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「太陽日」「太陽年」「恒星日」「恒星年」「歳差」
天文について調べていたら奇妙なことが書いてありました。
太陽日は恒星日より長く、
太陽年は恒星年より短い。
太陽日 solar day とは?
太陽と地球の公転面を北極のほうから見ています。
地球の自転と公転とも「反時計回り」です。
恒星日 sidereal day
まず恒星日から。
これは宇宙を外から眺めている神さま👴が見て「地球がきっちり1回転 (360°) 」する時間の長さです。
1恒星日はおよそ23時間56分です。
1太陽日より4分短いです。 (後述)
宇宙には絶対静止座標 (けっして動かない場所) がないのでこう書きました。
地球がいっしょけんめいお供してグルグルまわっている太陽もものすごいスピードで銀河系の中を回り、その銀河系もどこかに向かって動いているからです。
しかも直線ではなくみんなグルグル回っています。
引力の影響をいっさい受けないジャイロに乗っていれば、そのジャイロは回転軸を変えないので回転していない座標として基準にできるけどそんなものはもちろんありません。
さらに重力による空間の歪みとかいいはじめるときりがないのでやめます😄
恒星日は地球の「自転周期 (rotation period) 」とおなじです。
平たい言葉でいえば「1日 (いちにち) 」です。
ただ、絵を見たらわかるとおり地球は太陽のまわりを回っている (公転している) ので、360°自転するうちに前に進んでしまいます。
約365日で太陽のまわりを1周するのでじっさいには1日に約1°前進します。
絵はわかりやすく大げさに書いてあります。
太陽日 solar day
日常的につかっている「1日」は「南中からつぎの日の南中まで」を指します。
わかりにくかったら日の出からつぎの日の出までと思ってもらえばいいです。
このへんは「厳密にいえばちがう」がたくさん出てくるのでこの記事では説明しません。
1太陽日はおよそ24時間です。
地球はきっちり360°回ったのに前進したためまだ太陽のほうを向いていません。
南中してないんですね。
太陽のほうを向くためには360°+αよけいに回らなければなりません。
このため太陽日は恒星日より「長く」なります。
太陽のほうを365回向くと1年なので、じっさいには地球は1年で366回、まわって (自転して) います💦
1年 ≒ 365太陽日 ≒ 366恒星日なんですね。
ああややこしや~。
ここまではおじさんも知っていました。
もんだいはつぎの太陽年です。
太陽年 solar year とは?
この絵も北極のほうから見ています。
赤い串が地軸で傾いているので、北極側に刺さっているところが見えて、南極側は隠れています。
ジャイロ効果 gyro effect
回転しているものは、回転軸の向きを変えない性質があるのですが、外から力が加わるととうぜん向きを変えてしまいます。
地球も回転体なので地軸の向きは変わらないで太陽のまわりを1周するはずなんですが、太陽や月の引力の影響を受けて地軸の向きが変わります。
これが恒星年と太陽年がずれる原因です。
恒星年 sidereal year
まず恒星年から。
宇宙の外から眺めている神さま👴から見て、「地球が太陽のまわりをきっちり1周 (360°) 」回る時間の長さです。
1年です。
これを恒星年といいます。
公転周期 (orbital period) とおなじです。
太陽年 solar year
おなじところにもどってくるという意味で「回帰年 tropical year」ともいいます。
回帰線は至線ともいい、赤道から南北に23.4°のところにあります。
23.4°というのは地軸の傾きですね。
夏至のときは北回帰線、冬至のときは南回帰線の頭の真上を太陽が通ります。
このように太陽年は「春分から春分」までを1年とします。
夏至から夏至でもほぼおなじだけど厳密にはちがうので春分を基準とします。
それについては話がややこしくなるのでここでは説明しません。
春分点の移動
ほんらいなら春分点 (0°) をスタートしたら360°回って春分点にもどってくるはずなんですが、絵のように360°回る前に春分点 (この絵で回帰) にもどってきてしまいます。
つまり春分点は移動するということなんです。
このズレを歳差と呼びます。
じっさいには春分点が移動したというより、地軸の向きが変わったんですね。
夏至や春分など地球から見ておなじところに太陽が来る (地球も宇宙空間のおなじところにもどってくるはず) のは天文観測や暦にとってとても都合がよく便利な材料なんだけど、絵のように地軸が太陽の向きと垂直になったところを春分点とすると360°-αで太陽年は1年を迎えます。
このため太陽年は恒星年より「短く」なります。
おなじ太陽という言葉をつかっていても太陽日と太陽年でちがう理由がわかりましたか。
歳差 さいさ precession
歳差運動、首振り運動、みそすり運動などともいいます。
回転体は力を加えられなければ回転軸を変えませんが、力を加えられるとそれから90°ずれた方向に回転軸を変えます。
コマが重力によって倒れず、重力から90°ずれた横向きに頭をグルグル回すのもこのためです。
地球にもおなじように外力が働き、回転軸 (地軸) の向きがつねに変わります。
いきなり向きを変えるのではなくてコマのようにつねに回りつづけます。
コマと反対
回転軸の頭 (北極側) はコマと反対向きに回ります。
だから地軸の頭は公転方向と反対の「時計回り」にまわります。
コマに例えるのはいいんだけど理屈がわかっていないので、多くのサイトでコマとおなじ方向に首を振るように書かれていますが、そうするとまったく逆のことが起きるので気をつけましょう。
コマと反対です!
歳差の周期
絵ではものすご~く大げさにわかりやすく書いたけど、歳差の周期は25800年です!
25800年かけて地軸の向きは1周してもとにもどります。
いまの天の北極は北極星ですがこれがつねに移動して、いろんな星座を巡り、もとの北極星にもどるのに25800年かかるということです。
言いかたを変えると、25800年前も北極星のほうを向いていたということです。
25800 ÷ 360 ≒ 72
なので1°向きを変えるのに72年かかります。
360 ÷ 25800 ≒ 0.014
なので1年で0.014° (約50秒) 移動します。
恒星年 ≒ 365日6時間9分10秒
太陽年 ≒ 365日5時間48分45秒
恒星年-太陽年 ≒ 20分25秒
1年で20分の差。
大したことないですね。
100歳まで生きても2000分 (33時間20分)
まあ1日半くらいはズレますが。
星占い
西洋のいわゆる12星座をつかう星占いは2000年以上前につくられたため、今では20~30°ずれています。
じっさいに太陽のほうにある星座は1つ隣に移動しています。