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「行く」と「来る」~ 日本語

「行く」「来る」「go」「come」「視点」

「行く」と「来る」のちがい

そんなの考えたこともない。
日本人ならもっともです。

英語圏の生徒に「いらっしゃる」という言葉を教えていて、これには「いる」「行く」「来る」の3通りの意味があるんだよと言ったら、そもそも英語の「go」と「come」は日本語の「行く」「来る」とすこしずれているのでさらに混乱が拡大してしまいました。

敬語 honorific word ~ 日本語

そこで日本語の「行く」と「来る」について再考したいと思います。
どちらもA地点から、B地点に移動することを表しますが、ポイントは「視点」がどこにあるか?です。

たとえば出発点を家、目的地を学校とします。
出発点 (家) から、目的地 (学校) に行くことは変わりありません。

ちがうのは、誰がどこにいて、どこを見ているかです。

行く (目的地に向かう)

「私は学校に行く」

視点 (現在地):出発点 (家)
目的地:学校

私はまだ家にいます。
目的地は学校です。
家から学校を見ています。

これから、学校に移動します。
私は動きます。

「私は目的地に向かいます」

来る (自分のところに人や物が来る)

「妹が学校に来る」

視点 (現在地) : (私が今いる) 学校
妹の現在地:家
妹の目的地: (私が今いる) 学校

私はすでに学校にいます。
私は動きません。
学校から家を見ています。
妹は家にいます。
妹はこれから、学校に移動します。

「私に向かってきます」

視点によるちがい (現場にまだいない場合)

上の例では、「家にいる」「学校にいる」などじっさいにその場にいて「視点」は現在地にあります。
でも、未来のことで、まだ現場にいない場合でも「視点」をどこに置くかで変わります。

同窓会

同窓会をやることになりました。
あなたは旧友に電話して聞きます。

同窓会に行く

「こんどの同窓会、行く?」

あなたの視点は自分の家や、電話した相手の家にあります。
目的地は同窓会の会場です。

これはまったく問題ないですね。

変わったつかいかたが次の例です。

同窓会に来る

「こんどの同窓会、来る?」

未来の話です。
あなたはまだ同窓会の会場にいません。
同窓会の会場はあなたの家でもありません。

それなのに「来る」と言うことがあります。
あなたはいったいどこにいるのでしょうか?

そのときあなたの「視点」は「同窓会の会場」にあります。

あなたは同窓会の幹事

あなたが企画したり、みんなに連絡したとき、あなたは「まだそこにいないし」「自分の家でもない」のに「視点」は「会場」にあります。

いわばあなたはホスト (招待者) で、ゲスト (客) を呼んで、「待ち受ける」側の視点でいるのです。

いま開催中なら問題ない

もちろんすでに同窓会がはじまっていてあなたは会場にいるとします。
そのとき、まだ来ない人に電話して「今から、来ない?」というのは現在地なので何も問題ありません。

このとき「今から、行かない?」といったら変です。
こういうのはあなたもまだ「行っていない」ときです。

出発点はどうでもいい

最初の説明ではわかりやすく出発点を家にしましたが、出発点はどうでもいいんです。
大事なのは目的地で、そこに向かう人は「まだ目的地にいない」ということです。

学校に行く (または来る) のは、自宅からでもいいし、昨晩泊まった友だちの家からでもいいし、海外旅行から帰ってきた直後の空港からでもいいです。

go

これは日本語の「行く」とおなじで問題ありません。

come

問題はこちらの come ですね。

でも、上で説明した「同窓会に来る」の用法がわかれば英語の come もおなじようなイメージを持てます。
やはり「視点」がどこにあるか?です。

話し手のほうに来る

これは日本語とおなじです。

Come to my house.
私の家に来なさい。

He is coming there.
彼が (こちらに) やってくる。

聞き手 (視点) のほうに行く

これがちょっとちがいます。
でも、同窓会のパターンに似ています。

Come here! (話し手に向かう)
こっち (話し手のほう) に来なさい。

これに答えて、

I’m coming. (聞き手に向かう)
いま (聞き手のほうに) 行きます。

「私はあなたのところに来ます」という感覚です。

I’m going to the party. (視点はまだパーティ会場以外のところ)
パーティに行くんだけど、

Come with me. (すでに視点はパーティ会場にある)
いっしょに行こうよ。

「おいでよ」というのも、すでにパーティ会場目線ですね。

意外と奥ゆかしい英語

言語も合理的で、自分の意見をはっきり言うのが欧米人というステレオタイプがありますが、「相手の目線」「聞き手の視点」で I’m coming. などというのは奥ゆかしいと思いませんか?

さっちゃん
とちゅうから英語の記事になった!
ひげおじさん
日本語と比較するとそうなってしまうんじゃな💦

わたしは日本語教師をしています

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https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
ひげおじさん
わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

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