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「ようがない」「ようもない」
方法がない。不可能。
使いかたと意味を説明するのは造作もありません。
問題は品詞・活用・接続・助詞が少々厄介なんです。
動詞の連用形+ようがない / ようもない
例文
それは天賦の才能としか言いようがない。
建物が燃えてしまったので調べようがない。
専門外なので答えようがない。
ここまでは問題ありませんね。
様 (よう)
様 (よう) は別の言いかたをすれば「方法」「やりかた」「道」です。
「する方法がない」ということです。
名詞「の」しようがない
例文
それでは反論のしようがない。
それについてはコメントのしようがない。
わたしもよくわかっていないので説明のしようがない。
なんで「の」なんですか?
混乱するのはここです。
いや日本人は悩みません。
母語話者は文法を考えないでしゃべっているからです。
しかし、文法を勉強している外国人にはこの「の」が謎なんです。
名詞の後ろだから「の」がつくのはべつに不思議でもなんでもありません。
問題はその後ろの「しよう」です。
意向形ではない
「しようがない」の例文だけ見てしまうと「しよう」は「やろう」とおなじ意向形だと勘違いしてしまいます。
これは「し (連用形) +よう」です。
「やる」について考えれば「やり (連用形) +よう」で「やりようがない」だから混乱しません。
名詞句
「し・様 (よう) 」「やり・様 (よう) 」「言い・様 (よう) 」などは名詞句です。
だから
名詞+の+名詞句で、何の問題もありません。
めでたしめでたし
と言いたいところですが、この接続は変です。
連用形+名詞!
さらっと「連用形+ようがない」と書きましたが、じつはこれおかしいんです。
連用形
連用形は「用言に連なる」という意味。
用言
用言ってなんじゃらほい?
「活用する品詞」のこと。
端的に言えば「動詞・助動詞」です。
「動き・始める (動詞) 」「やり・ます (助動詞) 」など。
連体形
連体形は「体言に連なる」という意味。
体言
体言ってなんじゃらほい?
「活用しない品詞」のこと。
端的に言えば「名詞」です。
形の変わらないもの。
連体形は形としては終止形 (辞書形) とおなじで、
「する・方法」「やる・時」のように接続します。
様 (よう) は体言なのに、連用形?
だから本来なら、
「し・よう」「やり・よう」ではなく、
「する・よう」「やる・よう」になるべきです。
混同を避けるため。名詞っぽくするため
「するよう」「やるよう」だと「~するように」というフレーズで使うことが多いので、それとバッティングしてしまいます。
それを避けて、より名詞っぽくするために「名詞 (連用形) +名詞」の形になったのではないでしょうか?
名詞+名詞
これは日本語では得意中の得意。
例:
第五十六回全国高校野球大会会場受付場所😄
本来なら
第五十六回の全国の高校の野球の大会の会場の受付の場所です😂
このように名詞を形容詞のようにつなげるのはありです。
じっさい「遣り様 (やり・よう) 」という言葉があります。
遣り様がないと言います。
いっぽう「遣る方 (やる・かた) 」という言葉もあります。
遣る方なしと言います。
「が」と「も」のちがいは?
「が」と「も」どっちでもいいも困りますね。
が
単純にそのことだけについて述べている。
も
ほかには何もないというニュアンス。
疑問詞には「も」
何もない。
誰もいない。
どこにもない。
いつもない。
「どうしようもない」とは言うけど、
「どうしようがない」とは言いません。
単純に「これがない」に対して、
「あれもこれもない」 (並列・列挙) というニュアンスでしょうか。
「しょうがない」と「しょうもない」
しょうがない
しようがない。
しかたがない。
やる方法がない。
→だから、諦める。
しょうもない
くだらない。
ばかばかしい。
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