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九死に一生 ~ 運のいい人しか生き残らない

russian rallye2026-03-20

「運」「生き残る」

はじめに

今年で63歳。
よく生き残ってきた。

思い返すとあのとき死んでいたかもしれないということがいくつもある。
そして生き残ったのはおじさんの能力ではなくただひたすらに運が良かっただけ。

う~ん。
あのとき死んでいればいま草刈りなんかやらずに済んだのに。

けっきょく人をふくめて生きものは運がいいものしか生き残らない。
それがこの世の真理。

生というのは目に見えない綱渡り、あるいは崖っぷちを歩いているようなものだ。
あるいはつねに空から目に見えない槍が降ってきているのだが、たまたまそれに当たらなかったものだけが生き残っている。

死にかけたこと

目の上の縫い目

おじさんは両目の上に縫い目がある。
どちらも物心つく前なのでどういう状況で怪我したのか知らない。

親に聞いたことはあるがそれがほんとなのかどうかもわからない。
ただわかることはかなりのスピードと衝撃で何かにぶつけた、あるいは何かがぶつかったということだ。
あと1センチずれていれば目が潰れてた。

それが潰れずに目の上だったのはただひたすらに運が良かっただけ。

とくに右目はちょうど眉毛の中でそこだけ禿げているのでよくわかる。
しかし年とともに眉毛が伸びてきて目立たなくなっている😄

プールで溺れる

小学校のときまだ泳げなかったのだがいきなりプールに飛び込んだ。
姉から、「鼻が出るぐらいの高さだ」と聞いていたから。

ところが姉とおじさんは身長がちがう。
おじさんのほうがちょっと低かった。
足が届かなかった。

水を2回深呼吸してプールの藻屑に消えようとしたときおじさん (ほんとうの意味でのおじさん😄 まぎらわしい) に手を引っ張られて引き上げられた。

おじさん (ほんとうの意味での) はおじさん (わたし) がいきなり飛び込んだので、おじさんが泳げるものだと思ったそうだ。
しかし、浮かんでこないので助けてくれた。

監視員はいたがまったく反応はなかった。
引き上げられてゲホゲホやってるときも知らん顔だった。

溺れる! 助けて! はウソ! ~ 泳げない人は水面に顔を出すこともできない!

自転車で十字路通過

中学生のときに自転車でアルバイトに行っていた。
このときは友達と旅行に行きたかったのでアルバイトをした。

夜の生協の野菜売り場の仕事だった。
閉店後の野菜売り場の片付けだった。

車通りもほとんどない住宅街の十字路を突っ切ったときに左から車が来た。
止まることもよけることもできない。
一瞬のことで、おじさんがギリギリ通り過ぎた直後、車は後ろを通過した。
打ち合わせしてもこのタイミングでは通過できない。

あと0.1秒通過するタイミングが遅かったら直撃していただろう。

それからは十字路で止まるようになった。

自転車で田んぼに落ちる

小学生から中学生ぐらい。
そのころからすでにサイクリング車でウィリーの練習をしていた。

当時は家の前が田んぼだったので、夜、そこの畦道でウィリーの練習をしていた。

バランスを崩して畦道の左の田んぼに落ちた。
水は張ってない時期だったし、畦道から田んぼの地面まではそんなに高さがないのでおじさんは身構えもせず「ああ、落ちた」と身を任せていた。
泥んこにはなるかな?ぐらいの気持ちで。
夜だったので地面はよく見えなかったが。

すると、頭にものすごい衝撃を食らった。
田んぼなのに。

落ちたあと立ち上がるとそこにあったのは田んぼに打ってあった長さ1mぐらいの杭😮
狙ってもなかなかピンポイントで頭には当たらない。
そこにまったく身構えることもなく自由落下で頭をぶつけたのだ。

その点では運が悪すぎる。

杭の先が尖っていたら刺さっていたかもしれない😱
ちょっとずれていたら目を潰していたかもしれない。

不幸中の幸いで杭の先は平らで直径10cmぐらいあり、耳のちょっと上ぐらいのところに当たり、石頭のおじさんは「痛い」だけで済んだ。

ベーパーロック現象

大学生のとき生意気にも車を持っていたことがある。
大学の友だちから格安で譲ってもらった。
いすずのジェミニ。
ステアリングby MOMOというやつだ。
なかなか乗りやすいいい車だった。

