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「除湿機」「飽和水蒸気量」
飽和水蒸気量
the amount of saturated water vapor
飽和 saturation
コップの水に砂糖を溶かすと溶ける限界があって、それを超えるといくらかき混ぜても溶けないで底に沈みます。
これを飽和といいます。
空気にも溶ける (?) 水の量が決まっていて、これを飽和水蒸気量といいます。
1m3の空気に何g溶けるか。
[g/m3] で表します。
業界人は「飽和する」ことを「サチる」といいます。
英語のサチュレーションからの造語です。
湿度
一般的に言われているものは相対湿度 (relative humidity) です。
だからRH (%) と書くこともあります。
じっさいには蒸気圧の比なんだけど、ややこしいので、飽和水蒸気量 (溶ける限界) に対するじっさいの水蒸気の比だと思ってください。
温度
飽和水蒸気量は温度が上がれば上がるほど大きくなります。
つまり気温が高いほどたくさん水が溶けるんです。
言い換えると、気温が下がると溶ける水の量は減ります。
これは水に溶かす砂糖もおなじで、温度が高いほどたくさん溶けます。
今、飽和水蒸気量目一杯の水蒸気が溶けているとすると、湿度100%です。
コップになみなみに水がはいってる状態です。
あと1滴垂らすとあふれます。
気温はコップの大きさのようなもの。
気温が上がればコップが大きくなるのでもっと水がはいります。
反対に気温が下がるとコップが小さくなるので、水があふれてしまいます。
結露 condensation。露点温度 dew point
冬場のガラス窓や、風呂の壁に水滴がつくのは、室温は高くても窓や壁は冷たいので飽和水蒸気量が下がり、溶けきれなくなった水蒸気が水として出てきてしまうのです。
今、湿度100%でなくても、気温が下がるとコップの容積が小さくなり水があふれ出す温度があります。
これが露点温度です。
朝霧、朝靄はこれで発生します。
昼間大量に溶け込んだ水蒸気が、夜の間に気温が下がって露点温度以下になり、飽和水蒸気量を超えて水になります。
ただとても細かい粒なので浮いてます。
夜露は降りると表現するけど、じっさいにはまわりの気温より低い、車の屋根や窓に溶けきれなくなった水蒸気が水として付着するのです。
車が氷点下になっていると夜露ではなく霜になります。
部屋にはどれくらいの水が溶けているのか?
おじさんの居間兼寝室は8畳+αで、床が5×4m、天井の高さが2.5m。
5×4×2.5=50m3 です。
気温30℃の飽和水蒸気量は30g/m3。
30×50=1500g≒1500ml (=1.5ℓ) 。
湿度100%とすると、なんと炭酸のでかいペットボトル1本分の水が部屋の空気に溶けています。
梅雨時は80~90%なのですくなく見積もっても1ℓは溶けています。
満員電車みたいなもんなので、あとから水の分子くんがはいる余地がありません。
洗濯物を干しても乾くわけがない。
乾くどころか、水の分子にもどりたがってる水蒸気くんがウヨウヨ💧💧💧
除湿機 dehumidifier
そこで除湿機登場。
乾燥剤はdesiccant。
動詞はdesiccate (デシケート)
「で湿気ーと」って覚えてね。
ペルチェ式
2種類の金属 (半導体) があり電気を流すと片方は温度が上がり、片方は温度が下がります。
これをペルチェ効果といいます。
熱電対
これとおなじ理屈で、2種類の半導体を合わせたものに温度差が生じると電圧が生まれるという効果があります。
