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日本語の「ん」の発音は5通りある! ~ やまとことば

n-「ん」の発音.jpg

n-「ん」の発音.jpg

「ん」[N] [n] [m] [ŋ] [ɲ]

2026年4月9日、とくに鼻音化について大幅に改訂しました。

日本語の「ん」の発音は5通りある!?

さっちゃん
えっ!? 「ん」はひとつしかないじゃない?
ひげおじさん
だよね~(^^) でも、みんな知らないで5通りに発音してるんだよ!
さっちゃん
ほんと?
ひげおじさん
じゃあためしに言ってみて! 「チンプンカンプンな本に大変! 」
さっちゃん
「ちんぷんかんぷんなほんにたいへん」
ひげおじさん
今、さっちゃんは自分でも気がつかないで5通りの「ん」を言ったんだよ!
さっちゃん
…? ? ?

舌の位置がみんなちがう!

ひらがなでは「ん」、カタカナでは「ン」、ローマ字では「n」とひとつしか書き方がないけど、舌の位置がみんなちがうんです!

もういちど上の言葉を見てみましょう。

「ちなほにたいへ

ぜんぶで6つ「ん」が出てくるけど、1番めと3番めの「ん」が同じだけで、あとは全部ちがう発音をしています!

つぎに言う発音の準備をしている

どこの言葉でもそうだけど、できるだけ楽にしゃべろうとするのが人間です。
誰かが教えるわけでもなく自然にそうなります。

それでは5通りの「ん」を見ていきましょう。

舌の位置を想像する

わたしたちだけでなく、どこの国のどんな言葉をしゃべってる人も、誰も「舌の位置」なんか考えないでしゃべっています。
それは当たり前です。
そんなこと考えてたらしゃべれませんよね(^^)

でも、外国語を勉強するときは「舌の位置」はかなり重要なポイントになります。

また外国語を覚える近道にもなります。

もちろん普段しゃべるときは意識する必要はまったくありませんが、外国語を勉強するときは「自分の舌が今どこにあって、どう動いているか? 」を意識しましょう。

「口の形」より「舌の位置」です!

日本語の「ん」

「ん」は基本的には舌を口蓋 (こうがい。口の中の天井) に押しあてて、空気の通り道をふさいで、鼻から空気を出す「鼻音」です。

ここからは「舌の位置」を意識して読んで下さいね。
専門用語は参考までで覚える必要はありません。
専門用語は無視してもらってかまいません(^^)
大事なのは「舌の位置」です。

[ɴ]  口蓋垂鼻音 (こうがいすいびおん)

お~っと、いきなり大文字か!
ん?でも小さい。

これは日本語の「ん」の大きな特徴です。
もちろん他の国にもありますが英語にはありません。

語末の「ん」

言葉の最後の「ん」がこれになります。

例:) 「本 (ほ) 」「缶 (か) 」「ビ」など。

発音記号は[hon]ではなく、[hoɴ]です。
[hon]と発音しても問題ありませんが、ひらがなで書くと「ほ」というような発音になります。

IPA (国際音声記号) による表記です。小型の大文字[ɴ]です。機種によっては表示されないかもしれないので、[N]を小さくしたもので[hoN]の[N]を小文字の大きさにして表します。以下、この記事では大文字[N]を使います。

英語圏の人がローマ字通りに読むと「ほ」というような発音になります。
日本人は誰も知らずに[hoN]と発音しています。

日本語はすべての音が1拍で「ん」も1拍がルールですが、語末の「ん N」にかぎっては1拍伸ばさずに短く切ります。
もちろん、後ろに音がつづくときは1拍伸ばします。

ただ、うしろに音が続くと[N]ではなくほかの音に変わってしまう可能性が高いです。

母音・半母音の前

あいうえお・ヤ行・ワ行の前です。
続く母音の位置が前なら舌の位置は前に移動して軟口蓋鼻音の[ŋ]になります。
舌の位置は流動的です。

例:) 「均一 (きんいつ) 」「反映 (はんえい) 」「親愛 (しんあい) 」「半音 (はんおん) 」「暗雲 (あんうん) 」

ヤ行 (y) の前

例:)
「本屋 (ほんや) 」「親友 (しんゆう) 」「関与 (かんよ) 」「婚約 (こんやく) 」「翻訳 (ほんやく) 」

ワ行 (w) の前

ワ行といっても現在では「」しかありません。
「ゐゑ」は「いえ」と同化してしまったし、「う」は文字すら残ってないくらいむかしに同化してしまいました。
「を」も字だけ残ったけど発音は「お」です。

