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ドイツ語の冠詞と日本語のてにをは ~ おじさんバージョン

article 冠詞

「ドイツ語」「冠詞」「性」「数」「てにをは」

ドイツ語の大きな障害は「冠詞」

英語はa (an)とtheしかないのでカンタンです。
しかし、ドイツ語は、

男性、女性、中性がある!

これはドイツ語にかぎらずヨーロッパの言語にはあります。

単数、複数で形が変わる

これもめずらしくありません。

単語からは想像できない

というかどう考えてもおかしいでしょ!という単語と冠詞もあります。

das Mädchen
女の子👧なのに「中性」名詞です!

目的語になると「冠詞」が変わる!

たとえばder Park (公園) が目的格になるとden Parkになります。

ドイツ語の格の分けかた

ドイツ語では目的格といわずに1~4格といういいかたをします。

基本はこうです。

1格=が=主格 nominative
2格=の=所有格 possessive
3格=に=与格 (目的格) dative
4格=を=対格 (目的格) accusative

しかし、なぜ3格、4格などというわかりにくい言いかたをするのでしょうか。
それはかならずしも日本語の「に」「を」に対応しないことがあるからです。

まず男性か、女性か、はたまた中性か、そして、単数か複数か。
そしてさらに「何格か?」まで考えて冠詞を選び、変化させなければなりません。

じっさいドイツ人はそんなこと考えてしゃべってないはずです。

日本語の「てにをは」に似ている

日本語の助詞、とくに格助詞は名詞の「後ろ」について「格」を表します。

まさに「格助詞」ですね。

ドイツ語の「○格」とおなじ性格のものです。

ドイツ語の場合は名詞の「前」について「格」を表すと考えれば日本語とそっくりです。

冠詞が日本語の格助詞「てにをは」の役割をするのです。

さっちゃん
ところで、「にをは」はわかるんだけど、「て」って何?
ひげおじさん
「行って」「見て」の「~て」じゃ。「テ形」ともいう。
さっちゃん
どっちかっつうと「がにをは」のほうがわかりやすい😄

ほかの言語

おじさんが知るかぎりほかのヨーロッパの言語では格によって冠詞が変化することはありません。
じっさいにはあるようですが、あくまでおじさんが知る範囲です。

英語なんか不定冠詞はa (an)、定冠詞はtheしかありませんね。
主格か目的格かは「単語の位置」だけで決まります。

このような言語を「孤立語」といいます。
ただ、英語は「屈折語」の性質も持っています。

A cat takes a rat.
猫がネズミをつかまえる🐈→🐁

A rat takes a cat.
ネズミが猫をつかまえる!?🐁→🐈

Call me a taxi.
などはmeもtaxiも目的語または補語なので、

「わたしにタクシーを呼んでください」
とも
「わたしをタクシーと呼んでください」
とも取れます。

Call a taxi for me.
と、forという前置詞をつければこういう誤解は避けられます。

まあ、あなたに

「ヘイ!タクシー!」

という人はいないと思いますが😄

中国語

中国語も英語と同じ構造です。

我愛你はI love you.

ひっくり返すと

你愛我はYou love me.
になってしまいます。

ヨーロッパ人は「男性」「女性」なんて考えてない!

男性名詞とか女性名詞とかいうのは、文法学者が決めた言葉です。

この名詞は男性名詞だから、derがつくなんて考えてたらしゃべれません。

かれらは男性名詞かどうかなんてはっきりいって知らずに、むかしからみんなder Parkと言ってるから、そういうのです。

日本人もこれは対格だから「を」をつけて、これは「与格」だから「に」をつけるなんて考えてないでしょ。

じつはむずかしい「てにをは」

ちょっと脱線しますが日本語の「てにをは」は外国人学習者にとっては「チョーむずかしい」助詞です。

たとえばつぎの2つ、あなたはちがいを説明できますか?

「に」と「で」

わたしは岡山住んでいる。
わたしは岡山暮らしている。

外国人は聞きます。
なんで「住む」は「に」で、「暮らす」は「で」なの?
どうやったら覚えられるの?
法則はあるの?

ありません。

むかしからみんなそう言ってるからです。

「動作」を伴うか伴わないか?

関係ありません。

「住む」も「暮らす」も「走る」「食べる」のような動作は伴いません。

おなじようなものにこのようなものがあります。

わたしは会社通っている/勤めている。
わたしは会社働いている。

外国人にどう説明するか?

