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「ギター」「調弦」「マニアック」
チューニング (調弦)
チューナー
![tuner active チューナー。起動](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/03d8dabada9795b3dad22363c8a82938-300x225.jpg)
チューナーで合わせるのがカンタンですが、耳が肥えてくると、なんか気持ち悪いと思うようになってきます。
「なんかちがうんだよなあ~」
純正律と平均律
それはチューナーがあくまで平均律の周波数を表示してるだけで、じっさいに和音を弾くと「うなり」が発生して、ドミソのような基本3和音でさえ「不協和音」になってしまうからです。
平均律は、ほんとは2でなければならないところを、1.92で代用してるようなもんです。
だいたい合ってるけど、本物ではない。
チューナーをつかわずに、耳で調弦
ここでは耳で調弦する方法を教えます。
かなり高度なので、初心者のかたはスルーしてください。
ただ、高度といっても慣れてしまえばこのほうがチューナーより「早く」「楽に」「気持ちよく」調弦できるようになります。
ひげおじさん流調弦
全体の流れ
- 音叉をつかって5弦を「ラ」に合わせる。
- ハーモニクスで6~3弦を合わせる。
- 5、4、3弦の響きを確認。
- 5弦と1弦のうなりを消す。
- 6弦と1弦の確認。
- 6弦と2弦のうなりを消す。
- 和音をいくつか弾いてみる。
じっさいのやりかた
まず5弦を「ラ」に合わせる
![音叉。膝で叩く](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/63d480c8edaede003e65a21f78223835-300x257.jpg)
膝に音叉を打ちつけて素早くギターの胴に丸いほうを当てます。
![音叉。5弦](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/40ebce39bed6e1008d8779f530093235-300x157.jpg)
そして、すぐ左手で5弦を引っかくようにして開放弦の音を出します。
音叉は440Hz、5弦は110Hzです。
ある程度、いまの音が「ラ」より高いか、低いかは耳で聞きわけられなければなりません。
目安としてチューナーをつかうのはかまいません。
5弦が110Hzに近いとうなりが発生するので、糸巻きを巻いたり、緩めたりして、うなりがなくなるところをさがします。
うなりがなくなれば110Hzに調弦できました。
もし、糸巻きを巻いていって、うなりが速くなるなら高すぎるので緩めます。
反対に、緩めていって、うなりが速くなるなら低すぎるので巻きます。
ナットの左右でテンションがちがう
糸巻きでテンションを変えるのですが、ナットには摩擦力があります。
糸巻きを巻いたときは糸巻き側のほうがテンションが高いので、糸巻き側を左中指または人差し指で押して、サウンドホール上の弦を張ります。
![push chord 圧弦](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/7b0dbe62fde3e77de1dbfcc6e360b193-225x300.jpg)
糸巻きを緩めたときは、ナットの糸巻き側は緩んでるけど、サウンドホール側は張ったままなので、右手で弦をつまんで引っ張ります。
![弦を引っ張る](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/47007bbde2b4199c1f9cb2dd346e722f-300x225.jpg)
緩めるときは、いちど低くなるまで緩めてから、張っていって合わせるのが一般的な方法です。
が、おじさんは弦をつまんで引っ張る派です。
ナットの左右でテンションがちがうと合わせたつもりで、弾いてるうちに音が狂ってきます。
ハーモニクス
![harmonics ハーモニクス](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/e6f94d302942de346855c71a4ceb42d9-300x270.jpg)
6弦と5弦
つぎに6弦の5フレットを人差し指、5弦の7フレットを小指でハーモニクスします。
同時でなくていいです。
人差し指でハーモニクスして、すぐ小指でハーモニクスします。
この2つの音は同じ高さなので、うなりを聞いて、うなりがなくなるように合わせます。
ハーモニクスがいいところは手を放しても音が消えないこと。
なので、ハーモニクスで音を出したあと、左手で糸巻きを触れるんです。
押弦だと、指を放したら音が消えてしまうので、リアルタイムで音を合わすことができません。
また、ハーモニクスなら弦を押さえないので、音程が変わることがありません。
5弦と4弦、4弦と3弦
上とおなじやりかたで、3弦まで合わせます。
5、4、3弦の響きを確認する
![A。ミラ](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/c7dcaf4a495f58536ea4e0ba248a6b8e-300x250.jpg)
5弦の開放弦 (ラ) 、4弦の2フレット (ミ) 、3弦の2フレット (ラ) を弾いて、うなりがないか確認します。
とくに5弦と3弦が合ってるか確認します。
5弦と1弦のうなりを聞く
![5、1弦。共鳴](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/e9f6de8c5c538ff1ca78a4924b1668dc-300x295.jpg)
5弦 (ラ) と1弦 (ミ) は1オクターブと5度はなれているので、やはり音程があっていればうなりが出ません。
こんなに離れた音なのに、開放弦でうなりを聞いて合わせることができます。
6弦と1弦の確認
2オクターブ離れた「ミ」ですね。
ふつうに考えればこちらで合わせたほうがよさそうですが、5弦と1弦が合ってないと気持ち悪いです。
6弦と2弦のうなりを聞く
5弦と1弦の幅とおなじく、6弦 (ミ) と2弦 (シ) は1オクターブと5度はなれているので、これで合わせます。
純正律と平均律
ハーモニクスで出した音は純正律なので、これだけだとやはり音がズレていきます。
でも、押弦によるズレよりは小さいはずです。
じっさいの演奏では弦を押さえて音を出すので、押弦して音を出してみます。
