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「漢字」「カタカナ」「ひらがな」「数字」「アルファベット」
日本は「漢字」「カタカナ」「ひらがな」「数字」「アルファベット」の5種類の文字を使う特殊な国です。
複雑な反面、うまく使えば文章がとても読みやすくなります。
漢字にしたほうがいい例
わたしはがっこうへいきました。
→私は学校へ行きました。
文章全体を読むまえに「私」「学校」「行」という漢字が目に飛びこんできてだいたいの話がわかってしまいます!
ははははなしました。 (なんのことやら? )
→母は話しました。
がが飛んできた。
→蛾が飛んできた。
はとととけい。
→鳩と時計。
漢字は1つのかたまりと認識する
漢字は「学校」「病院」「食事」「運転」などのように「名詞」のかたまりであることがほとんどです。
それから「行く」「食べる」「見る」などのように、「動詞の語幹」でうしろの活用が「~ました」「~よう」「~ろ」「~ますか? 」などと変化しても、「動作」じたいは漢字を見ただけでわかります。
上の例のように、文章から漢字だけを取り出してもだいたいの意味はわかります。
「私」「学校」「行」で
「私は学校に行く」ことがわかります。
もちろん最後の動詞は「行きました」「行きます」「行きませんでした」のように変わるけど「行く」ことはわかります。
またこの文なら「私」がついているので、「行きましょう」「行け」「行きますか? 」などはありえません。
漢字は主張が強い!
たとえば、このような2つの文。
「がっこうへ行きました」
「学校へ行きました」
ひらがなで書かれた「がっこう」は主張が弱いので文章の中に埋没してしまいます。
上の例では「行きました」のところだけが目にはいり、記憶に残ります。
いっぽう「学校」と漢字で書かれたものはすぐ目に飛びこんできて、記憶に残ります。
ひらがなはぜんぶつながってしまう
見出しをあえて、ぜんぶひらがなにしたけど読みにくいでしょう。
「全部」はあまり使いたくない漢字だけど時と場合で、こういうときは漢字にしてやることで切れ目がわかるようになります。
「ひらがなは全部つながってしまう」
これなら読点を打たなくても読めます。
こどもの絵本が読みにくいわけ
「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんはやまにしばかりにおばあさんはかわにせんたくにいきました」
子ども向けの絵本、昔話によくこんな文章が出てきます。
まだ漢字が読めない子どもや、外国の学習者はしかたありません。
でも、全部ひらがなにするとどこまでが一つの単語で、どこが文章の切れ目なのかわかりません。
読点 (、) を打つ
たとえば上の文章ならこのように。
「むかしむかし、あるところに、おじいさんと、おばあさんがいました。
おじいさんは、やまに、しばかりに、おばあさんは、かわに、せんたくにいきました」
読点を打って、さらに句点 (。) のあとは改行します。
こうすると単語の切れ目がわかるので読みやすくなるのですが、読点が多すぎても「うるさい」感じがします。
分かち書き
そこで、もう1つの方法として分かち書きというのがあります。
要するに英語などアルファベットを使う国での書きかたですね。
「むかしむかし あるところに おじいさんと おばあさんがいました。
おじいさんは やまに しばかりに おばあさんは かわに せんたくにいきました」
こうすると単語の切れ目がわかるので読みやすくなります。
漢字にすれば
「昔々あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に行きました」
「適度に」漢字を入れることで文章が読みやすくなります。
また文章を読まなくても「漢字」に目を通すだけであらすじがわかってしまいます。
でもこれは漢字が読める大人向けで子どもや日本語を習い始めたばかりの外国人には読めません。
また漢字も使いすぎると、漢字どうしがつながって読みにくくなります。
何でもかんでも漢字変換の悪い例
「昔昔或る所に御爺さんと御婆さんが居ました。
御爺さんは山に柴刈りに、御婆さんは川に洗濯に行きました」
漢字を使い過ぎ
知ってる漢字、漢字の書きかたが存在する漢字をすべて漢字にすると、こんどは漢字どうしがつながって読みにくくなります。
現在はパソコンやスマホでどんな漢字でも変換してくれるので、機械にまかせておくととても読みにくくなります。
漢字ばかり並べるとこうなります。
漢文
般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空…
これは「般若心経」の出だしですが、中国のかたは漢字しかないので今でもこのような文章を読み書きしています。
単語の切れ目がどこかまったくわかりません(^_^;)
漢字を知ってるからといって偉いわけではない
パソコンやスマホなどの機械が変換してくれるのであなたが「知ってる」わけではありません。
また入力した人は機械が変換してくれるのでわかるけど、読むほうはその漢字を知らないことがあります。
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読みやすい使いかたを
漢字にしないほうがいいもの
数字
漢数字は読みにくいですね。
千九百八十五年十二月二十六日木曜日
これは1985年12月26日(木)と書いたほうが圧倒的にわかりやすいです。
縦書きの印刷物で数字が漢数字だったり、とつじょそこだけ算用数字を横倒しにするという暴挙も見られますがとても見られたものではありません。
算用数字を縦書きにするのもひどい!
