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「土手楽」「草刈り」「斜面」
草刈りの危険はおもに斜面からの転落
斜面の草刈りは大変です。
滑る。落ちる危険がある。
じっさい草刈り中の事故は歯によるケガではなく、転落が多いんです。
おじさんの身のまわりでもそれで半身不随になったり、亡くなったかたもいます。
いずれも仕事ではなく家のまわりの草刈りをしていて用水路に落ちたんです。
スパイク
とうぜん滑り止めのスパイクがついたものがたくさん売られています。
地下足袋
いちばん流通しているのはこれでしょう。
たしかにスパイクがついていて滑りにくいけどおじさんはこれを使いたくありません。
使った経験から。
まず、爪先が補強されていないので自分の足を刈る可能性があります。
長靴とちがい雨が降っていなくても下が濡れていれば中も濡れてきます。
サイドも弱いので笹などを刈ったあとの株が足に突き刺さります。
裸足で歩いているのに近いから地面を捉えやすいなんていう都市伝説も浸透しています。
底も薄いので凸凹のところを歩くと痛いし、笹の切り株を踏むと下手したら刺さるんじゃんないかというくらい痛いです。
登山をする人が靴底の厚いものを使うことを考えればすぐわかることです。
何より、足首が斜面に沿って曲がるのでその状態で長い時間体を支えているのがとても辛いです。
また、爪先側が下になると足袋の中で足が下に動くので爪先がとても痛くなります。
これは靴でもおなじことが起きるんだけど、足袋だとさらに指先が痛くなります。
すね当てなど別途つかわないとすねに石や枝の破片、チップなどが飛んできたときに痛いです。
痛いじゃ済まずケガをするかもしれません。
だいたい5000円くらいします。
スパイク付き長靴
まだこちらのほうが水ははいらないし、膝下まで覆われているのですこしくらい石が当たったりしても守られます。
いちばんの問題はやはり「足首」が曲げられた状態で長時間斜面に立っていなければならないことです。
これはスパイク付きではありませんが、このように足首はつねに斜面に沿って谷の下のほうに曲げられた状態です。
地下足袋もおなじです。
じゃあまっすぐにしてればいいんじゃないの?と思うかもしれないけど、これだとグリップしません。
爪先ガード付き、スパイク付き長靴だと7000円くらいします。
スパイクはともかく、ゴム部分はおなじなのですぐ破れます。
また、スパイク付きだと平らなところや、たまにアスファルトの上を歩いたりするときとても歩きにくいし、かえって引っかかったり、滑ったりして危ないです。
脱着可能スパイク
それで以前、ゴムにスパイクが付いているものを買ってみました。
予想通りといおうか、想像以上に使えませんでした💦
斜面に立つと横に力がかかるのですぐ外れます。
土手楽 (どてらく)
ゴムではなくバンドのようなもので固定できて、雪山用のアイゼンのようなものはないかと探していたらこんな物が出てきました。
その名も「土手楽」
装着した様子
最大の利点
足首が曲がらないこと。
とにかく斜面に立つことは滑ることより、足首がずっと曲げられていることが辛いんです。
立ちかた
できるだけ靴が乗る部分が水平になるように
斜面に水平かすこしだけ山側に傾けて置く。
土の上を選びそっと体重を乗せてからグッと踏みこみ斜面に固定させる。
バンドが脱げない、切れないコツ
商品レビューで多いのが「ゴムバンドがすぐ切れた」です。
できるだけ水平にしてただ踏台に乗る感じで。
バンドがなくても乗って立てるように。
バンドに体重をかけない。
後ろのゴムはあくまで足を上げたときに脱げないくらいの気持ちで。
歯が曲がらないように
やはり商品レビューで多いのが「すぐ歯が曲がる」です。
石に乗らないように。
土や草の上を選ぶ。
足を置くときはそっとやさしく地面を探るように。
石の上に乗ると、歯が曲がることもあるけど滑ったり、急に石が動いたりして危ないです。
これはスパイクがなくてもおなじこと。
足首にやさしく
やはり水平ですが、爪先をやや下にすると楽です。
爪先が下を向くと足に対する角度が緩くなります。
反対に爪先を上に向けると角度がきつくなります。
またすこし下を向くことで後ろのゴムバンドにかかる負担が減ります。
脱着
マジックテープのバンドは長靴の大きさで固定。
それよりすこしきついくらいの位置に。
毎回外さない。
サンダルを履くように。
歩きかた
薄氷を踏むように。
スタスタ歩かない。
足は交差させない。
かならず山足 (斜面の上のほう) をすこし前に出してから、谷足を引き寄せる。
スパイクを履いていてもいつも通り慎重に。
石で滑ったり急に傾くと、転倒、滑落の危険はあるし、足首を傷める。
スパイクの有無にかかわらず、つねに両足に体重をかける。
片足に全体重を乗せないこと。
すこし山側に重心を置く。
急斜面で
今にも滑り落ちそう。
→しゃがむ。
場合によっては、お尻を地面に付き、両手もつかう。
