朔旦立春 (さくたんりっしゅん) ~ 立春=新月は19年周期

sakutan 朔旦立春2022-03-18

「朔旦立春」「メトン周期」「19年」

朔旦立春 (さくたんりっしゅん)

辞書で調べても出てきません。
朔旦冬至 (さくたんとうじ) はあります。

朔旦

朔 (さく)

旁 (つくり) が月であるように月に関係する漢字です。
新月 (new moon) 、月の始まり、つまり「1日 (ついたち) 」のことです。

望 (ぼう)

「のぞむ」という意味でつかわれていますが、これも「月」が肩に乗っていることからもともとは「月」に関係する漢字です。
「月」に「亡」+「王」 (ボウという音) で「満月」の意味です。

朔日 (さくじつ、ついたち)

「朔日」と書いて「ついたち」と読みますが/読ませますが、もちろん当て字です。

月立ち (つきたち)

「ついたち」は「つきたち」が訛ったもので「月の初め」という意味です。

晦 (つごもり)

「ついたち」に対して「晦」は「つごもり」と読み「月籠もり/月隠り (つきこもり) 」からできた言葉です。
月が隠れるので「月の最後=30日 (みそか) 」のことです。
「晦」は「暗い」という意味です。

「晦日」とも書きます。
ああ、「大晦日 (おおみそか) 」って1年の最後の月のそのまた最後って意味なんですね。
「おお三十日!」でいいと思うけど😄

合 (ごう) conjunction

天文学的には「合」といいます。

地球から見て2つの星がおなじ方向にあること。
とくに太陽と惑星 (衛星) が重なることをいいます。

太陽の方向にあるので見えません。
月がこの位置にあると新月。
太陽と重なると日食が起きます。

かならず日食にならないのは月の公転軌道が傾いているからです。

衝 (しょう) opposition

「合」の反対で、地球を挟んで太陽と惑星が反対側にあることです。

太陽の反対側なので明るく輝きます。
月なら満月です。
地球の影になると月食が起きます。

これもかならず月食にならないのは月の公転軌道が傾いているからです。

旦 (たん)

朝です。

つまり「朔旦」とは「1日の朝」のことです。

元旦 (がんたん)

元日 (1月1日) の朝。
ですが、元旦≒元日でつかわれています。

朔旦冬至

太陰暦11月1日が冬至になること。
言い換えると、冬至の日が朔になることです。
19年に1度のことなのでめでたい日とされてお祝いしました。
むかしの中国では冬至を1年の始まりとしていたので朔旦冬至という言葉が存在するんですね。

朔旦立春は辞書にも載ってないし、ネットでもあまり出てこないので最近になって、朔旦冬至にならってつくられた言葉だと思われます。

太陰暦と太陽暦

メトン周期に行きたいところですがまずこれを説明しなければなりません。

太陰暦 (たいいんれき) lunar calendar

「太陰」とは「月」のことです。
月の満ち欠けをもとに暦をつくります。

旧暦ともいいます。

月の満ち欠けなのでとてもわかりやすい反面、29.5日×12=354で、365-354=11。
地球が太陽のまわりを1周するより11日短いので、3年経つと33日、約1ヵ月ずれてしまいます。
そのうち正月が夏にやって来ることになります。

太陰太陽暦 lunisolar calendar

季節と暦がずれて、生活の中でもとくに農作業に支障が出るのでときどき閏月 (13ヵ月目) を入れて調整します。

29.5日や閏月についてはあとで説明します。

太陽暦 (たいようれき) solar calendar

現在つかわれている1年365日で、4年に1度閏年がある暦です。
太陽の位置、ほんとうは地球の位置によってつくられる暦です。
春分から春分、夏至から夏至のように地球が太陽のまわりを約360°回る長さを1年とします。

なぜ約360°なのかはあとで説明します。

厳密には4年に1度閏年があるのはユリウス暦。
現代のグレゴリオ暦は400年に97回閏年を入れます。

100回でなく97回なのはなぜか?