友だちと夜の峠道に行ってタイムトライアルをやった。
ノーマル車だ。

人間は運転を変わり車は休みなしでずっと峠道を上り下りしたのがいけなかった。

ベーパーロック現象が起きた。
これが教習所その他で聞いていたあれか。

いきなりブレーキペダルが床につくまで踏み込めてまったく効かない。
ポンピングしてみたがまったく反応なし。

不幸中の幸い。

登りでヘアピンカーブの先に林道の入口があった。
そのまままっすぐ突っ込んで重力加速度で引っ張ってもらって止まった。

あの林道がなければ山肌に激突していた。
あるいは場所によっては崖下に転落していたかもしれない。
下りだったら命はなかったかもしれない。

カヌーで転覆

大学のとき航空部の連中と本栖湖にキャンプに行った。
友だちがカヌーを持っていたので本栖湖でやった。

それ以前にもやっていたのでカヌーの乗りかたは知っていた。
そこそこ乗れていた。
ていうかカヌーじたいははじめての小学生でも乗れる。

そのとき初めてだったのが、スプレーカバーとかスプレースカートとかいう、中に水がはいらないためのカバーを履いていた。
スカートの裾まわりにはゴム紐がはいっていてそれをカヌーの座る部分の穴の縁にかける。
こうすると水がはいってこない。

本栖湖では大学かなんかのサークルがレガッタかなんかの練習をしていた。
なんかのが2つ重なってるけど、正確にはわからないということだ。

湖の真ん中辺まで行って、そこで旋回するとき、バイクや飛行機とおなじように傾けたら曲がりやすいかとやってみた。
転倒した。
でも、今までも転倒するのはめずらしくもなく、カヌーが逆さまになったらかってに体が抜けるのでどうということはない。
もちろんライフジャケットを着ているので何もしなくても浮く。

ところが逆さまになっても体が抜けない。
なんで?
あっ、このスカートのせいか。

水の中でスカートをカヌーの縁から外そうとしたが外れない。
滑ってつかめないのだ。

一気に青ざめる、というよりむしろアドレナリンが出るのか体中がサーっと熱くなるのを感じた。

このまま外れないとカヌーから脱出できずに溺れ死んでしまう。
最初から潜るつもりじゃないから深呼吸して目一杯空気を吸い込んだわけでもない。
肺の中に残ってる空気はわずか。

エスキモーロールなんてできない。
やったことがない。
このままの状態で水面に起き上がるのは不可能だ。
このスカートを外さないかぎりこのまま逆さまになったカヌーの下で溺れ死んでしまう。

この状況でおじさんは変なことを想像した。

まずあのレガッタの人たちが見ているだろう。

「あのカヌー、引っくり返ったままいつまで経っても人が出て来ないね」
と言っているのを想像する。
心配させているのではないか?
早く水面に姿を現さないと。
(人の心配してる場合かっ!)

それから、明日の新聞に
「本栖湖でカヌー転覆。大学生溺死」
という見出しで記事が出る。
家族や友人を悲しませてしまう。
(人の心配してる場合かっ!)

湖の真ん中で逆さまになったまま、水面はキラキラ輝いていてあの向こうには酸素がある。

そのとき感じたのはかぎりない孤独だった。
いまここには誰もいない。
自分だけ。

おじさんは小学生のときも溺れたことがある。
まあ唯一学んだことと言えば「水の中では息をしてはいけない」ということ。
当たりまえ。

それからは苦しいというより急に怖くなって無我夢中でスカートをあちこち掴んで引っ張ったら外れた。
そして無事水面に浮かび上がった。

あとで友だちに言ったらこう言われた。

「ああ、この、前についてる紐を引っ張っれば外れるんだよ」
「😮それを先に言えよ。死んでたかもしれないんだよ」

「古いスカートでよかったね。新品だったらゴムがきつくて絶対外れなかったよ😄」

こいつはアダムス・ファミリーのように縁起が悪いことが好きなやつなので。

みなさん、ともだちにスカートを履かせるときは紐を引っ張ったら外れることを事前に教えてあげましょう。
マジ死にます。

エスキモーロール

この件があってから、おじさんはエスキモーロールを習得しなくてはならないと感じてみんなで早戸川に行って練習した。
でもけっきょくできなかった。

なんかコツがあるらしくて、パドルがなくても体の捻りだけで起き上がれるらしい。

河原をバイクで走っていて川にダイビング

20歳ぐらいのときはじめて新車のオフロードバイクを買った。
MTX200Rだ。
それまではハスラー50、250と中古のボロボロのバイクばかりだったから。

買って2日目に多摩川の河川敷に行った。
すこしくらい大きな石があってもサスペンションがよくてまるで舗装路を走っているかのようだ。

河原を気持ちよく時速50キロぐらいで走っていた。
向こうにちょっとした段差が見えたがどうということはない。
そのまま走っていき段差が近くなったところでとんでもないものが見えた。