それならはじめから横書きにしましょう。
郵便物の住所も縦書きの漢数字はとても読みにくいです。
副詞
恰も、宛も (あたかも) 。強ち (あながち) 。寧ろ (むしろ) 。強いて (しいて) 。嘗て、曾て (かつて) 。矢張り (やはり) 。稍 (やや)。所謂 (いわゆる) など。
うしろに送りがな (ひらがな) がついていればまだ切れ目がわかるけど、送りがながない漢字だけのものはほんとに読みにくくなります。
無理矢理料理を作らされた。
現在銀行では取引しておりません。 (「現在銀行」という銀行があるのかと思ってしまいます)
所謂胃腸炎です。 (むずかしい病気らしい)
「今」「昔」「今日」「昨日」なども状況によって使いわけます。
たとえばこのような文。
「今料理を作っています」
「今」と「料理」がくっついてしまいます。
「今日試験があります」もおなじです。
こういうときは「読点 (、) 」を打つか、ひらがなにします。
「今、料理を作っています」
「いま料理を作っています」
「今日、試験があります」
「きょう試験があります」
間に「助詞 (は) など」を差しこむ方法
「今日は試験があります」
読点を使うと言葉を分けることができるけど、やはり「硬い」「くどい」感じになるのでひらがなにしたほうが読みやすいですね。
複合語
飛び込んで来て (「飛ぶ」「込む」「来る」が一人ひとり主張して分離してしまっています) 。
→飛びこんできて。
走って行く。→走っていく。
食べて見て。→食べてみて。
降り続く。→降りつづく。
差し込む。→差しこむ。
立ち上がる。→立ちあがる。
読み難い。→読みにくい。 (「読み難い」は「よみにくい」か「よみがたい」か区別できません)
とくに複合語に多い「~してくる」「~してみる」はひらがながいいでしょう。
形式名詞
こと、もの、とき、ところ、わけ
これらを漢字で書くと「くどい感じ」になり、文章の内容にはあまり意味がないのに主張が強くなることで、本来の伝えたい内容が薄まってしまいます。
× 私は泳ぐ事が出来ます。
○ わたしは泳ぐことができます。
× そういう事はする物では無い。
○ そういうことはするものではない。
× 海外旅行に行く時此れを持って行った方が良い。
○ 海外旅行に行くときはこれを持っていったほうがいい。
(厳密には、「旅行に行く」も重複しているので、「海外に行く」か「旅行する」にしたほうがいいですね=^^=)
× 今見てる所です。
○ いま見てるところです。
× そういう訳だ。
○ そういうわけだ。
(漢字だと「訳」を「やく」と読んでしまうこともあります。
また「理由」と書いていちいち「わけ」とルビを振る人もいますが、それなら最初からひらがなで「わけ」と書きましょう)
気をつけよう!
申し訳ありません。 (謝罪の言葉)
申し分ありません。 (満足。不満はない)
その他
漢字同士→漢字どうし
子供→子ども
友達→友だち
御飯→ご飯 (御の主張が強すぎますね)
御返事→ご返事
有難う御座います。→ありがとうございます。
左様なら。→さようなら。
今日は。→こんにちは。
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カタカナの使いかた
日本語にはもう1つ便利なものがあります。
カタカナです。
漢字だと「難しい」「硬い」「くどい」「つながってしまう」。
でも、ひらがなにすると全部つながってしまい読みにくい。
そんなときに役に立つのがカタカナです。
漢字だと読みにくい例
言わずとしれた外来語
中国にはカナがないので、外来語もぜんぶ漢字にします。
トランプ大統領は「特朗普总统」
日本では、外国からはいってきたものは漢字がないのでカナで書くことになるのですが、ひらがなだと埋もれてしまいますね。
「近くにおしゃれなかふぇができたのですいーつを食べてきた」
「近くにおしゃれなカフェができたのでスイーツを食べてきた」
これならわかりますね。
古事記など神さまの名前
伊弉冉尊 (いざなぎのみこと) 。ほかにもいろんな漢字が当てられています。
素戔嗚命 (すさのおのみこと) 。まだ須佐之男尊くらいならなんとなくわかりますが。
軻遇突智 (かぐつち) 。
この時代はまだひらがな・カタカナがなかったので現在の中国のようにぜんぶ漢字で書いていたんですね。
ただこれらをひらがなにしてしまうとどこからどこまでが名前なのかわからなくて読みにくくなってしまいます。
「いざなぎのみことといざなみのみことが結婚していざなみのみことはかぐつちを産みます」
そこでカタカナの登場です!