グレゴリオ暦で調べてみてくださいね✌

メトン周期 (Metonic cycle)

ギリシャはアテネのメトンさんが考えたのでこう呼ばれます。

19太陽年 ≒ 235朔望月

太陽年 (たいようねん) solar [tropical] year

回帰年ともいいます。
春分点から春分点、夏至点から夏至点などおなじところにもどってくる時間の長さです。

要するに地球が太陽の周りを360°回る時間と思いたいんだけどじつはそれよりすこし短いんです。
つまり、厳密には360°回るすこし手前です。

恒星年 (こうせいねん) sidereal year

これに対して正確に360°回る時間は恒星年といいます。

歳差運動 (さいさうんどう) precession

コマの首振り運動、みそすり運動などといいます。
ただ地球はコマのように芯棒が床にあって支えられているのではなく宇宙空間に浮いているので、コマとは逆に首を振ります。
地球がまん丸の玉ならこれは起きないんだけど、西洋梨に例えられるように赤道方向がふくらんでいるので太陽や月の引力によって横から引っ張られて逆回転の首振り運動をします。
さらに潮汐力と遠心力で海水が赤道方向に引っ張られていることも影響しているでしょう。

25800年で1周というとても長い周期です。
約72年で1°移動します。

歳差運動 (ジャイロ効果) はコマの原理とおなじなんですが、芯棒が床にあって重力で下に引っ張られているのと、宇宙空間に浮いていて横に引っ張られているのとでは力の向きがちがうので首振りの方向は逆になるのに、コマとおなじ方向に回転するとしている無明のサイトがあふれています。
気をつけてください。
コマとは逆に回ります。

地球の歳差 (首振り) はコマと逆!~ ジャイロ効果

ジャイロ効果 ~ 飛行機にかかる力

朔望月 (さくぼうげつ) synodic [lunar] month

朔 (新月) と望 (満月)。
朔から朔まで、または望から望まで。
つまり、ひと月。

ただし、月が地球のまわりを1周 (公転) する間に、地球は太陽のまわりを約30°前進するので、月がおなじ朔や望になるにはよけいに回らなければなりません。
つまり360°+α回っているということです。

このため朔望月は約29.5日です。

だから大の月 (30日) と小の月 (29日) を交互に置けばだいたい合うわけです。

恒星月 (こうせいづき)

月の公転周期 (orbital period) でちょうど360°回る時間です。
こちらは27.3日です。

太陽日は長く、太陽年は短い ~ なぜ?

メトン周期

さてメトン周期ですが、
19太陽年≒235朔望月なので、
235÷12=19あまり7です。

太陰暦 (月の暦) で19年と7ヵ月で、太陽暦の19年とほぼおなじになります。

閏月 (うるうづき)

そこで19年の間に7ヵ月、差し込んで調整します。
閏月じたいは上で書いたように太陰暦のままでは、ずれてしまう季節と暦を擦り合わせるためのものですが、太陰暦の19年と7カ月で太陽暦の19年とほぼおなじになるんですね。
これは単なる偶然です。

19年でもとにもどる

さてなんでこの話をしたかというと、太陰暦と太陽暦は1年で11日ずれて、ときどき閏月を入れたとしてもきっちり太陽暦とはおなじにはなりません。

立春≠元旦 (旧暦1月1日)

じっさい太陰暦の元旦 (立春に近い朔の日。旧暦で1月1日) がぴったり立春 (現代の2月4日あたり) に重なることはなかなかなくて、元旦は立春の前後半月くらいを行ったり来たりします。
言い換えると、立春の日が朔になることはなかなかないんです。
具体的には立春の日付は旧暦の12月15日から1月15日くらいの間で毎年変わります。

立春は太陽の運行からほぼ365日ごとに回ってくるのに対して、太陰暦のほうは354日で回るのですから。

理論的にはひと月30日あるので、朔の日も1~30日のどの日にもなり得ます。
そうすると1周してもとの1日とおなじになるには30年かかりそうです。
周期は30年になりそうです。