ちょっとした段差で向こうが低くなっているだけだと思っていたら、深さ1m、幅3mぐらいの溝が横たわっていたのだ。
そして底には水が流れている。

その瞬間、手前で止まるのは不可能だし、ジャンプして向こう側まで飛び越えるのも無理だとわかった。
なす術もなくそのままダイビング。
溝の向こう側の壁に時速50キロぐらいのままフロントから突っ込んだ。

頭にすごい衝撃を感じて、意識はあったが目の前が真っ暗になった。
目が見えなくなったのか?
ゴーグルがずれて見えなくなっていただけだった。

頭を起こすと自分は水の中に半分浸かっていて目の前にはMTXが倒れていてやはり半分ぐらい水に浸かっている。

すぐ頭を触ったがヘルメットは割れていない。
頭も割れてなさそうだ。
首の骨も折れてなさそうだ。

ほんとおじさんの体は丈夫だ。
小柄で体重が軽いのが幸いしたのかもしれない。

おじさんは想像した。
買って2日目のMTXのフロントフォークが折れ曲がり、車体もぐちゃぐちゃに壊れている姿を。
自分の体よりバイクが心配だった。

よろよろと起き上がりバイクを見ると、フロントフォークは曲がっていなかった。
バイクを起こしたのはいいが両側が崖で自力ではこの溝から出られそうもない。

そのとき天使がやってきた。

「大丈夫ですかあ!?」

河原で10人ぐらいの子どものグループが遊んでいて、飛んできたのだ。
ほんとこういうときの子どもは天使に見える😇

いちばん上でも小学校の年長さんぐらいで、下は鼻を垂らした言葉もままならそうな子ども😄

そしてバイクを溝から出すのを手伝ってくれて無事、出られた。
バイクの細部まで見て、折れたり曲がったりしているところはなさそうだし、自分の体も大丈夫そうだ。

こういうときは体の痛みより心の痛みのほうが大きい。
そんなときに😇に助けられると心の痛みはかなり軽くなる。

転んだときに一言「大丈夫?」って声をかけられるだけで痛みは軽くなるのだよ。
言辞施というやつだね。
みんな、知らん顔しないで声かけてあげてね。

右手の親指だけ突き指したような感じで3カ月ぐらい痛かった。
もしかしたらヒビでもはいっていたのかも。
突き指で3カ月は長すぎるもんな。
でも痛くて寝られないほどでもないので医者には行かなかった。

林道で友だちが

これはおじさん自身の話ではないのだが、バイクでダイビングで思い出した。
航空部の友だちと後輩と4人で早戸川に走りに行った。
夜中。
航空部は部活があるので、走りに行くのはいつも夜になる。
夜の林道を走るのはめずらしいことではなかった。

今考えるとずいぶん危ないことをしていたものだが。

友だちが路肩から崖下に落ちたのだ😮

しかし不幸中の幸い。
とにかく運がいい人しか生き残らないのだ。

真っ逆さまに千尋の谷を落ちたのではなく、ほかのところはゴツゴツなのにそこだけ滑り台のように滑らかな斜面でうまいこと滑り落ちたのだ。
それでも高さは10mぐらい。
バイクごと河原まで落ちた。

声をかけるとどうやら怪我はしていないようだ。
しかし、どうやって河原から10m引き上げる?
クレーンやウィンチなんか持ち合わせてないよ。

これまた不幸中の幸い。
河原をすこし下に降りていくと道に上がれる場所があったのだ。

場所が場所なら落ちたときにすでに死んでいるし、死ななくても道にもどることは不可能だったかもしれない。
ウィンカーが片方もげただけで済んだ。

バイクに乗っているとき追突される

バイクで通勤していたことがあった。
車間を詰めてくる後続車。
ミラー越しに睨みながら、信号のない交差点で、いつもより早目にウィンカーを出し、急ブレーキにならないようにいつもより早目にじわっとブレーキをかけて曲がろうとした瞬間。