「イザナギノミコトとイザナミノミコトが結婚してイザナミノミコトはカグツチを産みます」
こうするとカタカナの部分だけが浮き彫りになり「人や物の名前」であることがわかります。
学術的な物の名前
裸出歯鼠 (はだかでばねずみ)
意味の上からはこの漢字なんだけど、なんか呪文か暗号のようです。
ひらがなにすると物の名前なのか、文章の一部かわからなくなってしまいます。
「はだかでばねずみは敵が来ると自分を犠牲にして仲間を守ります」
「はだかでばねずみ」を知らない人は「裸で」「ばね」のところで切ってしまうかもしれません。
「ハダカデバネズミ」とカタカナで書けば、知らないけど「ネズミ」の仲間の動物の名前らしいということがわかります。
漢字だと重すぎる。ひらがなでは埋もれてしまう
馬鹿→バカ
無理→ムリ
ひらがなにしてしまうと文字列の中に溶けこんで消えてしまいます。
そんなばかな。
それはむり。
よくわかりませんね。
そこでカタカナの登場!
そんなバカな。
それはムリ。
読みやすくなったでしょ=^^=
漢字だといかついですね。
そんな馬鹿な。
それは無理。
でもカタカナはあまり安易に使うと「安っぽく」なるので気をつけましょう。
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国語審議会 (現:文化審議会国語分科会)
う~ん。漢字羅列のいい (悪い? ) 例です。
常用漢字を決めるお役所です。
常用漢字
平たくいえば「お上」が使ってもいいかどうか決める漢字ですが、「お上」なので一般市民の感覚とかなりズレてます。
新聞やテレビのニュースなどは基本的にこれに従うので、テレビのテロップを見てて読みにくいというか、意味がわからないことさえあります。
ええ!? 常用漢字じゃないの!?
嘘
これはおじさんがテレビのニュースを見ていてじっさいにあったことです。
ニュース映像と音声が流れると同時に下にテロップが現れます。
「…が〇〇とうその記載をした」
おじさんは「とうそ」という法律用語があるのだと思い調べたけど出てきません。
「とうそ」って何?
それが「と嘘の」だとわかったのは次の日になってからでした😄
ひらがながつながって埋もれてしまったいい (悪い? ) 例ですね。
漢字かカタカナにすればこの問題はさけられます。
名誉き損
おおーっ! 「名誉」と「損」の間に「き」という謎のひらがなが!
書けないかもしれないけど誰でも知ってて読める「名誉毀損」です。
現在は「毀」は常用漢字に入れられているようですが、このときは入れられてなかったのか、それとも難読漢字なのでひらがなにすることが推奨されていたのか4文字熟語で1字だけひらがなというとんでもない例です。
「き」というひらがなによって「名誉」と「損」が分離してしまっています。
毀誉褒へん
3文字熟語になってる!
「毀誉褒貶」です。
「毀誉褒」+「へん」になってしまっています。
たしかに出番は少ないかもしれないけど、1人だけ仲間はずれにしないでください=^^=
他にも常用漢字でない漢字
叩く (たたく) 。噂 (うわさ) 。蝶 (ちょう) 。鴨 (かも) 。狼 (おおかみ) 。鷹 (たか) 。鷲 (わし) 。栗 (くり) などなど。
「萌」など人名用漢字としては認められているものもあります。
これによって熟語がとんでもないことに。
歪曲 (わいきょく) →わい曲
疼痛 (とうつう) →とう痛
百姓一揆 (いっき) →百姓一き
醤油 (しょうゆ) →しょう油
謳歌 (おうか) →おう歌
天秤座 (てんびんざ) →天びん座
蠍座 (さそりざ) →さそり座
捏造 (ねつぞう) →ねつ造
菩薩 (ぼさつ) →ぼさつ
飢饉 (ききん) →飢きん
吊り輪 (つりわ) →つり輪
斡旋 (あっせん) →あっ旋
膠着状態 (こうちゃくじょうたい) →こう着状態
倦怠期 (けんたいき) →けん怠期
あまり使わないけど間抜けな4文字熟語
魑魅魍魎 (ちみもうりょう) →ち魅もうりょう
跳梁跋扈 (ちょうりょうばっこ) →跳りょうばっこ
天真爛漫 (てんしんらんまん) →天真らん漫
単語レベルではまだわかるけど、これが文章に組みこまれると、ひらがなはひらがなと、漢字は漢字とくっついて単語が分離してしまいます。
こんな感じです。
「青春をおう歌する」
「天明の大飢きんについて」
「長いことこう着状態がつづいた」
「〇〇はねつ造した疑いがかけられている」
「湿疹ととう痛に悩まされている」
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