ウィキペディアにもそう書いてあります。
でも、じっさいには約19年でもとにもどるんですね。

朔旦立春

さて本題の朔旦立春です。
つぎの文章はウィキペディアの「立春」の項の一部です。 (2022年3月現在の記述)

立春は旧暦1月1日だという勘違いがあるが、ほとんどの場合は正しくない。旧暦1日は必ず朔(新月)だが、立春は朔に関係なく定められるため、多くの年は1日にならない。ただし約30年に1度、立春が朔と重なり、旧暦1月1日になる年がある(朔旦立春)。近年は1954年・1992年がそうで、次は2038年と予測される。

いやはや「朔旦立春」で検索するとあちこちの有象無象のサイトでこの文章がそのまま出てくる😄
完全にコピペです。

せめてウィキペディアからの引用だと断りましょうね。
「定められるため…」のあたりのガチガチの文章もそのまま載せているので、前後の文章とあきらかに語調がちがいます。
自分の言葉に直しましょうよ。

30年に1度!?

まず引っかかったのがこれです。
おじさんも最初は30年に1度だと思ってたんだけど、上に書いたように月の満ち欠け、朔望月、月齢のタイミングが暦と合うのは「19年に1度」です。
そのためにメトン周期について長々と書きました。

冬至は19年周期で、立春は30年周期というのはおかしいです。
これだけウィキペディアにもメトン周期や朔旦冬至についてくわしく書いてあるのに、朔旦立春は30年に1度って書いてあります。
ウィキペディアというのはあくまで不特定多数の人が「かってに」書いているものなのでこのようなことが起きます。
朔旦冬至について書いた人ならこんなことは書かないでしょう。

さらに30年周期と書きながら、1954、1992、2038年と書いてあります。
2038-1992=46年
1992-1954=38年
話になりませんね😅

そしてみなさんこれをそのままコピペしています。
この年はいったいどこから出てきたものなんでしょうか?

「朔旦冬至」は、本当に19年に一度巡ってくるのか? (外部サイト)

このブログを見ておじさんも立春が朔になる年を調べてみました。
そんなことを気にする人も調べる人もいないので、自分で調べました。

国立天文台の暦

つかったのはこれです。

こよみの計算データベース (国立天文台) 

もっとスマートな方法はないかと思ったんだけど大した数ではないので19年ごとに入れてみました。
年を入れて「月の満ち欠けカレンダー」のGoをクリックします。
そして、出てきた月齢の絵をチェックするという超アナログな方法です💦
もっといい方法があれば教えてください🙇

朔は瞬間なので、朔の日といってもその日の午前1時のこともあれば、10時のこともあるし、夜の11時のこともあります。
24時間のどこかで朔になる瞬間がある日を朔の日といいます。

また、地球は360°あり自転しているので地球のどこにいるかでも朔になる時間と日付は変わります。
おなじ日本でも東と西では変わります。
よく「今夜は満月だ」というけどほんとの満月はまだ月が上る前であることもあるわけです。
だから厳密ではなくかりに東京で月齢が0付近のものを朔として抽出しました。

朔旦立春になる (だった) 年

朔旦立春つまり立春の日が朔 (新月) になる年です。
左から年、立春の日、朔の日です。
すべて2月です。
*がついているのはウィキペディアに書いてあった年です。
2038年以外は19年ごとになっています。

1954 4 4 *
1973 4 4
1992 4 4 *
2011 4 3
2030 4 3
(2038 4 5 *?)
2049 3 3

ご覧のとおり、19年ごとにほぼ立春の日が朔になっています。
2038年は当たらずとも遠からずですがちょっと?です。
ウィキペディアで1973、2011、2030年がはいっていないのは場所によっては日付が変わってしまうか、真の月齢0の時間が前日か翌日かになってしまうからかもしれません。

