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「オフロード」「林道」「気をつけること」

① 林道は林業のための道です。たとえ通行止めでなくても、伐採作業をしてたり、木を運び出していたりしたら無理に通るのはやめましょう。もし作業しているおじさんとお話ができて、「気をつけて通ってね! 」と言われたら、にっこり笑って「ありがとう」といいましょう=^^=
② また、公道なので対向車もいます。もちろん左側通行です。ブラインドカーブでは充分スピードを落として安全に通行しましょう。事故やトラブルがあると「通行止め」になってしまいます。
③ それから四駆の車で走る人にお願い。バイクのブレーキは車のサイドブレーキくらいの効きめしかありません。道の真中を走ってくる鋼鉄の塊はバイクにとって命取りです。左側通行でブラインドカーブではゆっくり走ってくださいね。
④ 民家の近くを通るときはスピードを落として静かに。
⑤ 林道でハイカーなど人がいたらスピードを落とすか、狭いときは止まってエンジンを切るくらいの余裕を持ちましょう。
かんたんです。想像してください。
「自分が逆の立場だったら? 」

林道で気をつけること
とにかくたくさんあるんだけど思いつくまま書きます。
自然のもの
崖落ち

いろいろあるけどもっとも気をつけること。
ぜったいあってはならないこと。
それは崖から落ちることです。
バイクは壊れるし、人も命を落とすかもしれません。
不幸中の幸いでケガは軽くても、バイクを引き上げられなかったり、走行不能になればあなたは歩いて山を降りなければなりません。
くれぐれも落ちないように。
路面の石にはねられて真横に飛ばされることがあるけど、そういうときは立て直そうとせずにその場で転びましょう。
崖下に落ちるよりは、路上に転がるほうがはるかに安全です。
かりに骨折したとしても、崖下に落ちるよりはマシです。
知り合いも、おじさん自身も落ちたことがあるので脅しではありません。
オフロード歴40年で最初で最後。
ハンドリング最悪のセローで真横に飛ばされました。
幸い、斜度はゆるく木にぶつかることもなく自力で引き上げることができたけど、信じられませんでした。
ローでゆっくり下り、道幅は車1台分くらいあったので、今でもなんで落ちたのかわかりません。
落石

林道を走ってるとめずらしくもありませんが、リアルタイムで激突されたらひとたまりもありません。
すでに落ちているところは通らないに越したことはありません。
落ちているということは、また落ちてくるということです。
どうしても通りたければ上から落ちてこないか細心の注意を払って通りましょう。
ただし、それで路面の把握がおろそかにならないように。
また、路面に転がってる落石をよけようとして崖下に落ちないように。
むかし神奈川県の表丹沢林道で、キノコ採りの家族連れの車が路上の落石を避けてムリに通ろうとして崖下に転落。
すぐ通行止めになりました。
迷惑な奴!
行きはよいよい帰りは怖い。
引き返してきたら崖崩れや路肩崩壊で帰れなくなる可能性もあります。
横から飛び出してる枝

刺さります。
いかにもごっつい枝ではなく雑草もどきでも意外と硬かったり、刺さらないけど引っかかって転ぶことがあります。
地面に転がってる枝、石など

これもめずらしくないんだけど、地面に転がってる枝や石が妙にはねます。
もちろん自分でバイクの前輪で踏んだ枝がはねて足や、ときに顔にまで当たることがあります。
ほんとビックリします。
どうしたら顔にまで上がってくるのか?
やろうとしてもできない。
きっと踏まれた枝が「何すんだコノヤロ!痛えな!」と仕返しをしているにちがいありません
いや笑いごとではなく、おじさんは木を伐採していたときかかり木が自分に目がけて倒れてきて直撃を受けたことがあります。


またこぶし大の石ころはよく転がるので、前輪で乗ったとたん横に1mくらい飛ばされます。
1mは大げさだけど感覚的にはそれくらい横っ飛びしてる感じです。
それで真横を向いて崖に突進!
止まれないと思ったらすぐバイクを倒しましょう。
ほんとに真横に飛んでいきますよ。

