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「スタントマン」「特殊な仕事」
スタントマンになる方法
おじさんはスタントマンをやっていたことがあります。
車やバイクで転がったり、ジャンプしたりするシーンに憧れて、自分もやってみたいと思っていました。
むかしはインターネットがありませんでした。
もちろん「スタントマンの募集」なんてありません。
アルバイトの情報雑誌を見て「スタンドマン」の文字に胸躍らせると「ガソリンスタンドのスタッフ」でした😄
直接、行くしかない
直接、テレビ局とか、映画配給会社に電話したり、カースタントの名前で電話番号を調べたりすればいいのに、そこまで勇気がなくて、求人などあるはずのないアルバイトの情報雑誌を見ていると、「ロケ車の運転」という求人がありました。
ロケ車の運転
さっそく応募して行くと「〇〇照明」というところでした。
「〇〇照明」というくらいだから元は、「照明」係だったんだろうけど、主な仕事は「ロケ車や撮影に関わる車の運転」です。
撮影の現場で仕事をしていれば「スタントマン」の情報も手にはいるかもしれないと思ったんです。
連絡先をゲット!
何日か働いていると事務所に、「撮影関係の会社の名前と電話番号」が貼ってあるのに気づいたんです。
その中に「カースタント」をやっているところの名前を発見しました!
さっそく電話しました。
面接してカースタントをやりたいということを伝えると、あっさりとOKをもらいました。
辞めるときに恩着せる奴
「〇〇照明」に辞める旨を告げると社長がいいました。
「〇〇ドライバーズに行くんだろ!」
「?」
「こっちは知ってるんだよ!ここの電話番号見て電話したのか?」
「?」
「〇〇ドライバーズの社長から連絡があったよ。お宅で働いてるアルバイトがうちに面接に来たと」
「はあ…」
「こういう業界は狭いんだ。これから先も現場で顔を合わせることもあるだろうよ。せっかくうちで面倒見てやったのにその態度は何だ!」
とまあ、「おまえのことはわかってるんだよ」みたいに偉そうにいうけど、そりゃああなたがべつに偉いわけじゃないし、情報が伝わっても全然不思議でもなんでもないよね。
それに「面倒見てやった」と恩着せがましくいうけど、何一つ面倒見てもらってません。
そもそも、この件があるまで、あなたはおじさんの名前はおろか、存在さえ知らなかったでしょう。
どこかを辞めるときこの人たちはかならず「面倒見てやった」だの「世話したやった」だのいいます。
直接、関わりがあったならともかく数多のアルバイトの一人にすぎず、存在さえ知らなかったくせに。
まあ、どうでもいいです。
このことで、その後の仕事に影響が出た試しなどありません。
取引先の相手になるとかいうならともかく。
今はネットがある
今の時代はネットでいくらでも情報が手にはいります。
スタントマンにかぎらず、特殊な仕事の場合は、会社や人をさがして「メール」「電話」「直接会いに行く」などしましょう。
もちろん、門前払いのことのほうが多いと思います。
もし、知人、関係者などコネがあるならすべて使いましょう。
やる気があればの話ですけどね。
紹介してもらうだけしてもらって「やっぱり、や~めた」というのはダメです。
あなたのまわりからだんだん人が離れていきます。
ハローワークや就職情報誌などには求人はないので、自分で「行く」しかありません。
どうしてもダメなら「自分でやる」
おじさんは自分でやってないのでまったく説得力ありませんが💦
飛行機のアクロバット
おじさんはアメリカで飛行機の免許を取り、アクロバットをやって、日本に帰ってきてからもやりたいと思いました。
やっぱりネットのない時代です。
アクロバット学校などないし、情報が手にはいらないので、飛行学校のスタッフに聞きました。
すると、どこそこでアクロバットをやっている人がいるという情報をもらいます。
べつにその人にコネがあるわけではありません。
だから、直接連絡を取って会いに行きます。
スタントマンその後
ただの運転手
晴れてスタントマンの会社にはいりましたが、現実はロケ車の運転ばかり。
スタントの仕事なんてほとんどない。
あっても新人に回ってくることなどほとんどない。
まったくわからない都内の道をタクシー運転手のごとく走らなければならない。
今みたいにナビもありません。
それこそタクシー代わりに仕事終わりのタレントを自宅に送ることも。
東京から何時間も離れたところに行くこともあります。
そして、現場ではただ待つだけ。
スタントマンとしてやった仕事
すべてぶっつけ本番!
練習など一切なし!
火曜サスペンス劇場
初めてやったのは「火曜サスペンス劇場」で、悪者ライダーの1人。
ヘルメットをかぶってるので顔はわかりません。
主人公をバイクで追い回すだけです。
車でサッカー
正月番組かなんかで鉄製の大きなカゴの中に芸人を入れて、サッカーボールのごとくそれを車で転がす。
これは面白かったです。
交通事故再現フィルム
免許の更新で見るあれです。
これが唯一スタントらしい仕事でした。
横断歩道を渡っていてはねられる歩行者
歩行者が横断歩道を渡っていると左折車の陰で見えなくて、その後対向右折車に轢かれるというもの。
じっさいには対向右折車はバイクでした。
どうやってもカメラには映るのでわざと左折車の陰についていって、左折車が通り過ぎたら今までふつうに歩いてました!という感じで横断歩道を渡る。
死角で見えないんじゃなくて、見てないだけなんだなと思いました。
バイクのハンドルの上に乗っかる感じです。
持ってるカバンの中に分厚い電話帳がはいっていて、バイクのハンドルに当たる瞬間にそのカバンを腹の前に持ってきて体を守ります。
それでも地面に倒れるのは生身の体のままです。
出合い頭事故
見通しがまったくきかない住宅地の十字路で出会い頭事故
交差点を一時停止せずに突っ切ってきた車の横に、バイクで突っこみます。
お互いにまったく相手が見えないのでタイミング勝負です。
スタートの合図がかかってから何秒で交差点にはいるか計って、そのタイミングでお互いスタートします。
危ないのはバイクが先に交差点にはいってしまうこと。
こうすると、車に横から思い切りはねられてしまいます。
スタントの撮影ではなくほんとの事故になってしまいます。
あくまで車が先に交差点にはいり、その瞬間を狙って車の横にバイクで突っこまなければなりません。
1回めは少し遅めにスタートしたので車が先に通り過ぎてしまい、バイクで当てることができませんでした。
でも、カメラは回っているので車が通過したあと、急ブレーキで倒れました。
倒れたあともいちおうそのまま転がって演技してました。
でももちろんNG。
2回めは少しだけ早めにスタートして、それでももし車が目の前に現れなければ急ブレーキで、横からの衝突を避けなければなりません。
命がけです。
なのに練習は一切なしです。
計ったとおりのタイミングで車が現れ、車の後部に思い切り当たることができました。
じっさいはブレーキをかけると思うけど、むしろアクセルを開けるくらいで突っこみました。
車の後部というのも重要で、前方だとそのまま車の横に激突するわけだからただではすみません。
車の後部に突っこむと車は前方に通過するので、バイクと自分は車の後ろに投げ出されます。
凸凹ポリス・ストーリー
これはスタントではないけどパトカーにお巡りさんの制服を着て出ました。
後ろに乗ってる西田敏行さんがポテトチップスをくれたのが忘れられません。
撮影開始前。
車の中で待機してるとき、西田敏行さんが食べてるポテトチップスの袋を差し出し「食べる?」と言ったのを。
少しだけもらいました。
テレビで見てるのとおなじように優しくて人懐っこい感じの人でした。
生きてるうちにやっとかんと!