オクターブの音と、和音をいくつか弾いて、妥協する点を見つけます。
コードの響きを確認
おじさんはフラメンコをよく弾くのでAm、G、F、Eを鳴らしてみます。
Am (5フレットセーハ)
![Am。5フレット](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/9b33343f4891c78d6de740405588f4ac-277x300.jpg)
G (3フレット) →F (1フレット)
![G。3フレット](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/f5b2a59a6f6579e8a41006ad0930e573-285x300.jpg)
E
![E](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/E-300x221.jpg)
動画はこちら
調性による微調整
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/sacchan.png)
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/higeojisan.png)
いちばんつかわれるコードを重視
チューナーやここに書いてあるやりかたで調弦しても、すべての音階やコード (和音) を納得させることはできません。
それは、人や楽器のせいではなく、物理的に不可能だからです。
どこかで妥協点を見つけなければなりません。
その場合、やはり重要なのは「その曲でいちばんよくつかうコード」です。
C major (ハ長調) の曲なら、圧倒的にC。
そして、F、Gがつかわれます。
この曲ではB♭やF♯なんかの意見は無視して、C、F、Gの声をよく聞きます。
具体例
C major (ハ長調)
チューナーや平均律で調弦されたギターでCを弾くと、気持ち悪いです。
3弦の「ソ」が低いんです。
Cがメインの曲なら、3弦をすこし高めに調弦します。
引っ張り気味ですね。
これでEを弾くと、「ソ♯」が高くなってしまうんだけど、Eの出番がそんなにないなら、3弦を高めに。
逆に、A minor (イ短調) の曲なら、頻繁にEが出てくるので、3弦はあまり上げないほうがいいです。
A, Eの曲
1、2弦を若干高めに。
D, Gの曲
1、2弦を若干低めに。
Dを弾いたときに気持ち悪いのは、4弦の開放弦の「レ」に対して、2弦3フレットの「レ」がかなり高くなってしまうからです。
1弦の「ファ♯」も高いです。
かといって1弦をあまり下げると、ドミナントのAを弾いたときに「ミ」が低くて気持ち悪くなるので、DとAとよく相談して「真ん中」を取りましょう。
楽器によっても変わる
楽器のつくりかたによっても変わります。
フレッチング
楽器の製作者がいわゆるフレッチングをどう位置づけているか?
おじさんはサドル (ブリッジ側のプラスチック板) の3弦の部分だけ、ブリッジ側に寄せて弦長を長くしてある楽器をつかっていたことがあります。
1~6弦共通のフレッチングではどうしても3弦が合わなかったので苦肉の策としてそうしたのでしょう。
いろんな楽器を弾いてきたけど、3弦は問題がある弦です。
開放弦で調律しても、ハイポジション (ブリッジ側) になると音が上ずる傾向があります。
弾きはじめるとすぐ音が上がるのも3弦です。
温度変化に敏感な弦なんですね。
なので、あらかじめ3弦は低めに調弦しておきます。
弦の性質
弦のテンション (張る強度)
テンションが低い (やわらかい) 弦だと押さえた指をどちらに引っ張るかで音程が変わってしまいます。
ビブラートは逆にこれを利用しています。
弦高
弦高が高いと、押さえたときに弦が引っ張られるので音程が高くなります。
これはネックに近いほう、つまり1フレットに近づくほど大きな影響が出ます。
ギターは自分でいじれる楽器
いろいろと面倒なようですが、逆にいえば自分の好みに調整できる楽器です。
ピアノなんか、平均律で調律してあるので自分では何もできません。
Dのコードがイマイチだなあと思ってもそのまま弾くしかありません。
ギターなら左手の指で弦を引っ張ったり、緩めたりして、その場で音程を変えることもできます。
サドル
![サドル](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2020/07/1a35d9293f773d4c2cdcfe5243410258-300x225.jpg)
サドルは演奏に大きな影響があります。
これが高ければ弦高が高くなります。
なのでどうも座り心地が悪いという人は、楽器屋さんでサドルを買ってきて自分の好きな高さに削って調整します。
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/sacchan.png)
削りすぎちゃったときは、サドルとブリッジのあいだに小さな紙をはさんで下駄を履かすこともできるけど、あまりオススメしません。
削るときはすこしずつ。
弦高が高い
メリット。
弦が指板に当たらないのでビビることがない。
クラシックギターはビビリ音を嫌うので弦高が高いです。
デメリット。
押さえるのに大きな力がいる。→左手が疲れる。
押さえてから指板に当たるまでのタイムラグが大きくなるので、速いスケールを弾くときなど遅れる。
押さえると弦がよけいに引っ張られるので音が上ずってしまう。
弦高が低い
メリット。
弦長、テンションがほとんど変わらないので押さえるのに力がいらない。→疲れない。
すぐ指板に当たるので、タイムラグが少ない。→速弾きができる。
押さえても弦が引っ張られないので音程が変わらない。
デメリット。
強く弾くと弦が指板に当たりビビる。
フラメンコではむしろこのビビリ音が良かったりするわけですが。
三味線でいう「さわり」ですね。
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/higeojisan.png)
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/sacchan.png)
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/higeojisan.png)
![](https://higeojisan-lab.com/wp-content/uploads/2017/01/sacchan.png)