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きれかった? ちがかった? ちがくない? ~なんか変?

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「きれかった」「ちがかった」「ちがわない」「形容詞」「形容動詞」「動詞」

活用の混乱

正しくはそれぞれ「きれいだった」「ちがっていた(違っていた) 」です。

言葉の乱れ?

「最近の若いもんは! 」

大昔の遺跡からもこの言葉が出てくるそうです(^^)
みんな自分がいま話している言葉が正しいと思ってるけど、ちょっと時代を遡るとあなたがしゃべってる言葉ももともとは「まちがい」です(^^)

これは単なる言葉の乱れなんでしょうか?

そうとも言えない

文法的にはあきらかに「まちがい」ですが、そうとも言いきれないんです。

混乱する原因がある

というのも、この「まちがい」をする人がけっこういるんです。
それには何か理由がありそうです。

形容詞と形容動詞

両方とも、物の「状態」や「様子」を表現する言葉です。

「とてもきれい」のように語末で終わる言いかたもあるし、
「きれいな花」のように、名詞を修飾する使い方もあります。

形容詞と形容動詞は機能としては同じもので、「活用」の仕方が違うということだけで区別されています。

形容詞 (い形容詞)

語尾が「い」で終わる

「大きい」「美しい」「遠い」「重い」など。

活用

(かろ) 。かっ。く。い。けれ

大きかろう。大きかった。大きく。大きい。大きければ。

のように変化します。
これは他の形容詞も同じです。

ただ、現在の標準語では「大きかろう」の用法は使われることはなくなってしまいました。
西日本では、今でも使われています。

標準語では、「大きいだろう」という言いかたに変わってしまっています。

古語では「大きかれ」「美しかれ」のように、「命令形」さえ存在しました。

現代語ではなんと言えばいいのでしょう。

「美しくありなさい」…なんか変ですね(^_^;)

形容動詞 (な形容詞)

働きは形容詞と同じなのに、「形容動詞と「動詞」という言葉がついているのは、「助動詞」の「だ」が後ろにくっついて、これが「活用・変化」するからです。

外国人向けの日本語教育では「な形容詞」と呼んでいます。

したがって、形容動詞の語幹は「変化しません」!
これがとても重要!

たとえば「きれい」という形容動詞は、「きれい」の部分は変化しません。
後ろの「だ」だけが変化します。
こんな感じです。

きれい「だろう」。きれい「だった」。きれい「だ」。きれい「な」。きれい「なら」。

ひげおじさん
さっちゃん。ここでなんか気がつかない?
さっちゃん
さいごが「い」で終わってる!

そうなんです。
たまたま「きれい」という言葉は「い」で終わっていたため、形容詞と混同されてしまうんです。
「大きい」や「美しい」と同類だと思われてしまうんですね。

形容動詞で語幹は変化しないのに、形容詞と「こんがらかって」、「い」を活用させてしまった結果、

「きれかった

になってしまったんです。
正しくは、

「きれいだった

です。

形容動詞の例としては、「静か (だ) 」「穏やか (だ) 」「変 (だ) 」「妙 (だ) 」などがあります。

「変」や「妙」のように、「名詞」+「だ」も「形容動詞」として捉えられるので、そこは曖昧な部分があります。
言いかえると、「名詞」に「だ」をつければ「形容動詞」が作れるということです。

実はこれ。
日本語を勉強する外国人がよくまちがえるところです。
外国人ならムリもないけど、母語話者の日本人がまちがえるのはちょっと💦

動詞

さて「ちがかった」のほうに行きましょう。

「違う」は動詞です。

「走る」「食べる」と同じ仲間です。

動作と状態

ただ、「走る」「食べる」と文法的には同じ仲間で、同じように活用するんだけど、なんかちょっと「違い」ますね(^^)

動作

一般的な動詞は、「動き」「動作」を表します。
だから「動詞」と名づけられたんです=^^=

「見る」「動く」「寝る」など。

状態

それに対して、「違う」という言葉は「状態」を表しています。

なので、動詞の活用としては「買う」「言う」とまったく同じで、次のように「活用・変化」します。

「違 () 」ない。「違 (い) 」ます。「違 (う) 」。「違 (う) 」とき。「違 (え) 」ば。「違 (え) 」。「違 (お) 」う。「違 (っ) 」た

動詞の形容詞化 (過去形)

この最後の「過去形」の「違った」がクセモノです(^^)

過去形 (過去分詞形) の形容詞的用法!

「違った」景色。「違った」気分。のように、「形容詞的に」使われることが多いんです。

このように、「動詞の過去形」で後ろの名詞を「形容詞」のように修飾する使いかたがあります。

たとえば、「壊れた」おもちゃ。「のびた」ラーメン。「拾った」栗。「笑った」顔。などなどです。

これは英語もまったく同様で、broken toy, baked eggのように「過去分詞」で「形容詞」のように使われます。
むずかしく考えることなく、そのまま「過去形っぽく」訳せば、日本語と同じになります。

「壊れた」おもちゃ。「焼いた (焼かれた) 」卵。のように。

過去形っぽくない

「違った」は「間違いなく」過去形なのに、上に書いたように「形容詞」っぽく使われることが多いので、「過去形」っぽさが表現できません。

「声をかけたら違った」でいいんだけど、「過去の出来事」っぽさが消えてしまっているので、それを表現したい。

それなら

「声をかけたら違ってた」と言えばいいんです。

意味上の形容詞との混同

「活用」としては「動詞」なんだけど、意味が「形容詞」っぽいのと、「違った」が「形容詞」風に使われるので、形容詞の「過去形」に無理やりしてしまうんですね(^^)

そこで出てきた言葉がこれです(^^)

「違かった

正しくは

「違った」です。

同じ理由で、「違う」は「動作」でなく「状態」を表す言葉なので、い形容詞と混同して言ってしまうのがこれ。

「違ない? 」

正しくは

「違ない? 」です。

間違う。間違える

いっぽう「間違う」「間違える」は「動作」を感じるので「間違える」ことはないですね😄

さっちゃん
ちぇっ!  ダジャレかよ! 😄

この言葉が生まれたのも「違う」「違った」が形容詞的につかわれるようになったことが背景にあるかもしれません。

言葉は生きてる

そんなこんなで「違かった」という言いかたが出てしまうのも仕方ないけど、「きれかった」はどうなんでしょう?
あと、「違くて」…
これはちょっとまずいですね(^_^;)

しかし、言葉は生きているものです。

時代の変化とともに、消えていったり、新しく生まれたり、あるいは変化していきます。

言いまちがえで混乱が生じないようであれば、それはやがて定着していくでしょう。
もちろんあなたが無理に言いかたを変える必要はありません。

ただ、新しい言葉や使いかたが、たとえ誤用であったとしても、出てきて定着するならそれは避けられないことです。

あなたが今、正しいと思って使ってる「得る (える) 」や「とても大きい」もちょっと前までは「まちがい」ですからね(^^)

ひげおじさん
言葉は生きてるんじゃ!
さっちゃん
どんどん変わっていくものなのね!

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