それからよくタイヤやフレームなどに枝が刺さります。
変な物音がしたらすぐ止まって確認しましょう。
この写真けっしてヤラセではなく自然に刺さったものです。
このあとフロントにも刺さりました。
倒木

これは見たらわかるのでそのまま突っこむ人はいないと思うけど、くぐろうとした瞬間に落ちてきて下敷きにならないともかぎりません。
行きはよいよい帰りは怖い②
行き止まりで引き返してきたら「とーせんぼ」ということもないとはいえません。
そのためにおじさんは以前は折りたたみ式ノコギリを携帯していました。
あくまで万が一のためで、たとえ倒木でもかってに切ってはいけません。
林業をしている人が、ほかの車がはいってこないようにあえて倒してることもあるようです。
それこそ、とーせんぼ。
丸太越え

地面に転がってる木なら乗り越えられるものもあります。
それはあなたが乗ってるバイクの性能と、あなたの性能次第です。
斜めの木は気をつけてください。
できるだけ垂直に乗り越えること。
とくに写真のような向きの場合、失敗すると崖下に誘導されます
垂直に横切るためには手前で崖に寄らなければならないけど寄りすぎると丸太越え以前に崖下に落ちます。
カッコよく決めようとせずに止まって足をついて地道に乗り越えるか、危なそうならやめて引き返します。
轍、雨による溝

トラックが通れば轍ができるし、雨が降れば川のようになって路面が削られます。
できるだけ溝にタイヤを落とさないように走りましょう。
溝には石がたまっているのでこれまた走りにくいです。
もしはいってしまったときはムリに出ようとしないこと。
けっして斜めには出られません。
スタンディングでバイクをできるだけ垂直に立ててハンドルはまっすぐのまま。
自分の体だけで左右にバランスを取ります。
そして、溝が浅くなったり、角度がついたところで脱出します。
バランスを取り切れないと思ったらムリせず足をついて止まりましょう。
足を付きながらゆっくり出口まで進みましょう。
溝も蛇のようにウネウネと曲がっていることがあるので、溝を横切るときはできるだけ「垂直」に横切ります。
斜めだとハマります。
そして、コケます。
分かれ道

林道は枝道だらけです。
本線と支線がわかりやすいところもあればおなじくらいの道幅のこともあります。
林道には角にコンビニやガソリンスタンドなどの目印がありません。
迷子になります
迷子にならないために
本線を通り抜ける
はじめての林道では支線にはいらずに、本線をまず通り抜けましょう。
最初から枝道にはいっていくとほんとに迷子になります。
GPSがあったほうがいいです。
スマホのGPSはダメですよ。
データ通信がはいらなければつかえないし、バッテリーもすぐなくなります。
GPSがあってもそれだけに頼らず、似ていても道の特徴や、景色をおぼえて、場合によっては目印をつける。
木に傷をつけたりかってにスプレーなど吹いてはいけません。
ピンクリボンもダメです。
山の人が作業するためにつけたり、山の所有者の境界線の印の場合もあります。
もしどうしてもつけるなら、帰りはかならず外すこと。
ちょっと邪魔にならない程度に枝や石を道端に置くなど。
罠に陥るのは行きは合流だったから気づかず、帰りに枝道が見えること。
合流する枝道も見ておきましょう。
迷路の抜けかた
林道はまるで迷路のようです。
とくに作業道は作業してる人も迷子になるんじゃないかというくらい枝分かれしていて景色も変わりません。
ドローンを飛ばして上空から自分の位置を把握できればいいけど森の中にいると自分の場所も進路もわかりません。
GPSがその代わりをしてくれるけど完璧ではありません。
迷路にはかならず抜けられる方法があります。
左手をずっと壁に当てて歩く

