「縦書き」「改行」はじめに
以前、縦書きでなぜ左に改行するのかという記事を書きました。
それで一件落着と思いきやべつの理由があることがわかりました。
縦書きはなぜ右から左へ書くのか?書道の謎
左上から右下へ
人間はだれかに命令されたり強制されたわけではなく、自然に右手をつかうようになりました。
人物の右向きはなぜむずかしいのか?~ 右利きの科学
左上から右下に書くのは極々自然な流れです。
これは文字だけでなく絵もそうです。
だから漢字の筆順も左上から右下だし、縦書きでは上から下に書く。
横書きでも左から右に書き、改行したら下に移動する。
当たりまえです。
人間はできるだけ楽したいのでわざわざめんどうなことはしません。
それなのに縦書きで改行だけは左に移動する。
ものすごく不自然です。
小学校のときはノートを取ると、右手の小指側やノートが真っ黒になるのが日課でした。
それなのになんで右から左に改行?
竹簡 (ちくかん)
改行はなかった
むかしから紙があったわけではなく中国では竹簡といって竹を細く割ったものに墨で書いていました。
幅のある紙ではなく細長い物差しのような竹片に縦に1行書いたら改行するのではなく、次の別の竹片を取り出してそれに書いたのです。
だからそもそも改行は存在しなかったんです😮
書いてから並べる
1行書いたらその竹簡をどける。
あなたならどこに置きますか?
右手で筆を持っているし、硯は右にあるでしょう。
置くとしたら上か左ですね。
右手で筆を持っているので左手で左にどけるのがいちばん自然です。
そもそも書いているときも左手で竹簡を押さえているはずです。
書道のときに紙を押さえるのとおなじです。
左手で移動して並べる
左手で並べるのならだれにも命令されなければ右から左に並べていくのが自然です。
考えていません。
自然にそうなります。
もし右に並べようとすると左手は体の前を横切って体や腕をひねって右に置かなければなりません。
それに前に書いた竹簡の右横に左手で置こうとすると下のものが隠れてしまって位置を合わせにくいです。
そんなことわざわざする人はいませんね。
編む
こうして右から左に竹簡を並べてから紐で編みます。
書き終わってからです。
だから編集とか、編纂とかいうんですね。
ほんとに編んでいたんです。
纂は「集める」の意。
韋編三絶 (いへんさんぜつ)
韋編三度絶つ (いへんみたびたつ) と読みます。
この編んだ紐が3回切れてはまた編み直すぐらい何度も読み直すという意味です。
韋
ウィキペディアには韋は緯糸 (横糸) だと書いてありますがこれは曲解だと思います。
ならば最初から緯と書けばいい。
横糸から想像したのか。
上の2つは金文。
下は甲骨文字。
(wiktionaryより引用)
そもそもこの字は上下 (左右) が向きのちがう足。
そして口は場所。
で、衛 (まもる) の意味。
これにも思いっきり韋がはいっていますね。
また別の方向に進むことから「背く」「違う」の意味です。
「違う」にも韋がはいっていますね。
意味が広がって「囲い」の意味にもつかうようになりました。
圍 (かこむ・かこい)
もともとは圍と書きました。
人類怠け者の法則🦥で、囲をつかうようになりました。
鞣し革 (なめしがわ)
漢字ではしょっちゅうあることですが、本来の成り立ちや意味とは関係なく音を借りて鞣し革の意味でつかうようになりました。
紙になっても
こうして右から左に書くのではなく並べる習慣が定着してしまうと、その後紙が現れても右から左に書くのが当たりまえになってしまったのでしょう。
筆で書くときは右手は紙につけないので問題ないのです。
左手で押さえる
結果的に左手は紙を押さえるので右から左に書いていったほうが左手が汚れません。
もし左から右に書いていくと、まだ乾いていない墨の上を左で押さえることになり、左手が汚れるだけでなく紙面も汚れてしまいます。
もし最初から紙とペンがあったら左から右に書いていたでしょう。
書きにくいことには変わりない
竹簡に1本、つまり1行ずつ書いていたときは問題なかったけど、最初から平面の紙に右から左に書いていくと右手は汚れないにしても先に書いた行が右手で隠れてしまうので書きにくいことには変わりありません。
じっさい罫線や枡目が書いてない真っ白な紙に縦書きすると、行間や字の大きさがバラバラになってしまいます。
アラビア文字はなぜ右から左に書くのか?
