サイトアイコン ひげおじさんの「おうち実験」ラボ

新聞配達の日常

目次をご覧になりたい方はクリックしてください→

「新聞配達」

時代もさることながら、新聞社、専売所によって細かいところは変わりますが、基本的な流れはおなじでしょう。
書きはじめて自分で驚いた。
こんなにたくさん書くことがあるなんて。

たぶん新聞配達をやってブログを書くのはおじさんぐらいだからここに書く内容はある意味新鮮かもしれません。

1日の動き

住み込み

午前2時に非常ベルが鳴る

おじさんは店の2階が住居でした。
午前2時に非常ベルが鳴ります。
ほんとに火事などで鳴る非常ベルです。

あれ、近所迷惑にならなかったのか?

新聞社で刷られた新聞が専売所と呼ばれる地域ごとの店に配られます。

部数取りとチラシ入れ

配達員は本紙 (朝日新聞や読売新聞) と別紙 (日経など) を配達部数だけ取り、すぐ配達ではありません。
前日に用意したチラシを本紙に入れる作業があります。
アホか。

チラシは配達部数より少ないので、ぜんぶは入れられません。
会社関係はパスします。

でもチラシがないと怒る客も多いです。

真っ暗闇で配達するのに、いちいちクレーマーのところはチラシ入りの新聞を入れるよう仕分けなければなりません。

ビニール袋に入れる

雨の日は配達じたいが大変なのに、新聞が濡れないようにビニール袋に入れる作業が加わります。
いい加減にしてくれ。

壊れたポスト

雨の日に配達してるんだから多少濡れるのは理解してください。
それよりフタが壊れてるようなポストで「濡れてる」と文句をいうあなた。
ポストを直しとけ!

朝刊配達

カブの後ろの荷台には本紙を積みます。
前のカゴには日経その他の別紙を入れます。

午前2時半ころ店を出て配達をはじめます。

おじさんはこの仕事のせいで (おかげで?) 星座に詳しくなりました😄
オリオン座の三つ星が横になるの知ってる?
ふつうの人は縦に並んでるのしか見たことないはずだけどそれは夜の早い時間に昇るところ。
夜明け前に西に沈むときは横に並んでるのよ。

順路帳

ラリーのコマ図みたいなもんです。

これは数学的なネタにもなるんだけど、できるだけ短い時間で早く配るために配る順路を考えて順路帳を作ります。
毎月、客が変わるので毎月、順路帳を作り直さなければなりません。

入れ忘れはもとより、契約終わってるのにいつもの習慣で入れてしまって部数が足りなくなることもあります。
店には予備 (店で売る分。買う人いるのか?) があるので大丈夫だけど、配達終わって店に帰ってきてからまたその一軒のために配達に行かなければなりません。

問題は配達して余ったとき。
どこの家に入れ忘れたのか特定するのがむずかしいです。

最初は大変です。

本紙だけならいいけど、この家は日経、この家は日刊スポーツ、この家は本紙と日刊スポーツ、この家は水曜日だけ流通新聞とかバリエーションが豊富です。

暗闇の中で順路帳を見ながら配達します。
慣れてくると見ないで配達できるようになります。

時間指定

できるだけ効率よく回りたいのに「うちは朝早く仕事に出かけるから5時前に入れろ!」と抜かす客もおります。
すると順路を無視してその家に行かなければなりません。

クロネコヤマトなんかでもそうだけど時間指定がどれだけ配達員に負担をかけているか理解してください。

朝飯 (賄い)

配達が終わるのは朝7時ぐらいです。
夜中の2時からすでに5時間労働。
しかも休憩なし!

