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「コード」「ベース」「根音」「1度」「root」
ジャズは1と5を抜く?
ジャズこそいちばん偉いのだ! という人がギターの伴奏をしました(^^)
何を弾いてるのかさっぱりわからず、おじさんは途中で弾くのをやめてしまいました。
何のコードかまったくわからない!
コードネームではなく、和音としての響きがまったくそぐわないのです。
テンションコード
テンションコードは7thから13thまであります。
15thから上がないのは、15thは1st、つまりroot (根音。1度の音) にもどってしまうからです。
1度に出せる音の数
ギターという楽器の制約で最大でも一度に6つの音しか出せません。
また、1弦で1つの音しか出せないので、音程の近い音は苦手です。
ピアノは鍵盤が並んでいるので隣り合った音を出すのが得意です。
反対に、離れた音を出すのは苦手です。
そもそもギターとピアノ以外の楽器で和音が出せるのはハープとか木琴くらいでしょうか。
管楽器は単音しか出せませんし、バイオリンやチェロなどの弦楽器でも基本は単音です。
ダブルストップなどの特殊奏法でも2音です。
取捨選択
1度に出せる音の数に限りがあるので、出す音を選びます。
そして、ここからはあくまで「ジャズバンド」での方法です。
- 1度 (根音) は「ベースが弾いてくれる」ので外す。
- 5度の音は倍音なので外す。
- 3度の音はメジャーかマイナーかを決める音なので外せない。
- 7度の音はテンションコードの要なので外せない。
- テンションコードの最高音は外せない。
なので、3度、7度、そして13thなら13度の音を出します。
こうしてジャズギタリストは3つの音だけでコードを弾きます。
バカの一つ覚え
もういちど上のルールの1番を見てくださいね。
「ベースが弾いてくれる」から「根音」を外してもいいのです。
それなのにベースがいなくてもいちばん大事な「根音」を外してしまいます。
ベースがなければ何のコードかわからない!
いちばん大事なベース (根音) を外してしまうと何のコードかわからないというより、他のコードになってしまいます!
具体例を挙げて説明しましょう。
Cmaj9
もちろんベースは「ド」
構成音は、「ド、ミ、ソ、シ、レ」です。
ギターを持っている人は実際にギターを手にして音を聞いてくださいね。
ギターでこの5つの音をすべて出すのはムリです。
開放弦を使えば出せないこともないけど現実的ではありません。
そこでジャズギタリストは上のルールのように「ド、ソ」を抜いて、「ミシレ」と弾きます。
でも、理屈以前にこの和音はまったくCmaj9に聞こえません。
なぜでしょう?
もういちど構成音を見てください。
「ミシレ」
これってEm7じゃないですか!
そうです。
maj7 (メジャー7th) 特有の響きがなく、間の抜けたm7 (マイナー7th) にしか聞こえないんです。
maj7は根音 (1度) と長7度 (≒短2度) の不協和音が特徴なんです。
Cmaj7でいえば、「ド」と半音下の「シ」ですね。
ベースは必須!
maj7では1と7は、ぜったい外してはいけないんです。
ベースか、他のパートが根音の「ド」を弾いてくれるときにかぎって外してもいいんです。
マイナー・コードも同様です。
Dm9の根音を外したら、Fmaj7になってしまいます。
ぜんぜん違う和音と響きになってしまいます。
それに、5度の音を外してもいいのは、根音があるからなんですよ。
根音を外したら5度の響きもなくなってしまいます。
下手なコードより単音のベースのほうがマシ!
ベースのないコードを弾くくらいなら、単音のベースだけ弾いたほうがよほどいいです。
ほんとにうまいベーシストは単音だけで和音の響きを醸し出しますね。
3度の音
C (ドミソ) の和音なら「ミ」です。
これが「長3度」なら「長和音 (メジャー) 」
「短3度」なら「短和音 (マイナー) 」
なので根音についで重要な音なのですが、弦の数と指の長さと本数の制約があって外すことがあります。
とくに、クラシックギターをソロで弾くときはこういう条件が出てきます。
「禁じられた遊び」のドミナントB7はレ#を外していますが、Emの曲では3度の音を外してもメジャー7thに聞こえます。
フォークギターのフィンガリングでも3度の音を外すことがあります。
でも、ベースの音をちゃんと弾いてればメジャーかマイナーか気にしなくても違和感なく聞くことができます。
パワーコード
ロックで、3度を抜いて、1と5だけ鳴らすコードをこう呼びます。
でも、最近の話ではなくむかしのクラシック音楽では3度を弾かなかったんですよ!
むかしは3度を弾かなかった!
古いリュートの曲などでは1と5だけで3度を弾かない曲がけっこうあります。
3度を弾くようになったのはわりと最近なんですね。
最近といっても昨日今日の話ではありませんが。
3度でハモるようになったのも後世のことで、むかしは5度でした。
3度なしの和音は独特の響きがあります。
大事なのは理論でなく耳!
知ったかぶって機械的に1と5を抜いて、ジャズコード早見表なんかでコードを覚えるのではなく、耳で聞いて、曲に合うか? 流れに沿っているか? その「響き」を感じることが大事です。
ギターは小さなオーケストラ!
「メロディ」「和音 (コード) 」「ベース」そして「リズムパターン」
これを1人で、1つの楽器で演奏できるのは、ギターとピアノだけです。
ギターではフラメンコのようにパーカッションまではいります。
「ギターは小さなオーケストラ」とは言い得て妙です。
クラシックギターでは基本的にベースを弾きます。
もちろん転回形もありますが。
和音のベースはもちろん、経過音なども弾きます。
これがあるから和音の響きもあり、厚みのある音楽になるんですね。
伴奏の役目
伴奏はメロディを引き立たせるのが仕事です。
かといって脇役ではありません。
とても、重要な役目です。
場合によっては、メロディ (主旋律) のパートより重要かもしれません。
でも、前に出すぎてはいけません。
かといって後ろで適当に音を鳴らしてればいいものでもありません。
いかにメロディを引き立たせるか。
いかにメロディを弾きやすくするか。
正確なリズムを保ちつつ、単調にならないように抑揚をつけ、メロディのパートを引っ張っていきます。
これはどのパートでもそうですが、自分だけ自分の音に酔いしれていてはいけません。
他のパートを見ながら、聞きながら、その中で自分の音を出していきます。
自分だけの世界に浸りたい人はソロで演奏しましょう(^^)