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「永年減速」「月」「地球」「停止」「潮汐力」「角運動量保存の法則」「ローラーゲーム」
月がいなくなり、地球は止まる!
地球は月を加速する!
潮汐力 (ちょうせきりょく)
地球は月の潮汐力で海が盛り上がっています。
よく見るのはこんな絵です。
左の黄色の丸が月で、右の薄茶色が地球。
「O」は地球の中心です。
そして、水色が海です。
月に引っぱられて海水が盛り上がってるという説明です。
月に面した海水が盛り上がるのはわかるけど、これでは地球の裏側の海水も同じように盛り上がる理由がわかりません。
地球と月の大きさ、それから距離はデフォルメしてるけど、問題はそこではありません。
共通重心を回る
じっさいには下のアニメーションのように、地球と月の「共通重心 (G) 」のまわりを回っています。
月の南中≠満潮
このアニメーションを見てもわかると思いますが、「月の南中」と「満潮」は一致しません。
おじさんはじっさいに、夜の砂浜にずっと座ってたことがありました。
潮が満ちたり引いたりするんだけど、おかしなことに気がつきました。
満潮になったときに、月は真上ではなく45度くらい傾いた高さにあったんです!
当時はその理由がわかりませんでした。
月はあなたが思ってるよりずっと大きい!
月は地球の「衛星」で、地球のまわりを回っていると習いますね。
じっさいはこんな感じです。
月の直径は地球の27%。
1/4より大きいんです。
黄色いボールが月です。
もう一回り大きいですね。
だから地球と月は「親子」というより、だいぶ歳のはなれた「兄弟」くらいに思ってください。
地球も月に振り回されてる!
地球の中心が宇宙の一点にピン留めされていて、月がそのまわりを回っているのではありません。
地球と月の「共通重心」のまわりを、地球と月が回っています。
ハンマー投げの選手をイメージしてください。
選手はハンマーを振り回すけど、選手もハンマーに振り回されていますね(^^)
共通重心は地球の内部にあります。
共通重心は地球の半径の3/4!
地球の半径は約6400km。
共通重心は地球の中心から4600kmのところにあります。
じつに中心から3/4も外側にあるんです。
地球も相当振り回されています。
遠心力
潮汐力はわかりにくいですが、地球の中心がピン留めされているのではなく、共通重心のまわりを回っていることがわかれば、月の反対側の海の水は遠心力で外側に膨らんでいると考えれば理解しやすいのではないでしょうか。
地球は月に向かって落ちている😮
もし月がなければ、地球は太陽の引力だけを受けて宇宙空間を進みます。
でも、月があることによって、月に引っ張られ、月の方向に進路を曲げられます。
これは地球に引力がなければ、投げたボールはどこまでもまっすぐに飛んでいくのに、じっさいには地球の引力に引っ張られて地面に向かって曲がり、いずれ地面に落ちるのとおなじことです。
ボールをものすごく速く投げると、地面に落ちたいのに、地球は丸いので地面に着くことができず円運動をして飛びつづけます。
こう考えると、海水が反対方向に伸びているのではなく、海水も地球も月に向かって落ちているということがわかります。
だから月に近い方の海水はより強く月に引っ張られ、遠い方の海水は取り残され、その中間の地球は海水の中を月に向かって落ちつづけているのです。
これなら、月の反対側の海水が盛り上がっている理由がわかりますね。
遠心力とか潮汐力などというわかりにくい理屈を持ち出すまでもありません。
万有引力の法則 (ばんゆういんりょく の ほうそく)
盛り上がった海の部分の重み (質量) で月はいつも地球に引っ張られて、「前へ前へと」加速していきます。
地球の自転のほうが速い
引っ張られるのは、地球の自転のほうが、月の公転速度 (地球を回る速さ) より速いからです。
地球は24時間で1回転しますが、月はその名のとおり1カ月 (30日) かけて地球を1周します。
月の公転周期は27.3日
地球はその間、太陽のまわりを1カ月分進むので、360°の1/12、30°くらい進んでしまいます。
だから、月の満ち欠けは29.5日になります。
満潮 (海が盛り上がった部分) が月より前にあるわけ
海の水は地球の岩の塊の表面に貼りついていますが「摩擦」があります。
平らでも摩擦があるけど、地球には大陸があり、海底も凸凹なのでさらに摩擦と抵抗が大きいです。
海の水は月のほうを向きたいんだけど摩擦力があるのですぐに月のほうに移動することができません。
それで地球の自転に引きずられてつねに月より前にあることになります。
月は地球から離れていく!
遠心力 (えんしんりょく)
月が地球のまわりを回る速さが速くなると、遠心力が大きくなるので地球から離れていきます!