おじさんは子どものころ「ワ行」だから「wo」と発音して親に「変!」と言われたことがあります😅
だってワ行じゃん!

日本語の「わ」[β]

[w]のように口をすぼめません。
軽く上下の唇を近づけて続く「あ」の母音で口を開きます。
完全に唇をつけてしまうと「ば (b)」になってしまうのでその一歩手前ということで[β]の文字が採用されたんでしょうね。

例:)
「ふんわり」「3割 (さんわり)」

また母音の鼻音化と捉えることもあります。 (後述)

半母音

半母音というだけあって、半分母音なのです😄

「や[ja]」は「いあ[ia]」が合体してできた音と考えるといいでしょう。
ギリシアというかギリシャというか。
イエス・キリストも現代ではJesusという綴りですが、もともとラテン語にJ, jという文字はありませんでした。
だからもともとはIēsusと書いていました。
そのうち「イエ」がくっついて「イェ」と認識されるにつれ、前の「イ」は半母音として先っぽを折り曲げたJ, jという文字がつくられました。

オーストラリアというか、オーストラリヤというかも微妙なところです。
正解はありません。
ただ現代の日本ではオーストラリアという表記が市民権を得ているだけのことです。

「わ[βa]」も「うあ[ɯβa]」という音が合体してできた音と考えます。

もともと最初の音が「イ」であり「ウ」であるので半母音は音声学的な舌の動きとしては母音とおなじなのです。

舌の位置はマス目のようにくっきり区切られていてデジタル (不連続) なのではなく、アナログ (連続的) です。
前後の音によって場所は前後上下に移動し、また個人差もあります。
白黒はっきりしているのではなくかぎりなくグレーゾーンがあるのです。

ハ行 (h) の前

これはとても例が少ないです。
ほとんどの場合、連濁してパ (p) か、バ (b) になってしまうからです。

3分 (さんぷん) 、3本 (さんぼん) のように。
また、甲板 (かんぱん) と看板 (かんばん) のように、おなじ板 (はん) がパになるかバになるかには規則性がありません。

特殊な例で「4本 (よんほん) 」「4匹 (よんひ) 」があります。
それからマニアックですが、「三半規管 (さんはんきかん) 」がありますね。
これは3つの+半規管 (はんきかん) という成り立ちの影響もあります。
これらはパ (p) や、バ (b) にならない数少ない特殊例です。

ハヘホは無声声門摩擦音なので舌は喉の入口に行きます。
「よん。ほん」「よん。ひき」「さん。はん」のように1度切って発音します。

ハ行は複雑で、ヒ[ç]は硬口蓋音で、フ[ɸ]は両唇音ですが母音が[ɯ] の音なのでそれぞれ舌が口の中ほどに移動します。
だからこれらは[N]より前に出て[ŋ] になります。

ただし日本語にこの接続はありません。
もともと「ん」がなかったのと、「んひ」「んふ」という発音がむずかしいからではないでしょうか。

インフルエンザのような外来語でしか出てこなくて、
「んひ」「んふ」は通常「んぴ」「んぷ、んぶ」になります。
新品 (しんぴん) 、寒風 (かんぷう) 、本降り (ほんぶり) のように。
連濁して「んび」になるものは思いつかないので、あったら教えてください🙏