写真は手を林道に見立てています。
指の付け根が分岐点。
指先が行き止まりでUターンすると思ってください。
じっさいに左手を壁につけることはできないので、分岐点に来たらかならず「左」に曲ります。
行き止まりまで行ったらUターンして、さっきの分岐点までもどったら「左」に曲ります。
その先で分岐点があったらまた「左」に曲ります。
こうすると枝道の取りこぼしもないし、おなじところに何度もはいっていくこともありません。
すべて行き止まりだったら、かならず最初にはいったところに帰ってきます。
もしループになっていたらおなじところにもどってきます。
これくらいはわかるようになりましょう。
もしわからないと永遠にループを回りつづけることになります
ガソリンや時間の都合で途中で引き返すときは、すべて「右」に曲ります。
それを
「たしかこっちじゃなかったかな?」とか
「こっちのほうが早くもどれるんじゃないかな?」とか
思って右左に進むとほんとに迷子になって帰れなくなります。
時間はかかるけどかならず抜けられる、帰れる方法です。
はじめてで道がよくわからないときは、とにかく早めに引き返すか、面倒でも自分だけにわかる目印を置きながら進みましょう。


人工物
横断溝とゴム板

トップは横断溝。
雨で林道が削られないように横に、多くは斜めに角度をつけて溝が掘られ、掘った土を溝に沿って盛っています。
光の加減や、雑草が伸びていて見えないこともあります。
下りはとくに要注意です。
刺さります。
またジャンプ台ほど長くないのでリアが跳ね上げられてでんぐり返しをすることもあります。
じっさいに目の前でそれをした人がいます。
ウィリーまでできなくていいから、フロントをすこし上げて荷重を抜くか、完全に止まって足を付きながらゆっくり通過しましょう。
山側の法面を利用すると溝を越えなくていいこともあります。
まっすぐ斜面を走るのはむずかしいけど、斜めに法面に突っこんで放物線を描くように降りてくれば楽に通れます。
また、そのほうが崖から落ちる心配がないので安全です。

横断溝はバイクにとって邪魔なだけでなく、林業をする人にも邪魔です。
だから、溝ではなくゴム板を地面に差しこんでいることもあります。
おじさんは初めてこれを見たとき鉄板だと思い、「死んだ!」と思いました。
転倒を覚悟したらなにごともなく通過。
それがゴムだと知りました。
しかし、ゴムでも反発する力はあります。
また、進行方向に垂直ならいいんだけど、斜めだとタイヤを横に持っていかれます。
グレーチング grating

この写真のように優等生ならいいんだけど、4輪が通れればいいので真ん中のグレーチングがないことがあります。
いい気になって真ん中を走っていると、グレーチングがなくて溝に刺さる可能性があります。
これくらいの幅ならフロントをすこし持ち上げれば問題ないけど、下り坂でフロントに荷重がかかっていたり、溝が斜めだったりすると刺さります。
痛いじゃすみません。
鎖

これは危ないですね。
良心的な人はピンクのリボンをつけたり、看板をぶら下げたりするんですが。
道脇に杭が立ってるときは鎖や紐がある可能性があります。
道の真ん中に立ってる棒杭



林道には作業する人の目印で道の真ん中に棒杭が立っていることがあります。
写真のように竹槍のようなものまであります。
4輪なら跨いでいくけど2輪では10センチくらいの棒杭でも命取りになります。
また草が伸びていると見えないことがあるので林道の真ん中はあまり走らないほうがいいです。
グレーチングがないこともあるし。
装備
ヘルメット、グローブは言わずもがな。
シールドまたはゴーグルは暑くてもかならずしましょう。
あっ、もちろん暑くてもジャンパーなど長袖のものを着ましょう。
運動靴はダメですよ。
ブーツ

