want「~したいですか?」は使わない ~ 日本語教師

want したいですか

「want」「したいですか」「しますか」「しませんか」「誘い」

生徒が集まってワイワイ言ってます。

「みんな、何を話してるの?」
「カラオケに行きます。先生も来たいですか?」

う~ん。
誘ってくれてるのはわかるんだけど「来たいか?」と聞かれると、

(いや、べつに。
細かくいうと「来たい」じゃなくて、「行きたい」だけど問題はそこじゃない。
自分が行きたいと思ってるわけじゃない。
あなたに誘われるのがそんなに名誉でも、光栄でもない。
なんか癪にさわる)

と感じてしまいます。
なぜなんでしょうか?

これから書くことはおもに目上の人につかう場面を前提にしています。

want「~したいですか?」は使わない

「~したい」がつかえるのは自分自身だけ

英語では
Do you want to go together?
Wanna go?
などと相手の「希望」「願望」についても want をつかいます。
相手だけでなく、
He wants to go. (彼は行きたいと思っている)
のように、第三者にもつかえます。

でも、日本語では「~したい」は自分にしかつかえません。

2、3人称につかうと

あなたは行きたい× (私がわかるわけがない)
彼は行きたい× (私がわかるわけがない)

です。

他人の「心」「考えてること」「感じていること」「願望」「希望」は「私」にはわからないからです。

相手や第三者につかうときは上の例文のように、

彼は行きたいと思っている

のように「と思っている / と感じている / と考えている」などをつけなければなりません。
確証がないときはさらに「らしい / ようだ / みたいだ / そうだ」をつけます。

彼は行きたい (と思っている) らしい / ようだ / みたいだ / そうだ

さらに2人称では

また相手 (2人称) では「と思っている」をつけても変です。

あなたは行きたいと思っている×

まるでわたしは超能力者で「あなたの考えていること、感じていること、望みがわかっている」かのようです。
これが言えるのは、超能力者、占い師、霊媒師にかぎります。

もし言えるとしたら、想像・推測・同意を求めるで
(あなたは) 行きたいと思っているよね

で逃げますが、これでも相手の「心が見えている」ような不遜な感じは拭えません。

「~したいか?」は質問者が決定権を持っている

たとえていねいな形で「~したいですか?」言ったとしても、上から目線で質問者が決定権を持っている言いかたです。

「先生も来たいですか?」というと、

(ほんとは先生に来てほしくないけど、カラオケに行くことを知られちゃったから、社交辞令で誘っておくか。
来ても来なくてもいいけど、いちおう聞いといてやるか。
もし、来たければ仲間に入れてやってもいいぜ。
できれば断ってくれたほうがいいんだけどなあ)
という心の声が聞こえてきます。

もちろん日本人がいえばアウトです。
生徒はほんとに先生を誘っているんだけど、言葉の使いかたがまちがっているだけです。多分😅

同等以下の者にはつかえるが

家族や友だちにはつかえるけど、「~したい」は本人の「希望」「感情」なので、それを質問する人がつかうのはやはり不自然なんです。

子どもに
「こんどの日曜、ディズニーランドに行きたい?」
と言えないことはないけどなんか気持ち悪いですね。
相手の「気持ち」を強要している感じがします。
「?」がついて質問のようだけど、この質問に「NO」の選択肢は与えられていません。

「前から行きたがっていた」「ふつうの子どもなら遊園地に行くのは好きである」という情報を持っていれば「行きたい」に決まっています。

ふつうはこう言うでしょう。
「こんどの日曜、ディズニーランドに行く?」

「こんどの日曜、ディズニーランドに行かない?」
だと、
子どもがディズニーランドが好きかどうかよくわからない、好きじゃないかもしれない、断られるかもしれない、子どもは行きたくないのに親が子どもにつきあっていただこうとしている😅というニュアンスを持ちます。

これだと子どもの返事は
「しかたねえなあ。 (親に) つきあってやるか」😄

3人称は論外です。
「彼は行きたいか?」
と、ここにいない人の「希望」や「感情」「意見」をたずねることはできないからです。

目の前に人がいれば
「だれに聞いてるの?」「それは彼に聞いて」「行きたいんじゃないかなあ」
というような答えが返ってくるでしょう。

人の希望や行動に対してはつかえないけど、対象物 (目的語) にはつかえる

何が飲みたいですか?

喉が渇いて喫茶店にはいり、飲むことがすでにわかっているとき。
このときの質問は「飲みたいか、どうか?」という希望・考えではなく、「飲むものは何?」という対象物の質問だからです。

つぎもおなじです。

何が食べたいですか? (食べることは決まっている。和食がいいか、イタリアンがいいか、フレンチがいいか「食べるもの」の相談をしている)
どこへ行きたいですか? (デートに行くことは決まっている。「行き先」を聞いている)

とうぜん「わたしとデートに行きたいですか?」はダメですよ😄
「だれがあんたと行くか!何様のつもり!」と張り倒されます。

名詞を修飾する連体形としてはつかえる

たい映画はありますか?
行きたい
食べたいはありますか?

