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「呉音」「漢音」「唐音」「宋音」
訓読み (もともとの日本語。やまとことば) と、音読み (中国からはいってきた読みかた。つまり中国語) の2通りがあるのはわかるけど、音読みもいろんな読みかたがあるのはなぜでしょうか。
時代と地域による漢字の発音のちがい
漢字には、古い方から順番に「呉音」「漢音」「唐音 (宋音) 」があります。
呉音 (ごおん)
4世紀後半~6世紀に日本に伝えられました。
主に、仏教用語に残っています。
「京 (きょう) 」「明 (みょう) 」「行 (ぎょう) 」「自然 (じねん) 」など。
中国は「南北朝時代」
長江下流の「呉」の地方が文化の中心だったので、この地方の音が取り入れられました。
しかし、王朝としての「呉」は222~280年で西晋 (せいしん) に滅ぼされています😮
漢音 (かんおん)
7世紀~
漢音と言うけど、中国は「隋」「唐」の時代で、遣唐使などにより伝えられました。
遣唐使というくらいだから、唐ですね。
当時の都、「長安」で使われていた音。
儒学関係に使われるようになりました。
「京 (けい) 」「明 (めい) 」「行 (こう) 」「自然 (しぜん) 」など。
王朝としての「漢」は紀元前206~紀元後220年! (伝えられた年代の400年も前に滅びています)
漢のほうが古い!
漢のほうが紀元前からはじまり、そのあとが呉なんですね。
順序が逆です。
例に挙げたように呉音、漢音の順番で発音を見ると
京 (きょう、けい)
明 (みょう、めい)
「よう yo: / えい e:」の組み合わせであるものがとても多いです。
ほかにも探してみてください。
すぐ見つかると思います。
唐音 (とうおん) 、宋音 (そうおん)
鎌倉・室町時代 (1185~1573年) にはいってきました。
「宋」 (960~1279年) と往来した禅僧などにより伝えられた音。
現在の「北京語」の元になる音なので、現代中国語に近い音です。
「椅子 (いす) 」「行脚 (あんぎゃ) 」など。
王朝としての「唐」は618~907年です (これまたズレてます)
用語としては「唐音」のほうが一般的です。
あくまで読みかたを区別するためのネーミングなので、両者の境目は曖昧でまとめて唐宋音ともいいます。
唐音はせまい意味では江戸時代 (1603~1868年) に明 (みん) 、清 (しん) からはいってきたものとされるので、さらに年代は新しくなります。
日本では儒学を通してはいってきた漢音がもっとも一般的で定着してしまったので、呉音 (仏教関係) はすくなく、唐宋音は稀でその読みかたがないほうがふつうです。
呉字でも唐字でもなく、漢字と呼ばれるのもむべなるかな、という感じです。
行脚 (あんぎゃ) とか、行灯 (あんどん) なんてめったにつかわないでしょ。
参考:
小学館 デジタル大辞泉
旺文社 標準漢和辞典
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