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「専」「博」「点」「丶」
専と博。なぜ点 (丶) があるのとないのがあるの?
漢字のテストでよくひっかかるのが、「点があるの」と「点がないの」
なんでこんなことが起こるのでしょうか?
そもそも元の字がちがうから
「専」には点がありません。
「博」には点があります。
同じ形なのに。
漢字を省略してしまったために、もともと別の漢字だったものが、同じ形になってしまったんですね。
「専」の元字は「專」
「博」の元字は「十」に「愽」の右側の字です。
残念ながら元字はパソコンでは表示できません。
旧字体と新字体
「專」は旧字体と呼ばれ、
「専」は新字体と呼ばれます。
よくいえば漢字の煩雑さを避けるため、また覚えたり、書いたりするのが楽なようにしたのですが、ようするに「省略形」です。
いわば「俗字」「異体字」
国語審議会の気分次第で、「正しい文字」あるいは「まちがった文字」にされてしまいます。
国語審議会
2001年に国語審議会は廃止されましたが、文化審議会国語分科会に名前が変わっただけです。
お役所が常用漢字などを決めるのですが、ナンセンスです。
嘘
たとえば「嘘」は常用漢字にはいっていないので「うそ」か「ウソ」と仮名書にしなければならないことになっています。
誰でも知っていて頻繁に使われているのに常用漢字に入れられてないものはたくさんあります。
テレビや新聞などはこれに従わなければならないので、かえって混乱を起こします。
~とうその記載?
おじさんはテレビのニュースを見ていてテロップに「~とうその記載」というのが出て、何のことかわからず調べました。
「とうそ」というのは法律の専門用語だろうか?
しかし、そんな言葉はどこにもありませんでした。
何日かして、「~と、嘘の記載をした」という内容だったことがわかりました😄
このように平仮名だけを使うと文字がくっついてしまい、意味がわからなくなってしまうことがあります。
子どもの絵本が読みにくいのはそのためですね。
こういう誤解を避けるために、分かち書きや、句読点を打つべきです。
「と うその記載」とか「と、うその記載」とか書けば、「と」と「うそ」が別の単語だということがわかります。
名誉毀損
また「名誉き損」と書くと、「名誉」と「損」が「き」で分断されてしまいます。
「名誉毀損」と書けば「毀」の字は読めなくても、書けなくても、「めいよきそん」であることはわかります。
現在は「毀」は常用漢字に入れられたのでこのようなことはなくなりましたが、以前は常用漢字に入れられてなかったので、このような表記が見受けられ、とても読みにくかったのをおぼえています。
点なし
「専」 元字は「專」
「恵」 元字は「惠」
「穂」 元字は「穗」
伝と傳
じつは「伝」の元字は「傳」です。
点あり
博 愽 膊 薄 縛 簿 敷
これらはもともと「甫」だったから点がついてるのです。
「敷」の元字は「旉」に「攵」です。
省略しなければ別の文字なので、「点があるかないか」など悩むこともありませんでした。
実用的には
「点 (丶) 」があるかないかはどうでもいいです。
文字は読めればいいのです。
はねていようが、はねていまいが、
横棒が1本多かろうと、少なかろうと、問題ありません。
ちなみにこれは「朝日新聞」の「新」の字ですが、横棒が1本多いです。
たぶん気がついてない人のほうが多いと思います。
気にするのは、学校の漢字のテストと、漢字検定を受ける人くらいです。
者と賭
「者」の元字は「者」です。
なのにお役所が点 (丶) を省略したものを「正しい文字」としました。
ならばすべて点を取ればいいのに、「賭博」の「賭」は点がついています。
このような一貫性のなさで迷惑するのは我々です。
「者」に点をつければ×。
「賭」に点をつけなければ×。
このような引っかけ問題を出す人の人格を疑います。
他にも
「摂」の元字は「攝」ですが、
「囁く」の右側を「摂」とおなじように「点々」にすると「×」をつけられます。
渋谷の「渋」も元字は「澁」です。
「虫」の元字も「蟲」です。
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