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「ウイルス」「生きてる?」「ただの物体?」「動けない」「詳細」
ウイルスは生きもの?
入門篇の詳細版です。
入門篇では噛みくだいて、たとえ話でわかりやすく説明してます。
それでは物足りないという方に、専門用語などを付け加えてもうすこし詳しく説明します。
基本的に入門篇と内容はおなじです。
ここではおもにインフルエンザ・ウイルスについて書いています。
生き物の定義
- 自己保存
- 種の保存
- 自分で動く
自己保存 (自分を維持する)
呼吸 (息をする)
酸素呼吸と酵母みたいに無酸素呼吸をするものもあるけど、多くの生き物は酸素を取り入れて体の中で化学反応を起こしてエネルギーに変えています。
カンタンにいうと、薪を燃やして暖を取っているんです。
酵母も酸素があるときは酸素呼吸をします。
植物は光合成をして酸素を作り出すけど、じつは同時に酸素呼吸もしています。
食べる
酸素と化学反応をさせるための「燃料」。
そして、自分の体を維持するために体の「材料、原料」を取り入れなければなりません。
種の保存 (増える)
自分のコピー (複製) を作ります。
細胞レベルでは細胞分裂をして自分とおなじ細胞をどんどん作っていきます。
寿命
でも、それだけでは同じ細胞が分裂しているだけなので、みんな歳を取っていって寿命が来たら、せーので全滅してしまいます。
イワナガヒメ (磐長姫)とコノハナサクヤヒメ (木花咲耶姫) ~ 古事記
黄泉帰る (よみがえる) → 「見るな!」3枚のお札 ~ 古事記
古事記では、ニニギノミコトが寿命があるほうを選んで結婚してしまったので人間は死ぬようになってしまいました。
また、もうひとつの話では、自分の醜い姿を見られたイザナミが1日に1000人殺すということから、人は死ぬようになりました。
ヘイフリック限界
レオナルド・ヘイフリックが細胞は決まった回数で分裂をやめることを発見しました。
テロメア
時限装置 (タイマー)
遺伝子の端に「テロメア」という部分があって、分裂のたびに短くなっていくのです。
その限界が寿命です。
厳密にいうと、テロメアが短くなったら死ぬのではなく、それ以上、分裂できなくなるのです。
生命の種類によって回数がだいたい決まっていて、人間は50回くらいといわれています。
生殖細胞、腸の上皮の幹細胞など、この規定に当てはまらないものもあります。
テロメラーゼ
割れ鍋にとじ蓋。
分裂するたびに短くなっていくテロメアですが、それを修復する酵素があります。
それがテロメラーゼです。
しかし、万能ではないのでいずれ寿命を迎えます。
テロメアの長さと、テロメラーゼのはたらきで寿命が変わります。
なぜ寿命がある?
寿命がなかったら?
むかしから「不老不死」は多くの人の夢でした。
おじさんは「永遠の命」なんて御免蒙りますが💦
それはおいといて、もし人が永遠の命を持っていて死ななかったらどうなるでしょう?
老衰や病気で死ななくても物理的には人の体は壊れる可能性があります。
長く生きていればいろんな病気や事故に遭います。
歳を取るとともに老けなくても、「手足の1本2本がない」「片目がない」いや、「両目ともない」そんな人たちがあふれるようになります。
死ななくても不便なことにはまちがいありません。
これを避けるために「リセット」するのではないでしょうか?
タイマーをリセットする
オスとメスがそれぞれ異なった遺伝子を出し合います。
そしてそれこそ「足して2で割って」種類は自分たちと同じだけど、まったく別の新しい個体を産み出します。
子孫ですね。
こうするとテロメアがリセットされて長くなるんです。
こうして自分たちは寿命が尽きて死んでも、子孫が生き残ります。
自分で動ける
これも重要です。
単細胞生物でも、繊毛や鞭毛で泳いでいるのを見たことがありますよね。
植物は動かないじゃないか!と思うかもしれないけど、それは人間の時間感覚ではわからないだけで、ちゃんと動いています。
太陽があればそちらに枝葉を伸ばし、根は地面の下に伸びていきます。
雑草や木など倒れてもそこからまた上に伸びていきます。
つる草のように目が見えないのに触ったものに巻きついていく奴もいます。
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ウイルス
息をしません。
餌も食べません。
自分でエネルギーを作り出すことができません。
自分で増えることもできません。
自分では動くことができません。
歩きません。泳ぎません。飛びません。噛みつきません。刺しません。
なので、ウイルスは自分の力で人間の細胞にはいることはできません。
人間などの細胞がドアを開けて自分を部屋に運び入れてくれるのを待っているだけです。
細胞にはいってもウイルスは何もしません。
なので、ウイルスは生きてるとはいえません。
ただの物体なんです!