あっ!「鳶 (とんび) 」は「とび」の間にあとから「ん」がはいったのでちがいますよ😄

3本 (さんん) なのに、4本 (よんん) である理由はこちらに書いています↓

「1本」「2本」「3本」 VS 「1分」「2分」「3分」 ~ やまとことば

[N]は舌のうしろを口の天井の奥、喉の入口の「のどちんこ」がぶら下がってるあたりに当てて出します。
空気の通り道がふさがっているので空気は鼻に抜けますが、口はだらしなく開いたままです。
「餡 (あん) 」なら「あ」、「円 (えん) 」なら「え」の口の形のまま、舌のうしろで喉の入口をふさぎます。

舌のうしろで喉の入口をふさぐ音」ですよ。

[n] が口の一番前にあるのに対して、[N] は口の一番後ろ (奥) にあります。

こう書くとむずかしそうだけど、みんな知らないで自然にこの音を出しています!

ひげおじさん
口蓋垂鼻音とかは覚えなくていいよ。
ちなみに口蓋垂って「のどちんこ」のことね(^^)
口蓋垂に舌を押しあてるんでこの名前がついてるんだね。

むかしの日本には、ドンドン、ランランのような擬音語 (擬声語) 、擬態語をのぞいて「ん」がありませんでした。
上の例を見るとわかるとおり、現在の「ん」はほとんどが漢字とともにはいってきた中国の音です。

それまでの日本で「ん」に近い音は「む」か「ぬ」でした。

だから、ドンドン、ランランはド、ラと発音していたと思われます。

これについてはあとで詳しく説明します。

語末の「ん」をポルトガル語のように母音の鼻音 [hõ] と捉える考えかたもありますが、日本語の語末の「ん」はもっと短くシャットダウンするので、やはり [hoN] と考えたほうがいいでしょう。

鼻音化についてはあとで書きます。

それから日本語はすべての音の長さがおなじであることが特徴ですが、語末の「ん (N) 」だけは1拍より短いです。

[n] 歯茎鼻音 (しけいびおん)

みなさん見なれた、英語でも、ローマ字でも使う[n]です。

「な行」の[n]ですね。

舌先を歯茎に押しあてて発音します。
やはり空気は鼻からぬけます。

s, z, t, d, n, r (さざただなら行と「ん」) の前

それは「さざ、ただならん」が「歯茎音」で歯茎の裏側に舌を押しあてて発音するので、前もって「そこに舌を置いとく」のが「楽」だからです。

ただし、「イ段」の「し」「じ」「ち」「ぢ」「に」「り」は硬口蓋化するため [ɲ] になります。

例:) 「本線 (ほんせん) 」「本山 (ほんざん) 」「「本当 (ほう) 」「本題 (ほい) 」「そ」「本来 (ほい) 」


「本 (ほん) 」は[N]なのに、うしろに「さざ、ただなら」が来ると、[n]に変わってしまうんですね!

「サ行」は、調音点は「ザ行」とおなじ歯茎から後部歯茎ですが摩擦音 (接近音) で完全にはつけないので[n]ではなく、もうすこし後ろ寄りの[ɲ]、[ŋ]あたりで済ませてしまう傾向があります。
人類怠け者の法則により、「サ行」は歯茎につけないのなら「ん」をそこまで持っていくのはめんどくさいからです😄
後舌、中舌あたりで済ませてから「サ行」を発音します。

「完成 (かんい) 」と「関税 (かんい) 」を交互に発音して、「ん」のときに舌がどこにあるか感じてみてください。
たぶん前者のほうがすこし後ろにあると思います。

ひげおじさん
自分の舌がどこにあるか想像しながら「さざ、ただなら」って言ってみてね!

英語の舌の位置について解説してます↓

「ただなら」外国語。聞いて覚えられるのは、赤ん坊のうちだけ! (舌の位置)

[m] 両唇鼻音 (りょうしんびおん)

