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「潮満玉」「汐干玉」「呪い」
海彦との再会
ひさしぶりにもどってきた山彦を見て、海彦はビックリします。
そりゃそうですね。
行方知れずになって3年。
とっくにどこかで死んだものと思っていました。
ただ、300年はたってなかったようです💦
釣り針を返す (呪いつき)
山彦は海彦に背中を向けて後ろ手で釣り針をわたします。
こう呪文をとなえながら。
「このちは おぼち すすち まぢち うるち」
現代語でこういう意味です。
「この釣り針は 心がふさぎ 気があせり まずしく 愚かな 釣り針」
後手 (しりえで)
後ろ向きで相手になにかすることは、相手を呪うことです。
海彦まずしくなる
ワタツミはほかにも山彦に言っていたことがあります。
「海彦が高いところに田んぼをつくったら低いところに、低いところに田んぼをつくったら高いところにつくりなさい」
そのとおりにすると、山彦の田んぼにはいつも稲がどっさりなり、海彦の田んぼはいつも稲が実りませんでした。
海に行っても魚がぜんぜん釣れません。
海彦はどんどんまずしくなっていきました。
そして、悲しいかな。
「まずしさ」は人を「愚かに」するものです。
海彦 山彦を攻める
ついに血迷った海彦が軍勢をひきつれて、山彦に攻めてきました。
潮満玉と汐干玉 (しおみつだま と しおひるだま)
ワタツミにもらった秘密のアイテム
潮満玉
「潮よ満ちろ! 」ととなえると、水があふれだします。
汐干玉
「潮よ引け! 」ととなえると、水が引きます。
潮も汐も「しお」です。「うしお」ともいいます。
月の引力による「潮の満ち引き」、つまり海面の上昇・下降のことです。
また、海水そのもののこともいいます。
あわせて「潮汐 (ちょうせき) 」ともいいます。
朝に起こる潮の満ち引きを「潮」
夕方に起こる潮の満ち引きを「汐」
とくに「潮」のほうを「朝潮 (あさしお) 」ということもあります。
古事記では「満ちる」ほうに「潮」、「干る (引く) 」ほうに「汐」を当てています。
潮汐は月と太陽の引力で起きるので、朝夕関係なく、昼間でも夜中でもいつでも起きます。
山彦の勝利
これをつかって、「潮よ満ちろ! 」ととなえます。
水があふれだし海彦の軍勢を大量の水でつつみ溺れさせます。
海彦が「助けてくれ! 」というと、こんどは
「潮よ引け! 」ととなえます。
大量の水はうそのように消えさり、海彦は呆然と座りこむのでした。
海彦は負けをみとめ、山彦が中つ国を治めることになりました。
さて、竜宮城にのこしてきたトヨタマビメがやってきます。
海彦と山彦 ⑤ トヨタマビメ 会いに来る ~ 見るな!
古事記。日本書紀 ~ 最初の入口。超かいつまんだお話
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