帰ってくるといちおう賄いがあり朝ご飯を食べます。
これも店によりけり。
アパートや自宅暮らしならもちろん賄いはありません。

仮眠

朝ご飯を食べたあと仮眠を取ります😪

昼前に起きる

まあ昼ご飯も食べなきゃいけないけど。
昼は賄いはないので自分で作るか外で食べます。
たまに豚カツなんかが冷蔵庫に残っていることがあれば自分でカツ丼を作って食べます。

カツ丼の作りかたを覚えたのは新聞店です。

これについてはあまり文句を言われることありませんでした。
自分で料理をするほどマメな人間は新聞店にはいないので。

たまにケチつけるやつがいるけど、じゃあ自分で作れば?といっても作りません。
ケチつけるだけだから。

拡張 (勧誘) ・集金

さて、夕刊までのあいだ拡張・集金があります。
まあこの時間家にいる人はすくないですね。

つなぎ (今までの客をつなぎとめること) と新規があります。
だいたい朝日新聞取ってる人なら読売を、読売を取ってる人なら朝日をという奪い合いです。

つなぎだと3カ月で500円くらいの報酬だったかな。
新規だと1000円くらいだったかな。

朝刊の配達だけで5時間費やしているのだから、公園で休んでいることもあります。

お前公園で休んでただろ、と言う先輩もいるけどお前もそこで飯食うとったんじゃろ。
べつにおじさんが公園で休んでたところでお前の給料が変わるわけじゃあないし。

午後2時、夕刊配達

さあ夕刊があります。
夕刊は本紙のみだし、夕刊を取る家はすくないので部数としてはすくなく楽です。
2時間ぐらいで終わったかな。

ただ、夕刊だけを取っている家を把握するのが大変ですが。
まちがって朝刊だけの家に入れて、部数が足りなくなることもあります。

そもそも夕刊なんて要るのか?
そんなん読む奴、よっぽど暇なんじゃな。

そういやあ最近、夕刊フジが休刊になるってニュースになってたな。
要するに読む人がいないということだな。

チラシ組み

夕刊を配り終えて店に帰ってくると、チラシが待ち受けています。
このバラバラのチラシ6~7枚を組んでいきます。
ぜんぶ手作業です。
店によっては最新鋭の (すでに40年前の話) 機械があって自動で組んでくれるところもあるようです。

ただこれは翌朝自分で本紙に一つひとつ組み込んでいかなければなりません。

晩ごはん

晩ごはんはどうしていたのか覚えていません。
そんな家庭的な賄いはなかったと思います。
店には賄い用の台所や冷蔵庫はあったけれど、自分用に食材を備蓄するようなことはできなかったので外で食べてたんでしょう。
ほんとここんとこ記憶がない。

チラシ組みが終わったらまた拡張・集金をします。
夜のほうが人がいるので仕事が捗ります。

午後9~10時就寝

だいたい9時ぐらいに寝るんだけど集金ができない家があると10時ごろまでやっています。
こうしてダラダラと自分の時間はなくずっと働きつづけ1日が終わります。
人間の生活ではありません。

午前2時に非常ベルが鳴る

そしてまた翌朝?夜中に非常ベルで叩き起こされます。

これが年に8回だけの休刊日を除いて1年357日続きます。

毎朝520部

本紙以外の諸々

朝日新聞なら朝日新聞を本紙といいます。
これも店によって取り扱う新聞はちがいますが、たまたまおじさんが行った店は取扱紙が異常に多かったんです。
しかもおじさんの配達区域が工業団地だったので会社が取る新聞も多かったんです。

日経、日刊スポーツ、日経流通新聞、Japan timesなどの英字新聞、釣り新聞 (そんなんあるんか) 、その他聞いたこともないような新聞全部で10紙くらい扱っていました。

すると自分の配達区域の分だけこれらを朝、配達前に掻き集めなければなりません。

配達の曜日がちがう

1つの問題はこれです。
曜日ごとに来る新聞がちがうので忘れないようにしなければならない。

配達する家はかぎられている

夜中の2時半から配っているのでとうぜん外は真っ暗。
配達する家は覚えているけど、本紙は取らずに別紙だけ取っている家はその日だけ配達しなければなりません。

本紙はまとめてバイクの後ろの荷台に積んであって、とうぜんどれを取ってもおなじなんだけど、別紙は前のカゴに入れて暗闇で確認して入れなければなりません。

5階建ての団地

おじさんが充てがわれた区域は5階建ての団地でした。
なんで5階建てかというと法律上5階まではエレベータの設置が義務付けられていないからです。
6階とか7階とかないでしょ。
5階を超えたら10階建て以上の高層マンションになります。

