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適当・いい加減はどっち? ~ やまとことば

tekito 適当

「適当」「いい加減」「ちょうどいい」「無責任」

「これどこに置く?」
「そのへんにテキトーに置いといて」

こんな会話は当たりまえに聞きます。
でもこの「テキトー」ってどういう意味なんでしょうか?

適当

ふさわしい、ちょうどいい、程良い

「適している」に「当たっている」

ほんらいの意味は
「それにピッタリ合ってる」
「ちょうどいい」
「多すぎず少なすぎず程良い」
まさにブッダの唱える中道、中庸。
ほとほどに、の精神です。

良い意味です。

「ほどほどに (中道) 」~ブッダのつぶやき

大雑把、ちゃんとしてない、どうでもいい

ところが現代では「どうでもいいね」くらいの意味でつかわれています。

悪い意味です。
投げやり、無責任なことにつかいます。

どうしてこうなったんでしょうか?

相手に任せる→丸投げ→あなたの好きなように→無責任→どうでもいいわ

「適当」というのは「ちょうどいい」ことを言うんだけど、定義も尺度も曖昧です。
きっちり50センチで切ってくださいとか、100g入れてくださいとかいうのではなく、
「テキトーに」といったときは、相手にすべて任せています。

as you like あなたの好きなように、あなたがいいと思うように、あなたの基準・尺度で

相手の基準や判断に任せています。
わたしはべつに50センチでなくても、60センチでも、1ミリでも、100万キロでもいいわけです。
いや、わたしの基準ではだいたい50センチ前後くらいかもしれないけど、その基準と判断を相手に丸投げしています。
要するにわたしには「大したことではない」もっというと「どうでもいいこと」だからです。

相手に丸投げしてその人が「ちょうどいい」と思う基準でやればいいということです。
ただそこには「相手も50センチくらいを適当であると判断するに決まっている」という尊大な思い込みがあります😄

じっさいには「テキトーにやっといて」といいながら、その言葉どおり「テキトーに」やると怒る上司がいますが、それなら最初から「50センチに切れ」と指示すべきです。
その上司は「テキトーに」といいながら、かってに世界の基準は50センチだと思っているわけです😅

基準はないけど常識 (テキトーと言った個人の基準) ですべし

テキトーという言葉の陰に隠れているのはこういうことです。

「ふつうは」「みんなそうしてる」「それが常識」というのはすべて「個人の基準」
でも「テキトーに」といったときは、その個人の基準で「ちょうどいい」ことを言っています。
問題は「個人の基準=世界標準 (常識) 」だと思っている人が山ほどいることです。
いや、ほとんどの人は「自分の基準=世界標準」だと思っています😄

じっさいには極端に外れてなければ文句を言う人はいません。
相手に「判断」を任せたのだから。

花瓶を「テキトーに置いといて」といって、言われた人が槍の先に超絶バランスで乗せたら「それはテキトーではない!」ということになりますが、そんなことでもなければ「そのへんのどこか」に置いても文句は言わないはずです。

いい加減

ちょうどいい、程良い

おなじような言葉に「いい加減」があります。

これも「加減」というのは、文字どおり「加えるか減らすか」で、物や量の大小を表します。

匙加減といえば、調味料をどれくらい入れるか。
塩加減といえば、塩をどれくらい入れるか。
湯加減といえば、お湯の温度をさします。

だからカンタンにいえば「程度」ということです。

したがって「良い加減」というのは「ちょうどいい程度」「程良い」ということです。
「適当」とおなじ意味です。

「いい湯加減」といえば、熱くもなくぬるくもなく「ちょうどいい」ということです。

程良くない、無責任の意味に変わる

ところがこれも「テキトー」とおなじ道をたどり、「程良くない」「無責任」の意味になってしまいました。

基準と判断を相手に丸投げしたせいで「いい加減」が「よくない加減」になってしまいました。

「あいつはいい加減な奴だな!」というときは
「ほどよく」「ちょうどいい」人間ではなく「無責任」で「きちんとしてない」奴という意味になってしまいます。

「テキトーに置いといて」とはいうけど、
「いい加減に置いといて」とはいわないように、
「いい加減」のほうが無責任度は増します。

もし「いい加減に置いといて」といったら、ぶん投げてもいいくらいのレベルです😄

いい加減にしろ!no more

命令形にすると
「これ以上やるな!」
「ここで終わりにしろ!」
という意味になります。

今ここが「程良い加減」ではなく「我慢の限界」ということです。

ピッチアクセント

ふつうは
「い/いかげん」と平板型で発音します。
「い/いかげんな や\つ」のように発音します。
これは悪い意味です。

それに対して、現在はほぼつかうことがなくなってしまったけど、もしいい意味でつかう場合はこう発音します。

「い\い か/げん」

「湯加減どうですか?」
「うん。い\い か/げんだなあ

ちなみに「湯加減」のアクセントは
「ゆ/か\げん」になるので日本語はむずかしいですね。

安心してください。
日本人のみなさんはだれもそんなこと考えずに発音していますから。
外国人のみなさんには脅威 (驚異) です。

日本語を日本語らしくしゃべれるかどうかは
1に「拍」
2に「個別の発音」
そして3に「ピッチアクセント」です。

Japanese beat and pitch accent 日本語の拍と高低アクセント (日本語)

Japanese accent pattern アクセントの型 ~ 日本語

さっちゃん
夏休みの宿題。テキトーにやっとくわ
ひげおじさん
いい加減な奴じゃ!

わたしは日本語教師をしています

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表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
ひげおじさん
わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

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