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「男性名詞」「女性名詞」「性」「数」「格」
男性名詞・女性名詞
ヨーロッパの言語には性・数・格というものがあります。
性
英語のfather (父) , mother (母) は名詞としての「性」はありません。
もちろんお父さんは♂ (男性) で、お母さんは♀ (女性) です。
でも、頭につく冠詞や代名詞ははどちらもa, the, thisなどでいっしょです。
これは男性名詞・女性名詞とはいいません。
数
英語では複数に「-s」をつけますね。
a friend (1人の友だち) →friends (2人以上の友だち)
日本語では
「友だちが遊びに来たよ」
「何人?」
という会話があります。
1人でも、2人でも、100人でも「友だち」です。
ほんらい「友」で、「達」をつけて複数の「友達」なんだけど、「達」の複数の意味はもはやなくなって「友達」という言葉で「友」という意味になっています。
また「達」という言葉があっても複数形という文法的な定義ではありません。
スペイン語
友だちはamigo (アミーゴ) です。
これは「男友達」で、「女友達」はamiga (アミーガ) になります。
不定冠詞♂はun、♀はuna。
定冠詞♂はel、♀はla。
複数はそれぞれ、unos, unas, los, lasになります。
不定冠詞の複数形は、英語の some, any のように「不特定多数 (ある~) 」のものを指します。
ドイツ語では不定冠詞の複数形はありません。
友だちは
un amigo
una amiga
unos amigos
unas amigas
el amigo
los amigos
la amiga
las amigas
と、「性」「数」さらに「不定冠詞」「定冠詞」で変わります。
格
英語では主格、目的格などと習いましたね。
たとえば「I (わたし) 」は、つぎのように変化します。
I, my, me, mine
前から順番に、
主格、所有格、目的格、所有代名詞です。
日本語では、
「わたし」は/が、「わたし」の、「わたし」を/に、「わたし」のもの
と「わたし」の部分は変わらず、「格助詞 (は、が、の、に、をなど) 」がついて「格」を表しますが、
英語はI, my, me, mineと完全に形が変わってしまいます。
ドイツ語
ドイツ語でもスペイン語とおなじように、性・数で冠詞が変わるのですが、さらにそこに「格」が加わります。
日本語の格助詞の役割が冠詞にふくまれているのです。
たとえば「犬」はHund (フント゜) ですが、これは男性名詞です。
すると、
不定冠詞ではein Hund
定冠詞ではder Hund
複数形はHunde
die Hunde
と冠詞の形も変わります。
さらに、
1格 (主格) 、2格 (所有格) 、3格 (与格、間接目的語) 、4格 (対格、直接目的語) で変化します。
不定冠詞と定冠詞はそれぞれつぎのように変化します。
ein Hund, eines Hundes, einem Hund, einen Hund
der Hund, des Hundes, dem Hund, den Hund
さらに複数形になると定冠詞はつぎのように変化します。
die Hunde, der Hunde, den Hunden, die Hunde
そして、女性名詞と、さらに中性名詞があって、それぞれ変化がちがいます!
英語で格変化するのは人称代名詞 (I, you, he, theyなど) だけです。
2格 (所有格) も普通名詞では「’s」をつけるだけです。
しかしドイツ語では、冠詞、普通名詞、そして形容詞までが性・数・格変化します。
海
よく「母なる海」なんていいますが、この言葉にだまされていけません。
Φ (中性) ラテン語 mare, ドイツ語 Meer
♂ (男性) イタリア語 mare, ポルトガル語 mar
♀ (女性) フランス語 mer
♂・♀ (両方あり!) スペイン語 mar
見たとおりどの言語でも「m○r○」で共通の印欧祖語から生まれた言葉であることがわかります。
とくにイタリア、スペイン、ポルトガル、フランスはラテン語の直系の子孫です。
にもかかわらず、もとのラテン語ではΦで、イタリア、ポルトガルでは♂、フランスは♀、スペインにいたっては♂♀両方という訳のわからない設定です。
だからフランス人が自分の国では♀だからといって、ドイツ語を学ぶときにはなんの役にも立たないばかりか、かえって邪魔をして混乱します。
ドイツ語では、das Mädchen (女の子👩) が♀でなく、Φでおよそ単語からは予測不可能です。
Hund (犬) は男性名詞で、Katze (猫) は女性名詞にはじまり、
Tisch (テーブル)は♂で、Tasche (バッグ) は♀なんて予測不可能です。
さらにおなじドイツ語でも、Drittel (3分の1) 本国ドイツではΦ中性、スイスでは♂男性として扱うものもあります。
Germ (ビール酵母、イースト) のように、ドイツでは♂、オーストリアでは♀なんてものもあります。
おそらくドイツ人でも混乱するでしょう。
egal どうでもいいね!
言ってしまえば「どちらでもいい」「どうでもいいね」なんです。
むしろ先入観のないわれわれ日本人のほうが覚えやすいかもしれません。
わたしは日本語教師をしています
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