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「形容詞」「丸い」「三角い」「赤い」「緑い」
「い」がつけられるもの。つけられないもの
まずは例を見てみましょう。
形
「い」がつけられるもの
丸い。四角い。
「い」がつけられないもの
三角い。五角い。
色
「い」がつけられるもの
白い。黒い。赤い。青い。 (黄色い。茶色い。これらは「黄色の」という形と半々です)
「い」がつけられないもの
緑い。紫い。橙色い。ピンクい。オレンジ色い。
「名詞」 + 「い」→ 「形容詞」
もともとこれらは「名詞」のうしろに「い」をつけて「形容詞」にしたものです。
「丸」 + 「い」→「丸い」
「白」 + 「い」→「白い」
「名詞」 + 「の」→「連体修飾語」
「の」は格助詞。
格助詞「がのにを…」の中でも意味と使いかたがとても多いスーパー助詞です。
便利な半面、外国人には脅威の助詞です。
連体
体言 (名詞) に連なるの意で、カンタンにいえば「後ろの名詞を修飾 (説明) 」します。
形容詞とおなじ役割ですね。
「三角」 + 「の」→「三角の」
「緑」 + 「の」→「緑の」
もともとは「丸」も「丸の」、
「白」も「白の」といっていたと思われます。
形容詞と連体修飾語
どちらも後ろの言葉 (おもに名詞) を修飾します。
形容詞
「い」が変化する。
丸い。丸く。丸かった。丸ければ…
名詞を修飾するときは「い」のままです。
体言 (名詞) を修飾するという点で、形容詞も連体修飾語の一種です。
連体修飾語
「の」は変化しません。
「の」をつけることで形容詞とおなじように名詞を修飾します。
文法については文法学者でも意見が分かれます。
というより、「はじめに文法ありき」ではなく、「はじめに言葉ありき」です。
言葉を研究・分析してそこから「法則」を見いだして体系化したのが「文法」です。
他の分野でもそうです。
おじさんが子どものころは、「カニ」と「クモ」は仲間でしたからね(^^)
言葉は生きている
どこの国の言葉も生きています。
時の流れ、地域的な問題、新しいものや概念の出現・消滅などによって言葉も生まれたり、なくなったり、また変化します。
たくさん使われるほど言葉はすり切れていく
たぶん大昔は「丸の」と言っていたでしょう。
ところがよく使われる言葉なので「丸い」という人が出てきます。
言葉の乱れ?
「丸い」という言いかたが出てきて広がりはじめたとき、年寄りは眉をひそめて「近頃の若いもんは! 」「言葉が乱れてる! 」と嘆いたことでしょう。
でも、言葉は生きています。
正しいとか、まちがっているとかいうのではなく、必要だったり、そのほうが使いがってがよかったりすると「定着」していきます。
はじめは「不法移民」でも大勢に認められれば「市民権」を得るのです。
「い」がつくもの
もういちど「い」がつくものを見てください。
形なら、丸や四角。
色なら、白黒、赤青黄と色の3原色ですね。
基本的な言葉、身近な言葉、昔からある言葉です。
三角や五角はあとから出てきたちょっと新しい言葉。
緑や紫もそうです。
まして、外来語のピンクやオレンジはいわずもがな。
世の中が変化して、ピンク色のものが白黒のものより身のまわりにあふれるようになれば、「ピンクい」「ピンクかった」という言葉も使われて定着するようになるかもしれません(^^)
人の名前に「る」をつけて「動詞」にするのが流行ったことがありますが、「名詞」に「い」をつけるのもおなじです。
たとえば「田中さん」という強烈なキャラクターの持ち主が現れたとしましょう。
すると、「田中い」という言葉が生まれます。
「あの人は『田中い』なあ」とか、
「そんな『田中い』ことしちゃダメよ」とか使われるようになるでしょう。
番外
他の法則に反するもの (例外)
世の中にはかならず「例外」が存在します。
法律にも「〇〇しなければならない」のあとに、「ただし、××の場合はこの限りではない」という言葉がかならずついてます。
~め
度合いを表します。
多め。少なめ。高め。低め。
これらはみんな形容詞「~い」の「い」を取って、「め」をつけます。
ところが1人例外がおります(^^)
濃いめ
上の法則からすれば、「濃め (こめ) 」になるはずです。
対義語の「薄い」は「薄め」ですよね。
「濃い」という単語が「2文字 (2音) 」しかない。
「こめ」にすると「米」と混同する。
こんなことから「濃いめ」というようになったようです。
2音の形容詞といえばあとは「ない」くらいしか思い浮かびません。
黄色い。茶色い。
これらも「黄 (き) 」「茶 (ちゃ) 」が1音なので、「黄い (きい) 」「茶い (ちゃい) 」では何のことかわからなくなってしまいます。
そこで「黄色い」「茶色い」という言いかたになったんですね。
死語
「丸い」のような言葉はこの世から「丸いもの」がなくならないかぎり消えることはないでしょう。
あまりにも定着しているので「サークルい」とか「ラウンドい」なんて言葉にその座を奪われることもないでしょう。
次から次へと新しい言葉が作られるけど、「必要性」「使われる頻度」「その内容にぴったりあっている言葉か」などの条件がなければすぐ消えていきます。
「ナウい」なんて今の人は知らないでしょう。
「モダンな」は「近代的な」という立派な英語なのに、今では「古めかしい」というイメージさえ浮かぶ言葉です。
「ナ形容詞」の正体=「名詞」+「だ」
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