もちろん下には集合ポストがありますが、100%ドアのポストに入れろ、です。
そうしなければほかの新聞に変えるぞ!です。

だから毎朝5階まで何カ所も駆け上がっていました。

横につながる廊下があればいいけど、団地というのは501と502がセットで1つの階段ですね。
501と502ならいいんだけど、502と503だと、1回降りて、また隣の階段を上らなければならない。

だからおじさんはこういう家はつなぎに行きません。
たぶん、いやまちがいなく新聞配達の人はみんなそう思っています。

向こうから継続を依頼してきたら、仕方ないな、配ってやろうという感覚です。

上りは1段抜かし。下りは1段ずつ

これは先輩に教わったんだけど上りは1段抜かしで駆け上がる。
もちろんスピードの問題です。

下りはどんなに急いでいても1段ずつ。
足を踏み外して怪我する可能性が高いからです。

これが習い性となり、仕事でもないし急いでもないのにいまだに上りは1段抜かしで駆け上がります。

このポストが空いていた理由

この配達区域が大変だということはベテランならみんな知っています。
だから、ここに配属された人はすぐやめるんですね。

新人をここに充てがうなよ。

階段が多くて、しかも毎朝520部というのは異常な数です。
これは自信を持って言える。

毎朝520部配達しているという人がいたらコメントしてね😄

住み込みの部屋

3畳1間

面接のときは4畳半と聞いていたのに行ってみたら3畳よりちょっと狭いくらい。
ベッドが置いてあるので床はほとんど見えない。
そこにおじさんは勉強机を持っていきました。

本気で飛行機の勉強をするために。

すでにベッドが置いてあるので残りは2畳ぐらい。
そこに机と本棚を置いたら床はまったく見えなくなりました。

ギター🎸

その部屋で唯一自分にもどれるギターを弾いたら隣の部屋の人に壁を蹴っ飛ばされました。
当たりまえですね。

それから半地下室で弾くようになりました。

しかし、そこは店のシャッターを下ろしたあとの勝手口のようなもので、夜中に人が行き来します。
こいつら夜中にどこに出かけてんだ?
明日も夜中の2時から仕事やろ。
って、自分もじゃ。

ノミ

許可されてるのかどうか知らないけど部屋で猫を飼ってる人がいました。
そのネコノミが半端じゃない。
今住んでるところでもまわりに猫がうろついてるけど、あんなにノミがいたらきっとボロボロになってるはず。

その人が別の店に移ってから1度何の用かその部屋にはいったら、スリッパが真っ赤に。
全部ノミです😆

ノミも連れてけ!

アパート住まい

基本的には住み込みとおなじです。

ちょっとちがうのは家にいられる時間が長くなったことです。
でも家でバイクのタイヤ交換をしていると店長が来て「拡張に行けや!」とけしかけてきます。

3食自分で作らなければなりません。

おじさんはこのとき買った中華鍋を今でも使っています。
中華鍋はすごいですね。
40年経っても使える。
おそらく死ぬまで使える。
その間、何個のこびりつかないという嘘の能書きのテフロン加工のフライパンをゴミにしてきたことか。

1年の動き

休刊日は年に8日だけ

おじさんが配達していた40年前は、休刊日は年に8日しかありませんでした。
超超ブラック企業です。
盆も正月もない。

年間稼働日数は357日です😮

今は12日ぐらいあるそうですがそれでもめちゃくちゃ少ないです。

週休2日じゃないとかぼやいてるあなた。
論外ですよ。

朝刊はある

休刊日というと1日休めるようだけどちがいます。
休刊日の夕刊と翌朝の朝刊がありません。

つまり、いつもどおり夜中の2時に叩き起こされて朝刊を配達して、仮眠して、お昼ごろから次の日のお昼ごろまでが休みで夕刊から配りはじめます。

だからあまり休んだ気分になれません。
その日だけは夜中に叩き起こされないというだけです。

元旦の新聞は週刊誌並みの厚さ

元旦の新聞にはどうでもいい紙が大量にはいっています。
みなさんは当たりまえに見てるけど、あれは全部配達員が朝、新聞に折り込んでるんですからね。
そこんとこよろしく。

1度にバイクに積めないので何度も店に帰っては積み直します。

ベテランが言ってました。

「元旦に雪が降ったら夜逃げしよう」

それくらい大変です。

遅いとか、濡れてるとか言うな!
ほんとに。
こっちが客だとか、金払ってるとか言うな!