これはむずかしい物理の話ではなく、あなたが自分の足で走ったり、自転車、バイク、車などで走ったりするときも、スピードが速くなると旋回半径が大きくなるのでわかりますね。
レースでは「ふくらむ」という表現をします。
コーナーの進入速度が速すぎると曲がりきれずにコースアウトしてしまいます。
反対にスピードを落とすと、小さく回れます。
角運動量保存の法則 (かくうんどうりょう ほぞんのほうそく)
さらに月などの星は、人や車とちがって、自分の足やエンジンの力で前進しているわけではないので、引力と遠心力が釣りあうために、矛盾してるようだけど、地球から離れると回転速度は遅くなります。
フィギュアスケートの選手
ジャンプの回転やフィニッシュでスピンするとき、スケートの選手はできるだけ足を体の中心の軸に寄せ、両腕も畳み込みます。
すると、ものすごいスピードで回転します。
そして、両腕、両足を開くと、止まります。
あれはまさしく「角運動量保存の法則」を利用した技です。
おそらくスケートの選手はそんな言葉は知らないと思いますが(^^)
下に紹介するのは、ベルリンにある技術博物館の遊具、いや実験装置です(^^)
疑似スケーター実験
ブラックホールの模型
旋回半径が小さくなると、回転がどんどん速くなるのがわかりますね✌
技術博物館 (ベルリン) Science Center Spectrum~ちょっとした遊園地かも
そしていつか月はいなくなる!
月は毎年、数センチずつ地球から遠ざかっています。
地球の引力からはなれた月は、太陽に吸いこまれてその生涯を閉じるでしょう。
むかしの月は大きかった!
月がどんどん地球から離れていくということは、時間をさかのぼると、むかしの月はもっと地球に近いところを回っていたことになります。
しかも、角運動量保存の法則で、地球に近ければ近いほど速く回らなければ地球に落ちてきてしまうので、今より速く地球のまわりを回っていたことになります。
ひと月が、30日ではなく、25日とか、20日とか。
月は地球からちぎれたのか?
むかしはこういう説もありました。
月がどんどん地球から離れているということはむかしはもっと地球に近かった。
突きつめると、もともとは地球にくっついていたものが、遠心力で一部がちぎれたと。
でも、もしそうなら地球と月は今の形にならずに、もっとバラバラに散らばってしまっただろうということでこの説は却下されました。
他にも、どこからかやってきた月が地球の引力に捕まったという説もありました。
ジャイアント・インパクト説
今は、この説が一番もっともらしいとされています。
天体が地球に衝突して、その一部がもぎ取られて月になったという説です。
地球の自転は遅くなる!
地球が月を加速しているということは、月にエネルギーを与えているので、反対に地球は減速していきます。
むかし「ローラーゲーム」というのがありました。
ローラースケートをはいた選手が、他の選手の手を引っぱって前に放り投げると、自分は失速します。
地球はこれと同じことを、月に対してやっているのです。
それも1分1秒、1日24時間、1年365日ずっと。
地球の自転が遅くなるのは、潮の満ち引きによる摩擦もあります。
こうして、地球の自転はすこしずつ遅くなり、1日はすこしずつ長くなっていきます。
むかしの1日は早かった!
ということは、時間をさかのぼると、むかしの地球はもっと速く自転していて、1日が今より短かったということになります。
1日が24時間ではなく、20時間とか。
人間を暗闇で生活させると25時間周期で寝起きするようになるという話がありますが、むかしは1日がもっと短かったので地球の自転とは関係ありませんね=^^=
むしろ反対です。
やがて地球の自転は止まる!
こうして月を加速し潮の満ち引きでエネルギーを奪われ、地球の自転は減速していき、月の公転速度とおなじ速さになったときに安定します。
つまり、地球も月とおなじように月にいつもおなじ面を向けたまま回るようになるのです。
公転周期と自転周期がおなじになる!
まず月といっしょに
つまり月の公転周期と、地球の自転周期がまったくおなじになるのです。
それまで月が地球のまわりを回っていればの話ですが。
安定する前に月が地球の引力圏をはなれて宇宙の彼方に消えてしまい、地球はひとりぼっちになってしまうかもしれません。
つぎに太陽といっしょに
月による潮汐力はなくなるけど、太陽の潮汐力は残り、いつかは回るのをやめてしまいます!
それはエンジンのついてないコマがいつか止まるのようなものです。
厳密には1日24時間、1年365日、太陽におなじ面を向けつづけることになります。
月が地球にしていたように。
地球も月とおなじように質量の分布が一様ではないので、重いほうが太陽に向くようになります。
ほっといてもいつかは止まるんだけど、月を加速しつづけることと、海水との摩擦で、より多くのエネルギーを失って減速が早まります。
だから厳密にいえば自転が止まるのではなく、地球の公転周期と自転周期がおなじになるということです。
現在の状態でいえば、1年365日で太陽のまわりを回り、1年365日で1回自転するということです。
1日が1年365日といったほうがわかりやすいかな。
地球から見ればある場所では永遠に太陽が出ていて、ある場所では永遠に太陽が見えないことになります。
月の裏側のように。
灼熱地獄と極寒地獄
地球が止まると、いや止まる前に、自転が遅くなると昼間も夜も長くなるので、日が当たってる間はどんどん気温が上がり、夜になるとどんどん気温が下がるようになります。
日なたは灼熱地獄、日かげは極寒地獄になります😨
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