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「ギター」「ピアノ」「違い」「共通点」


ギターとピアノのちがい
あくまで基本的な数や特徴です。
例外を書くとキリがなく煩雑になるので。
ギター

かならず両手で弾かなければならない
- 弦が6本
- 12フレットあるので、12×6=72カ所、押さえるところがある。
- 左手で押さえて右手で弾く。かならず両手をつかう。片手では弾けない。
- 複数の弦でおなじ音程を出すことができる。
残響・共鳴と消音
弾いた直後から音は減衰するが、消音しないとずっと弦が振動して鳴りつづける。
利点。ずっと音が鳴りつづける。
欠点。コードの変わり目で消音しないと、不協和音になり音が濁る。
ギター初心者はまず「音を残す」ことが課題になります。
左手を放したり、ほかの手が左でも右でもさわれば音が消えてしまうので。
それが克服できると、つぎは「消音」が大きな課題になります。
とくに開放弦はほっとくとずっと鳴っているので、つぎの音やコードの邪魔をします。
もっというと、その弦は弾いてないのに共鳴して響いてしまいます。
3弦のAを弾くと、触ってないのに5弦のAも振動します。
さらにいうと、AではなくDやEでも、倍音のAが振動します。
目で見ても振動してるのがわかります。
共鳴、残響は耳が育ってくるとかならず気になってきます。
つぎのコードがEなのに、4弦のDが残ってると、気持ち悪いしEの切れ味が錆びた包丁のように悪くなってしまいます。
消音の方法
- 押さえている左手を放す。
- 空いてる左手の指で音を消したい弦に触れる。
- 右手で音を消したい弦に触れる。
これは、はじめはかなり意識してやらないとできません。
でも、慣れてくると無意識にできるようになります。
ビデオを見ると自分で知らないうちに消音してるので、自分で驚いてしまいます=^^=
手の移動範囲、サイズ
2次元
フレットの横の移動と、弦の上下の移動があるので「2次元的な」移動をともなう。
その範囲はおよそ33cm×6cm。
これは初心者にとって最初の難関です。
6弦から1弦に向かって音は上がるが、1フレットから12フレットに向かっても音が上がるので、かならずしも、1弦のほうが、あるいは12フレットのほうが音が高いとはかぎらない。
スケールは苦手
1つの弦で3~4の音階を弾かなければならない。
しかも、かならず左手で押さえてから、右手で弾くという制約がある。
しかも弦の上下の移動をともなうので、スケールは苦手
低音と高音
3オクターブが6弦×12フレットという範囲に収まるので、低音と高音を同時に出すのは得意!
押弦は左手。
弾弦は右手。
という制約がありながら、
ベースと中声部の和音、そして高音部のメロディを同時に弾けるという大技を持っている。
これが「ギターは小さなオーケストラ」とベートーベンをもって言わしめた部分。
ただし押弦は左手だけなので、ローポジションとハイポジションは同時に押さえられないという制約もある。
しかし、それはピアノの左手の範囲よりはるかに広い!
この制約を補うため、ギターの低音弦は、
6弦がE
5弦がA
4弦がD
にチューニングされ、A (イ長調/イ短調) で弾けば、開放弦で、
I (Tonic) 、
IV (Subdominant) 、
V (Dominant)
が弾けるという超大技をも与えられている!
これで12フレットのEを弾きながら、3オクターブ下のEを同時に弾くことができる!
音域
82.4Hzのミ (6弦開放) ~659.3のミ (1弦12フレット) の3オクターブ。
頑張れば880Hzのラ (17フレット) くらいまでいけますが、弾きにくいのと音が小さくなるので実用的ではありません。
ハーモニクスをつかうともっと高い音が出せるけど、やはり音が小さくてライブではつかえません。
四畳半で1人で弾いて聞き取れるレベルです。
電気的に増幅するエレキギターではもうすこしいけます。
人間が声帯から出す音 (母音) は85~1100Hzなので、ギターの最低音が人間の最低音とおなじくらいです。
音域についてはこちらにも書いてあります。
ナレーターやアナウンサーの声が耳障りなのはなぜか? 母音の子音化 (口蓋化)
おなじ運指でべつの音階と和音が弾ける!
これがギターのすごいところです!
2次元的に押さえる場所と弾く場所を把握しなければならない反面、フレットは12平均律で半音ずつ刻まれているので、全音と半音の区別がありません。
なので、1つのスケールをおぼえると、1フレット隣に移動するだけで、半音上のスケールが弾けてしまいます!
コードも1つの押さえかたをおぼえると、1フレット隣に移動するだけで、半音上のコードが弾けてしまいます!