雪ん中で新聞配達してみろ。
新聞だけじゃない。
郵便局やクロネコヤマトもみんなそうだ。

40年前の値段

1カ月

朝夕刊で2800円。
朝刊だけで2200円。
日経は3200円。

これだけ見ると高いなと思うけど、1日あたり100円前後。
新聞記事を集めて、書く人がいて、印刷して、印刷工場から各専売所にトラックで運んで、そこで仕分けして配達する。
さらに集金もしなければならない。

これを考えると安すぎますね。

集金

これも店によってちがいます。
配達と集金はべつの人がやる店もあれば、ぜんぶ1人でやらなければならない店もあります。

月末になると集金袋と請求書兼領収書を渡されます。

配達が終わったら休みではなく集金をしなければなりません。

集金できなければ自腹😮

一軒家で専業主婦がいるところならいいけど、独身の家は日中人がいないのがふつうです。
まだ24時間操業で夜勤などというのもめずらしかった時代。

集金できようができまいが、月末には店に金を入れなければなりません。
ひどいシステムです。

夜遅くまたは早朝

いきなり夜遅く行ったらもちろん迷惑なので、何度行ってもいない家はだんだん遅い時間に行きます。
夜10時過ぎないといない家もめずらしくありません。

また夜は午前様だとこちらも寝る時間がなくなるので、逆に配達中など早朝に行きます。
だいたいいつも夜遅い人は文句を言ったりしませんね。

店に持ってきてくれるとありがたいのですが。

自分で集金したからとてべつにマージンがはいるわけではありません。

集金不良

これも業界では「集不 (しゅうふ) 」といいます。

いても金を払ってくれない人とか、いつ行ってもいない人などは「集不」としてこちらから切り捨てます。
当たりまえです。
金がもらえないのだから。

店としてはそれでも配達員 (集金員) から金が取れるのでできるだけつないでおきたいけど、店や従業員もだいたい集不の家はわかっているので状況を鑑みて了承します。

ガサ

刑事ドラマなんかでもガサ入れなんていうけど、要するにがさつな人間ということです。
そういうところは配達員も敬遠するんだけど、拡張員が契約を取ってきます。
支給された景品をばらまいて。

迷惑です。
配達して集金しなければならないのはわたしたちです。

なんでそんな家の契約取るの?

それはつぎに書く拡張員のせいです。

大手の新聞社 (朝日新聞や読売新聞) が自分のシェアを増やすために拡張員なるものを投入します。
こいつらが契約を取ってくるんです。
自分では配達もしないし集金もしないから。

そしてふだんいない家が、この日にかぎって居る。
しかも拡張員は洗剤や野球のチケットなどの餌を大量に支給されている。

拡張・勧誘

おじさんは仕事だからやりましたが、されるほうは嫌です😅

ていうか新聞配達の仕事はしたけど新聞は取ったことがありません。

理由はおもに2つ。

新聞を読んでる時間がない。
テレビでニュースを見ればいい。
そんなに世の中の動きに関心があるわけではない。
というより、首相が変わろうが、おじさんの人生には何も関係ない。

