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「促音」「っ」「連濁」「不規則」
助数詞の発音が数字によって変わる
1本。2本。3本
いっぽん、にほん、さんぼん
ローマ字で書くと
ippon, nihon, sambon
「『いちほん』は言いにくいから『いっぽん』になるんだよ」とか、
「『ん』のあとは口を閉じるから『ぼ』になるんだよ」とか得意げに言う人がいます。
日本語の「ん」は口を閉じない
「ん」の発音に関してはこちらにとても詳しく書いてあります↓
日本語の「ん」の発音は5通りある!~やまとことば
ためしに単独で「3 (さん) 」とじっさいに言ってみてください。
口を閉じましたか?
閉じないですね。
「さ」のまま口を半開きにしたまま、舌の後ろで喉の入口をふさいでいます。
「3歳 (さんさい) 」も言ってみてください。
ずっと口を開けたままです。
こちらは舌先だけ上の歯茎のうしろに押しつけてるのがわかると思います。
つぎの音「さ」の準備をしているんです。
「山菜」もおなじです。
「ん」はそもそも口を閉じません。
じゃあ4本は?
4も「よん」と発音します。
「ん」で終わります。
でも、「4本」は「よんほん (yonhon) 」と濁りません。
つまり「ん」のあとだから「濁る ( ゛がつく) 」というルールは成り立ちません。
漢音とやまとことば
3本と4本のちがいについてはずっと不思議に思ってきたんですが、1つ理由があるとすれば、
3 (サン) は漢字といっしょにはいってきた中国語!なのに対して、4 (よ、よん) はやまとことばだということです。
そもそもやまとことばには擬声語、擬態語 (どんどん、ぐんぐんなど) を除いて「ん」の音がありませんでした。
「む」か「ぬ」です。
だから「三」が中国からはいってきたときに当時の日本人は「さむ (samu) 」と発音していました。
そのためうしろの h が、b や p に変わる傾向がありましたが、「よん」のほうは「よほん」にあとから「ん」がはいったので「ん」の成り立ちがちがいます。
1本も
「いちほん」が言いにくいから「いっぽん」になるなら、
「しちほん (7本) 」はなんで「しっぽん」にならないんでしょうか?
そもそも「しちほん」と言われることはほとんどなく、ふつうは「ななほん」と言いますが。
1個が「いっこ」なら、7個は「しっこ」のはずですよね(^^)
「七宝」のように「しっぽう」と発音されるものもありますが辞書を引くと「しちほうに同じ」と書かれています😄
3分は「さんぷん」!
「3本」が「さんぼん」ならなぜ
「3分」は「さんぶん」ではないのでしょうか?
「1勝3敗」は?
「いっしょうさんぱい」ですね。
さらに割合や長さの単位になると、「3分」は「さんぶ」です(^^)
じつは不規則
だいたい「1匹 (いっぴき) 」「2匹 (にひき) 」「3匹 (さんびき) 」のようになるけど、
「4本」と同様、「4匹」は「よんびき」ではなく「よんひき」です!
3階、4階も
これは人によって分かれるかもしれないけど、
「3階」が「さんがい」でも、「4階」は「よんかい」です。
※ 「3階」は「さんかい」と発音する人もいます。
これも例外が
「3回」は「さんがい」ではなく「さんかい」です。
3が濁る派と、濁らない派
濁る派
ハ行:本。匹。遍。百。
カ行:階。軒。
濁らない派 (パ行をふくむ)
ハ行:分。品。敗。泊。
カ行:回。件。県。巻。貫。個。機。
こうして見ると、濁らないほうが多数派で、濁るほうが少数派 (例外) であるような気もします。
また、おなじ濁音になるものでも、「サ行、タ行」は濁りません。
濁ると濁らないで意味が変わるもの!
尾 (お) についてる鰭 (ひれ) で尾鰭 (おびれ) といいます。
尾鰭がつく
話が伝わっていく間に、じっさいにはない、当初はなかった話がくっついていくことをいいます。
このばあいは「おひれ」と濁りません!
もちろん魚の尾鰭 (おびれ) からできた言葉です。
このように濁らないと意味が変わってしまいます。
もとはおなじ言葉なので、規則や、発音しやすさなんかは関係ないですね。
濁る、濁らないで意味を使い分けています。
数字ではないけど不規則なもの
杯 (はい)
「3杯」は「さんばい」なのに
「乾杯」は「かんぱい」
板 (はん)
看板 (かんばん)
甲板 (かんぱん)
音声学的なルールはない!
このように例外というより、濁る、濁らない、パになるか、バになるかは両方のパターンがあります。
「杯」のようにどちらにも発音するものもあります。
これは「『習慣的に』そう発音する」としか言いようがありません。
わたしたちは「文法」ではなく「無意識に」「知らない間に」言葉をおぼえているんですね。
恣意的 arbitrary
こういうことを「恣意的 (しいてき) 」といいます。
「恣」は「ほしいまま」と読みます。
「勝手気まま」で規則性がないということです。
ほしいまま
ちなみに「擅」も「ほしいまま」です。
注意してください!
手偏です。
「擅 (せん) 」はほぼこの言葉でしか使われないところをもってさらに、「独断 (どくだん) 」「土壇場 (どたんば) 」などの言葉から「壇 (だん) 」とまちがえられ、独擅場 (どくせんじょう) が、独壇場 (どくだんじょう) になり定着してしまいました。
「独占場」という字をつかえばまちがえられることもなかったのでしょうが。
「掘 (ほる) 」「堀 (ほり) 」もよく混同しますが、「掘ったもの」が「堀 (ほり) 」なので目くじら立てるほどのものではないと思います。
「さかのぼる」にも「遡る」「溯る」のように「辶 (しんにゅう) 」と「氵 (さんずい)」 がありますが大したことではありません。
点があるかないかとか、はねているかいないかなんかで×をつけるテストはバカバカしいです。
もともと漢字は「絵」や「記号」ですからね。
さらにくずし字 (草書) になったらやりたい放題ですからね。
1234 いち、に、さん、し→4321 よん、さん、に、いち ~ おかしくない?
1999年は「せんきゅうひゃくきゅうじゅうくねん」?~ 気持ちの悪い日本語
やまとことば ~ 一覧
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