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「楽器」「演奏」
人はなぜ楽器を演奏するのか?
音楽や曲が好きならプロが演奏したCDを聞くとか、コンサートに行ってプロの演奏を聞けばいいですよね。
でも、人は自分で楽器を演奏したり、歌ったりしたがります。
もちろんプロのほうがうまいに決まってます。
自分のほうがプロよりうまいなどと思ってる人もいないと思います。
そこには「聞く」のと別の理由があるんですね。
自分で「やる」
これがとても大事なことです。
人の演奏をただ聞くというのは「受け身」です。
自分でやることはありません。
せいぜいリズムに合わせて体を動かしたり、手拍子したりすることくらいでしょうか。
ところが自分で「演奏する」となると、まず楽譜を読むところから始まって、運指をどうするか?
そして、練習。
もちろん一度で弾けるわけがありません。
何度も何度も練習しても、決してプロの領域には届くことはありません。
でも、弦楽器なら手を、管楽器なら口と指を、打楽器なら足も使います。
歌なら口と喉を使います。
記憶した楽譜から、筋肉に司令を出し、的確なタイミングで的確な動作をするんです。
楽器や自分の喉から出た音を耳で聞いて、フィードバックします。
もうちょっと音程を高くとか、音を伸ばすとか、硬い音にするのか、柔らかい音にするのか、ビブラートをかけるのか?
同じように演奏しても、歌っても決して同じ音は二度と出ません。
これが自分で「演奏する」楽しみなんです。
また、自分で演奏すれば、音程やリズムやコードも自分なりにアレンジすることもできます。
車の運転、飛行機の操縦、乗馬なども同じ
一言で言えば
コントロールする楽しみです。
移動することだけが目的なら、人の運転や、公共交通機関を使えばいいんです。
わざわざ自分で運転するのは、自分で「コントロール」するのが楽しいからです。
コントロールするにはかならず
フィードバック
が必要になってきます。
フィードバック
たとえば、あなたがガラスのコップをつかもうとします。
手を伸ばしてコップに触れたら、指を曲げればいいと思いますよね。
そうなんだけど、ただそれだけだと、あなたはまずコップを突き飛ばしてしまうでしょう。
それから、あなたは「つかむ」のではなく、コップを「握りつぶして」しまいます。
ここで大事なのは、コップに触ったとき「今、コップに触ったぞ! 」という情報を受け取ることです。
これをフィードバックといいます。
もし、力が弱ければコップを持ち上げたときにコップが落ちてしまいます。
強すぎればガラスが割れてしまいます。
そこで落ちない程度で、つぶれない程度の指にかかる「圧力」を感じ取り、指の力を微調整します。
これはロボットの開発にとても重要なことです。
運転、操縦
車の運転も闇雲にアクセルを踏んだり、ハンドルを回すのではなく、路面とタイヤのグリップを「感じ取り」それに応じてアクセルを踏んだり、ハンドルを回したりするのです。
乗馬も「馬なり」ではなく、自分の意志で馬を「コントロール」します。
これも闇雲に手綱を引っ張ったりすれば馬が怒って言うことをききません。
馬の様子を見ながら、でも馬の言いなりにはならず、馬が動きやすいようにして自分の思う方向に、思う速さで走らせるんです。
楽器の演奏も一緒です。