新聞が新聞紙になりゴミを捨てるのがめんどう。

顧客を取らなければならない

ノルマはありませんでしたが顧客が減ると店から文句を言われます。
今いる客をつなぎとめるだけではなく、新規の客を獲得しろと。

新規と言ったって、新聞取ってるところはもう取ってるんだから、取り合いです。

拡張員

業界では「張員 (ちょーいん) 」といいます。
シェアを拡大するために1日に1億円という金を投入して張員を送りこみます。

こいつらは洗剤やチケットなどの餌を充てがわれています。

それでかってに3カ月無料とかサービスをつけて契約を取ってくる。
すると契約に対して店または新聞社が報酬を支払うわけです。

だいたいみなさんが鬱陶しいと思うのはこいつらです。
配達員を悪者にしないでください。

拡張員にはメチャメチャ景品を与えるけど、配達員にはあまりくれません。

新聞配達をしていると見える人間の姿

新聞屋

子は親の鏡

夕刊を配達していると子どもたちが遊んでいます。

「おい、新聞屋!」

ああ、この子はあの上品な奥様の家のお子さん。
家では「新聞屋」と呼んでるんだ。
なるほど。

気をつけましょうね。

あなたが家で話してることを子どもはすべて表で話します。
いくら上品ぶっていてもすぐバレます😄

下着姿で

集金に行くと下着姿で出てくる奥方がいらっしゃいます。
残念ながらドキドキする若くてきれいな人ではなく見たくもない姿😅

たとえ新聞の集金でも何か着ようね。

部屋が新聞で敷き詰められている

集金に行くと玄関から中が丸見えの家もすくなくありません。
べつに見ようとして見たわけじゃないけど、部屋がグチャグチャの新聞紙で高さ50cmくらいで敷き詰められているところがありました😮
理由はまったくわかりません。
聞くわけにもいきません。
まるで動物や鳥が巣を作ってるみたい。

黙って引っ越し

これもよくありました。

食い逃げみたいなもんです。

引っ越しについてはいつも神経を尖らせています。
黙って出ていけば、こちらは知らずに配達を続けるけど、とうぜん集金できない。
店には自腹で払わなくてはならなくなる。
もちろん新聞が溜まっていくので「引っ越し?」と気がつくのですが。

アパートの独身者ならいいということではないけど、一軒家でもこれがあります。

夕刊を配達中、家の前にトラックが停まっていて荷物を運び出している。

「引っ越しですか?」
「ああ。今日中に集金に来なきゃ払わないよ!」

と抜け抜けとおっしゃる。
それって犯罪だからね。
何、払わないのが当たりまえみたいに威張ってんだよ。
ほんとに。

新聞屋には金を払わなくてもいいと思ってる。
ふざけんなよ!

景品よこせ

あさましい、さもしい人たち

拡張に行くと、つなぎにしても新規にしても物品を要求します😄
さもしいですね。

あなたがたは新聞屋を見下しているけど、わたしたちはあなたがたをもっと見下しています😂

あなたがたは新聞が読みたいのではなく、物が欲しいのですね。

ほんとに新聞が読みたいのなら物品は要求しません。
また朝日が好きならずっと朝日を取ります。

ところが物品をせしめるために3カ月ごとに朝日と読売を交代で取る人がたくさんいます。

まあ現代の携帯業界もおなじようなことやってますわ。
継続する客は雑に扱い、新規の客のみ大切にする。

まちがってますわ。
長年続けて使ってくれる客こそ大切にすべきです。
おじさんはそう思います。
ちがいますか?

新聞を契約するとくれる洗剤、タオル、野球のチケットなどは店から支給されます。
でも数がかぎられています。

読売新聞はジャイアンツの野球のチケットがあるけど朝日新聞にはありません。

ジャイアンツの試合見たいなら自分で金払って見に行けよ。
そのために読売新聞取るなんてお門違いだ。

洗剤が欲しきゃ自分で買えよ。
そのために新聞取るなんてお門違いだ。

景品もらうため

はっきり言って朝日新聞でも読売新聞でもどっちでもいい。
契約のときの洗剤、タオル、チケット狙い。

今だから言いますけど、新聞取るよりそのものを買ったほうがいいですよ。

新聞配達をした、せざるを得なかった理由

家出

おじさんは虐待されつづけたので家出しました。
金属バットで親を殴り殺して人生を棒に振るよりはマシだと思ったからです。

さて貯金もないし頼る人もいない。
どこに行ったらいいんだろう?