これをゼーベック効果といいます。
熱電対という温度計はこれを利用します。
アルコールや水銀をつかったガラスの温度計では測れない高温でも測れます。
ペルチェ式除湿機
さてこの除湿機は電気を流すだけで音がしないので静かですが、はっきり言って買わないほうがいいです。
公称1日に700ml除湿すると言うけど、ぜんぜん足りないことは明らかです。
それにもかかわらず22畳までOKとか書いてある。
詐欺です🦆
せいぜい靴箱くらいしかつかえないです。
それより見てくれはともかく扉のある靴箱なんかに入れないで風通しのいい網目状の棚に隙間を空けて置くほうがよほどいいです。
押し入れもおなじです。
タンスの湿気取りをつかうより、襖をぜんぶ取っ払って風が通るようにしましょう。
中に物を入れるときも壁にぴったりつけずに空気が通る隙間を空けておくこと。
できれば簀の子を敷くのがいいです。
コンプレッサー式
これは説明するまでもなく、冷蔵庫やエアコンとまったくおなじです。
室外機のないエアコン。
乱暴に言えば冷蔵庫の扉を開けっ放しにした状態です。
あっ、冷蔵庫を開けっ放しにしないでね😄
冷蔵庫は外側が熱くなって、中が冷えるかわりに、中が結露するでしょう。
結露が今度は凍って霜になります。
断熱圧縮と断熱膨張
いちおうコンプレッサー (圧縮機) の理屈を書いておくと、気体は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がります。
冷蔵庫やエアコンでは圧縮して熱くなった空気を外に逃がして、膨張して冷えた空気を庫内や室内に送る機械です。
エネルギーはかならずロスがあり、それは最終的にすべて熱になるので、冷蔵庫を開けっ放しにすれば全体しては部屋の温度は上がってしまいます。
冷房代わりにはならないのでご注意を。
それ以前に中のものが腐ってしまいます。
もし放熱板を部屋の外に出して庫内を部屋の内側に開ければ理論的には部屋は冷えるけど、それはエアコンがやってることです。
だから、コンプレッサー式の除湿機は締め切った部屋でつかうと室温は上がります。
室温が上がると飽和水蒸気量も上がるので、相対的に湿度は下がるというちょっとインチキなからくりもあります。
冬場に暖房をつかうと湿度がどんどん下がってカラカラになるでしょう。
けっして水分が蒸発して乾いているわけではありません。
水蒸気量は変わらないのに相対湿度が下がっているだけで、暖房を切って寝ると室温が下がってまた相対湿度は上がります。
その間、ストーブでお湯を沸かしたり、洗濯物を干したりしてると、気温が下がったときに結露します。
窓ガラスや寒い隣の部屋や外に面してる壁が結露してカビの原因になります。
また暖房をつかっていないほかの部屋に水蒸気が回って、そこで結露したりします。
除湿機やエアコンがやっていることはまさにこれで、コンプレッサーを回して冷えたところで結露させて水分を取り除いているんです。
そしてコンプレッサーからは熱い空気が吹き出てきます😅
部屋の中に室外機が置いてあると思ってください。
シャンプーが水っぽくなるわけ
ちなみにシャンプーが時間とともに水っぽくなるのも結露が原因です。
お母さんが水を足してるわけではありません😄
コンプレッサー式の除湿機買いました 2024-07-02
SHARP CV-R71
公称1日7.1ℓ除湿すると。
ペルチェ式の10倍です。
8畳用なのでちょうどいいです。
ペルチェ式は1/10の能力しかないくせに22畳と謳っています。
詐欺です🦆
なぜSHARPを選んだか?