「ま行」の[m]です。

上下の唇を閉じて、鼻から空気をぬいて出す音です。

m, b, p「ま」「ば」「ぱ」行の前

うしろにm, b, p「ま」「ば」「ぱ」行がくると、これらも「両唇音」なので必然的に唇を閉じて発音すると「ん」が「む」になってしまいます。

例:) 「新米 (しい) 」「新聞 (しん) 」「半端 (は) 」

ローマ字で”n”にするのか”m”にするのか、もめるやつです(^^)
どちらでもいいそうです。
字面からすると”n”だけど、音からすると”m”のほうがよさそうです。

shinbunと書いても、じっさいにはshimbunと発音しています。
もっと言ったらshimbuNです。

b, p「ば」「ぱ」は「破裂音」といいます。
ためしに鼻をつまんで「ま」と言ってみてください。
「ば」になってしまいますね。
鼻が詰まってると空気が鼻から抜けないので、閉じた唇が破裂して「ま行」が「ば行」になってしまいます。
鼻が詰まってると、「はがつってる」になってしまいます(^^)

[m]は、赤ちゃんが最初に出しやすい音ですね。
だから「食べもの」も「まんま」。
「おかあさん」も「ママ」です。

というより、赤ちゃんが最初に「ま」と言うので、
これは「食べもの」のことだ! いや、「おかあさん」のことだ! と大人がかってに決めたんですけどね(^^)
ヨーロッパでも「ママ」。
中国語でも「妈 (マー) 」または「妈妈 (ママ) 」です!

同じように「ば」「ぱ」も唇を閉じて一気に開いて出す音なのでわりと出しやすい。
「ばば」は「おばあちゃん」、「パパ」は「おとうさん」
トルコ語で「ババ」は「おとうさん」
おじいちゃん危うし!
「じ」は発音がむずかしいので「じいじ」といえるのはどうしても遅くなります。
べつに「じいじ」が嫌いなわけではありません(^^)


m, b, p「ま」「ば」「ぱ」行は「腹話術」では出せない音です。
だって唇を閉じなきゃいけないんだもん(^^)
「いっこく堂」さんが言ってました。
舌先を唇につけることで克服したそうです。

おじさんはトーク番組で浜口京子さんがじっさいにこの方法で「バ行」を発音しているのを見て驚きました!
一畑電車 (いちたでんしゃ) というとき。
「いっこく堂」さんに教えてあげなきゃ。

[ŋ] 軟口蓋鼻音 (なんこうがいびおん)

この記号は[n]に[g]をくっつけたと考えるとわかりやすいです。

日本語で書くと「んぐ」です。
これは英語にはとてもよく出てくる発音です。

king「キング」、long「ロング」、driving「ドライビング」、ink「インク」など。

じっさいにはkingは[kíŋ] で、カタカナで書くと「キン」。
「グ」は発音しません。
「グ」は破裂させずに飲み込みます。

日本語で「金 (キン) 」は[kiN]と発音するのでむしろkingに近い音です。
kin[kín]と発音すると日本人にはむしろ「絹 (きぬ) 」と聞こえます。

k, g「か」「が」行の前

うしろにk, g「か」「が」行がくると、これらは「軟口蓋音」なので必然的に「ん」も「軟口蓋音」になります。

わかりにくい?

「か」「が」と舌の位置を考えながらくりかえし言ってみてください。

舌の後ろを喉の入口に近いところ (口の奥) に押しあてて」出しているのがわかると思います。
つぎにこの音を出すために「ん」も喉に近いところで「スタンバイ」するんです。

例:) 「銀行 (ぎんこう) 」「金鉱 (きんこう) 」「人形 (にんぎょう) 」「考える (かんがえる) 」

鼻濁音

[ŋ] を鼻濁音ともいいます。
「カ゜」で表すこともあります。

「ン」のあとにつづく k, g は必然的にこの音になりますが、むかしは語頭以外のガ行は「ン」のあとでなくても鼻濁音で発音していました。
近年では鼻濁音はあまりつかわれなくなりました。
地域差もあります。

したがって [ŋ] は「ン」よりむしろ「ガ行」の鼻濁音として扱われますが「ン」の文字の部分は1拍の長さを持つのでここでは「ン」の異音として入れています。

[ɲ] 硬口蓋鼻音 (こうこうがいびおん)

「にゃ」「に」「にゅ」「にょ」がこれに相当します。
そして、この前の「ん」はこの音になります。


厳密には、国際音声記号の[ɲ]は日本語の「にゃ、に、にゅ、にょ」とは違うのですが、近い音 (舌の位置が近い) なのでこの記号が使われることが多いです。
これはjとnを合わせたものです。