「むかしからみんなそう言ってるから」

「動詞とセットでおぼえてください」

じつはむずかしい「てにをは」~ ヲコト点

このような言語の性質を「恣意的」といいます。
規則、法則がなく「かって気まま」という意味です。

恣意的 ~ どういう意味?「ほしいまま」~ 独壇場

「を」は目的語とはかぎらない!

本を読む。
ご飯を食べる。

これらの「を」は目的語を表します。
日本人はみんな「を」=「目的格」だと思っています。

では、これはどうですか?

公園を通る。
橋を渡る。

これは目的語ではないですね。
動作の「対象」ではありません。

では何でしょう?

「場所」「通過点」を表します

外国人にしてみれば奇怪な用法です。
日本人は「目的格」の格助詞「を」をなんで英語でいったらthrough, on, overのような「場所」「通過点」を表す言葉としてつかうのか?

日本人は文法など考えず当たりまえにつかっています。
なぜか?

それは、「むかしからみんなそう言ってる」からです。

おなじようにドイツ語の3、4格も日本語と1対1では対応しません。

そもそもすべての言語は1対1で対応しません。
1対1なら辞書はもっと薄くてすむはずです。
微妙にずれているので、たくさん言葉を書かなければならないのです。

理屈ではなく

「動詞とセットでおぼえましょう」

母語話者は文法など考えていない

文法はあくまで学者が言語の法則性を見つけ出して、系統的にまとめたものです。
一定の規則に当てはまらないものがあるので、かならず「例外」があります。

「不規則活用」とか「特殊用法」とかいわれるけど、それは学者がかってにそういってるだけです。

「はじめに文法ありき」ではなく、
「はじめに言葉ありき」です。

Parkは男性か女性かおぼえるのではなく、der Parkでおぼえましょう。
男性か女性かはどうでもいいことです。

冠詞がまちがっていても通じる

der Parkをdie Parkといっても通じます。

ドイツ人は「ん?」と思うかもしれないけどわかります。

さらに4格になってもden Parkといわずにder Parkで通してもわかります。

日本語でも「てにをは」をまちがえても、抜いてしまっても意味はわかりますね。

「わたしに昨日は学校を行く」

といっても

「わたしは昨日、学校に行きました」とわかりますね。

「てにをは」ぜんぶ抜いて、

「わたし、きのう、がっこう、いく」といってもわかります。

もっといえば語順がちがってもわかります。

「がっこう、きのう、いく、わたし」

でもわかります。

この場合でも

「学校は昨日私に行く」ではなく、
「学校に昨日私は行きました」であることはわかるのです。

言葉とはそういうものです。

会話の中でおぼえていく

会話はぶっつけ本番

リハーサルはないけど、まちがってもその場で相手の言うことを推測したり、質問したり、言い直すこともOKです!

まちがったときに相手が訂正する場合もあるでしょう。
しかし、逐一訂正していると会話になりません。
相手は意味がわかればいちいち訂正せずに会話をつづけます。

それは日本人同士がしゃべっているときも、相手のちょっとしたいいまちがいや、おかしな発音があっても意味がわかればそのまま会話をつづけますね。

おじさんは岡山にやってきて、ときどき聞いたこともない単語や言い回しが出てくるけど、会話の流れでだいたい見当がつくし、その言葉がわからないと話が続けられないときだけ「〇〇って何?」と聞きます。
むしろ、生まれて初めて聞いたのに意味がわかってしまうことのほうに驚きを感じたりすることが多いです。

おじさんにとって岡山弁は外国語の1つみたいなもんです。

慣れない外国語をしゃべるときに訂正されなくても、相手がしゃべってる言葉で正解がわかります。

自分がdie Parkといっても、相手がder Parkといえば、der Parkなんだとわかります。

これは人が母語をおぼえていく過程でも行われます。
毎回、大人が「さっちゃん。そこは学校じゃなくて、学校でしょ!」といちいち訂正しなくても、人がしゃべっているのを聞いて自然に修正していきます。

さっちゃん
まるでわたしがアホみたいじゃん!
ひげおじさん
いや、あくまで例として。みんなそうやって言葉をおぼえていくんじゃ!

ドイツ語の目的語の順番

ドイツ語 ~ 一覧

やまとことば ~ 一覧

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ひげおじさん
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