関係代名詞 which, that の訳しかた ~ するところのって何!?

relative pronoun 関係代名詞

「関係代名詞」「which」「that」

関係代名詞 which, that の訳しかた

関係代名詞は英語で最初に引っかかるものの1つでしょう。
先生はわざとむずかしくしています。

辞書を引くと「~するところの」と書かれています。

「するところの」って何よ!?
そもそもそんな日本語ない!

何人でも、何語でも「前から」考えて話す

英語教育のもう1つのまちがい。
後ろから訳すというもの。

いやあ、イギリス人もアメリカ人も後ろから考えてしゃべっていません😄

頭に思い浮かんだ言葉から順番に垂れ流しています。
ただ、自然な文章にするとき、また文法的に主語か目的語かを示すために、言語によって語順が変わります。
でも、あくまで言語による構造であって、人間は後ろから考えていません。

同時通訳

最近は自動翻訳も精度を増してきたので同時通訳の仕事もめっきりなくなってしまいました。
ただ、同時通訳を聞いているととにかく聞こえた順番に前から訳しているのがわかります。
そして、まとまって時間があれば言い直す。
もし、ぜんぶ話し終えるのを聞いてから訳していたら間に合いません。
文字に書き起こす翻訳とちがって、口から発せられる言葉は出た瞬間に消え、次から次へと言葉が出てきます。

which = それ、その

whichが出てきたら「それ」「その」と言います。

例:

This is a car which I bought yesterday.

日本の英語教育では後ろから訳してこういうでしよう。
「これは、わたしがきのう買ったところの車です」

こんな日本語、見たことも聞いたことないでしょう😄

前から訳す

これはです。
それはわたしがきのう買いました。

もうこれで意味はわかりました。
日常会話や、自分が読むだけの文章ならこれでOKです。
ただ、学校のテストでは1つの文にまとめましょう。

→これは、わたしがきのう買ったです。

これで○がもらえます。

連体形 (れんたいけい)

文法用語はおぼえなくてもいいです。

日本語では終止形 (辞書形) と連体形がおなじ形です。
「買う」なら、連体形も「買う」です。

連体形とは、「体言 (たいげん) に連なる形」です。
体言とは、大雑把にいうと「名詞」です。

例文なら、「買った」はそのまま「車」を修飾することができます。
「買ったところの車」などという訳のわからない、存在しない日本語をつかわないでください。

「買った」は過去形ですが、現在形でもおなじです。
「買う車」と言えます。

さっちゃん
わかんな~い
ひげおじさん
要は「~するところの」をつけなくても、そのまま名詞につけられるってことじゃよ!

これから買う予定ならこうです。

This is a car which I will buy tomorrow.

あなたは友だちを店先に連れてきて言います。
「この車あした買うんだぜ!」

まちがっても
「これは、あした買うところの車です」
って言わないですよね。

which ≒ it (それ)

例文はこのように書きかえられます。

This is a car.
I bought it yesterday.

これはです。
わたしはそれ (これ) をきのう買いました。

it → which

上のように文が2つに分かれていれば問題ないんだけど、1つにまとめるときには「it」はつかえません。
そこで、it を which に代えます。
それだけのことです。
文法的に it がつかえないので、which に代えただけです。

whichは前の名詞を「説明」します。

英語圏の人も頭に浮かんだ言葉から口に出します。
だから、こんな感じです。

これはだよね。
ああ、これ (この車) はきのう買ったんだよ。

もっといえば、自分が話すときはわざわざ関係代名詞をつかわずに上の例のように1つずつ切って、2文にして言えばいいだけのことです。

, which

たまにwhichの前に「,」がついていることがあります。
もちろん話し言葉ではわからないので文章だけです。

深い意味はなく、それこそ「ちょっと」途切れてるだけのことです。

上の例文をつかうとこうなります。

This is a car , which I bought yesterday.

これこそ it とほぼおなじです。

これはですそれはわたしがきのう買いました。

that

たいていの場合、which は that に代えることができます。

これも上の例文をつかうとこうなります。

This is a car that I bought yesterday.

口語的ないいかたです。
意味はまったくおなじです。

省略!

じっさいの会話では which も that もつかいません。
こうなります。

This is a car I bought yesterday.

a car の後ろに which または that が隠れていると思ってください。
意味はまったくおなじです。

関係代名詞をつかわなくても

この例文なら関係代名詞をつかわなくても作れますね。

I bought this car yesterday.