日本語の「にゃ、に、にゅ、にょ」は[nʲ]。
[n]が「口蓋化」したものと捉えられていますが、もともと[n]は舌を歯茎の裏に押しあてて出す音なので違いがわかりにくいですね。

「口蓋音」は「硬口蓋」や「軟口蓋」、つまり「歯茎」より後ろ側の口の天井に舌を押しあてて出す音です。

例:) 「般若 (はんにゃ) 」「進入 (しんにゅう) 」「天女 (てんにょ) 」

ふつうの[n]とのちがいは、「こんな」と「こんにゃく」を、舌の位置を想像しながらなんども言ってみてください。
「こんにゃく」のほうが「舌全体を口の天井に押しつけている」感じがわかるでしょうか。

舌が「平べったい」感じというとわかりやすいかな=^^=

「イ段」の「し」「じ」「ち」「ぢ」「ひ」「り」も硬口蓋音のため [ɲ] になります。

例:) 「感心 (かんしん) 」「漢字 (かんじ) 」「分離 (ぶんり) 」

ひげおじさん
猫の鳴き声「ニャアニャア」がこの音だね(^^)

[~] 鼻音化 (びおんか)

さっちゃん
あれ? 5通りじゃなかった?
ひげおじさん
これは番外。「ん」のうしろに母音「あいうえお」や半母音の「ヤ行」と「わ」がくると、「ん」の後ろの母音が鼻音化すると考えることもあるんだよ(^_^;)

例:) 「均一 (きんいつ) 」「反映 (はんえい) 」「親愛 (しんあい) 」「半音 (はんおん) 」「暗雲 (あんうん) 」
例:)「本屋 (ほんや) 」「親友 (しんゆう) 」「関与 (かんよ) 」「婚約 (こんやく) 」「翻訳 (ほんやく) 」
例:)「ふんわり」「3割 (さんわり)」
例:) 「4本 (よんほん) 」「三半規管 (さんはんきかん) 」「インフルエンザ」

冒頭の例とおなじです。

ただ、喉の入口を塞いでいる後舌を離すときに勢いよく離すと破裂音の[g]になってしまうので、のろのろと離します。
勢いよく離すと「しんい」は「しんい」のような音になってしまいます。
さらに中間に鼻濁音「しんか゜い」があります。
この舌の位置と舌の離脱のタイミング、そして口蓋帆の開閉はほんとに微妙で繊細です。
このわずかなちがいを人の耳は聞き分けています。
そして舌と口蓋帆の筋肉を制御しています😮

これも舌の位置を感じながら「しんあい」「しんか゜い」「しんがい」を順番に繰り返し言ってみてください。
目を瞑ったほうがより口の中の世界に集中できます。
何十回でも、何百回でもやってみてください。
あんまりゆっくりやると舌はどのようにでも動かせてしまうのであるていどのふだんの速さと、舌に意識しながら意識しないで自然に動かすことが必要です。

これはただでいくらでもできる人体実験です😄

鼻音化なのか?

自分で書いておきながら何だけど、これは冒頭に書いたように口蓋垂鼻音または軟口蓋鼻音でいいのではないか?という気もします。
だから例も冒頭とまったくおなじです。

このときの「ん」は[ɴ] から [ŋ] です。
だからこれを母音の鼻音化と呼ぶのか、口蓋垂鼻音または軟口蓋鼻音と呼ぶのかは微妙なところです。

単に[ɴ] [ŋ]の音が1拍 (1モーラ) 続いていると考えたほうが自然な気がします。

「ん」の前の母音については鼻音化ではないと思います。

破裂させないために後ろの母音が鼻音化する

たとえば「しんい」だったら[ɕiɴ,ãi]のようになります。
やはり「ん」の前の「し」は鼻音化しているとは思えないので[i]にしました。
[ɴ]の後ろに「,」を入れたのは「na (な)」ではないということで、ここで息継ぎしたり音を切ったりするわけではありません。
それどころか舌と空気の動きは連続的で滑らかで途切れることはありません。
また「ん」のあとに来る[ã]はあくまで「あ」が鼻音化したもので「あん」でもないし、「な」でもありません。

