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「黒白二鼠」「ブッダ」「仏説譬喩経」「はちみつ」
黒白二鼠 (こくびゃくにそ) のたとえ
旅人がさびしい荒野を真っ暗闇の中、歩いていると虎が現れました。
旅人は必死に逃げましたが断崖絶壁に追い詰められてしまいました。
ふと見ると崖っぷちの松の木から藤蔓が垂れているではないですか!
旅人はとっさに藤蔓につかまって目の前の虎から逃げることができました。
でも、断崖絶壁に宙吊りになったままです。
「まあしばらくここにいて、虎がいなくなったら登ろう」と思ったのも束の間、下を見て心臓が止まりそうになりました。
断崖絶壁のはるか下には龍が口を開けて旅人が落ちてくるのを待っていたのです!
とりあえずここにいれば虎にも龍にも食われないと思ったら、今度は上で「カリカリ」という音が聞こえます。
上を見ると2匹のネズミが藤蔓をかじっているではありませんか!
藤蔓が切れるのも時間の問題です。
絶体絶命のピンチ!
そのとき旅人の口に甘いものが落ちてきました。
木の枝に蜂の巣があって「ハチミツ」が垂れてきたのです。
旅人は、上には虎が待ち構えていて、下には龍がいて、ぶら下がってる藤蔓はネズミがかじっているという状況も忘れて「ハチミツ」の甘さに酔いしれるのでした。
旅人
あなたです。
暗闇の荒野
「無明」
「無明」は視覚的に「暗い」ということではなく、あなたが「知らない」「気づいていない」という仏教用語です。
あなたが何もわからず手探りで歩いている様を「暗闇」にたとえています。
おまけに荒野です(^_^;)
🐯虎
「無常」の象徴
崖
「人生」
あなたが永遠に続くと思っているあなたの束の間の「人生」
明日も続くと思っている「日常」です。
藤蔓 (ふじづる)
あなたの「寿命」
🐲龍
「死」
🐭2匹のネズミ
昼と夜の時間を表します。
白いネズミは昼の時間。
黒いネズミは夜の時間。
2匹のネズミは容赦なく、また休むことなくあなたの寿命を確実に削っていきます。
🍯 ハチミツ
あなたの欲望です。
食欲、睡眠欲、色欲など。
欲に翻弄される人間
あなただけでなく、すべての人、すべての動物は生まれた瞬間から「死」に向かって歩きはじめます。
かならずいつかは死にます。
みんな、なんとなく平均寿命の80歳くらいまでは生きると思ってるけど、今これを読んでる瞬間に死ぬかもしれません。
健康で体に何の問題もなくても犯罪や不慮の事故で死ぬこともあります。
でも、人々はそんなことは「忘れて」、いやそんなこと「考えたこともなく」いま目の前にある「欲望」を貪って生きています。
これでいいのだ!
説教くさい話ではありません。
ペシミスティックな話でもありません。
「あなたが明日死ぬかもしれない」ということに気づいたとしてそれを止めることはできません。
遅らせることもできません。
また、あなたは終わりの時期を知ることもできません。
あなたは虎を追い払うこともできないし、龍に消えてもらうこともできません。
藤蔓をかじる2匹のネズミも追い払うことはできないのです。
今この瞬間かもしれないし、50年先かもしれないけど、2匹のネズミはかならず藤蔓を噛みきって、あなたは海に落ちて龍の餌食になります。
今のうちにハチミツを味わっておきましょう。
ただ、あなたが永遠だと思ってる日常、そしてあなたの寿命は藤蔓みたいに頼りないものだということは頭の片隅に置いておきましょう。
あなたはそれに執着することなく、いつでも「手放す」心構えをしておきましょう。
花はすぐ散るのに咲く
「どうせ散るんだから咲いてもしょうがないじゃないか」とはいいません。
人も「どうせいつか死ぬんだから生きててもしょうがないじゃないか」とはいいません。
「パパと呼ばないで」のオープニングが好きです。
〽花はなぜ咲くの いつか散るのに…
明日、死んでもいいように
80歳くらいまでは生きると思ってても、死は突然やってきます。
あなたの気持ちとか、予定とかいっさい関係ありません。
いつ死んでもいいように、今日を、今を生きましょう=^^=
「明日」と書いたけど、「今この瞬間」かもしれません。
ただ、あまりに「有意義に」を考えすぎると苦痛になります。
ほとんどの毎日は「何となく」終わってしまうことが多いからです。
大袈裟に考えすぎずに、でも心の中に「いつかは必ず死ぬ」「それは明日、いや今日、いまこの瞬間かもしれない」ということをとどめていれば少し生きかたが変わるのではないでしょうか。
仏説譬喩経 (ぶっせつひゆきょう)
このお経に載ってる話として有名ですが、出典によって話はいろいろ変わります。
ちがうパターン
虎ではなく象という話。
崖ではなく井戸。
藤蔓ではなく木の根。
下で待ちかまえるのは龍ではなく蛇、あるいは龍の数が3匹。
井戸の壁にも4匹の蛇がいる。
ハチミツではなく、藤の花の蜜。
もともとはインドのお話だから
ブッダ (お釈迦さま) はインドの人です。
人間です(^^)
ブッダの人となりについてはこちら↓
ブッダの話 (お経) にはよく象が登場します。
中国人がインドの仏教の経典を中国に持ち帰るとき、中国では象はあまり馴染みのないものなので虎に変えられたのでしょう。
龍も中国の想像上の生き物なのでもとは蛇であったと思われます。
龍の数が3匹になったのは、仏教の「三毒 (貪瞋痴) 」を象徴するためです。
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