おじさんはSHARPが好きです。
「目の付けどころがシャープでしょ」のキャッチコピーどおりこの会社の製品は消費者の痒いところに手が届くものです。
SHARPの回しもんではありません。
ほんとに。
2016年に台湾の子会社になったんですね。
でもSHARPブランドで今でも電気製品をつくっているのはうれしいです。
会社の形態はどうあれ。
amazonで22000円。
おじさんが買う値段ではないけど、快適さ云々ではなく黴は体に悪いので買うことにしました。
とくに年寄りは黴で死ぬこともあります😄
CV-P71の後継モデル。
何がちがうのかわからないけどネットではほとんどおなじ値段で売ってます。
このへんはちゃんと区別して値段も差をつけてほしい。
熱風
予想どおり熱風が吹き出てきます🔥🌬️
しかし、戸を開けると湿度100%の空気がはいってくる。
痛し痒し。
あちらを立てればこちらが立たず。
取扱説明書にもちゃんと書いてあります。
部屋の温度が2~5℃上がりますって。
いや、夏場5℃上がったらいかんねえ。
けっきょく冷房がいるやんか。
まあ、これをつかうのはもっぱら梅雨時と洗濯物の部屋干しをしなければならないとき。
真夏にはつかえないでしょう。
音
まったく気になりません。
そもそもおじさんは耳が悪くてサーキュレータが最強で回ってても気づかずに寝てしまうくらいだから。
ふつうの人には聞こえるのかもしれません😄
実績
さっそく使いはじめました。
電源プラグをコンセントにさしてボタンを押すだけ。
いろいろごちゃごちゃ機能がついてるけど、とりあえず自動ではなく「強」で開始。
開始時:25℃ 84%
30分後:26℃ 76%
熱風は出てるけど内部では冷やしているので思ったほど室温は上がりませんでした。
75%くらいになるとまあまあ許せる範囲です。
やっぱりケチケチせずに最初からコンプレッサー式にしとけばよかった。
22000円はたいた甲斐がありました👍️
排水タンク
見よ!
夕方点けて寝るまで6時間ぐらい。
タンクは2.5ℓ+αなので1.5ℓぐらいは溜まっています。
7.1ℓ / 日はだてじゃない。
毎朝、排水が必要です。
満水になると止まる仕組みにはなっているけど、除湿が知らない間に止まってしまいますからね。
夜中にゴソゴソと排水するのもいやです。
衣類乾燥で
夕方4時くらいに点けて、夜11時過ぎに満タンになってしまいました😮
27℃ 68%まで下がりました。
除湿と衣類乾燥のちがい?
じつはよくわかりません。
問い合わせしたけどはっきりしません。
強いて言えば、 衣類乾燥 (強) は4時間で切れることくらいでしょうか。
そのへんも書いといてほしいですね。
取扱説明書を見ても消費電力も変わりません。
あっ、60Hzのほうが電気も食うけど除湿能力も高い傾向があります。
運転のしかた
ここからはおじさん流。
まず「除湿 (強) 」で運転開始
「除湿 (自動) 」だと途中で「送風」になる可能性があるので。
ただじっさいには60%以下にならないと送風にはならないようなんだけど、強にしとけば心配いりません。
ルーバーは全開にします。できるだけ風がたくさん通るように。
ちなみに (強) の消費電力は200Wです。
LEDの電球が10W、扇風機が34Wなので、それに比べるとけっこう食います😅
75%で「除湿 (弱) 」にする
わずか30分で75%になります。
(強) または (自動) で運転していると60%になるまで (強) で運転しつづけます。
床付近の除湿をしたいときはルーバーを下向きにします。
自分の方に向けると熱風が当たるのでほかの方に向けるかそのまま全開で天井に向けておきます。
電気代よりも熱風が出続けるので部屋が暑くなってきます。
75%切れば御の字。
部屋が暑くならないようならもうすこし (強) または (自動) で続けてもよし。
寝るとき
「消臭 (弱) 」→ 「タイマー2時間」
これはエアコンの内部クリーンとおなじ機能です。
結露させて水分を取っているのだから中はビショビショです。
そのままスイッチを切ってしまうとすぐカビが生えます。