キーッ

とブレーキ音が聞こえておじさんは強い衝撃とともに宙を飛んでいた。
追突されたのでバイクが前に押し出されおじさんはハンドルから両手が離れたまま飛んだ。

不幸中の幸い。
また。

まずはバイクを傾ける前に直立状態で追突されたこと。
だから車はおじさんのバイクの後輪に当たった。
リアタイヤとショックアブソーバーとサスペンションがいくらかでもショックを吸収した。

もし横からやられていたらただでは済まなかっただろう。

つぎにハンドルから手は離れたけどニーグリップ、アンクルグリップが利いていたのか、バイクに跨ったまま飛ばされたこと。
大げさでなく10mぐらいは宙を飛んだがバイクのシートの上に着地してそれから横に倒れた。

電柱などにぶつからなかった。

対向車線に出なかったので対向車に直撃したり轢かれたりしなかった。

この状況でおじさんはかすり傷程度で済んだのだ。

いっぽう追突した車のフロントバンパーはもげていた。
オフロードバイクは頑丈だ。

スノーボードでヘッドスプリング

スノーボードで死ぬ人が多い。
あれはとても危険なスポーツだ。
スキーなら基本的に横にしか倒れないが、スノーボードは前後に倒れてしかも、後ろに倒れると後頭部を地面に叩きつける。
それもふつうに転ぶのではなくエッジが引っかかるとより倒れるスピードが速くなって激しく頭を打ちつける。

じつは急斜面より緩斜面が危ない。
急斜面ではエッジが引っかかる可能性はほとんどないからだ。

だから、おじさんは初心者はある程度斜度があって雪が柔らかいところに連れて行く。

おじさんはエッジが引っかかって、どうしてそういう状況になったのかまったく覚えていないが、ジャンプして手もつかずに頭から雪面に落ちてさらにそのまま倒れることなくもう180度回転してそのまま何ごともなかったかのように滑りつづけたのだ。

少林寺拳法の練習みたいだ。

頭も割れてなかったし首の骨も折れてなかった。

さっちゃん
ちぇっ!自慢かよ
ひげおじさん
いやほんとあれで脳天割ったり首の骨が折れるのは当たりまえなんじゃ

モノスキーでジャンプして頭から着地

ゲレンデにジャンプ台が作ってあった。
モノスキーでジャンプ。
気持ちいい!

何回かジャンプを繰り返した。

と、何回目かにジャンプする瞬間にエッジが取られて横に回転してしまったのだ。
二本足スキーなら空中でもなんらかの姿勢変化とかできたのかもしれないが、モノスキーは両足が縛られている。

なす術もなく頭から落下。

やっぱり頭は割れなかったし首の骨も折れなかった。
つくづく丈夫な体だ。
物理的には。

それからはジャンプはもちろんやめたし、ヘルメットを被るようになった。
ヘルメット被っても首の骨は守れないけどね。

かかり木の下敷き

おじさんは山仕事をしていたことがある。

一抱え以上もあるぶっとい木を切ったがびくともしない。
元は完全に切れているのに。
密集した森林では枝が張っていてお互いに絡み合っているので、元を切っても倒れないことはよくある。

満員電車でまわりから押されていて人が倒れないのとおなじ理屈だ。

これをかかり木という。

林業は鉄鋼業を凌いであらゆる産業の中で、就業人口あたりの死亡者がもっとも高い。
その原因のトップはかかり木である。

そして死ぬのは初心者ではなくベテランの年寄りである。
ベテランは
「今まで大丈夫だったから」とか
「こんなのいつものことで大したことではない」となめてかかったりするからだ。
さらに年取るといざというとき自分が思ったように足が動かず逃げ遅れる。

初心者は恐怖感を持っているから気をつける。
およそこういう仕事はビビリーのほうが怪我しない。

倒れないときは木回しをつかって回したりするのだがまったく回らず倒れない。

しょうがないのでおじさんは30mぐらい離れた別の木を切りはじめた。

木は人を見ている😮

おじさんが別の木を切り、その木が動き出したとき頭にものすごい衝撃を感じてそのあと目の前が真っ暗になった。
何が起きたかわからなかった。

地面に転がっていて、そのとき思ったのは、今切った木の枝が落ちてきて頭に当たったのではないかということだ。
これは枯れ木のときにあることだ。
細い枝でも高いところから降ってくると痛いじゃすまない。

