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「草刈り」「注意事項」「メンテナンス」「中級」
中級編
基本的な使いかたは初級編でわかりましたね。
何事もなければそれでいいのですが、じっさいに作業をはじめると、いろんなことが起こります。
フックとグリップの位置
じつはこれはとても大事なことなのですが、初心者がいじるとかえって危ないかもしれないので中級にしました。
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フックの位置
肩紐をかけるフックがあります。
基本には水平
基本的には手を放したときに前後が釣り合って水平になるのがいいです。
どちらかが重いとあなたはいつも自分の力で草刈り機を持ち上げなければならないからです。
前が上がるほうがいい
しかし、じっさいに作業を始めるとほかの要素が加わります。
- 刈った草が歯の上に乗るので前が重くなる。
- 法面の草刈りでは歯を上に持ち上げなければならない。
じっさいに刈りはじめると、いつも前を持ち上げなければならないことに気がつくはずです。
気がつかないかな
知らずにこの状態で作業してるととても疲れます。
当たりまえです。
あなたはいつも左手で草刈り機を持ち上げているからです。
だからフックをすこし手前にずらして、手を放したら前が自然に上に上がるくらいがいいです。
ただこの設定だと回転してる歯が上に上がるので、空転のときに気をつけてくださいね。
肩紐をちゃんとしてれば自分の顔に当たることはないけど、知らずに上の枝に当たってあらぬ方向にすっ飛んだりすることがあります。
だから初級には書きませんでした。
燃料の量でもバランスは変わる
この天秤棒は燃料タンクにどれぐらい燃料がはいっているかでもバランスは変わります。
燃料が満タンのときは後ろが下がる。
燃料がなくなってくると前が上がる。
だから、このへんも考慮して適当な位置を探してください。
グリップの位置
テコの原理です。
グリップを手前にすれば遠くに手が届くし、左右に振ったときも振り幅が広くなります。
これだけ見ればグリップは手前のほうが作業は早く進みそうです。
でもこれはパワフルで疲れを知らない人の話です。
野球のバットとおなじで、長く持てば大きく振れるので当たればボールは遠くまで飛ぶけど大きな力が必要です。
非力な人はバットを短く持ちましょう。
グリップを歯に近い前の方にずらせば、小さい力で動かすことができます。
その代わり、遠くは届かないし、振り幅も小さくなります。
これも時と場合、それからあなたの力によりけりです。
竹藪などで草刈り機が振り回せないときは、グリップを前にずらしたほうがいいです。
これもほどほどにね。
肩紐をして短くしていればケガすることはありません。
キックバックと引き寄せ
キックバック (蹴返し)
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芝生のような草原の草刈りならいいんだけど、現実には切り株や、石ころなどが草むらに隠れています。
石に当てれば刃が欠けたり、チップが飛んだり、あるいは石ころのほうが飛んだりしますが、怖いのが切り株です。
切り株は飛ばないので、作用反作用で草刈り機のほうを弾き飛ばします。
とくに危険なのが先端から右90°の範囲。
先端に当たると
先端に当てれば草刈り機はほぼ真横に弾かれるけど、肩紐をしているので草刈り機の歯は自分を中心に右から後ろに回って飛んでいきます。
だから、草刈りをしている人の後ろに立つのがいちばん危ないです。
とんでもないスピードで草刈り機が飛んでくるのでまずよけられません。
また、草刈り機が見えてないし、前触れもないので、後ろ回し蹴りを食らうような状態です。
もし、草刈りをしている人に用があるときは前から近づいて、声は聞こえないので両手を大きく振って気づいてもらいます。
気づかなければそれ以上近づいてはいけません。
右横に当たると
草刈り機はまっすぐ自分のほうに押しもどされます。
それもやさしくではなく、どつかれます。
後ろに倒れることもあるくらい強烈です。
肩紐をしていれば後ろに転ぶくらいですむけど、してなければ草刈り機そのものが自分めがけて飛んできます
かならず肩紐はしましょうね。
引き寄せ
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キックバックに勝るとも劣らない恐怖を味わえるのが引き寄せです。
草刈り機が切り株などの向こう側に引っかかったとき、草刈り機ごと引っ張られます。
崖っぷちで草刈りをしているときに切り株が草に隠れていて見えなくて、向こう側に引っかけて引っ張られると、そのまま崖下に連れて行かれます。
おじさんも何度、崖下に誘われたことか。
何とか断りましたが
2ストローク用オイル
