目的のアクロバットをやりに行きます。
学校に着いたときから「アクロバットがやりたい」といつも言っていたのですが、担当教官のミックがアクロバットの学校をさがしてくれていました。
おじさんには海外もはじめて、飛行機の操縦をするのもはじめて、アクロバットなんてどこでどうやってできるものなのか見当もつきませんでした。
いまみたいにインターネットやスマホなんかなかったから、情報は口コミだけですね。
でも、そのおかげで今どきの人より、人から情報をもらうことに長けています。
「あれがやりたい。これがしたい」とだれかに会うたびに言いつづける
すると、だれか知ってる人が教えてくれます。
また、ちょくせつその人でなくて「あいつがこんなことを言ってたよ」とほかの人に伝えてくれたりします。
自分の夢や希望を語らなければ、だれもあなたの心まで読める人はいないので、とにかく声を出します。
飛行機で送ってくれた!
「サンタ・ポーラがいいよ」といわれたけど、そこまでどうやって行けばいいのかも自分の中にはアイデアもイメージもありませんでした。
すると、予想もしないつづきが!
「ぼくが飛行機で送ってあげるよ!」
もちろんこれは学校とはまったく関係ない個人的なことなので、飛行機のレンタル料とガソリン代が発生します。
そりゃ飛行機で飛べば30分ちょっとでしかも飛行場から飛行場なので、電車やバスに乗り換える必要もないし楽だけど、高くつくなと思ったら、さらにこうつづけました。
「行きの燃料代だけでいいから。帰りの分はぼくが負担するから」
アメリカ人はビジネスライク?
“None of my business!”
「そんなの関係ねぇ!」
「あっしには関わり合いのねえことでござんす!」
というのがアメリカ人だと聞かされてきました。
日本人なら自分の仕事でなくても頼まれればしかたなしにやったりするけど、アメリカ人は自分の仕事でないと本人が思ったらぜったいやってくれないと。
とんでもない!
頼みもしないのに向こうから手を貸してくれました。
というよりほとんどぜんぶお膳立てして用意してくれたのです。
アクロバットの学校をさがすのも、飛行機で送ってくれるのも、彼の仕事ではありません。
学校の仕事ではないのでとうぜん給料も出ません。
しかも
つぎの日はミックの dual engine (双発) の試験日!
なぜそこまでしてくれるのか尋ねるとこういいました。
「トシはぼくのとてもいい生徒だったから。いっしょに飛べてとても楽しかった!」
dualは「デュアル」ではなく「ドゥーオ (ル) 」です。
ほんとは日本人のほうが決められた仕事しかしない
日本だったらこんなことは絶対ないですね。
飛行学校にかぎらず、日常生活でも他人がここまでしてくれることはありません。
むしろ、ルール、規則にしばられてる日本人は、かりに「してあげたい」気持ちがあったとしてもしません。
批判を浴びたり、ひどい場合には処罰されたりするからです。
日本では
「触らぬ神に祟りなし」
です。
よけいなことには手を出さないのが「ルール」です。
もとからそうなのか、戦後教育のせいなのか、おじさんはこれでも戦後生まれなのでわかりませんが、少なくとも今の日本人は「自分で考えて、自分で判断して、自分で行動する」ということをしません。
日本のルールは悲しいかなこうです。
「いわれたことだけを、いわれたとおりにやればいい」
「よけいなことはしない」
「よけいなことをして罰せられるのは愚かなこと」
いえ、このできごとだけでそう感じたのではなく、その後もいろんな国でおなじような経験をいくつもしてきたからです。
「日本人ならやらないよな」ということを。
「日本人、もっと自分で考えろよ!」
「すくなくともおじさんは自分で考えて自分で行動できる人間になろう!」と思い、そうしてきました。
だから、日本では異端者扱いです💦
One Heading (まっすぐ一直線)
話がそれました。
フライト・プラン
Foxから離れるのでフライト・プランを立てます。
訓練中はVORとかADFというレーダー (無線灯台) を利用するのですが、今回は距離もそう遠くないのでFoxからSanta Paulaまでまっすぐに線を引いて、地上の景色を見ながら飛ぶことになりました。
行きははじめて行くSanta Paulaなんだけどおじさんに操縦をまかせ、ミックは助手席であしたの試験の最終確認をしています。
いやほんとに自分だったら、あした試験があるのに人を送りに行ったりするかと思うといくら感謝しても感謝しきれないです。
Santa Paulaに到着!
迷うこともなく目的地にたどりついて、なんなく着陸することができました。
おじさんが降りると、乗ってきた飛行機でミックが離陸していくのを見送ります。
なんか不思議な感じがしました。
これでおじさんはまた、アメリカでだれも知らないところに1人でいるわけです。
語学学校などともちがうので日本人は1人もいません。
でも、さびしさや不安よりも、これから人生の大きな目的であるアクロバットができるのかと思うとワクワクしてたまりませんでした!
そう、自分には飛行機でアクロバットをするというはっきりとした目的があったのでなにも迷うこともためらうこともなかったのです!
いよいよ、あしたからアクロバットがはじまります!
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