自分には質問しない

説明するまでもありませんが、自分自身に向かって
「わたしは行きたいですか?」
とは言いません。

「そんなこと知らねえよ!」と一蹴されてしまいます。
これは英語でもおなじです。

wish, hope も「主語の希望」を表す動詞で「を望む / 望んでいる」と訳します。
want とおなじく主語は「私」だけでなく、2、3人称にもつかえます。
He hopes that.
「彼はそれを望んでいる」と訳せますが、これらも英語の翻訳から生まれた言い回しで、日本語では「~を望む」という言いかたはしません。

本来の日本語であれば
「彼はそうしたいと思っている (らしい / ようだ / みたいだ / そうだ) 」といいます。

「望む」は動詞で、「~し・たい」は助動詞です。
文法上は助動詞でも、活用はイ形容詞とおなじです。

~しますか?

目上の人や親しくない人には「~しますか?」「~しませんか?」をつかいます。

何か飲みますか?△ (飲んでも飲まなくてもどっちでもいいんだけどいちおう聞いてやってる。できれば面倒なので断ってほしいという感じがある)
何か飲みたいものはありますか?△
何か飲みになりますか?○ (上よりは積極的に誘っているし、尊敬語をつかっているのだが、まだ上から目線が拭えない)

「飲みたいもの」のように「飲みたい」が直接、相手の希望ではなく、「もの」を形容しているときはつかえます。
ただ、やはり目上の人にはつかえません。

敬語をふくむすべての言葉にいえますが、これは相手との関係・距離によって変わるので△の言いかたがダメとは言っていません。
逆に、あるていど親しいのに「お飲みになりますか?」と言ったら変な顔をされます。
ていねいを通り越して、「避けてるの?」と思われることもあります。

この関係指数はかぎりなくアナログ (連続的) で、流動的なので、ここからここはこの言葉づかいというはっきりとした線はありません。

親しい間柄では
「なんか飲みたいもんある?」
といいますね。
もっとカンタンに
「なんか飲む?」
もありです。

肯定形の疑問文は単なる質問、ついでに聞いてやってる、承諾するのが当然というイメージ

肯定形の疑問文だと
「単なる質問」または「相手がハイと答えるのが当然」「こちらの要望を承諾することを強要する」ニュアンスがあります。

先生も来ますか?

単なる質問というのはカラオケの例だと
「あっ、先生もついでに来る?来ても来なくてもどうでもいいんだけど」
「えっ、来るの?」
「できれば空気読んで断ってもらったほうがありがたいんだけど」
というニュアンスです😅

また「承諾するのが当然、承諾の強要」というのは、
「先生が来るのが当然」
「先生が来ることになっている」
「先生が来るという前提で聞いている」
感じです。

先生も来るんですか?

アウト!

「の / ん」はモダリティの「の」

話者の感情を表します。
驚き・意外の場合もあるけど、不快・嫌悪を表すこともあります。

しばしば頭に「えーっ!」がつきます。

「えーっ!先生も来る?」
「いやだなあ、来てほしくないなあ。」
「なんで先生が来るだよ!」
「だったら俺は行かねえよ!」
てなことになりかねません😄

まあ初級日本語学習者には「~の / んだ」の言い回しはまだできないと思うので大丈夫だと思いますが。

「ている」と「の」が使いこなせれば日本語マスターといっても過言ではないくらいの超難関の大技ですからね。

~しませんか?

否定形はさらに丁寧になる

先生も来たいですか?×
→先生も来ませんか?△
→先生もいらっしゃいませんか?○ (いらっしゃる。尊敬語)

上に出てきた例だと、
何か飲みになりませんか?◎

先生もいらっしゃいますか?△ (ついでに聞いてやってる。来ても来なくてもどっちでもいいんだけど。肯定形はダメ)

相手に決定権をゆだねる

「~ませんか?」は相手の意志を尊重し、返事や行動の決定権を相手にゆだねるニュアンスがあります。
決定権は相手にゆだねつつも、上の2つの言いかたより「熱心に誘っている」雰囲気があります。

「無理に来てくださいとはいわない」
「でも、もしそちらの都合がよければ、差し支えなければ、私めのために来てくださるとうれしいです」
という意味合いになります。

「お昼ごはんを食べますか?」
というと、
「自分が腹が減ってるんだから相手も減ってるだろう」
「食べるのが当然」
という前提で話していますが、

「お昼ごはんを食べませんか?」
といえば、
「わたしはお腹が空いてるけど相手はどうだろう?」
「もしあなたもお腹が空いていて、わたしと食事することに差し支えなければ食べませんか?」
というニュアンスになります。

さっちゃん
わたしはケーキを食べたいですか?🍰
ひげおじさん
わしに聞くな!食べたいに決まっとろう!

わたしは日本語教師をしています

プロフィール・レッスン予約はこちら。
表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
ひげおじさん
わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

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