学者でも意見の分かれるところですが、上に書いたとおりおよそ「生命活動」はしていません。
遺伝子を持っていて、増えるということだけが「生き物っぽい」ところです。
でも、自分の力で増えるのではなく、増やしてもらってるだけです。
人間にコピーされるコピー用紙のようなものだと思ってください。
遺伝子がはいった ただの箱!
ウイルスは「遺伝子」という設計図がはいった、アマゾンのダンボール箱みたいなものです。
遺伝子はDNAやRNA、箱はカプシドといいます。
ただそこに転がっているだけ。
風が吹けば飛ばされる。
水があれば流される。
envelope (エンベロープ)
封筒ですね。
インフルエンザ・ウイルスは箱をさらに「ビニル袋」のようなもので包んでいます。
そのほうがただのダンボール箱より雨風に耐えられますからね。
じゃあどうやって細胞にはいるのか?~ 侵入経路
家の人に入れてもらう!
レセプター (受容体)
鍵と鍵穴のようなものです。
人の細胞に鍵穴 (レセプター) があり、ウイルスがそれに合う鍵を持っている。
鍵と鍵穴がピタリ合えば鍵が開いてしまい、ウイルスを家の中に招き入れてしまいます。
気道上皮細胞
インフルエンザ・ウイルスについていえばはいれる場所はここしかありません。
空気を取り入れる鼻から喉、肺につづく表面の細胞です。
この細胞だけにあるレセプター (受容体) に「捕まえてもらう」ことができます。
なので、たとえば皮膚の表面にウイルスがついても体の中にはいることはできません。
また、ほかの部分、たとえば目の粘膜や食べ物や唾液と飲みこんで胃にはいっても細胞に取りこんでもらうことはできません。
繰りかえしますが、ウイルスが自分の意志と力で細胞に取りつくのではなく、人の細胞のほうがウイルスを捕まえて取りこんでしまうのです。
注入型
バクテリオファージは細菌に取りつき尻尾を細胞壁に刺して頭部に格納された遺伝子を注入します。
しかし、これも機械的・化学的な反応で、死んだ細菌には遺伝子が移動しないことから、注入しているのではなく細菌みずからが「吸い込んでいる」と考えられます。
うがい
判で押したように「うがい」をすればいいようなことがいわれてますが、おじさんはムダだと思っています。
なぜなら…
ウイルスは15分で細胞に取りこまれる!
いいかたを変えると、人の細胞は15分でウイルスを飲みこんでしまいます。
もし、うがいをすることで上皮細胞についたウイルスを洗い流すという考えなら、10分おきにうがいをしなければなりません。
現実的じゃありませんね。
学校や会社から帰ってきてうがいをしても手遅れです。
マスク
これもよくいわれることですが、ウイルスは細菌のろ過装置を通り抜けてしまうことで発見されました。
もちろんマスクなんかカンタンに通り抜けてしまいます。
人からもらうのを防ぐことはできないけど、人に移すことは防げるなどとおかしな理屈もまかり通っています。
マスクは一方通行ではないので、ウイルスは人の喉にはいるし、外にも出ます。
これは感染者に対して「人に移すなよ!」という意地悪な考えから発生したものと思われます。
ウイルスは単体で浮遊するより、咳やくしゃみツバなどに浸かって飛ぶので、感染者もまだ感染してない人もいくらかの効果はあると思います。
でも、マスクをさわった手で何かを触ればすぐ広がっていきます。
保湿
喉の粘膜を保護して、ちょくせつ上皮細胞にウイルスが付着するのを防ぐ効果はあると思います。
乾燥した時期にインフルエンザが流行るのは、喉の粘膜のバリアが破られるからです。
ウイルスは湿気に弱いというようなことがいわれてますが、人間の粘膜、そして細胞の中は湿度100%ですよ!
