What did he say is ~ ? 奇妙な文章② 直接疑問文と間接疑問文

what say is 奇妙な文章その2

「What did he say is ~ ? 」「直接疑問文」「間接疑問文」

What did he say is ~ ?

What did he say is ~ ? 奇妙な文章①

この続きです。

①では、おじさんの想像の域を出ていませんでした。
speakアプリのAIに質問して、また勉強することで、もうすこし理解が進んだのでここにまとめます。

直接疑問文

What is this?
Who is he?

のような文章です。

これは本来の叙述の形は

S+V+C で、S≒C です。

S:subject 主語
V:verb 動詞
C:complement 補語

This is a pen. これはペンです。これ=ペン (ただし、ペンはつねにこれではないので≒と書きました)
He is John. 彼はジョンです。彼=ジョン (同上)

これがわからないときには疑問詞 (wh…, how) に置き換えます。

This is what?
He is who?

ただし、英語では疑問詞が先頭に来るのが自然なので、Cの疑問詞が先頭に躍り出て、入れ替わりにSは動詞の後ろに飛ばされます。

What is this?
Who is he?

ここまでは初歩の初歩なので今さら説明するまでもないですが、間接疑問文を説明するために比較材料が必要です。
では、間接疑問文を見てみましょう。

間接疑問文

疑問文が、「…」の中に入れられた場合です。

例:
彼は「これは何ですか?」と言った。

「…」の中は
直接疑問文:What is this?
主文:He said.

これをくっつけると、
He said (that) “What is this?”

that は「と (いうこと) 」でふつうは言いません。

これなら日本語の構造とおなじで何も悩みません。
“…”「…」の中は彼のセリフでそのまま書けば (言えば) いいんです。

間接疑問文

日本語ならそのまま書けばいいのに、英語では”…”を外すと語順も動詞の形も変わります (めんどう😅)
上の例文はこうなります。

He said (that) what this was.

語順

what 以下の文が直接疑問文のときとちがい、平叙文 (ふつうの文章) とおなじ語順になります。
しかも、時制の一致でisはwasと過去形にしなければならない。

関係代名詞

またこの場合のwhatは疑問詞ではなく関係代名詞です。

「何か、ということ」という名詞です。
ここで「何ですか?」と質問しているわけではありません。

厳密には元の文と意味がちがう

しかし、ここで問題が…

この文章では、彼が質問したのではなく、彼はその正体を知っていて
「これは〇〇というものだよ」と教えてくれたことになってしまいます。

日本語の「何だ」も英語のwhatも、疑問詞 (質問) の場合と、これは〇〇であるという関係代名詞 (断定) の2通りの意味があるので混乱します。
そこで、ここでは断定のほうは「〇〇だ/である」という表現にします。

彼が質問したという意味合いを保持するためには動詞をほかのものに変えなくてはなりません。

→He asked what this was. 彼は、「これは何であるか?」と質問した。

言語というのは一対一対応ではなく、別の言いかたをしなければならないことがあります。

日本語の「どうも」とか「ちょっと」とか「おかげさまで」とか「よろしくお願いします」なんて言葉はほかのどの言語にも直訳できないので、その時々によって適切な言葉に言い換えます。
「どうも」はそのあとに「ありがとう」なのか、「すみません」なのか、はたまたほかの言葉なのかは状況によって変わります。

間接疑問文という名称

間接疑問文といいながら、じっさいには疑問文ではありません。
これが話をややこしくするところです。

もう1度見てみましょう。

He said (that) what this was.

これは主語から始まり、平叙文で、ピリオドで終わっています。
平叙文です。
にもかかわらずこれを間接疑問文と呼びます。

繰りかえしますが、これは疑問文ではありません。

間接話法の疑問文

上の例文で
He said (that) what this was.
というと、
「彼は、これは〇〇だと、言った」
という平叙文です。
疑問文ではありませんね。

He asked what this was.
も平叙文です。

疑問文にしよう

「彼は、これは何だと、言ったか?」という疑問文はどう言えばいいのでしょうか?