メガネはどこかに飛んでいてヘルメットが顔に覆いかぶさっていて目の前が真っ暗だったのだ。

おじさんの頭上にはぶっとい木が横たわっている。

それはさっき切って倒れなかった木だった。

360度どっちに倒れてもおかしくなくまっすぐ立っていた木がおじさん目がけて倒れてきたのは、きっとおじさんに対する復讐にちがいない。
よくも切ってくれたな。

でもよくよく考えてみれば満員電車とおなじでギュウギュウ詰めのときは動く余地がないけど、だれかが降りるとそこに隙間ができて自然に隣の人はその隙間に追いやられるのとおなじ理屈だ。

おじさんが隣の木を切ったことで隙間ができて自然に必然的にそこの隙間にかかり木が倒れてきたのだ。
おじさんが自分で引き寄せた。

ヘルメットを被っていたとはいえ幹周りは一抱え以上。
つまり木を抱いても自分の手と手がくっつかない。
おそらく高さは30mを下らない大杉だ。

それが脳天に直撃して頭は割れていない。
血も出ていない。
なにより不思議だったのが、首や背骨がなんで折れなかったんだろう?ということだ。

そしてなんで地面との間に挟まれなかったのか?

不幸中の幸い。

まずおじさんが木を切るために中腰だったこと。
あれが直立していたらおそらく首や背骨が折れていただろう。

腰と膝が曲がっていてそこが折れ曲がることで首や背骨が折れずにすんだ。

そしてなにより、まわりに倒木がたくさんあっておじさんはちょうどその窪みにいたので隙間があり、木の下敷きにならずにすんだ。
あれが地面や倒木の上に立っていたら、骨折どころの話ではなく一瞬でハエのようにぺちゃんこに潰れていただろう。

それからもうひとつ、木は枝がたくさんあるのでそれが当たっても大怪我、または死んでいただろう。
うまいこと枝のところは当たらず幹がクリーンヒットした。

すべての偶然が重なっておじさんはかすり傷程度ですんだ。

その後しばらくは後遺症がないか不安だったが半年経っても1年経っても何もなかった。

倒木に挟まれる

立木ではない。
斜面に転がっている倒木を片づけていた。

これまた一抱え以上ある桜の木だ。
これはおじさんが切ったのではなく業者が切り倒したもの。
その片づけをしていた。

その木は斜面に横ではなく縦に、つまり上下に横たわっていた。

手で押してもびくともしないぐらい地面にしっかり貼りついている。
地面との隙間がないのでチェーンソーで切るのが大変だ。
寸止めしないと地面を切ってしまう。
もし地面に当たったらチェーンソーの刃はイチコロだ。

また地面に横たわっている木を切るとチェーンソーのバーが挟まれて抜けなくなることも必至。

すこしずつ下の端っこから切っては、その破片を斜面の下に落としていた。

木は二股になっていた。
二股になってるほうが下。

はじめは外側で切っていたのだが、切りにくいのでその間にはいった。
これがいけなかった。
しかし木は微動だにしなかったので動くとはまったく思っていなかった。

すこしずつ端を切り落としていったら、とつぜん木が動き出した。
あれだけ何してもびくともしなかったのに。

動くとは思っていなかったのでおじさんはまず動き出したことに気づくのに遅れた。

あれ?もしかして動いてる?
そのときおじさんがどういう動きをしたのかはっきり覚えてはいないが、はじめは木を切るので斜面に対して横を向いていた。

で、気づいたらおじさんは斜面の下を向き、斜面を下に滑り出した木の上に腰かけるような姿勢になっていた。

諏訪大社の御柱祭の木落しみたいだ。
しかしあれは最初からそのつもりで跨っているのだが、おじさんは動くとはまったく思っていなかった木が動き出して乗ってしまったのでまわりの様子を見る時間などなかった。

そして自分の状況を把握する間もなくガシャーンとものすごい音がして木は止まった。
すぐ下に切り株がありそれに二股が引っかかって止まったのだ。
そしておじさんの右足がその間に😱

おじさんは自分の足が潰れたと思った。

いやふつうだったらぺちゃんこになっていたはずだ。
だが痛みは感じたものの足はたしょう動く。
そう。わずかな隙間に、それもちょうどおじさんの足の幅ぐらいの隙間に。
でもちょっと柔らかいふくらはぎが若干凹むぐらいの隙間。

おじさんはまずその木がまた動き出したら完全に潰されると思って焦った。
早くこの足を抜かなくては。
しかしすぐに抜けないぐらいに圧迫されている。
潰れてはいないが抜けない。