また、熱帯・亜熱帯では雨季にインフルエンザが流行ります。
鼻呼吸
これは心がけたほうがいいです。
口で呼吸すると喉が乾燥するし、空気中のウイルスや菌も大喜びではいってきます。
鼻は通り道が狭く、粘膜で覆われていて、鼻水とともに排出される可能性が高くなります。
「鼻で」を意識するのはむずかしいので、「口を閉じる」を意識すればいいでしょう。
鼻が詰まってるときは無理する必要はありません。
手洗い
これもムダです。
手を洗った瞬間はいくらかでもウイルスや菌の数を減らすことができるでしょう。
手を洗ったらあなたは最初に何をしますか?
蛇口をしめます。
アウトです。
蛇口にはいろんな人が触っています。
自動水栓や、そうでなければハンカチか何かで閉めたとします。
でも、濡れてたら伝わってきてしまいます。
ハンカチ、タオルなどで拭く。
アウト!
ハンカチやタオルにウイルスや菌がたくさんついてます。
あなたはせっかく洗った手に、ウイルスや菌を塗りたくっています。
温風乾燥機なら
アウト!
直接、さわらないからよさそうだけど、水しぶきが飛んできます。
ウイルスや菌にまみれた機械からウイルスや菌が怒涛のようにあなたの手に浴びせられます。
ウイルスや菌をもらわないという点では、自然乾燥がいいでしょう。
トイレのドアを開けます。
もうダメですよね。
何も触れない!
テーブル、机。
椅子に座るときはかならず椅子の背もたれを持って引くでしょう。
食事
調理する人が感染していたら、食材、料理そのものはもちろん、その人が洗ったり、料理を盛りつける食器、皿、茶碗、はし、スプーンすべて「汚染」されています。
いや、調理する人だけでなく、その食料が生産者のもとからあなたの口に届くまでどれだけの人や、空気にさらされてきたか?
潔癖症ではない!
おじさんは潔癖症ではありません。
むしろこれだけのことがわかってるから、ウイルスや菌を取り除いたり、避けたりすることに腐心するのがムダだと思っています。
最終的に頼りになるのは、自分の免疫力です。
常在菌
あなたのまわりはウイルスや菌だらけです。
でも、無数のウイルスや菌はたがいに相手を牽制しあっています。
また、取りつく相手やエサを取り合っています。
この状態では1人勝ちということはなく、たった1つのウイルスや菌がはびこることはありません。
ところが、アルコールや抗生剤などをつかうと、多くのウイルスや菌を退治することができるかもしれないけど、ふだんは日陰にいて勢力が弱かったやつが、たまたまアルコールや抗生剤に耐性を持っていると、競争相手がいなくなった世界はバラ色になります。
その1種類のウイルスか菌だけが爆発的に増殖します。
なので、おじさんは無用な消毒や除菌・殺菌などはしないほうがいいと思っています。
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細胞の食事
endocytosis (エンドサイトーシス)
細胞には、口もなければ、家のように玄関や窓があるわけでもありません。
細胞膜で密閉されています。
なので栄養素を取りこむときには、栄養素が貼りついたところの細胞膜に一時的に「穴」を空けなければなりません。
これを「エンドサイトーシス」といいます。
endosome (エンドソーム)
細胞膜で栄養素 (栄養素でなくウイルスの場合も) をくるんだ風船のようなもの。
プロトン・ポンプ
アマゾンの箱を開ける
人間の胃にはpH1という強酸 (塩酸) があります。
これで胃にはいってきたものをドロドロに溶かします。
細胞レベルでも「胃」に相当する働きがあり、胃袋はないけど栄養素をくるんだエンドソームの中を「プロトン・ポンプ」をつかって酸性に保ち、中身を消化します。
H+ (水素イオン、プロトン)
水素イオンで、同時に陽子であることからproton (プロトン) と呼ばれます。
「酸性」とは「水素イオン濃度」が高いことです。
プロトン・ポンプをつかって取りこんだ「栄養素」を溶かすのが「箱を開ける」はたらきです。
増殖 (複製開始)
ウイルスは何もしません。
人の細胞のほうがかってにウイルスの設計図にしたがって「部品」と「入れ物」を作りはじめます。
遺伝子とカプシドという箱です。
そして、ごていねいに箱の中に遺伝子を入れて梱包します。
一段階増殖 (大量生産)
ふつうの細胞分裂では、1回につき2つに分かれるので2倍、またその2倍と増えていくのですが、ウイルスの場合はこのように設計図をもとに一気にたくさんコピーがつくられるので「一段階増殖」といいます。
こんどは外に出る
exocytosis (エキソサイトーシス)