直接話法 (平叙文) :This is what.これは〇〇だ。これは~だ。 (もちろんこの英語はまちがいです。ただ、英語のwhatは、日本語の〇〇、~、ホニャララだと思ってください)
疑問文:Did he say what? 彼は何と言ったか? (もちろんこんな英語もありません)

むりやりくっつけるとこうなります。

Did he say what this was? (isは時制の一致でwasに変わります。また語順もS→Vの平叙文になります。もちろんこれも正しい英語ではありません)

疑問詞は偉いのだ

日本語では疑問詞の「何だ」は文中に来てもまったく問題ありませんが、英語では関係代名詞でない疑問詞が文中や文末に来ることは許せません。
なぜなら疑問詞は偉いからです😄

そこでまわりの空気も読まず、人の迷惑も顧みず、とにかく理屈抜きに先頭に躍り出ます。

What did he say (that) this was?

これが英語の自然な語順です。
それから先頭と最後に泣き別れになってしまっているけど、Whatはdidではなく、wasに接続していることに注意が必要です。

あっ、それからまた混乱させて申し訳ないけど、whatが先頭にあるからと言って疑問文とはかぎりません。
関係代名詞が主語として先頭に立つこともあるからです。

What he said is strange. 彼が言ったことは変だ。

疑問文の場合はwhatの後ろにdo, did, isなどの動詞や助動詞が来て主語が後回しにされる疑問文の語順 (V→S) になっているのでわかります。
関係代名詞のときは平叙文 (S→V) の語順です。
文末の?マークは会話では見えないので😄

もう1つ例を:

直接疑問文:What is the cause of the accident? 事故の原因は何ですか?
疑問文:Did he say what? 彼は何と言ったか?(存在しない英語です)

合体:
What did he say (that) the cause of the accident was?
事故の原因は何だと、彼は言ったか?

さあここまでは序の口。
問題はつぎの奇妙な文章です。

奇妙な文章

以下はいずれもvoa learning Englishに出てきた文章です。

What did NASA say will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse?

What did Annie Didier say is one important purpose the algorithm could serve?

What did John Deere say is the main purpose of its self-driving tractor?

What have researchers found is the cause of stuttering?

Which iPhone does the story say will work with 5G wireless technology?

これらは上で説明したように、sayの後ろが平叙文ではなく、will affectやisなどの動詞が先頭に来ています。

長い文章・学術的な記述などでは直接疑問文のような語順を取ることもある

4番めの例文を見てみましょう。
いちばん短い文章なので。
本来なら、

What have researchers found the cause of stuttering is?
となるべきです。
この文を分解してみましょう。

直接疑問文:What is the cause of stuttering?
疑問文:Have researchers found what? (仮英語)

もちろんこれで正しいんですが、1番めの例文だとどうなるでしょうか?

What did NASA say how red the moon appears during the partial lunar eclipse will affect?

これも分解してみましょう。

直接疑問文:What will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse ?
部分月食のときに月がどれぐらい赤く見えるのかは、何が影響するのか?
疑問文:Did NASA say what? (仮英語)
NASAは何と言ったか?

このようにもともとはWhatという疑問詞のすぐ後ろにwill affectという動詞が来ているのに、合体した文章ではWhatが先頭で、直接それに接続する動詞が文の一番最後に行って泣き別れになっています。
すると、Whatとwill affectのつながりがよくわからなくなってしまうんですね。

さらに動詞の前に名詞があるので、あたかもeclipse will affectのように誤解する可能性も高いです。
あくまで主語はWhatで、What will affect~?がこの文のいちばん重要な骨幹です。

そこでWhatにつながる動詞を後続する節の先頭に持ってくるということをします。
それでもわかりにくいけど。

ついでに2番めの文章を本来の文型にしたらこうなります。

What did Annie Didier say one important purpose the algorithm could serve is?

もともと難解な文章なのに、さらに文末にserve isってなんじゃらほいってことになります😄
だから平叙文の文型をやめて、すこしでもisをWhatに近い前のほうに持ってきます。
それでWhat is~?というニュアンスを匂わせます。

まず did Annie Didier say のところを切り取って、もともとの疑問文を書き出します。

What is one important purpose the algorithm could serve?

わかりにくいですね。
後ろに関係代名詞が隠れています。
それを見せましょう。

What is one important purpose (which the algorithm could serve)?

which以下の ( ) でくくったところは先行詞purposeの補足説明です。

これを本来の主語、目的語の文にもどします。

The algorithm could serve one important purpose.
このアルゴリズムは、ある重要な目的を果たすかもしれない。
このcouldは「できる」ではなく、「かもしれない」です。

主語はThe algorithmで、先行詞purposeは目的語なんですね。

これらを踏まえてもう1度これを訳しましょう。

What is one important purpose (which the algorithm could serve)?