上に書いたように[ɴ]の状態から一気に舌を離して破裂させると[g]になってしまうのでゆっくり離します。
すると後舌は口蓋垂から離れて息は口から出るのですが、口蓋帆はすぐに上がらず息が半分鼻に漏れつづけます
母音はほんらい口蓋帆を上げてすべて口から出す音ですが、半分は口から、半分は鼻から抜けている状態です。

後舌を離すと同時に、口蓋帆をガバっと上に上げて鼻への空気を一気に遮断すると[g]になってしまうので、人は知らずに口蓋帆をすぐに上げないで鼻に空気を抜くことで破裂させない音を出すことを獲得したのではないでしょうか。
これが母音の鼻音化です。

これは[ɴ]を持たない欧米人には至難の業だと思います。
だからたいてい「親愛」は「しんあい」ではなく「しない」と発音してしまいます。
ローマ字でshinaiと書くのもまちがいのもとです。

だから、外国人生徒諸君。
ひらがな、カタカナは絶対覚えるべし。

鼻母音はZARDの坂井泉水が出すような鼻にかかった甘くやさしい響きです。
おじさんは歌うとき真似してわざとこの声を出します。

歌の世界では鼻腔共鳴などとも呼ばれています。
とくに高音を出すときに鼻から息を抜くと楽で柔らかい音が出ます。

上に書いたように、舌の位置や動きは前後の音や個人個人の口や舌の作り、発音を習得したまわりの環境などによって変わるので、くっきりすっきり線を引くことはできません。

つぎの母音の位置によって前後します。
前母音 (い、え) のときは前の方に、後母音 (お、う) のときは後ろの方に移動します。

これは発音しにくいし聞き取りにくいので、さらにフランス語のリエゾンみたいな「連声 (れんじょう) 」ということが起こります。

反映や半音などはわりと新しい言葉なので連声が起きなかったのでしょう。
将来、連声が起きて「はんねい」「はんのん」に変わる可能性もなきにしもあらずです。

連声 (れんじょう)

観音。かんおん→かんのん。kan-on→kan-non
反応。はんおう→はんのう。han-ō→han-
山王。さんおう→さんのう。san-ō→san-

三位。さんい→さんみ。san-i→sam-mi
陰陽。おんよう→おんみょう。on-yō→om-myō

さっちゃん
ちょっと待って! 「かんおん」が「かんのん」になるのはわかるけど、なんで「さんい」が「さんみ」になっちゃうの!?
ひげおじさん
もともと日本語には「ん」がなくて、「む」とか「ぬ」だったんだよ。「三位」はじっさいには「さむい」で、「さんみ」になったんだね!

もっというと、そもそも「三 (さん) 」は中国から漢字といっしょに入ってきた音で、日本語では「み」、「みっつ」といいますね。
むかしの日本語には語末の「ん」がなかったので、中国からこの言葉が入ってきたとき「san (さん) 」ではなく、「samu (さむ) 」と発音したんですね。
陰陽も同様。もともとが「おん」ではなく、「おむ」なんですね。

さらに

春雨。はるめ→はるめ。haru-ame→haru-same
秋雨。あきめ→あきめ。aki-ame→aki-same
村雨。むらめ→むらめ。mura-ame→mura-same
真っ青。まお→まっさお。ma-ao→mas-sao

[s]の音は一体どこから出てきたのでしょうか?
「あ」は母音なのでそのままだと前の母音とつながって曖昧になってしまいます。
それで[s]の音を入れることで明快にしたのでしょう。
それにしても日本人はたくさんある子音の中でなぜ[s]を選んだのでしょうか。

もし[r]を選んだら、「秋雨 (あきめ) 」は「諦め (あきめ) 」になってバッティングしてしまいます。
[s]がほかと競合しない都合のいい子音だったのかもしれません。

もともと「あめ」は「さめ」だったという説もあるけど、どうでしょうか?

