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「すごい」「すごく? 」
言葉の乱れ?
「すごい大きい」とか、
「すごい、おいしい」とか言います。
「すごく大きい」が正しいんじゃないの?
最近、ことばが乱れてるよね。
と、なげく人もいます。
そうとも言えない
文法的には「すごく大きい」が正しかったんだけど、これを単なる「言葉の乱れ」とか「まちがい」とか言えるんでしょうか?
形容詞
「すごい」は形容詞です。
意味は、「程度がはなはだしい」「驚くべきことや、様」です。
活用
形容詞なので、終止形 (辞書形) や連体形 (名詞などを形容するとき) では「すごい」です。
「これはすごい! 」とか
「すごい力だ! 」などと使いますね。
ところが「程度がはなはだしい」という意味を持っているので、他の形容詞を修飾するのによく使われます。
「すごく大きい」「すごく、おいしい」などです。
他にも、「すごかった」「すごければ」などに語尾が、活用・変化します。
副詞
後ろに来る形容詞や動詞などを修飾するので形容詞に似てますが、副詞は「活用しません」
例:
「とても」大きい。
「大変」おもしろい。
「ゆっくり」歩く。
「ゆっくり」は、「ゆっくら」とか「ゆっくれ」とかいう形には変わりませんよね(^^)
活用をやめて副詞化した
「すごかった」とか、「すごければ」などという活用が使われることがほとんどなく、「形容詞を修飾する」ことがメインになって、「とても」「大変」などと同じように「副詞」のように使われるようになって「活用」を忘れてしまったんです。
言葉は生きてる
こういう事情があって「すごい大きい」「すごい、おいしい」というような使われかたをするようになりました。
使ってる本人は、「とても大きい」「とても、おいしい」と同じ感覚で使っています。
なので一概に「まちがい」とか「言葉の乱れ」とは言い切れません。
言葉は生きています。
時代の変化に合わせて、使われない言葉は死語となり、必要な言葉が新しく生まれ、現在使われている言葉も意味が変わったり、活用が変わったりしていくものです。
とても~ない
「すごい大きい」に目くじらを立ててるあなた。
あなたが使っている現在ただしいとされている言葉も、もとは「乱れた言葉」かもしれませんよ(^^)
「とても」も本来は、「とても多くて食べきれない」のように「否定」で使われていました。
それが「程度がはなはだしい」という意味から、肯定文でも使われるようになったんです。
少し前の人からすれば、「まちがった使いかた」「言葉の乱れ」ということになってしまいます(^^)
ありえる? ありうる?
「ありえる」も完全に市民権を「得て」しまったけど、正しくは「ありうる」です(^^)
現代語では「ありえる」が「ありうる」を駆逐して「正しい言葉」となってしまいました。
「得る」の正しい? もともとの読み方は「うる」ですから(^^)
もっと遡ると「得 (う) 」ですから。
全然おいしい
おじさんたちは「全然」はかならず後ろに否定の「ない」が来ると習いました。
ところが、もうちょっとむかしに遡ると「肯定文」で使われていました。
否定文でしか使わないというのも、ある時代だけの用法だったようです。
もしかしたら英語が日本にはいってきて、「never (決して~ない) 」のような言葉につられ、「かならず否定文で」という用法が広がったのかもしれません。
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