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2ストローク (2サイクル) のエンジンはエンジンオイルがはいっていないので、燃料に混ぜてシリンダー内を潤滑します。
これはバイクのエンジンもおなじです。
目盛り付き容器
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目盛りが付いていて、右側の小さい空間に「50:1」と書いてあるところの「5」まで2ストローク用オイルを入れたら、左の大きい空間の「5 (リットル) 」までガソリンを入れます。
ガソリンはいきなり5リットル入れずに半分くらい入れて、よく混ぜます。
容器を逆さにしたりもどしたりして。
フタがちゃんと閉まってることを確認しましょうね。
でないとガソリンを撒き散らすことになります
よく混ざったところで5リットルまで入れて、また混ぜます。
いきなり5リットル入れてしまうとなかなか混ざらないんですよ。
空気があったほうが混ぜやすいからです。
混合燃料も売ってる
混合燃料をつくるためには、ガソリンタンクと混合燃料用の容器と、2ストローク用オイルを買わなければなりません。
めったに草刈りをしない人はすでに50:1でオイルを混ぜてある燃料も売ってます。
ただ、割高になるのと空き缶がゴミになるのでほんとにめったにしない人、あるいは緊急用です。
もっともめったに草刈りしない人は草刈り機も持ってないと思いますが。
スロットルの調整
スロットルストップスクリュー (アイドリング位置)
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これは単純にスロットルがもどるのをネジで止めているだけです。
ネジを押しこめばスロットルがもどらないのでアイドリングは高くなります。
ネジを引っこめればスロットルがもどるのでアイドリングは低くなります。
+ドライバーで回せます。
スロットルストップスクリューはエアクリーナーカバーを外さないでも回せます。
アイドリングはどれくらいがいいの?
低すぎるとエンストするので、まずエンストしない程度に。
高すぎるとアイドリングの状態で歯が回るので危険です。
つまり、エンストしないで、歯が回らない範囲にすればいいです。
エンジンが温まってくるとアイドリングが上がることもあれば、機械や条件によってはアイドリングが下がることもあります。
エンストギリギリにするよりは、歯が回らない範囲で高めにしておきましょう。
作業中にちょっとアイドリングにするたびにエンストするのではやってられません。
温まるとアイドリングが上がる機械ではちょっと低めにしておいたほうがいいですね。
このへんは使いながら機械の癖を知りましょう。
草刈りは車のように信号待ちで長い間アイドリングでいることはないので、あまり燃費には関係ありません。
しばらく草刈りしないならエンジンを止めればいいだけのことです。
スロットルワイヤーの調整
長い間つかっているとワイヤーは伸びてきます。
全開
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スロットルレバーを目一杯引いて全開にします。
左のスロットルワイヤーの管に当たってしまい全開にできないか、写真の真ん中のスロットル部分を直接、指で押してまだ動くようなら全開になっていないので管を左に移動するようにアジャスターナットで調整します。
アジャスターナット
左のスロットルワイヤーが通る管の先端についてるナットを回せば調整できます。
この写真では、管を左に引っ張るとその分ワイヤーも引っ張られてスロットルが完全に開きます。
右にずらすとスロットルが充分に開かなくなります。
ただ、左に当たってなおスロットルレバーを引けるようだと、ワイヤーがそのうちちぎれます。
引きすぎず、ちょうど当たるくらいに調整します。
なにごとも程々に。
全閉 (アイドル)
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レバーを放すとバネでもどります。
どこまでもどるかはスロットルストップスクリューの位置で決まるので、これは目で見てではなくエンジンをかけて程よいところに調整します。
エンジンがかからないとき見ること
エンジンがかからない、あるいは不調のときには次のところを見てみましょう。
スイッチとコネクタ
スイッチ
そんなバカなと思うかもしれないけど、意外と多いのがスイッチがOFFになっていること。
また、スイッチの具合が悪くて、ONになっているのにかからなかったら、1度OFFにしてからONにしてみましょう。
コネクタ
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これもけっこう多いんだけど、気がつきにくいです。