西洋は古くから横書きです。
ご案内のとおり右から左に書くと、先に書いた文字が右手で隠れてしまったり、手や紙が汚れたり、ペンが紙に引っかかったりして書きにくいので左から右に書くのが自然です。
しかしアラビア文字は現代でも右から左です。
これも現代の当たりまえで紙とペンありきで考えるとじつに不自然ですが、人は紙ができる前から文字を書いていたのですね。
鑿と金槌で石に掘っていたから
むかしの人は洋の東西を問わず、紙などないので、石や動物の骨などに尖ったもので「書く」というより「刻む」または「彫る」ということをしていました。
右手に金槌、左手に鑿を持つとどっち向きが彫りやすいか
これは文字でなくても鑿をつかったことがないとわからないかもしれませんね。
おじさんは大工をやっていたのでよくわかります。
やったことがなくてもちょっと頭の中で想像するか、道具がなくても彫る真似をしてみればすぐわかります。
右手で左手の鑿を叩くのだから、とうぜん鑿は左に動きます。
すると左へ左へと進んでいくのが自然です。
この点では上から下に彫るのもやりにくいです。
下手すると自分に鑿の先が飛んできて自分を刺してしまいますからね。
大工をやっていたときも刻みで材木に跨って鑿でほぞ穴などを彫ることがあるんだけど、手前に向けるときは跨らずに横座りをします。
こうすれば最悪手が滑っても腿の外側を刺すだけで済みます😄
いや笑いごとじゃなくて、跨っていて股間を刺してしまうよりは安全ですから。
できれば手前に彫るのではなく、外側へ、自分の体があるのと反対側に彫ります。
こうして右から左に彫る習慣が定着してそのまま紙になってもそれが変わらないというのがいちおうもっともな説ですが、じっさいのところはわかりません。
というのは紙がなくて石や動物の骨に刻んでいたのは世界中おなじだから。
それならなんで他の国は左から右なの?という疑問が残ります。
牛耕式 (ぎゅうこうしき)
βουστροφηδόν (ブストロフェドン)
古代ギリシャでは左から右に書いて端まで行くと、改行して左にもどらずに、その地点つまり右から左に書いていくという奇妙な書きかたをしていました。
牛が畑を耕すときに端まで行ったらワープしてスタート地点にもどるのではなく、その場でUターンします。
それに似ているので牛耕式と言います。
ブストロフェドンは「牛が引き返す」という意味です。
そしてめでたく左にもどったら何事もなかったようにまた左から右に書いていきます。
書くのも読むのも大変。
手を左にもどすのと、鏡文字を書くのとどっちが楽でしょうか。
さらに世にも奇妙なのは、右から左にもどるときは左右反転して鏡文字になることです😮
古代ギリシャ人は器用ですね。
これも慣れなんだろうけど、文字をすべて反転させて鏡文字で書くのはかなり高度な脳の働きが必要になります。
ためしにみなさん、ひらがなはもちろん漢字で鏡文字を書いてみてください。
書けないでしょう。
左上から右下がふつう
もはやなくなってしまった牛耕式や現代も残るアラビア文字は世界から見るとやはり特殊な部類にはいり、左上から右下に書くのがふつうです。
繰り返しになるけど、右利きで左上から右下に書くと
文字が隠れない、
手や紙が汚れない、
ペン先が引っかからないからです。
その中でもいまだに縦書きと横書きを併用している日本はアラビアより特殊かもしれません。
右綴じと左綴じ
右綴じとは本の表紙が見えるように置いたときに向かって右側、つまり右手側が綴じてあるものです。
右綴じ=縦書き
日本では縦書きだと右から左に改行していくので紙面を右から左に読んでいきます。
左端に行ったらページをめくります。
だから右綴じが自然です。
左綴じ=横書き
一般的な左から右への横書きの場合、左から右に読んでいって右端に行ったらページをめくります。
だから左綴じが自然です。
右綴じなのに横書き😮
最悪です。
これはおじさんが、いやおじさんじゃなくてもおそらくみなさんがいちばん嫌う綴じ方と書き方でしょう。
雑誌に多いですが、右綴じでそもそも表紙にも左から右に文字が書いてあります😄
ページをめくって右上がスタート地点のはずで誰しもそこに視線を置くと、中途半端な横書きの文字列が見えます。
わざわざ左のページの左上に視線を移して、左から右ページに読んでいって右下まで辿り着いたらその終点をつまんでページをめくるのではなく、目を離して最初に読みはじめた左ページの左下をつまんで左から右へとページをめくります。
すると、またスタート地点が左ページの左上です。
場合によっては左上とはかぎらず、左の真ん中辺で、その上は縦書きだったりします。
ほんと読みにくいだけです。
百害あって一利なし。
あれで雑誌の編集者、出版社はカッコいいとかおしゃれだとか思っているのでしょうか?
おじさんはそんな雑誌はすぐ綴じます、もとい閉じます。
このブログがもし縦書きで下から上に書いてあったらどうしますか?
最初にいちばん下にスクロールして上に読んでいって、見切れたらスクロールしてまた1つ上の画面にスクロールしなければなりません。
どれぐらいスクロールしたら1つ上の画面なのかもわかりません。
そんな記事をだれが読みますか?
縦書きの中の横文字と数字😄
もう縦書きにこだわるのはやめましょう。
そこだけ文字が横向きになっていたり、アルファベットや算用数字が縦に並んでいるのも読みにくいし、漢数字はじつに読みにくいです。
そもそも中国からはいってきた文字と書きかたなのだから縦書きはべつに日本の文化や象徴ではありません。
漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベット・算用数字の5種類の文字を同居させて使いまくってるだけで外国人には充分驚異 (脅威) です。
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