人の細胞は食事をしたら排泄をしなければなりません。
でも、肛門はないので、また細胞膜に穴を空けて「排泄物 (ウイルス・コピーの完成品) 」を外に出します。
このときもウイルスが家を破壊して (細胞を食い破って) 外に出るのではなく、外に出してもらうのです。
近年、つくられたタミフルやイナビルといったインフルエンザの薬はインフルエンザ・ウイルスを「殺す」薬ではなく、つくられたアマゾンの箱を「家の外に出られなくする」薬です。
隣近所に迷惑がかからないようにするだけで、アマゾンの箱を家に入れてコピーをつくることは防げないようです。
それに対してゾフルーザは細胞内での遺伝子の合成そのものを阻害します。
何倍にも増えたアマゾンの箱はまた風に吹かれて、隣近所の家に飛ばされていきます。
くりかえすけど、自分では動けません。
飛ばされるまま、流されるままです。
じっさいに人間の体は細胞と細胞がくっついているので「玄関開けたら隣の家」で、隣の住人がまた玄関を開けて、
「あら、何かしら?アマゾンの箱じゃない!きっといいものがはいっているにちがいないわ!」
とまた、家の中に持ちこんで、お隣さんとおなじようにせっせとウイルス・セットのコピーを大量に作りはじめるのでした。
必ずしも細胞は死ぬわけではない
細胞はウイルスのコピーをつくってご近所さんにばらまくだけで、そのことで必ずしも死ぬわけではありません。
なかには壊れてしまう家 (細胞) もあります。
アポトーシス (細胞の自殺)
自分の状況をわかっているのか「自殺」を図り、ウイルスをつくるのを阻止する細胞もいます。
隣近所に迷惑をかけないように。
ウイルスは家にはいっても暴れまわるわけでもなく、毒をまき散らすわけでもありません。
ただ「ある」だけです。
細胞の機能をコントロールするものもありますが、すべては機械的・化学的な反応と作用で、ウイルスが意識的に動作をするわけではありません。
でも、このことで家の人はムダに材料とエネルギーをつかってしまうので体全体として具合が悪くなります。
ほんらい自分の家を修繕したり、暖房をつかったり、増築するための材料とエネルギーを、自分にまったく関係ないウイルスをつくるために消費してしまいます。
気がつけば
「あら、おかしいわね。冷蔵庫に食べものがぜんぜん残ってないわ。それに、ストーブに入れる灯油もなくなってる…」
くらいですめばいいけど、餓死したり、家が壊れてしまうこともあります。
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警察 (免疫システム)
一般市民はそれが何かもわからずウイルス・セットをつくってしまうので、「偽アマゾンの箱」を取り締まるおまわりさんが常駐しています。
白血球です。
おまわりさんたちは「貪食細胞」と呼ばれ、異物を見つけるとパクパクと食べてしまいます。
でも、世間でアマゾンの箱が一気に流行るとおまわりさんだけでは手に負えないので、「抗体」をつくります。
抗体
はいってきたウイルスの鍵に合わせて鍵穴のようなものをつくり、そこに取りつかせることで細胞の受容体に取りつけなくしてしまいます。
こうして抗体にまんまと「はめられた」ウイルスはじきに貪食細胞に食べられてしまいます。
泥縄
ウイルスによって鍵の大きさや形はまちまちなので「作りおき」ができません。
消費期限もあります。
いつ使うかわからないものをいつも準備しておくのはコストがかかるし、消費期限中に使わなければ廃棄処分になります。
体をつくったり、維持したりする細胞がほんらい必要なので、抗体に材料とエネルギーを注ぎこむわけにはいきません。
抗体の主な材料はタンパク質です。
なので病気のときは、いや病気になる前も、高タンパク質の食事が大事です。
発熱
これもじつはウイルスの仕業ではなく、人間のほうが免疫システムを充分に発動させるためにしていることです。
体温が高いほうが免疫力が発揮されます。
なので、よほど辛いときでない限り、解熱剤はつかわないほうがいいです。
せっかく、体がウイルスと戦おうとして体温を上げているのに、それに水を差すようなものです。
咳や痰、鼻水もウイルスや病原菌を排出するための機能なので、薬で止めるのはよくありません。
咳で呼吸困難になるというのでなければ。
タミフル、リレンザによる異常行動~抗インフルエンザ薬
インフルエンザ ~ 東南アジアでは「雨季」に流行る!
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たとえば、人間と消しゴムのちがいを考えてみて!