すね当てがついているものをつかいましょう。
上に書いたように、足には枝や石ころが当たります。
モトパンツ


脛当て、膝当て、肘当てなどプロテクター
これもすね当てや膝当てがついているものをつかいましょう。
ついてなければ別途、すね当て、膝当てを買いましょう。
おじさんは20のころ無名のメーカーのブーツとシニサロのモトパンツを買って、40年経ってもまだ現役です。
墓場まで履いていくかもしれません
欲を言えば肘当てもあったほうがいいけど、走りかたにもよります。
モトクロスのように高速で林道を走るつもりなら肘当てや上半身のプロテクターもあったほうがいいでしょう。
その他
対向車に注意
林道を走るのはあなただけではありません。
あなたとおなじように林道を走りたいバイクも走るし、林業作業の車、木運びの4t車や、たまにクラウンみたいな自家用車まではいってくることがあります。
ブラインドカーブは充分スピードを落としていつでも止まれるように。
林道といえども公道なので日本では「左側通行」ですよ!
よく真ん中や右側を走ってくるバイクがいるけど、モトクロスコースではありません。
一方通行ではなく対面通行です。
1tを超える鉄の塊と正面衝突するのは、崖落ちに匹敵するくらい命取りになります。
明るいうちに山を降りる
ただでさえ迷子になる可能性があるのに暗くなったらもっとわからなくなります。
明るいうちに山を降りましょう。
また、何もなければいいけどパンクなどしたら明るいうちなら修理できても、暗くなれば作業がむずかしくなるし、ボルトやネジをなくす可能性も高くなります。
おじさんはだいたい午後3時くらいには降りはじめるようにしています。
はじめての山や、よく知らないところ、山深いとき、日没が早い季節などはもっと早く降ります。
ガス欠
バイクも故障なく、人間も元気でもガソリンがなくなるとどうにもなりません。
山にはいる前にはかならずガソリン満タン。
たとえ1リットルしかはいらなくてもできるだけ林道の入口に近いところで入れます。
TT-Raidみたいに16リットルタンクで、満タンで400kmは軽く走れるバイクは別として。
燃費をふだんから測っておいて自分のバイクの航続距離を知っておきます。
もちろん町乗りと林道走行では燃費がちがいます。
航続距離が100kmなら50km手前で引き返します。
大事なことは山から出ることではなく、最寄りのガソリンスタンドまでたどり着けるところにいることです。
山にはいってから何キロではなく、ガソリンスタンドで満タンにしてから何キロです。
おじさんは何時に閉まるかも聞いておきます。
店が閉まるほど遅くまで山の中にいてはいけないんですけどね。
前車が跳ねた石が飛んでくる
グループツーリングは楽しいけど、すこし離れて走りましょう。
すぐ後ろを走っていると、ホコリはすごいし、石が飛んでくることがあります。
じっさいには石が飛んでくるというより、前車が跳ね上げて空中に浮いてる石に、あなたが時速50キロくらいで突っこむんです。
痛いですよ。
肋骨折れたかと思いました。
最後に
いろいろ書いたけど、これらを頭に置いた上で楽しみましょう。
林道走行に危険は伴いますが、生きるということじたい、つねに危険と隣り合わせです。
皮肉なことにおじさんは林道ではなく、通勤中に一般道で車に追突されて10mくらい飛ばされたことがあります。
みんな自分は平均寿命の80くらいまでは生きると思ってるけど、あくまで平均ですから。
いまこのブログを読んでる間に死ぬ人もいるかも知れないし、100歳以上生きる人もいる。
合わせて、割って80歳です。
あなたがブログを読んでる間に、隕石や飛行機が落ちてくるかもしれない。
トラックが突っこんでくるかもしれない。
強盗が押し入るかもしれない。
とつぜん心臓が止まるかもしれない。
何が起きるかわかりません。
畳の上にいても死ぬときは死にます。
人生を楽しむことも大事。
すこしだけ危険に注意を払って、できる準備や装備をして、わかっている危険にわざわざ身を晒すことなく、それでも予想外のハプニングには臨機応変に対応するしかありません。
それから自分が生きていればそのつもりがなくても人に迷惑をかけることもある。
でも、林道走るときにすこしばかりほかの人にも気を使いましょう。
それは自分のためでもあります。
公道なんだから誰が走ってもいいんだ!と傍若無人な振る舞いをしていると、
「バイク進入禁止!」
の看板が立つことになります。
そうなったら自分で自分の楽しみを奪うことになります。
ほかの人の楽しみも奪います。
そうならないように、「自分のために」ほかの人にも気を使いましょう。
林道 ~ 一覧。林道あれこれ