F
たとえばこれはFですが、1つ右に移動するとF♯になります。
もひとつ右に移動するとGです。
押さえようと思えば12フレット先まで移動できます。
だから、右手でかき鳴らしながら、左手はおなじ形のまま平行移動するなんて芸当もできます!
転回形
ポジション移動を避けるための転回形はつかいません。
おなじポジションでもつかう弦を変えれば高音も低音も出せるからです。
開放弦でE、A、Dを出せますからね。
あくまでベースの動きを出したいときだけ転回形をつかいます。
C→C/B♭→F/Aとか、
G→E/G♯→Amなど。
チューニング
自分で調弦できる
ギターは温度変化に敏感です。
冬や夏でなくてもギターを抱えた瞬間から自分の体温で温まり、かならず楽器は膨張します。
すると、弦が引っ張られるので音が高くなります。
厄介なのは、すべての弦がおなじように高くなってくれず、高音のナイロン弦が上がりやすい傾向があります。
さらにいうと、3弦のGがいちばん上下します。
ちょっと休憩してギターを置いとくと、高音弦がまた下がってしまいます。
充分に温まってからならいいけど、ステージで演奏するときは、戸外だったり、ステージに楽器だけ置いてあったりすることがあるので、演奏している途中でチューニングが狂ってきます。
予想できるときは、あえて高音弦は低めに、とくに3弦は低めにチューニングしておきます。
もちろん1曲弾いたらチューニングし直します。
たまに弾いてる最中に糸巻きを触る人もいますね。
あまりにも狂いすぎて1曲弾き終わるまで待てないときです。
低音の金属弦 (4、5、6弦) は切れます。
とくに4弦はよく切れます。
弾く曲のキー、コードによって調律を変える!
E、Aの曲は1、2弦は高めに。
Cは3弦を高めに。
G、Dの曲は1、2弦を低めにします。
弦の張り替えも自分でします。
楽器を叩く
ギターは打楽器だ!
弦を弾いて音程を出すだけでなく、胴を叩いたり、弦を交差させて小太鼓のようなビビリ音を出したり、大太鼓のマネをしたりいろんな音が出せます。
これは「アラゴンのホタ」という曲で、いろんな楽器のモノマネがはいっています。
おなじ押さえかたで平行移動もあります。
さらにピアノでは絶対できないハーモニクス。
まあ、グランドピアノでフタを開けてやろうと思えばできるけど、鍵盤から離れなければならないしピアノ線はテンション高いのでギターのようには音が出ないでしょう。
持ち運び
1人でどこでも持っていける。
なので演奏会でも自分がいつも弾いている楽器をつかうことができます。
基本的に暗譜。楽譜は見ない!


ピアノ

片手、指1本で弾ける
- 弦が88本
- 1本につき1つ鍵盤があるので、88カ所押すところがある。
- 鍵盤を押すだけでいいので、片手の指1本で音が出せる。
- 1つの音程につき、1つの鍵盤しかない。
残響・共鳴と消音
鍵盤を押したときだけ音が出て、放すとフェルトで消音される。
グランドピアノが近くにある人はぜひフタを開けて中を見てください。
ピアノでは押してない鍵盤はフェルトで押さえられているので、ギターのような共鳴現象は起きません。
利点。鍵盤を放せば音が消えるので、つぎの音と混ざらない。消音についていっさい気にしない。
欠点。音を残したいときはペダルを使わなければならない。
手の移動範囲、サイズ
1次元
半音ずつ直線状に並べられているので左は低音、右は高音。また左右の移動「1次元」しかない。
幅は150cmくらい。
スケールは得意
音が直線的に低い方から高音へ1列に並べられているので、スケールは得意!
低音と高音
88鍵が1直線に並べられているので、低音と高音を同時に出すのは苦手
両手をつかえるので左手で低音、右手で高音を担当できるけど、
それぞれ左手、右手でカバーできる範囲はかぎられる。
音域
約7オクターブ
下が27.5Hzのラ、上が4186Hzのドです。
人間の可聴域 (聞こえる範囲) が20Hz~20000Hzと言われているので、下は「音として」認識できる限界です。
それより低いと音ではなく「振動」として感じます。
人間が出す子音は4000Hzくらいなので上はこれとおなじくらいです。
白鍵と黒鍵
もともとC major (ハ長調) 専用につくられているので、Cの曲を弾くときはとても弾きやすいです。
でも、臨時記号やほかの調性になると、黒鍵を弾かなければなりません。
CとDでは鍵盤の使いかたが変わってしまいます。
これも慣れでしょうが、ギターのようにおなじ押さえかたで12フレット平行移動なんて芸当はできません。
スケールも調によって変わります。
転回形
1直線に音階が並べられていることから、和音を弾くとき根音 (ベース) を基準にした和音ではポジションの移動が大きくなってしまいます。
なのでピアノではよく転回形をつかいます。
これによってポジション移動を減らせるのですが、G/BはGとはちがう響きになってしまいます。
また、これが和音 (コード) をわかりにくくしています。
ピアノの場合は左手でベースを弾けるので、それで補っていますね。
ギターには悔しいくらいの重低音も持っています。
チューニング
チューニングは自分でできない
というか、ほとんど狂うことも切れることもないです。
これはいわゆる「ピアノ線」という金属で、ギターより張力が高いことによるようです。
ギターのナイロン弦はすこしの温度変化ですぐに音程が変わってしまいます。
1年に1回の調律 (チューニング) なんてギターには考えられないですね。
ピアノには調律師という職業がありますが、プロの演奏家は自分で調律しないんでしょうか?
やはり自分の楽器を持っていくことがないのが原因かもしれませんね。
わたしがピアノを弾いたら絶対自分で調律したくなります。
ここは12平均律ではこの音程だけど、「もうちょっと引っ張りたいよな」というのがかならず出てきます。
楽器は叩かない
ギターのように楽器を叩くことはない。
超前衛的な演奏者にはいるかもしれないけど、ふつうはやりません。
持ち運び
1人ではぜったい運べない
なので演奏会ではその会場に置いてある楽器をつかうことになります。
自分がふだんつかっている楽器とはタッチも音色も残響も、鳴りやすい音とそうでない音もちがいます。
これはなかなか厄介なことだと思います。
楽譜を見る。譜めくりがいる!