おじさんは「雨 (あめ、あま) 」は「天 (あめ、あま) 」と同語源と考えるので「さめ」はないと思います。

「青 (あお) 」も「さお」になるしね。

もともと「ん」は日本語にはなかった!?

「ん」は「漢字」とともに中国からはいってきた音です。

「本」「缶」「天」「線」「県」…漢字は「ん」で終わる音がとても多いですね。

「日本 (にっぽん、にほん) 」でさえもともと「日本語」じゃないんです!

だからこの記事は「日本語」ではなく「やまとことば」にしたんです。

日本語で「ん」がはいる言葉といえば、擬音語 (擬声語) ですね。
「ドンドン」「カンカン」「リンリン」
このように同じ音をくりかえす言葉を「畳語 (じょうご。畳みかけるから)  」といいます。
南太平洋のポリネシア語には「畳語」が多いので日本語はここから来たという人もいます。

多分、ルーツは一つではなく、いろんな地域のいろんな言葉が混ざりあってできた言葉だと思います。
日本は昔から外のものを吸収して「自分のもの」にするのが好きです。
むかしは「漢字」とその音。
近代、現代は「ヨーロッパの言葉とその音」。

「日本」は本来の日本語で読めば、「ひのもと」です。

「む」と「ぬ」

「む」

未来の「予想」や、「意思」を表します。

「む (mu)」は「ん (m)」を経て、さらに「う (u)」になります。

たとえば「降らむ」は「降るだろう」という意味です。
「降らむ」→「降らん」→「降らう」→「降ろう」
標準語ではなくなってしまいましたが、西日本では今でも「明日は雨が降ろう(降るだろう) 」と言います。

「行かむ」→「行かん」は、「行かない」という否定ではなく、「行こう」という意思です。
「行かん」が「行かう」になって、発音は「行こう」になり、表記もそうなりました。
旧仮名遣い(きゅうかなづかい) では「行かう」と書いて「いこう」と読みます。

「遊ばむ」→「遊ばん」→「遊ばう」→「遊ぼう」も同じです。

「む」は上代から近世まで使われた。
平安時代以降「ん」とも書き、
鎌倉時代以後「う」にも変化した。

 (デジタル大辞泉より引用)

そこまで約しちゃう!? 日本語の縮約形

「ぬ」

完了」を表します。

「風と共に去りぬ」は「去ってしまった」という意味です。
現代の標準語にすると長ったらしいです(^^)

活用に注意!
「去らぬ」というと否定の意味になってしまいます。

今の私たちは英語を習いはじめて「現在完了形」でつまづきます。
日本語にはないよねと。

でも、それは現代の標準語から消えてしまっただけで、日本でも古語には「現在完了形」があったんです!
「未来完了形」も。

さらに日本語には4つも完了形がありました😮

「つ」「ぬ」「たり」「り」です。

複雑と思うかもしれないけど、1音で言い表せるので言葉がとても簡潔で便利です。

否定の「ぬ」

「ぬ」にはもう1つあり、否定の「ず」の連体形の「ぬ」があります。

「知らん」「わからん」「できん」などの「ん」ですね。

「知ら」はもともとは「知ら」と発音していました。
[nu]→[n]→[N]と変化していったんですね。
どこの国の人もできるだけ楽にしゃべろうとします。
音の省略 (というより発音の省力化) によって、ちがう言葉が同じ音で発音されるようになっても、文脈などで区別がつけば省略していきます。

「行かむ」と「行かぬ」

前者が「行こう」で、後者が「行かない」です。

まったく意味が逆になってしまいます(^^)

だから、むかしは「む」と「ぬ」は、はっきり発音して厳密に使い分けていたはずです。

「行かむ」のほうが、「行かん」→「行かう」→「行こう」と変わっていったので、「行かぬ」のほうは「行かん」と発音しても混乱を招くことはなくなり、市民権を得たわけです。