接触箇所と面積が大きいほうが滑りにくいし、万が一滑っても頭から真っ逆さまということはありません。
谷側の足は伸ばし、山側の膝、腰を折りたたんで踵の上か斜面に腰を下ろす。
谷側の足を前進させてから、山側に手を付き山側の足と体を谷側の足の上方に移動する。
いくつかの不満に対して
草がスパイクに刺さるのはしかたない。
地下足袋でも、スパイク付き長靴でもおなじです。
これを履いたからといって、足に天使の翼が生えたように斜面を軽やかに舞うことができるわけではありません😄
慎重に、そして地面と相談しながら、地面を掴むように歩きましょう。
進行方向
方向転換するときは履きかえなくてはなりません。
この商品は左右どちらにも、どちら向きにも履けるので親切だと思います。
これが右足用、左足用があったらめんどうだし、2つ買わなきゃいけないし、1つはいつも肩に担いで持ち歩かなきゃなりません。
ちょっと座って履きかえるのはムダではなく、神様がくれた休憩時間だ!くらいに思いましょう。
爪 (歯) の強度不足
ちょっと弱いですね。
土ならいいけど、石に乗ると曲ります。
くれぐれもやさしく体重をかけましょう。
曲がったらそのへんの石を拾ってすぐ元にもどしましょう。
角度がつくと余計曲がりやすくなります。
色
草刈りで青はちょっとお。
そのへんに置いたらすぐ見えなくなります。
野良仕事はオレンジでしょう。
チェーンソーや林業用のヘルメットはみんなオレンジですね。
ゴムバンド
本体に固定されていないのですぐなくなります。
きっと。
外したらポケットにすぐ入れましょう。
斜面でグリップしなくなったとき
そもそもそんな急斜面の草刈りを人間がすることがまちがっているんですが、仕事でやらざるを得ないことがあります。
いや、そんな仕事は絶滅させなければならないんだけど、最低限、身の安全を守るノウハウだけは持っておきましょう。
物理的限界を超えればその人の運動能力とは関係なく人も物も地球の重力に引っ張られてより低い方へ落ちていきます。
そんなとき頭から真っ逆さまに落ちればたぶん死ぬでしょう。
丸まって転がって落ちるのもあまりうれしくありません。
そのままの姿勢で横滑り
おじさんは草刈りで何度も経験していますが、斜面に対して横向きで滑り出したらそのままの体の形を維持したまま滑り落ちていきます。
谷足は柔軟性を残しつつも伸ばして、山足は膝を少し曲げて、上半身はすこし山側に傾いた状態で。
法面のいちばん下までその形のまま滑り降りることもあります。
もし、ここで滑ったらということはいつも考えていて、絶体絶命の崖には近寄りません。
もうちょっと先まで草刈りしたくても、下が滑り降りられる場所でなければ近づくのをやめます。
草刈りで崖から転落して死んでも誰も褒めてくれません。
いや、褒められても落ちたくない。
即死ならいいけど、それで半身不随なんて最悪です。
山側に寝る
そのままの姿勢が維持できないようならもう山側に寝てしまいましょう。
足は下になるように、手は山側に伸ばして、目線は落ちてく先をずっと監視。
もし、谷の方を向いていたら迷わず尻餅をつきます。
膝を軽く曲げてショックを吸収しながら手は後ろに軽くついてバランスを取ります。
もし、山の方を向いていたら四つん這いになって足裏と手のひらで滑り落ちます。
膝をつけると膝が痛いですからね。
とうぜん両手には手袋をしていること。
軍手はダメです。
グリップゴムがついてるくらいのすこし厚手の手袋をしましょう。
スパイクを履いていると
滑ることができません。
中途半端に引っかかると足首をひねったり、もんどり打って頭が下になってしまったりするので、スパイク側の足は上げておきましょう。
そして、反対側の足で踏ん張るようにしましょう。
モノスキー
ぜんぜん関係ないと思うかもしれないけどおじさんは昔からスキーをしていたので、斜面での立ちかた、バランスの取りかた、安全な転びかたを知っています。
今まで何度も滑落しているけどケガしないのはそのためです。
モノスキーの滑りかた。転びかた~これを見ればあなたもモノスキーが滑れる! (スノーボードじゃないの? )
土手楽が売れてもおじさんには一銭もはいりません😄
仕事で法面刈りをするので、私には必須。
「軽い刈払機で背負式、足には土手楽、飛散防止はスパッツ」のはずが、
気がつけば30ccの一本竿、常用はスパイク長靴で、極めつけは飛散防止ガード取っ払い。
せめてもの装備はスパッツくらいでした。
おかげで先日、3m滑落(笑
今日、コメリさんで「土手楽」を注文。
これで、法面もバリバリ刈れるかな?
スイートソウルさん
コメントありがとうございます。
土手楽の最大の利点は「足裏が水平である」ことです。
これで足首の負担が減ります。
スパイクだと足首が曲がるのでつらいですね。
岩盤の上で滑りやすいのはスパイクとおなじなので気をつけてください。
また急斜面でバランスを崩したとき、土手楽が引っかかってでんぐり返しをしたり、足首を挫いたりする可能性があるので、そのへんはすこしずつ慣れながらつかってください✌