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「ガン」「難病」
身近にガンであることを宣告し、自分が世界一かわいそうな人なんだから、憐れんでくれという人が増えたので書きます。
ガン =「不治の病」は過去のこと
むかしは「ガン=死」という図式がありました。
死刑宣告みたいなものです。
自分の意志に関係なく、あと〇〇カ月で死ぬ。
それから逃れる手はない。
でも、なにか忘れてませんか?
すべての人はいまこの瞬間にも死ぬかもしれないのです。
だれもあと30年は生きるという保証などもらわずに毎日を過ごしているのです。
みんな自分の意志に関係なくいつか死ぬ運命にあります。
それから逃れる手はありません。
しかも、ほとんどの人はあと何カ月で死ぬのか知らされていません。
たとえ明日死ぬ運命にあっても知らされません。
いや、文字どおり「瞬く間」いまこの「瞬間に」命を落とす運命でも知らされることはありません。
いつかはかならず処刑される死刑囚なのに、いつ処刑されるのかわからずに毎日暮らしているようなものです。
ガンの宣告のようにあるていど期日を予告されるものとちがい、事故はとつぜんやってきます。
無罪放免になることはけっしてなく、すべての人が死刑執行されます。
早いか、遅いかのちがいだけで。
ガン患者はある程度身の回りの整理とか、残す家族のためにできることもあるでしょう。
でも、事故死はなんの準備もないままとつじょ終りを迎えます。
あなたがいまこの記事を読んでいる瞬間に心臓が止まるかもしれません。
隕石や飛行機があなたの上に落ちてくるかもしれません。
とつぜん強盗が押し入りあなたの心臓を包丁で刺して殺すかもしれません。
それらは突飛なことで確率は低いかもしれません。
しかし、あなたは自分にはけっして関係ないと思っている自殺で死ぬかもしれないのです。
20~39歳までの死因のトップは「自殺」!
20~39歳の人の死因のトップが「自殺」なのになぜだれも騒がないのでしょう?
不慮の事故まで入れると、15~39歳までトップです。
40~49歳でも、第2位です。
90~99歳は「心疾患」が1位。
2位は「肺炎」です。
現在、コロナウイルスで騒いでいますがもともと「ふつうの」肺炎の死亡者はとくに高齢者に多いのです。
コロナウイルスがとくべつではありません。
ガンは3位。
さらに100歳以上になると「老衰」が1位。
ガンは5位にまで下がります。
まあ、100歳以上まで生きる人はなかなかいないけど。
40~89歳までの死因のトップが「ガン」です。
ガンは死因の一つに過ぎない
少なくとも日本では2020年現在、死因のトップになっています。
とくに高齢になればなるほどその割合は高くなっています。
でも、すべての人がガンで死ぬわけではない。
the mortal 死すべきもの
西洋ではむかしから「人間」のことをこう呼びます。
人はかならずいつか死ぬ存在なのです。
人だけでなく生きるものはすべて。
生きるものだけでなく、すべてのものはいつか終わりが来ます。
永遠のものなどありません。
この宇宙でさえも。
ブッダの世界に近いです。
難病
「不治の病」といえば現在これです。
おじさんも難病指定を受けています。
難病の定義
- 原因がわからず治療法が確立されていない。
- 生涯「治る」見込みはない。
- 症例が少ない。
潰瘍性大腸炎
おじさんは2012年に「潰瘍性大腸炎」と認定されてからずっと薬を飲みつづけています。
しかし、それはあくまで炎症を抑えるための薬で、治す薬ではありません。
しかも、薬を飲みつづけても悪くなるときはなります。
つまり、薬を飲みさえすれば症状が抑えられるというものではありません。
飲まないよりは、飲んだほうがいいのかな?
ほんとに効いているんだろうか?
自分の体で人体実験はしたくないけど、症状が悪くなったとき、「薬を飲んでも飲まなくても変わらないんじゃないの?」と思います。
ひどくなるとプレドニンという免疫抑制剤を飲まされますが、免疫を抑えるので「ほかの病気にかかりやすくなる」という至極当然の副作用がつきます。
いったい何のための薬なのか?