臭いがするだけでなく、臭うということはカビを部屋中に撒き散らしてそれを自分が吸うことになります。
なんのために除湿してるのか。
電気代をケチらずにしっかり内部乾燥しましょう。
暑さ対策
締め切った部屋でつかうと暑くなります。
真夏の部屋でストーブをつけているようなもんです。
かといって部屋の戸や窓を全開にすると、湿度100%近い空気がはいってきて焼け石に水、もとい土砂降りにハンカチみたいな状況になってしまい除湿が追いつきません。
除湿機は窪み。自分のほうは開放する
除湿機は戸や窓のない部屋の隅に置くか、そちら側は閉めておきます。
そして自分がいるほうの戸や窓を開けます。
こうすると自分がいるほうはあまり室温が上がらず、全体として部屋の湿度も下がってきます。
もちろん外が乾燥しているなら除湿機などつかう必要はなく、窓を全開にしましょう。
部屋干し
やはり部屋の窪みの風が通らないところに洗濯物を吊るして、その下に除湿機を置いて (強) で真上に風を送ります。
ほかの戸や窓は開いていても、除湿機のまわりの空間だけすこしだけ室温が高く、湿度が低い状態にします。
除湿機のいいところはストーブとちがって洗濯物の真下に置いても火事の心配はないことです。
サーキュレーターや扇風機で洗濯物に風を当てるのも効果的です。
洗濯物は気温より、風が命です。
ほかのところを開放しておけば部屋の湿度も上がらずにすみます。
除湿機を開放部分に置いとくと、せっかく除湿した空気は外に逃げていくので、それこそ土砂降りにハンカチをかざすようなもんです。
むしろ部屋の隅のいつも空気が淀んでいてカビが生えやすいところに置くのがいいです。
除湿機の風はかならずしも部屋に向けるのではなく、壁や天井に向けてもいいです。
80%→65%
部屋干しするとすぐ部屋の湿度が80%以上に上がります。
当たりまえです。
でも除湿機をつかうと1時間ぐらいで65%まで下がりました😮
もちろんファンヒーター、サーキュレータ、扇風機総動員で。
気化熱 heat of evaporation / vaporization
蒸発熱ともいいます。
水が蒸発するときに熱を奪います。
これを利用しているのが
汗
汗が蒸発することで熱を奪い体温を下げます。
あまり涼しいとは思わないけど😅
風が当たると蒸発が進むのでより涼しくなります。
ただ風に当たっても体温は奪われるんだけど、濡れているとさらに温度が下がります。
打ち水
地面に水を撒くと蒸発するときに熱を奪います。
冷風扇 (加湿器)
汗🥵、打ち水の原理を利用したのがこれですが、ナンセンスです。
理屈としては合ってます。
ただ部屋の中で打ち水をすると、部屋がビショビショになります。
当たりまえ😄
もともと高温多湿の日本の夏。
冷風扇をつかうと多少室温が下がることはあっても湿度は100%近くなります。
また、もともと湿度が高いのでほとんど蒸発してくれません。
梅雨時に部屋干ししても乾かないのは、物理を知らなくても経験的にわかりますよね。
梅雨時に加湿器が要りますか?
またエネルギーをつかえばかならず最後は熱に変わるので、湿度も上がった挙げ句、室温も上がります😂
PCだってスマホだってつかうだけで熱くなるでしょ。
凝結熱 heat of condensation
凝縮熱ともいいます。
蒸発するときに熱を奪うのとまったくおなじで、水蒸気が結露 (凝結) すると今度は熱を出します。
フェーン現象
湿った (水蒸気をたくさんふくんだ) 空気が山を上ると温度が下がるので結露 (凝結) します。
熱を出します。
これが雲で水滴となって落ちてくれば雨といいます。
この空気が山を超えて、もとの標高まで下がってくると、さらに乾燥空気のほうが温度の変化が大きいのでもとの気温より高くなります。
山を上るときは30℃だったのが、結露して発熱してから水分を落とし、山を越えて降りてくると40℃まで上がったりするんです。
除湿機
上に書いたとおり、除湿機は結露させて水分を取り除いているので、とうぜん熱風が出てきます。
部屋の中のプチフェーン現象みたいなもんです。