これは笑い事ではありません。
いや、もうしわけありませんが笑ってしまいます
ほかのどんな楽器でもありえない存在です。
ちょっと大きめのコンサートでも演奏者の横にちょこんと座ってる人がいる。
「あの人はなんぞや?」
と思ってると演奏中にとつじょ立ち上がり譜面台に置かれた楽譜のページをめくるのでした
曲をおぼえましょうよ!
しかも譜めくりがまちがえて早くページをめくってしまったら、演奏者が弾きながら片手で素早くページをもどして、そこで拍手喝采!
いや拍手するところがちがうでしょ
それとも確信犯?演出?
ピアノにはもともと楽器に譜面を置くところがわざわざ設けられていて、聴衆からは見えないことで、楽譜を置いて見ることが当たりまえになってしまっているんですね。
ギターのバンドが楽譜見ながら演奏して、しかも横に譜めくりがいたら、とんだ笑い者です。
バイオリンやフルート奏者の横に譜めくりが立っていたらどう思いますか?
いちばんの違い
ギター
音程が「離れた」音を同時に出すのが得意
和音のかき鳴らしとか、アルペジオは超得意です!
隣り合った音は、ギターでは2つの弦をつかって指を開かなければならないので苦手です。
それから、ギターは楽譜どおり弾くとじっさいには1オクターブ低い音が出ています。
実音で書くとト音記号の下のほう、あるいはヘ音記号の領域になってしまうのでこうしています。
ピアノ
音程が「隣り合った」音を出すのが得意
隣り合った音は不協和音なのでほんらいあまり使われないのですが、7thその他であえて使われることがあります。
左右2本の手があるけど、それぞれの手を広げられる範囲はかぎられるので、「離れた音」は苦手です。
ギターのようなかき鳴らしはできません。
ギターとピアノの共通点
弦楽器なので遠くで聞くとギターとピアノの音は似ています。
バイオリンは弓で擦るのでぜんぜん音質がちがいます。
1つ (1人) で複数のパートを演奏できる
ベースと和音とリズム、メロディをすべて1つの楽器で、1人で演奏することができます。
ほかにはないですね。
だからソロで演奏される楽器って、ほかにないでしょ。
ないことはないけど、和音とベースとリズムを刻んでくれるパートがないと飽きますね。
クラシックでもカデンツァ (ソロパート) があるけど、あくまでオーケストラの中でのソロで、最初から最後までソロだと間が持ちません。
30分ずっとバイオリンソロって考えられないでしょ。
フルートでも、バイオリンでもメロディしか演奏できない。
ドラムソロだけのコンサートもないですね。
ベースだけのライブもないですね。
三味線はありますが、音色そのものと、さわりのジャラジャラした音、リズムと視覚的なバチ捌きなどで見せています。
おじさんは三味線も好きなのでなんどかコンサートに行ったけど、2時間ずっと津軽じょんがらではさすがに飽きますね
できることは限られるので長い時間のコンサートとなると変化をもたせるのがなかなかむずかしいです。
バチの先ではなく、尻のほうで弾いたりとかね。
これは見た目のアクロバティックな演出です。


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