QOLの低下
Quality of Life (生活の質)
大腸炎は肛門から小腸の手前まで炎症を起こし、出血を伴うものです。
口から肛門すべての消化器に炎症を起こすものにクローン病があります。
症状が悪化したときは、痛みがあるし、つねに出血する。
なんどもトイレに行きたくなる。
トイレに行っても、排泄物はなく、粘液と血液が混じったものとガスが出るだけ。
排便に痛みも伴います。
でも、トイレから部屋にもどるとまたすぐトイレに行きたくなります。
1日24時間1年365日下痢をしていると思ってもらえればいいです。
ガスだけかな?と思っても、粘液と血液が出てしまいパンツを換えなければなりません。
ひどい人は1日に40~50回もトイレに行くようになります。
おじさんも10回を超えると何回行ったのかわからなくなります。
もうそんなことどうでもいいですけどね。
とにかくトイレに行かずにいられる時間がほしい。
もはや、トイレにいくというよりも、トイレに座っている時間のほうが長くなります。
トイレに行くのがつらいので「食べなく」なります。
ただでさえ下痢状態で栄養が吸収できずに排泄されてしまうところに、食べないので当然、体重はどんどん減っていきます。
おじさんも高校生くらいから体重が変わらず、ずっと57kgくらいで変化なかったのに、大腸炎になってどんどん体重が減っていき、入院したときは49kgにまでなってしまいました。
そのときはほんとにこのまま死ぬのかな?と思いました。
そして、食べなくても便意や痛みがなくなるわけではありません。
なにも内容物がないのに便意だけあり、粘液と血が出るとかえって肛門が痛い気がします。
内容物がないので自分の直腸を排出しようとする力が働いてしまうからでしょうか。
下手すると脱肛ですね。
食事制限
症状がひどくなると、大腸の表面が傷ついてるから傷つけないようにという「物理的な」理由で処置が取られます。
口にしてはいけないもの
アルコール
アルコールは小腸で大部分が吸収されるので大腸には関係ないはずです。
飲みすぎればよくないのは大腸炎にかぎらずふつうの人でもおなじです。
お医者さんに理由を聞いたけど明確な返答は得られませんでした。
アルコールが直接、大腸に影響するわけではなさそうです。
血流が増すからいけないという返事でした。
要するに腸の表面が損傷していて出血しているから、血流が増えれば出血が増えるだろうということらしいです。
ということは、入浴も、運動もよくないですね。
繊維質
カンタンにいうと生野菜はダメです。
これも物理的に「繊維」は消化されないので腸の表面を傷つけるということです。
レンコン、ゴボウ、タケノコなんてもっとも悪い食べ物です。
惣菜や、弁当にこれらがはいっていると、食べたいけどそっと売り場にもどす。
この気持わかりますか?
油
揚げ物、炒めもの、とにかく油っこいものはダメ。
肉野菜炒め、生姜焼き、天ぷら、エビフライ、コロッケ、メンチカツ、トンカツ、ラーメン、ドーナツ🍩…
香辛料
唐辛子やワサビ、ショウガは言わずもがな。
カレーライスなんてとんでもない。
寿司はサビ抜き、ざる蕎麦のつけ汁にもワサビは入れません。
コショウもダメです。
目玉焼きも塩だけ。
もっというと目玉焼きは油で焼くのでダメですね。
食べるなら生卵か、ゆで卵🐣
これも、物理的に腸の表面を傷つけるからです。
食べられるもの
うすい塩味のうどんだけ。
もちろん唐辛子禁止。
油を使わない茹でたものだけ。
炊いた白米も消化が悪いので、悪化したときには食べられません。
不思議なことにまだパンのほうがいいようです。
入院したとき
重症とまでは行かないけど症状が悪化して2週間入院しました。
最初の2日は48時間点滴だけ
つまり、2日間はなにも食べることができず、飲むこともできず、点滴で栄養分も水分もすべて補給するのです。
夜中も看護婦さんが来て点滴の袋を交換します。
まあ、昼、夜関係なくしょっちゅうトイレに行くので寝てられないですけど。
ベッドにもどるのがめんどうなので、ずっと便器の上に座っていたいくらいです。
3日目から
重湯
お粥でさえない。
ご飯をお湯でといて、その白く濁った液体だけ。
米粒は一切なし。
4日目
お粥に米粒らしきものが数粒。
飲むのはエレンタールという、経口栄養剤。
胃瘻にも使えるものです。
そのまずさといったら青汁の比ではないです。
しいていうなら「人の汗」を飲んでる感じ。
固形物をいっさい口にしていないのだから便が出るわけがない。
でも、大腸炎の辛いところは、四六時中トイレに行きたくなることです。
もちろん行ってもなにも出ません。
相変わらず、血の混じった粘液とガスが出るだけです。
でも、肛門は疲弊します。
傷みます。
肛門が疲弊するので、ちょっとでも直腸から肛門近くに「固形物」ではなく「血の混じった粘液」が降りてくると、便意を催しトイレに行きたくなります。
排泄物が「固形」だから肛門は我慢できるので、「液体」だと我慢できません。
なんども排泄することによってよけい肛門は傷つき、くたびれます。
もう、ちょっとでもなにか降りてきたらさっさと出てけって感じで便意を催し、我慢できません。
だって、肛門の筋肉疲労なんだから。
我慢すればいい?