もしかして毎年、だいたい2月4日は朔なんじゃないの?と疑り深いおじさんは1992年以降の1年ごとの様子を見てみました。
これは2月4日前後の朔の日です。

1993 1/23 2/22
1994 2/11
1995 1/31
1996 1/21 2/19

みごとにバラバラですね✌

太陰暦から太陽暦へ

日本では月の満ち欠けとともに生活してきましたが、明治に西洋の太陽暦 (グレゴリオ暦) を採用することになりました。

明治5年 (1872年) 12月は2日で終わり、ほんらい12月3日である日を「今日から明治6年 (1873年) 1月1日とする!」という乱暴な話でした。

これについては役人の給料を1ヵ月ケチるためにやったなんて都市伝説がありますが、ナンセンスです。
だって1ヵ月分だけ1回しかつかえないじゃんか😄

しかも12月分をケチったつもりでもけっきょく1ヵ月後には次の1月分を払うんだから変わらないですね。
12月分はタダ働きね!というなら話は別だけど、そうしたら暴動やストライキが起きたかもしれません。

このことで現在の暦と旧暦は1ヵ月くらいずれてしまいました。
現在の暦で2月4日に近い朔の日がもともとは元旦、つまり1月1日だったんです。

立春なのにまだ寒いです→当たりまえです!

2月4日といえば1年のうちでいちばん寒い時期です。
日本では1月の下旬から2月の上旬がいちばん寒い時期です。
その真っ只中です。
暖かいわけがありません。

現在の暦になって2月4日という微妙な日付になって「春=暖かい」という勘違いが生まれたけど、1月1日だったら誰も「立春なのにまだ寒いです」などと馬鹿げたことは言いません。

sign 十二宮。太陽中心2022-03-21

星占いの十二星座とじっさいの位置はズレている ~ 歳差運動

十二星座は無視してください。
2022年の日付ですがだいたいこのあたりです。

立春は単純に天文学的に冬至と春分の間。
そして春は「暖かい季節」ではなく「1年の最初の1/4の部分」という意味です。
また天文学では「春分から夏至まで」が春です。

立春なのにまだ寒いです~あたりまえです(^^)

節分

現代では立春の前の日。
だいたい2月3日。

ほんらい四立 (しりゅう) 、立春、立夏、立秋、立冬の前日が節分です。
そして立春の前日は何を隠そう1年の終わり「大晦日」
立春が年明けて新年の元旦なんですね。
暦としては朔の日が1日 (ついたち) なのでじっさいには前後半月の範囲で移動しますが。

豆まきをするのは鬼 (厄) を払って、新しい年を迎える意味があるんですね。

最近では「恵方巻」などというものがありますがセブンイレブンの商売戦術です。
バレンタインデーにチョコをプレゼントするのとおなじです。

自分で調べよう!

これがおじさんのモットーです。
調べ物はけっきょくネットでやっているわけですが、朔旦冬至はメトン周期で19年ごとなのに、朔旦立春は30年?でもないということに疑問を持ちます。

調べれば調べるほどどのサイトもウィキペディアのコピペ😅
しかも一字一句、場合によっては改行までおなじだったりする😂

役人の給料をケチるために暦を変えたなんてのも出処はおなじでしょう。

わたしは日本語教師をしています

プロフィール・レッスン予約はこちら。
表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
ひげおじさん
わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

やまとことば ~ 一覧

宇宙・天文・暦の話題

おじさんオススメの記事

飛行機はなぜ飛ぶか? ~「迎え角」と「コアンダ効果」

注目の記事

「右・左・右」はまちがい! 人は左から来た車に はねられる! 当たり前です!

話題の記事

シャンプーが水っぽくなるのはなぜ? (図解)

人気の記事

相手がえらんだカード (トランプ) を当てる! (カードマジック15枚)

<Sponsored Link>




<Sponsored Link>




sakutan 朔旦立春2022-03-18

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です