クズ親に洗脳されてきたおじさん。
ない情報で思いついたのが住み込みの新聞配達でした。

とにかく仕事もさながら住むところがいちばんの問題。
それを解決してくれるのが住み込みの新聞配達でした。

まあこんなに酷いところとは思っても見ませんでしたが。

それでも家よりはまし

けっして楽園ではないどころか地獄のような毎日でしたが、それでも家に帰りたいとは思いませんでした。
それほど非道い家だったのです。

新聞店は地獄でしたが、家はそれより非道かったのです。

家に帰るという考えはまったく浮かびませんでした。

辛い経験・出来事

下痢を漏らしながらの配達

だれでも病気になることはあります。
でも新聞配達には代わりがいません。
いちおう店長は全部の配達区域を把握しているはずです。
それからベテラン勢は自分の配達区域以外も知ってるはずです。

でも自分の配達をしてからほかの区域を配達すればそれこそ朝刊ではなくお昼になってしまいます。

おじさんはふつうの人間とおなじようにふつうにお腹を壊し39℃くらいの熱を出して寝込んでいました。

店長がやってきました。

「このやろう!寝てねえで配れや!」

おじさんは熱はともかく下痢が続くまま配達することになりました。
我慢できません。
バイクの上で下痢便が出てしまいました。
それでもそのまま配達を続けました。

熱や下痢やお腹の痛みなんかどうでもいい。

こんな屈辱ってある?

人間扱いされてないよね。

同窓会に出られなかったこと

年に8回しかない休刊日に合わせて友だちが同窓会を開いてくれました。
でもその場所ちょっと問題があったんだけど。

新聞店から50kmくらいのところです。
200ccのバイクを持っていたので夜中に駆けつけることはできます。
町中ではなく山道なので信号もないし渋滞もない。

ところがなんとその道が通行止めになっていたのです。
迂回するにはまた何十キロ走らなければならない。
断念せざるを得ませんでした。

当時は携帯もないし、公衆電話さえない山ん中。

孤独に1人新聞店に帰るのでした。

先輩?の横暴

おおかた暴力を振るうような先輩はいなかったんだけど1人だけいました。
猫を飼ってたやつです。

挨拶をしないとかどうかでいきなり頭を殴られました。

それでもやめなかったのは、それほど家が地獄だったからですね。
アウシュビッツの収容所よりはまし。

後任が配達中にトラックにはねられて死亡

おじさんが新聞配達をやめてから情報がはいりました。

おじさんはもともと人間が嫌いなのではなくむしろ好きなほうです。
こんな人もめずらしいと思うけど、配達先の玄関にオフロードバイクが停まっていました。
集金のときに自分もオフロードバイクに乗っているという話をしました。

もちろん仕事とは関係ありません。

その人とは新聞配達をやめたあといっしょにツーリングに行くことになりました。
その人から後日連絡がありました。

おじさんが配達していたところで事故があり配達員が死んだと。

おじさんが新聞配達を続けていたら事故に遭っていたのでしょうか?
わかりません。
その人が不注意ではねられたのかもしれません。

やさしい人たち・してくれたこと

いろんな事情を抱えた人たち

新聞店にはいろんな事情の人がいます。
申し訳ないがふつうの人は新聞店で働きません。
おじさんのように。

孤児

若い男の子がいました。
かれは施設 (孤児院) の出身です。
新人のおじさんにあれこれと教えてくれました。

人買い

べつの彼は遠く離れた九州の出身です。
なんでそんな遠くから神奈川県に?

人買い、いや売られたのです。

口減らしといってもいいです。

新聞店の仕事はきついです。
というよりも人間を人間として扱っていません。
ふつうの人ならすぐやめます。

おじさんのように帰るところがない人が居つづけるんです。

だからできるだけ遠くに行って、かんたんに家に帰れないところの子どもを攫ってきます。
人攫いです。

田舎には仕事がないので東京方面に行って仕事しなさい。
うちではあなたを養うお金はありません。

それで新聞店は親に金を渡し、子どもを買ってくるのです。
子どもは仕事がきつくても、嫌でも、九州ではおいそれとは帰れません。
これが県内や近場ならすぐ帰ってしまいます。