上にも書いたようにずっと下痢とおなじ状態です。
我慢できません。
ガスだと思えば、かならず粘液が出てしまいます。
外出できない
1日中トイレから離れることができません。
悲しいかな。
家にいて、トイレのすぐ近くにいても、間に合わないことがあります。
バスの社員旅行なんてムリです。
トイレに行っとけばいい?
ほんとに理解がありません。
だから、下痢の状態だといってます。
1回トイレに行っとけば1時間くらいは行かなくてすむものならだれも苦労しません。
トイレでお尻を拭いて立ち上がったらまた便意を催します。
トイレから出られません。
最終的には大腸摘出
1日に40回もトイレに行くようになるともはや社会生活どころか、日常生活も送れません。
最終的には大腸を摘出して、人工肛門をつけることになります。
じっさいにその手術をした人は、1日40回もトイレに行ってたときのことを考えると楽になったといいます。
1日3回トイレに行って、排泄物を処理すればいいだけだから。
入浴もできるそうです。
でも、プールや海に子どもといっしょに行くことはできませんね。
潰瘍性大腸炎の人の寿命はふつうの人と変わらない?
そりゃそうです。
だって5年くらいして、大腸ガンに移行すると、死んでも死因は「ガン」に入れられてしまうから。
表向きには大病を患っているようには見えない
これがつらいですね。
経口栄養剤などないときは栄養が取れなくなり死んでいたでしょう。
いまは炎症を「ある程度」抑える薬とか、栄養剤があるのですぐ死ぬわけではないし、死なない程度に栄養を取ることができます。
なので、見るからに衰弱していまにも死にそうというようには見えません。
全身から血が吹き出ていればいいのに
つねに体の表面から血を吹き出していたら、みんな
「大変だね」
「大丈夫?」
といたわってくれるのでしょうが、大腸の中で出血していて、トイレで血を流してもだれも見ないのでわかりません。
紫色になった便器を見せればわかってもらえるのでしょうか?
なので、他人は「大袈裟に言ってるだけだろう」とか「仮病なんじゃないの?」とかいいます。
じっさい言われました。
酒は1滴も飲んでないのに「飲み過ぎだろう!」と会社の社長に言われ、説明しても理解してもらえずけっきょく会社をやめました。
治療法、対処法がないからこそ難病
上に食事制限のことを書いたけど、酒をやめて、生野菜を食べず、油ものを食べず、味付けは塩味だけにしても治りません。
酒をやめただけで治るなら我慢します。
でも、何をしても治らないんです。
治らないどころかすこしもよくなりません。
ガンは治る病気
むかしは不治の病といわれ、死刑宣告に等しかったけど、いまはちがいます。
おじさんのまわりにも何人もガンを宣告され治療や手術を受けた人がいるけど、はっきりいっておじさんより元気です。
なにかあると「あんたにガン患者の気持わかる?」というけど、それならあなたに聞きます。
あんたに難病患者の気持わかる?
おじさんは自分の例として潰瘍性大腸炎をあげたけど、難病はたくさんあります。
そして、それらはガンとちがって「死ぬまで治りません」
死ぬまで苦しみつづけます。
そして、「ガン」という切り札とちがい、「難病」ってカード出しても、「甘えてんじゃねえよ」と切り捨てられるだけ。
生活に様々な制限を設けられ、それを守っても治りません。
よくもなりません。
ガンになったとたん、水戸黄門の印籠か、免罪符でも手に入れたかのように、
「自分はかわいそうな人なんだ」
「自分はこの世のだれよりもつらい思いをしているんだ」
「だから、みんなはわたしのことを大事にしなさい」
「わたしが我がままをいっても、みんなわたしのいうことを聞きなさい」
「だってわたしはガンなんだから」
などというのはやめなさい。
あなたよりつらい思いをしている人はいくらでもいるから。
ガンの治療はつらい?
いえいえ、ほかの病気の治療をあなたは知らないだけです。
放射線治療だけがつらいわけじゃありません。
もっとつらい治療、そしてそれをしても治らない病気は山程あります。
自分だけを悲劇の主人公にするのはやめましょう。
人は生まれたときから「老い」と「死」に向かって歩きはじめている
生まれてすぐ死ぬ人もいます。
お産のときに死んでしまうことも、お腹の中にいる間に死んでしまうことも。
健康で何の問題ない人でも、事故やケガ、はたまた犯罪に巻きこまれ、いつ死ぬかわかりません。
これも何人も見ています。
朝、元気で挨拶した人が、事故で昼には亡くなっている。
あっけないです。
あなたがかりにガンで余命3カ月を宣告されたとしても、いまこの瞬間にあなたより若い人が何人も死んでいることを理解しましょう。
あと3カ月生きられるあなたはまだ幸せです。
もちろんあなたもガンではなくほかの原因で死ぬ可能性はいくらでもありますよ。
それに余命宣告は当てになりませんしね。
それより早く死ぬ人もいれば、何年も生きつづける人もいます。