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記念すべき初めての記事です。
「表面張力」「水の凝固点降下」
シャボン玉はふわふわ浮いてそのうち割れる。
割れないシャボン玉があったら素敵だね!?
今日は、割れないシャボン玉を子供と一緒に作ってみよう。
まずは割れないシャボン玉を作ってみよう!
用意するもの
台所用洗剤。ぬるま湯。砂糖。コップ。ストロー
- コップにぬるま湯を1/4 (50cc) くらい入れます。
- 砂糖を小さじ1杯入れてよくかき混ぜます。
- 台所用洗剤を10滴ほど垂らし、あまり泡立てないように混ぜます。
水、砂糖、洗剤の量はあくまで目安です。
洗剤の濃さによっても変わるので、膨らましているときにすぐ割れるようなら少しずつ足していきましょう。
ちょうどいい量を見つけてください。
洗剤は膜を作るため、砂糖は割れないために必要ですが、多すぎると凍りにくくなります。
固まるまで少し時間がかかります。
水分が少しずつ蒸発していくと、透明から写真のような虹色に変わっていきます。
凍るシャボン玉! (21秒)
冬の寒い朝、限定です。
寒いけどあったかい格好をして外に出てみましょう。風が弱い日がいいです。
そのまま吹いたらどこかへ飛んでいってしまうのでどこかに貼りつけましょう。
金属製の平らなものがいいですね。
ベランダの手すりはこの実験のためにあるようなものです。
金属のフライパンや鍋でもいいですね。
シャボン玉は水気のないところに当たると水分がとられて割れてしまいます。
木や紙、布などは水を吸いやすいのですぐ割れてしまいます。
金属はよく冷えるし水を吸わないのでうってつけです。表面を水か作ったシャボン液で濡らしておくとより効果的です。
ガラスなど、表面が平らで水を吸わないものならOKです。
凍り始めるシャボン玉! (1分42秒) ロング・バージョン
はねるシャボン玉! (3秒)
普通のシャボン玉は、割れてしまうか、くっつくかのどちらかですが、
こんなふうにくっつかずに跳ね返ることもあります。
シャボン玉の科学
ここからは大人の科学です。
アイスキャンディを作るのもいいでしょう。
表面張力
水は表面積をできるだけ小さくしようとする性質があります。
車のフロントガラスや家の窓に付く雨粒。
窓の内側の結露。
冷えたビールの缶やグラスにつく水滴。
みんな玉になりますね。
界面活性剤
一方、洗剤には「界面活性剤」というものが入っていて、仲の悪い水と油を仲良くさせる効果があります。
「親水基」「疎水基」
「親水基」 (水と仲良し) と、「疎水基」 (水と仲が悪い。油と仲良し) の両方を持っている仲介役です。
厳密に言うと、水と油を仲良くさせているのではなく、間に入ってそれぞれの手を持っている感じです。
石鹸や洗剤の主成分です。
鹸化
油にアルカリを加えると石鹸ができますが、これを「鹸化」 (けんか) と言います。
また界面活性剤には表面張力を弱くする働きもあるので、水は玉にならず平面にのびることができ、シャボン玉のような膜を作ることができます。
乳化剤
界面活性剤は、実は食品にも使われていて、食品に使われる場合は「乳化剤」と呼ばれますが、ほぼ同じものだと考えていいでしょう。
牛乳は、まさしく水と油が混ざったものです。
水と油の分子が粒々になって白く光って見えるんですね。
コーヒーに入れるミルクもどきの「コーヒーフレッシュ」
実はミルクは入ってなくて、植物油と水を「乳化剤」で混ぜて白く濁らせているんです。
牛乳のように、「水と油が混ざる」という意味で、「乳化」という言葉を使いますが、牛乳が入っているわけでも、牛乳になるわけでもありません。
ちょっと気持ち悪いですね。
乳化剤が潰瘍性大腸炎などの病気の一因になっているという研究者もいます。
「車の撥水剤」「メガネのくもり止め」
車の窓に、「撥水剤」を塗ると水を弾くのですが、かえって玉になって見にくくなることもあります。
反対に、「親水剤」を塗って水の表面張力を弱くして、水が玉になるのを邪魔して平べったく伸ばす方法もあります。
完全な平面にならず多少なりとも波打つので、若干、見にくくなりますが水玉がくっついて見にくくなるよりマシだろうという考え方です。
メガネのくもり止めもこれを利用しています。
洗剤でも代用できるけど目に入らないようにしてくださいね。
絶対くもらない「くもり止め」はありません(^_^;)
水の凝固点降下
水は普通0℃で凍りますが、不純物が入っていると凍りにくくなります。
洗剤や砂糖が入っていると、水の分子が手をつなぐのを邪魔するんですね。
すると、0℃でも凍らなくなります。
これを「凝固点降下」と言います。
海の水が0℃以下でも凍らないのも、冷凍庫がなかった時代、氷に塩をかけてアイスキャンディを作ったのも、これを利用しています。
塩加減で、マイナス20℃以下まで下げられるそうです。
寒い地域で冬に道路に「塩」を撒くのもこれを利用しています。
「融雪剤」「にがり」
「融雪剤」とか「凍結防止剤」とか呼んでいます。
主成分は「塩化カルシウム」で「塩」といったり、地方によっては「にがり (苦汁) 」というところもありますが、
「にがり」は「塩化マグネシウム」です。
海水から「塩化ナトリウム」を取ったあとに残る、「苦い水」です。
タンパク質を固める働きがあるので、豆腐を作るのに使われます。
タンパク質を固める働きがあるので、直接、大量に摂取することは危険です。
豆腐を食べるくらいなら大丈夫ですよ。
塩化カルシウムにしても、塩化マグネシウムにしても、「塩」の仲間なので車 (鉄) を錆びさせる副作用があります。
解氷剤
車のフロントガラスが凍ったときに使う「解氷剤」がありますがおすすめしません。
アルコールという「不純物」で凝固点を下げて溶かすのですが、アイスキャンディを作るのといっしょで、ガラスの温度を下げてしまいます。
すると、せっかく氷を溶かしてワイパーで水と解氷剤を拭きとったのに、空気中の水蒸気がさらにフロントガラスに凍りつくというもっと悪い状況におちいります。
フロントガラスの外側だけでなく人間が車に乗り込むと、走り出してから人間から出る汗や息がガラスの内側に凍りついて、前が見えなくなるという危険な状況になります。
大量の「ぬるま湯」で溶かし、エンジンをかけてデフロスター (defrost。霜取り) を最強にしてガラスをできるだけ早く温めることが肝腎です。
くれぐれも熱湯はかけないように。水より少しだけ温かいくらいのお湯? にしましょう。
またエンジンをかけたばかりで温まってなくても、空気の方がガラスや車体よりは温度が高いので最強で空気を当ててやりましょう。
気温がたとえマイナス2℃でも、マイナス5℃のガラスよりは温度が高いのです。
シャボン (sabão)
ポルトガル語で「石鹸」の意味です。
ちなみに、「サボテン」は「サボン」+「手」または「体 (てい) 」から作られた言葉だそうです。
英語ではcactusですね。スペイン語ではcactusまたはcactoです。
洗剤がはいってるから小さいお子さんが飲んだりしないように気をつけてね。目にもはいらないように気をつけてね!
ついでに台所の流しで水をつかう実験をやってみよう!
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