そのアルゴリズムが果たす (かもしれない) 重要な目的は何でしょうか?

最初の文にもどるとこうです。

そのアルゴリズムが果たす (かもしれない) 重要な目的は何だと、アニー・ディディエは言いましたか?

thatを入れるともっとわかりやすい

What did NASA say (that) will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse?

こうすれば、2つの動詞が並んでいる奇妙な文章ではなくなります。
ここで切れてるということがわかります。

文全体の日本語訳はこうです。

部分月食のときに月がどれぐらい赤く見えるのかは、何が影響するとNASAは言ったか?

thatのところにwhatをぶっこむ

これでも文が寸断されてて日本人の文法体系ではわかりにくいという人は上の (that) のところにwhatをぶっこんでしまいましょう。

did NASA say, What will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse?

もちろんこれは正しくない英語ですよ。
でも日本語として理解するには手段としてはつかえます。
そのうちこの文章に慣れてきたら、切り取って張り替えたりしなくても意味がわかるようになります。

時制の一致をしない場合

主節 (親分) が過去時制なのに、従属節 (子分) は現在形のことがあります。
じつは上の例文は5つとも現在形どころか、will affect, will workとwillがついています。
このwillは未来形ではなく「性質」を表すwillです。

voaに問い合わせたら、「文法的にはまちがいだけど、会話ではこういうことはよくあるんだ。そんなこと気にするな」というような返事がPh.D.から来ました。
先生とか博士というものは得てして、生徒を軽んじる傾向があります。
どうせお前らわかってないやろ、という感じ。

speakのAIくんもおなじようなことを言ってました。
「会話ではこういうことあるんだよねえ~」
ところが、おじさんがvoaの例文として5つ挙げると、手のひらを返したように「もうしわけございません。わたしがまちがっておりました」と語順や時制の一致に関して訂正しました。

しかし、これはあまりにも母語に浸かった人が母語のことをわかってない範疇にはいります。
これにはちゃんと理由がありました。

日本人も知らずに変な日本語をつかってるんですよ。
べつに言葉の乱れとか、流行り言葉でなくて、由緒ある正式な日本語でも、外人からすると「なんでやねん」というのが山程あります。

一般的・普遍的な性質・事実。今も変わらないことには現在形をつかう👍️

たとえば
「地球は太陽のまわりを回っている」とか
「地球は丸い」とか
「猫は哺乳類である」というようなことです。
こういう事柄は、過去の時点でそう言っただけではなく、今現在でも同じ状況でおなじ性質を持っているので現在形をつかいます。

それに対して、過去の時点の一過性の事柄では、時制を合わせて過去形にします。

お腹いっぱい。
ということですこしわかったかな?

この文章をわれわれ日本人がすらすらと口頭で作ることはまず無理でしょう。
また例文でわかるとおり「彼は、何と言ったか?」のようにテスト問題のセリフのようなもので、ふだんの会話ではまずつかうことがありません。

だから、今まで1度もお目にかかったことがなかったんですね。
voaの記事 (中でも記事の終わりにあるクイズ) を読みはじめてから頻繁に出てくるので「なんじゃこりゃ~」と思ったけど、慣れれば意味はすぐ読み取れます。

読み取りかた

上にもすこし書きましたが、読みかたとしては文法云々より、
did he sayの部分を ( ) でくくるか、切り取ってしまいます。

たとえば

What (did NASA say) will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse?

あるいは

What will affect how red the moon appears during the partial lunar eclipse?

それから、それは誰が言ったのか、したのか?を追加情報として付け加える。
did NASA say?

上の文で「~は〇〇だ」と読み取ってから、
「と、彼は言ったか?」
「と、NASAは言ったか?」
「と、研究者は突き止めたか?」

を付け足します。

2つの文を切り離してしまえば、わかりやすくなります。
これは英語にかぎらず、関係詞や接続詞や、日本語だったら「の」や「て」でペタペタと単語や文章をくっつけて長々しくすると母語話者でも何を言ってるのかわからなくなるので、ある程度の長さで切ることも大事です。

長ったらしい文章はむしろ文章を書く才能がない人のすることだと思ってください。
と言いながら、おじさんの文章わかりやすいかなあ😅

わたしは日本語教師をしています

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表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

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