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「モンゴル」「乗馬」「ガイド」「行方不明」
ガイド行方不明!
1週間ほどかけて草原を馬で移動する旅。
そろそろ終わりというころ。
通訳がいなくなるという事件が!
現地の遊牧民だけ
ツアーの構成はこんな感じです。
馬でいっしょに歩く現地の遊牧民と、日本語が話せるモンゴル人のガイド。
そして食糧やテントを運ぶ車の運転手とコックさん。
遊牧民のバイラーは若い男の子。とうぜん日本語はわかりません。
通訳はモンゴル人だけど日本語ペラペラの、そしてキャピキャピの女の子、オヨーさん。
運転手はモンゴル人のオギーさん。
コックさんは学校の先生だけど夏休みだけバイトをしているゲレレーというおばさん。
その日、どうしてそうなったのか忘れてしまったんだけど、ゆいいつ日本語がしゃべれるガイドのオヨーさんは車で移動することになり、お昼の休憩場所で落ちあうことになりました。
なので同行はまったく言葉が通じない現地の遊牧民のバイラーだけ。
でも、それまでの行程でお昼には合流できることを疑うこともなく草原のトレッキングを楽しんでいました。
車がいない!
いつもなら先に着いてお昼の用意をしている車がいません。
バイラーとは言葉が通じません。
しばらく待っていたけど車が来る気配がありません。
ガイドを探しに行ってもらう
おじさんは少しだけモンゴル語を勉強していました。
1回めの旅行で現地の人とモンゴル語でコミュニケーション取れたらいいなと思っていたからです。
モリハルマールバイン
しかしモンゴル語ペラペラになるまで勉強したわけではありません。
それならガイドは必要ないですからね。
なんとか「車 (ガイド) を探してきて」「ガイドはどこにいるの? 」ということを伝えたかったんです。
そのとき浮かんだのがこの言葉
「モリハルマールバイン」
直訳すると「馬が見たいな」です。
なんのことやら?
「トイレに行きたい」の遠まわしないいかたです。
日本で言ったら「お花摘みに行ってくる」「キジ撃ちに行ってくる」です。
ゲルで生活している人にとって「馬を見に行く」→「外に出る」→「トイレに行く」ということです。
ほんとに使われるのかどうかは定かではありませんがこの言葉を覚えていました。
もう1つ「モリハラードイリェー」というのがあり、こちらは「馬を見てこよう」です。
それから「オーチラーレイ (ごめんなさい) 」
フレーズから文章を合成する
「アール」は「~したい」
「ェー」は「~しよう」
「モリ」は「馬」
「ハラフ」は「見る」
「ハルマール」で「見たい」
「ハラード」は日本語の「てにをは」に似ていて「見て」
「イレフ」は「来る」
「アーレイ、エーレイ」は「してください」
そして作られた文章がこれ!
「オギー ハラード イレーレイ」
「オギーさんを見てきて」という意味です。
もちろん「探してきて」という意味です。
これを聞いたとたんバイラーは馬をすっ飛ばしていきました!
どうやら通じたようです。
しかし見つからなかった
しばらくしてバイラーがもどってきたけど見つからなかったようです。
ザー ヤウヤー!
今日はトレッキングの最終日でテントでない施設に泊まることを聞いていたのでそこまで通訳のガイドなしで行くことを決めました。
バイラーはその場所を知っているはずです。
「ザー ヤウヤー! 」
これも1回めの旅行で覚えた言葉で「さあ行こう! 」です。
そこでバイラーが動かなければ場所を知らないか、ここにとどまるよう指示されているかです。
バイラーは歩きはじめました!
馬の牽引
これまたどうしてこうなったのか忘れてしまったんだけど、通訳のガイドが車で移動するため、乗っていた馬が余ってしまいます。
その馬をどういわけか、おじさんが引いていくことになりました。
自分で馬に乗りながら、もう1頭の馬の手綱を片手で引く。
これは想像以上に大変です。
馬はそもそも人間なんか乗せたくないし、歩きたくもありません。
片手で自分の馬を歩かせながら、もう一方の手で歩きたくない馬を引っぱる。
いま思うとなんでバイラーが馬を引かなかったのかな?
う~ん。もう1頭いたような…
でも、こんな経験2度とないでしょう。
吹雪!
おまけに途中からとつぜん吹雪になりました!
8月だというのに。
通訳はいない。
これからどこへ行くのか、どれくらいかかるのかわからない。
通訳や車と会えるのかもわからない。
片手で重い馬を引きながら、横殴りの吹雪!
とてつもなく長く感じたけどじっさいに歩いたのは1~2時間ではなかったかと思います。
目的地らしきところに着きました!
建物があり人がいるところ。
さっきまでの吹雪もやんで、うそみたいにいい天気。
再会
しかし依然、通訳と車は現れずこの先どうしたものか?
このままモンゴルで砂塵に埋もれてしまうのか?
なんて大げさな考えまで浮かんできます。
しばらく地べたに座っていると子どもがやってきました。
言葉はわからないんだけど何やら手招きしているようです。
「何? 物乞い? 客引き? 」と思いました。
でも、他にあてもなく、することもなくついていってみることにしました。
すると機材車が停まっていました!
そしてめでたく通訳ガイドのオヨーさんと運転手のオギーさんに会うことができました!
車の修理
あとで聞いた話では、車が故障して修理していたとのこと。
しかし、明らかなまちがいは通訳が同行せずに車に乗ってしまったこと。
彼女は携帯電話を持っていたので会社に電話するように要求しました。
会社は日本人がやっています。
このことを言わない訳にはいかないと思ったんです。
とうぜん彼女は渋りました。
「会社に報告するんですか? 」
なぜかお礼の言葉を
とうぜん文句の1つも言うつもりで電話したんだけど、こうして無事に再会できたんだし、この1週間の旅のことを思い出すとなぜかお礼の言葉を口にしていました。
「ガイドも運転手もよくやってくれました。おかげで楽しい旅行でした」と。
モンゴル乗馬 ~ 遊牧民と大草原トレッキング