野球界では親に契約金とか謳って金を払いますが、それとは雲泥の差です。

配達や勧誘・集金について教えてくれた先輩

だれも知らないし頼る人もいない。
そんな新聞店で配達その他について手取り足取り教えてくれた先輩がいました。
その人がおじさんの面倒を見ても一銭にもならなかったでしょう。
また店から頼まれたわけでもないでしょう。

面倒見がいいのと、またすぐ辞められたらあとが大変ということもあったかもしれません。
きっとおじさんが配っていた5区というところは、すぐ人が辞めて、そのあいだはほかの区の人が分担して配っていたにちがいありません。

そんなの新人にやらせなければいいのに。

買い物に付き合ってくれた先輩

はじめてのアパート住まいになったときにとうぜん身の回りの物を買わなければならなくなりました。
なんでそういうことになったのか覚えていません。
おじさんが頼んだわけでもありません。
たぶん、こんな物を買いたいんだけど店はどこにあるか聞いたのではないでしょうか。

その人が貴重な時間を割いて買い物に付き合ってくれました。
前述のとおり、新聞配達員には自分の時間などほとんどありません。

それから電気ストーブをくれました。
そのストーブは新聞配達をやめてからもしばらく使っていました。
結婚してからも。

次の仕事のためのステップ

いろんな事情がある人たち。
ほかに行き場がなくて仕方なしにそこにいる人もいれば、目的があってそこにいる人もいます。

事業に失敗して借金を返さなければならないとか、これから店を開くので金を貯めているとか。

寮でもアパートでもなく、一軒家の自宅を持っている人もいました。
その人は夫婦でやっていました。

おじさんが辞めるときに送別会まで開いてくれました😭

希望

この世は残酷だからこそ希望が必要

希望は自然にそこにあるものではない。

自分が生き続けるための命綱だ。

自力で

そしてそれは、他力本願であってはならない。
空から金塊が降ってくるとか、白馬の王子様がやってきて私を幸せの国に連れてってくれるとかいうことではない。

自分の金と時間を使って、自分の努力だけでできることでなければならない。
そこに運とか、他人の意思や力がはいってはいけない。

自分の力だけで確実にできることでなければならない。
自分次第で叶えられること。

飛行機の免許

おじさんはとりあえずアウシュビッツの収容所を脱出したけど、それだけでは生きる理由は何もありませんでした。
日々楽しいこともなく、寝る時間もないほど忙しい毎日。

希望の光が必須でした。

今まで考えたこともないけど、自分がやりたい突拍子もないことをやろうと思いました。

それは飛行機の免許を取ることでした。
それも日本ではなくアメリカで。

ただ免許を取るだけなら日本でもいいんだけど、アメリカに行くということも自分にとっては突拍子もないことです。
そもそも海外旅行をしたことがない。

携帯電話もインターネットもない

40年前のこと。
今のように携帯電話もなければインターネットもありませんでした。

情報は、本、電話、口コミしかありませんでした。
まあそのおかげで、口コミ力は半端ないですけど。

今になってみるとどうやってそこに辿り着いたのかも不思議。

航空雑誌を買って海外で飛行機の免許を取れるところを探す。
電話する。
電話すると言っても携帯電話はないのだから、公衆電話です。
そこでメモを取るんです。
今の人には考えられないでしょ。
休みはないに等しいので朝刊を配り終えた朝7時から夕刊を配る午後2時までのあいだに東京にすっ飛んで事務所を訪れ話を聞きました。

背水の陣を敷く

最終的に1つの学校に決め前金として10万円を払いました。
これは賭けでした。
このまま持ち逃げされるかもしれない。
その斡旋業者が消えてしまうかもしれない。

でも10万円を払ってしまうことで自分の決心が揺らぐことを防ぎたかったんです。
それほど自分に自信がなかった。

新聞店の自分の部屋でできることはかぎられています。
インターネットはない。
飛行機の操縦や無線、それからテスト問題を勉強しました。
紙の辞書しかありませんでした。
専門用語が出てきても辞書には載ってなくて調べようがないものもありました。