スイッチとエンジンの間を結んでいる電線で差込式のコネクタでつながれているんだけど、知らずに引っかけて外れていることがあります。
スイッチをONにしてもかからなければここを見てみましょう。
燃料
これまたバカみたいだけどありがちなのが、ガス欠です。
車でもあるんですよ。
燃料がはいっているかどうか見てみましょう。
チョークがON (閉) になっている
これもよくあります。
もちろん自分ではもどしたんだけど作業してる間に何かに引っかかってチョークレバーが動いてしまうことがあります。
自分では触ってないので気づきにくいです。
プラグとキャップ
プラグキャップ
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まずはプラグの上にかぶさってるゴムがしっかり嵌っていることを確認します。
浮いていると接触不良で電気が流れません。
プラグ
緩みがないようなら、プラグを見てみましょう。
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プラグキャップを外します。
ふつうはプラグ本体に書いてありますが、ここでは草刈り機のカバーにプラグの品番が書いてあります。
わからないときは草刈り機の取扱説明書を見れば書いてあるはずです。
紙がなくても今は製品の品番からネットでいくらでも調べられます。
ここにはBPMR8Yと書いてあります。

付属のプラグレンチで外します。
だいたい19mmです。

外れました。
プラグ穴からエンジン内にゴミがはいらないようにウエスなどかぶせておきましょう。

外したプラグ。
けっこう白く焼けています。
焼けすぎのようです。
電極が劣化してるようなら新しいものと交換しましょう。
プラグを締めるときも程々に。
プラグは何かを固定するためのものではなく、エンジンのシリンダーの圧縮が抜けなければいいのできつく締める必要はありません。
ふつうのボルト・ナットとちがいエンジン本体に溝が切ってあるのでネジ山を潰してしまうとエンジンそのものを交換しなければならなくなります。
キャブレター・インシュレーターの緩み
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
めったにないこと、というか生まれてはじめてですがキャブレター・インシュレーターの取り付けボルトが緩んでいて圧縮が漏れてエンジンがかからなくなるということがありました。
キャブレター (スロットルバルブがはいっているところ) とエンジンをつなぐパイプです。
「気化器エンジン接合部」とでもいったほうがわかりやすいか。
機種によってちがうけど基本的な構造はおなじです。
エアクリーナーを外し、その下のカバーを外します (ここでは+ドライバー) 。
インシュレーターを留めている凹の六角ボルトを締めなおします。

六角レンチがあればそれがいちばんですが、中には草刈り機の歯を交換する工具にユニバーサル六角レンチがついていることがあります。
これはテーパーになっているのである程度の範囲で、大きいものから小さいものまで回すことができます。
あくまで代用品なのでボルトの山をなめてしまうことがあります。
なるべくちゃんとした六角レンチをつかいましょう。
エアクリーナーの掃除
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「ちょっと最近、パワーがなくなってきたな」と思ったらこれのことが多いです。
なんせ草の破片やホコリの中でつかう野外の道具ですからエアクリーナーのフィルター (スポンジ) にはたくさんゴミがつきます。
目詰まりすれば窒息状態でエンジンがゼイゼイいうのも無理ないでしょう。
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
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
ブロアなどでゴミを吹き飛ばしたり、油で取れない場合は歯ブラシなどでやさしく取ったり、灯油で洗って乾かして付けなおすのもいいでしょう。
ガソリンで洗うとスポンジがすぐボロボロになってしまうのでおすすめしません。
スポンジがボロボロになっていたら新しいスポンジを買って入れ替えたほうがいいですが、100均などで洗車用のスポンジを買ってきてハサミで切って入れてもいいです。
あまりスカスカのスポンジではゴミが通り抜けてしまうのでエンジンを傷めてしまいます。
かといってあまりに密のスポンジでは今度は空気を吸えません。
なにごとも程々に。
エアクリーナーが壊れて軍手などをかぶせて使っている人がいますがそれは最終手段で、いつエンジンが壊れてもいいよというつもりならそれでもいいです。
何もかぶせないよりはマシですが。
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