時代劇で役者が「ならぬ! 」と言ってるとおじさんは気持ちがいいです=^^=
現代語だと「ならない」になってしまうのでなんともマヌケです。
「ダメだよ~」も締まりがないですね💦
今でも「~してはならない」というような使いかたはしますね。

音便 (おんびん)

「飛で」はもともと「飛びて」です。
「読みて」→「読で」。「噛みて」→「噛で」のように、もとは「ん」ではないんです。
「ないです」も、もとは「ないのです」ですね(^^)

擬声語、擬態語

このことから「ドンドン」「ランラン」も「ドムドム」「ラムラム」のように発音していたのではないかと思われます。

これを踏まえてもういちど最初の言葉を言ってみましょう!

「ちなほにたいへ

「ちmŋmnなほɲにたいへN

自分でも知らないうちに5通りに発音しています!
日本人すごい!

外人がこの発音記号を見たら「なんて日本語はむずかしいんだ! 」と思うにちがいありません。

「[n]が5通りもあるのかよ! 」
「そんなもん使いわけられるか! 」

と思うにちがいありません。

でも、われわれ日本人は、誰も知らないうちに区別して発音している。
5通りの「ん」を使い分けている!
日本人すごい!

同じ「ん」で終わる言葉もつぎにくる言葉で発音が変わる!

たとえば「本 (ほん) 」という単語。

本 (ほ) [N]。
本の (ほんの) [n]。
本も (ほんも) [m]。
本が (ほんが) [ŋ]。
本に (ほんに) [ɲ]。

というように、だれも知らないあいだに変わっています!
あなたも知らずに使いわけていますよ!

が、しかし! 発音は気にしなくていい!

「ん」の音はこのように「5通り」 (母音の鼻音化も入れれば6通り) あるけど、じっさいにはどの「ん」で話しても何の問題もありません。
聞き取れるし意味も通じます。
ただ「なんかわからないけどちょっと『気持ちの悪い日本語』だな」くらいに感じるくらいでしょうか。
外人の「カタコト日本語」という感じです。
また上で説明したようにこれは意識して出しているのではなく、「次の音を発音するために準備している」ので、慣れてくると自然にその位置に舌が行くようになります。

人は「楽をしたい」生き物なので(^^)

じっさいには同じ「ネイティブの」日本人でも千差万別、十人十色。
一人ひとりみんな発音が違います。
地方による「訛り」もあるし、訛りでなくても、一人ひとりの「癖」というものがあります。

そもそも人の口の中の形、広さ、舌の長さがみんな違うので、人によっては歯茎の裏側あたり、人によっては舌が短いので口の天井のまん中へんだったりするけど、だいたいそのへんの音は「ん」と認識するのです。

色もそうですよね。

一言で「赤」といっても「真っ赤」から「朱色っぽい」色だったり、「オレンジっぽい」色だったり、ちょっと「紫がかっていても」だいたいそのへんを「赤」と呼んでいます。

外人もvとb、thとsは混同する!

われわれ日本人が最初に習い、おそらくほとんどの人はそれしか習わない外国語は「英語」ですね。

最初につまづくのが、vとthの発音でしょう。
だって日本語にはないんだもん。

そこで日本人は妙な劣等感を持ってしまうけどとんでもないです。

「英語が特別」なんです。

たとえばスペイン語ではvの文字はあるけど、bと同じに発音します。
下唇を噛まなくていいんです!
われわれ日本人と同じではないか!
そうなんです。
英語が「特殊な言語」なんです。

そもそもラテン語のvは、uの子音化したもので「ウ」と発音します。
ラテン語には「ヴ」の発音はありません!

舌を噛むthもスペイン語にはあるんだけど、sと同じ発音になる傾向にあります。
とくに植民地ではそうなります。
そもそもラテン語にはthの音はありません。
フランス語にもthの音はありません。
なのでフランス人がthat isというと、zat eez (ざっといーず) のように発音します。
日本人と同じだ(^^)

外人もvとthは苦手!?はこちら

「r」の発音 ~ 英語は特別!

「ん」の直後の「ら行」は発音しにくい ~ やまとことば

やまとことば~一覧はこちら

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