わたしはこの車をきのう買いました。

何に意識が向いているか?

なぜ this car が前に出たのかというと、これが「思い浮かんだ順番に口から出る」からで、「この車」が先に頭に浮かんだからです。
そのあと「わたしが買った」という説明をつけるために関係代名詞で「説明文」をくっつけたんです。

in which

さて、やっと関係代名詞に慣れてきたころに、which の前に「前置詞」がついている文が出てきます。

これを「~するところの」と訳していると「~の中にするところの」とさらに訳のわからない日本語になってしまいます。

その

which ≒ it ということがわかっていればむずかしくありません。

じっさい英語圏の人が日本語話者に比べて頭がいいということはありません。

in which ≒ in it

こう考えれば「その中に」です。

例:

There is a house in which he lives.

これもwhichの前で切ります。

あそこにがあります。
その中にかれは住んでいます。

which (その) が、a house (家) であることはもうおわかりですね。

これでOKです。
テストの答えにするにはこうすればいいです。

あそこに、かれが住んでいるがあります。

「住んでいる (連体形) 」が「家 (名詞) 」を、修飾 (説明) しています。

2文に分ければこうなります。

There is a house.
He lives in it.

前置詞なのに後ろにつけられる

例文はつぎのようにも言えます。

There is a house which he lives in.

関係代名詞が割りこんだことで、前置詞の in がいちばん後ろに飛ばされてしまいました。

意味はおなじです。
この場合、which は that に置き換えることができます。
さらに、省略してしまってもかまいません。
そのほうがより口語的になります。

ただし、in that はつかえません。

例文はつぎのようにも言い換えられます。

He lives in a house there.

かれはあそこの家に住んでいます。

これも a house が前に出たのは、話し手が「かれ」より「家」のほうに意識が向いていて、先に「家」という言葉が出たにすぎません。
こんな感じですね。

あそこに家があるだろう。
ああ、あそこには彼が住んでるんだよ。

ほかの前置詞もおなじ

of which それの
from which それから
with which それとともに、それをつかって

「それ~」と訳せばすぐに意味がわかります。

関係代名詞は ( ) 説明文 ~ 訳す手順

  1. 関係代名詞 which, that に印をつける
  2. which, that 以下の説明文に ( ) をつける
  3. 先行詞に印をつける

関係代名詞に印をつける

関係代名詞の which, that が出てきたらまず○で囲みます。
ここでは色をつけます。

This is a car which I bought yesterday.

説明文に ( ) をつける

つぎにwhich, thatが率いる説明文に ( ) をつけます。

This is a car (which I bought yesterday) .

先行詞に印をつける

関係代名詞 ( ) の中は前の「名詞」の説明です。
その名詞に下線を引きます。
これを先行詞といいます。

This is a car (which I bought yesterday) .

これで主文は
This is a car.

which 以下の ( ) 内は先行詞 a car の説明文だということがわかります。
(which I bought yesterday)

印は○でも□でも、線でも何でもいいですよ。
テストのときにマーカーペンはつかえないと思うので自分がわかりやすい印を決めましょう。

関係代名詞が率いる説明文は終わりまでとはかぎらない

例文はわかりやすくするために単純なものをつかいましたが、レベルアップすると ( ) の後ろに主文の残りが来ることがあります。
説明文が間にはいって、主文が前後に泣き別れになるタイプです。

例:

This car which I bought yesterday runs very fast.

動詞に注目!

動詞に印をつけます。

This car which I bought yesterday runs very fast.

動詞は1つの文に、1つしかない

これが英語の基本です。
複数出てきたら、どちらかがメインの動詞で、もう1つは関係代名詞率いる説明文の中の動詞です。
and, butで接続する文章はこのかぎりではありません。

関係代名詞に印をつける

This car which I bought yesterday runs very fast.

説明文に ( ) をつける

さあここが新しい問題ですが、which からたどっていくと、後ろにもう1つの動詞 run が出てくるので、これは ( ) 内にふくまれないことがわかります。
ここが打ち止めポイントです。

またこの例文ではありがたいことに、runs と後ろに「-s」がついているではありませんか。
つまり、この動詞の主語は単数だということを教えてくれています。
単数の代名詞でも I, you は「-s」をつけません。
he, she, it だけです。
これで runs の主語は、This car だということがわかってしまいます。

This car (which I bought yesterday) runs very fast.