まわりには誰もいない。
おじさん1人だ。

おじさんは木に潰されるよりこのまま誰にも見つからずにずっとここに磔になる恐怖を覚えた。
たぶん夕方になっても帰ってこなければ探しに来てくれるだろう。
でもまだ昼だ。

携帯で連絡…
いやおじさんは携帯を携帯していない。
そもそもこんな斜面でチェーンソーで木を切るのに携帯なんか携帯できるか。
携帯は…車の中。

おじさんの100mぐらい下に車が見える。
手が100mあれば。
ここで叫んでも声は誰にも届かない。
なんとか足を抜かないと。

カヌーで引っくり返ったときとおなじ恐怖と孤独を感じた。

すこし冷静になって、あることを思い出した。
バイクでもたまに転んで足はなんともないのにブーツが引っかかって抜けないことがある。
ある人がブーツが緩かったからブーツを脱いで脱出した、という話を思い出した。

そうだ長靴を脱ごう。
足は動く。
でもふくらはぎが軽く潰れるぐらい圧迫されているのでこのままでは抜けない。
そこで膝当てを外し、長靴を脱ぎながら足を引っ張ったら抜けた。

不幸中の幸い。

足は折れていなかった。
外傷もない。
痛みはあるがひどい出血もない。
内出血もない。

ほんとに大丈夫か?

あとで何か来るのでは?

そのときはまだ仕事を続けるかどうか悩んだ。
それぐらいの軽症だった。
でもやめた。
この足で作業したらもっとひどい事故に遭うかもしれない。

車の運転もできた。
歩ける。

ものすごく痛いけど骨が折れてたら歩けないよな。

2日ぐらいはものすごく痛くて、椎間板ヘルニアで神経痛になったときとおなじように足を引きずりながら家の中を歩いていたけど3日目ぐらいでほぼふつうに歩けるようになった。

娘の危険

子どもは危険に満ちている。
いずれもおじさんが見ていたので大事には至らなかった。

ストーブに触る

対流式のストーブ。
火は消えていたのだが、消した直後だったのでまだ熱かった。
娘がニコニコしながら天板に手を伸ばしたかと思うと触ったのだ。

おじさんはまさか触るとは思わなかった。
娘は火が点いてないから熱いと思わなかったのだろう。
あったかいぐらいに思っていたのかもしれない。

おじさんが、あっと思う間もなく触り、娘はすぐ手を離したが泣き出した。
おじさんは娘を抱き上げるとすぐ台所に直行して娘の手に水道の水をかけた。

火傷しなくてよかった。
でもこれで「ストーブは火が点いてなくても熱い」ということを学んだだろう。

ドアに指を挟まれる

家族で出かけるとき。
おじさんは玄関でドアを開けて靴を履いていた。
当時、鉄筋コンクリートの集合住宅に住んでいて、ドアは鋼鉄製で手を放すとかってに閉まる構造になっていた。

とつじょ娘の悲鳴が聞こえて、見るとドアの蝶番のところに指を挟んでいてもういっぽうの手で引っ張って抜こうとしている。
おじさんはすぐドアを押して開けた。
こういうときのおじさんの動きはめちゃくちゃ速い。

女房もそこにいたがまったく気づかなかった。

さすがにおじさんも青くなった。
すぐ娘の指を見たが潰れてはいない。
出血もない。

骨が折れているかもしれないからそっと手で包んで「指、動かせる?」と聞いた。
大丈夫そうだ。
よかった。

泣きじゃくる娘を抱いてやった。
「こわかったね。痛かったね。もう大丈夫だよ」

こんなときおじさんのクズ親なら
「何やってんのよ💢」と怒鳴っただろう。
こういうのを泣き面に蜂という。

逆立ちで首を曲げる

部屋の中で布団を敷いて壁に向かって逆立ちをやっていた。
大喜びでやっていたんだけど、ちょっと手の力が抜けたのか頭から布団の上に落ちた。
ほとんど90度に首が曲がった。

おじさんはまた青くなった。
心臓が止まるかと思った。

しかも倒れた直後、泣きもせず、声も出さなかったからなおさら。

もちろんすぐ抱き起こしたが、やがて泣き出しておじさんはすこし安心した。
泣きもせず声も出さないのはいちばん怖い。

子どもは柔らかいからあれで大丈夫だったんだろう。
体重も軽いし。
大人だったら首の骨が折れていたかもしれない。

さっちゃん
まあよく生き延びたねえ
ひげおじさん
ただひたすらに運じゃ。この世は運でできている
クマ
運のいい人しか生き残らないんだね

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