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「い形容詞」「えい」
い形容詞の語尾
い形容詞というとおり「い」で終わるのですが、その直前の母音と合わせると「えい (ei)」だけ存在しないことがわかりました。
ai
硬い。うまい。暗い。
ii
大きい。おいしい。美しい。
ui
丸い。悪い。軽い。
ei
✕
oi
広い。おもしろい。黒い。すごい。
なぜ「えい (ei)」の音だけないのかわかりません。
この音を嫌ったのか、それとも他の音に変わってしまったのか?
「いい」「えい」に変わる
口語ではよく「いい (いー) 」「えい (えー) 」の音に変わります。
狭母音 (いい、うい)
狭母音の「いい (ii)」はもちろんそのまま。
「うい (ui)」は「いい (いー) 」に変わります。
例:
わるい→わりい
やすい→やしい
さむい→さみい
それ以外 (あい、おい)
それ以外は「えい (えー) 」に変わります。
うまい→うめえ
かたい→かてえ
すごい→すげえ
おもしろい→おもしれえ
「暗い」と「黒い」はどちらも「くれえ」になってしまうので区別できませんが、そもそもこの2つは語源はおなじではないかと思います。
「くれえな」と言ったとき、「暗いな」と取っても、「黒いな」と取っても意味はほとんど変わりません。
特殊な「良い」
「良い (よい) 」は特殊な言葉です。
そもそも「よい」と発音するのに、現代では「いい」と言うのがふつうです。
でも、活用すると「よかった」「よければ」のように「よ」の音にもどります。
辞書形だけが「いい」の音になります。
西日本では「ええ」と言います。
東日本:
yoi→yii→ii
西日本:
yoi→yei→ei (e:)
ヤ行
ヤ行は「やゆよ」で、イ段とエ段がありません。
もともとはありましたが、イ段の「yi」はかなり早い段階でア行の「i (い) 」と同化してしまいました。
またエ段の「ye」は万葉仮名では厳密に漢字が使い分けられていたことから、当時は発音していたようです。
たとえば江戸をyedoと書くのはそのためです。
ただしひらがなができる前にア行の「e (え) 」と同化してしまったのでひらがなはありません。
だから皮肉なことに江戸時代には、もうyedoとは発音せずにedoと発音していたんですね。
「いい」の複合語の「かっこいい」は変則的で、「かっこええ」ではなく「かっけえ」となったりします。
やまとことば ~ 一覧
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