けっきょく新聞配達だけでは必要な額が貯まらず、その後大工を2年くらいやってようやくアメリカに行くことができました。

有名企業で働いていたわけでもないので借金もできませんでした。

当時の額で120万円貯めてやっとアメリカに行けました。
これでもギリギリでした。
おじさんの場合は学生時代グライダーに乗っていたのでほとんどミニマムの時間で卒業できたけど、まったくの初心者なら120万円では免許は取れません。

もちろん学費だけでなく滞在費もすべてふくんでいます。
向こうでアルバイトとかできないから。

飛行機の免許とアクロバット ~ 一覧

鬱病がどうした?

毎日、死にたかった

話ははじめにもどりますが、おじさんは家出して新聞店に辿り着きました。

最初の1週間は毎日死にたかったです。
いやまじめに。

生きる希望など何もない。
這々の体でアウシュビッツの収容所から脱出しただけです。

外へ出て何をするという目的もなかった。
ただこの地獄から抜け出したかっただけです。

しかし行った先もけっして天国ではない。
それでもアウシュビッツよりはましでした。

意地悪な人もいたけど、思いの外おじさんのことを気にかけてなんやかんや世話を焼いてくれる人たちもいました。

クズみたいなのもいたけど、やはり自分の問題ではなく止むに止まれぬ事情で新聞店に来た人もいるので、そういう人たちは気にかけてめんどうを見てくれました。
うちの親よりよほど親身に。

鬱病は贅沢病

遺伝子による物理的な問題もあるけど、やはり鬱病は贅沢病だと思います。
おじさんも鬱病です。

でも、鬱病だと言ってられない。
働かないと生きていけない。
だから鬱でも辛くても働きつづけます。

精神科に行ったこともあるけど、けっきょく元気が出る薬 (向精神薬) と睡眠薬をもらっただけで、それを飲んでも何も変わらない。
相変わらず眠れない。
気持ちは晴れない。

それでも働きつづけなければならない。

鬱病だから家で寝てます、という人は、面倒見てくれる人がいるからできるんですね。
働かなくても住むところがある。
3食作ってくれる人がいる。

じつに贅沢だ。

おじさんは鬱でも何でも働かないと生きていけない。
だれも面倒を見てくれない。

新聞店では面倒を見てくれる人もいたけど、おじさんが部屋で寝ていて3食食べさせてくれるわけではないですよ。

下痢をちびりながら配達したときは、ほんと人間の尊厳なんて完全に踏みにじられました。
プライドなんてゴミですね。

むすび

ということでよほどの事情がないかぎり新聞配達なんかやらないほうがいいです。
アルバイトで朝の配達だけならいいですよ。
おじさんもそうだったけど、あるていどお金が貯まったらさっさとやめて次の仕事をやりましょう。

いろんな人がいたけど、配達が終わると毎朝ビールを1ℓ飲んでる人がいました。
ああなったらおしまいですね。
あんなにきつい職場なのにその人にとっては居心地のいい場所になっているんです。

それから新聞配達にかぎらず、郵便局やクロネコヤマトの人たちが、炎天下でも真冬の寒さの中でも、台風でも大雪でも配達してるってこと忘れないでくださいね。
商品が壊れているのは問題だけど、ちょっと濡れてるとか、包装の角が破れてるとか、それくらい目を瞑ってください。

おじさん?
もちろん。
たまたま玄関から見えたときはこちらから荷物を取りに行きます。
そして「いつもありがとうございます」と声をかけます。
これは本心です。

さっちゃん
おじさんも苦労してるんだねえ
ひげおじさん
半端じゃない

おじさんオススメの記事

飛行機はなぜ飛ぶか? ~「迎え角」と「コアンダ効果」

注目の記事

「右・左・右」はまちがい! 人は左から来た車に はねられる! 当たり前です!

話題の記事

シャンプーが水っぽくなるのはなぜ? (図解)

人気の記事

相手がえらんだカード (トランプ) を当てる! (カードマジック15枚)

モバイルバージョンを終了