先行詞に印をつける

This car (which I bought yesterday) runs very fast.

これで解析完了!
わかりにくければ主文と説明文を分離します。

This car runs very fast.
(which I bought yesterday)

この車はとても速く走ります。
(それはわたしがきのう買いました)

もちろんこの形では文法的に成り立ちませんが意味はわかりましたね。
意味がわかった上で1つの文にまとめましょう。

(わたしがきのう買った) この車はとても速く走ります。

ちょっと難易度が高い例

これは英英辞典の名詞の説明なので文章ではありません。
したがって主文の動詞はありません。
動詞は関係代名詞の中だけです。

vent -n. an opening (through which air, steam, smoke, liquid, etc., can go into or out of a room, machine, or container)

ventの意味です。
n. は noun (名詞) の略。
カンタンにいえば、vent = an opening。
そのうしろは an opening の説明文です。
これも前から訳します。

「開口部。それを通して、空気、水蒸気、煙、液体などなどが、できます、はいったり、出たり、部屋、機械、入れ物に/から」

ポイントは through which を、「それを通して」と訳すことです。
これを自然な日本語の順序にするとこうなります。

「空気、水蒸気、煙、液体などが部屋、機械、入れ物にはいったり、出たりする開口部」

さいしょから後ろから訳そうとするとわけがわからなくなります。

動詞は1つだけ!

これは英文の鉄則です。

さいしょから書くと話がむずかしくなるので後回しにしましたが、英文の解析をするときは「主語」ではなく、まず「動詞」をさがして印をつけます。

重文 (じゅうぶん)

動詞が複数あるようなら、まず and, but などの接続詞をさがします。
これらでつながっているときは前から訳せばいいので何の問題もありません。
このような文を、重文といいます。

複文 (ふくぶん)

これは「複数の文」という意味だろうけど、おじさん的には「複雑な文」と解釈します😄

and, but などでただ並べているのではない場合は、which, that などの関係代名詞をさがします。
厄介なのは省略されている場合です。
省略されていても動詞が目印になるので、先行詞をさがします。

この文は、この名詞の説明をしているな、というところがわかればそこに関係代名詞が隠れています。
関係代名詞がなくてもおなじように「説明文」は ( ) でくくります。

キーポイントは動詞です!
「1つの文に動詞は1つ」
を呪文に唱えれば、切れ目がわかります。
そして、 ( ) 内の説明文は飛ばして読むと意味がわかります。

全体の意味がわかったところで、説明文を文章に盛りつけます。

あくまで、テストの答えとか、翻訳をしているときの話で、会話や意味がわかればいいときは無理に1文にせずに、主文と説明文は分離したままでいいです。
翻訳においても、1文にすると意味がわかりにくくなるときは、2文に分けます。
だいじなのは人に意味が伝わることですから。

長文は悪文

接続詞や、日本語なら「~て」をつけて長い文をつくるのはけっして偉いことではなく、むしろ頭の悪い人がやることです。

「今日、朝起きてえ、顔洗ってえ、歯磨いてえ、ご飯食べてえ、着替えてえ、靴はいてえ、学校へ行ったら途中で犬がいてえ、田中さんちの犬う、吠えてうるさいの、怖くてえ、遠回りしてえ…」

みたいな文章💦

日本語は万能接続助詞「~て」でペタペタといくらでも文章をつなげられるので、英語を話すときに「and~and~」でつなげがちですが気をつけましょう。

さっちゃん
まるでわたしが言ってるみたいじゃん!
ひげおじさん
あくまでたとえじゃけえ💦

関係代名詞をつかった英文なら

「著名な設計士が設計したところの家が建っているところの丘の麓に住んでいるところのわたしの友人が通っているところの大学の教師が乗っているところの車が…」

みたいな文章😅

じっさいこういう英文があるんです。
けっして頭のいい人が書いたとは思えない。
でも、これを翻訳しなきゃいけないときは苦労します。
まず、意味がわかりにくいし、極端な場合は意味不明なこともあります。
それを読んだ人がわかるようにするには、文章を分けたり、書いてあることに反しない範囲で組み立てなおします。

 (参考:小学館 デジタル大辞泉)

わたしは日本語教師をしています

プロフィール・レッスン予約はこちら。
表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
ひげおじさん
わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

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