リスニングで大事なこと ~ 外国語学習

「リスニング」「発音する」

はじめに

リスニングの練習といえば「とにかく聞く」ことです。
これはまちがいないのですが、ただ聞くだけではダメです。

よくある「聞き流すだけで覚える英会話」

嘘です😄

聞き流したものは、そのまま右の耳から左の耳に抜けて頭に何も残りません。
これは言語としての音声ではなく、ただの背景雑音、よくてBGMみたいなもの。
人は風の音や、虫の声を、言語として捉えないのです。
もしこれらがいつも脳に取り込まれていたらうるさくてしかたありません。
だから、脳は意味のある言語以外の音は雑音として処理します。

だから騒音の中でも会話ができるのです。

全力で聞け

まずpodcastでも、アニメやドラマや映画でも、全身全霊をつくして聞きましょう。
聞き流してはダメです。

何かをしながら?
論外です。

何かをしながらのときはあなたはまちがいなく日本語脳で、声は出さなくても日本語で物事を考えています。

知らない単語は聞き取れない

じつに当たりまえのことなんだけど、このことがわかってない人が多いです。

聞いただけで覚えるのは赤ん坊だけ

これもちまたに流れる「赤ん坊は聞くだけで覚える」という神話。

あなたは赤ん坊ではありません😄

外国語。聞いて覚えられるのは、赤ん坊のうちだけ! (舌の位置)

これは赤ん坊だけに備わった特殊能力です。
言葉を覚えないと生きていけないからです。
生死に関わる問題です。

だからたとえば、あなたが日本語はもちろん英語も通じないアフリカの奥地の少数民族の中にたった1人放り出されたと考えてみてください
あなたは水を飲むため、食べるためにそれこそ「必死で」言葉を覚えるでしょう。

相対性理論なんかどうでもいい。
「水」とか「食べもの」という言葉を真っ先に覚えるでしょう。

また赤ん坊の耳 (脳) はまっさらな白紙ということを忘れないでください。
どんな音でも書き込めます。
でも、赤ん坊がああうう言いはじめた時点でこの白いキャンバスは母語の音に染められています。
1歳を過ぎた時点で母語の音声体系に染まっているので、音はすべて母語の音の中に当てはめてしまいます。

あるいは母語にない音は言語としてではなく、雑音として処理してしまいます。

知ってる単語だけが聞き取れる

当たりまえです。

ピエンソケウンスウェーニョパレシードノボルベラマス…

麒麟淡麗のCMにつかわれてるvolareの冒頭の歌詞ですが、あなたはスペイン語を知らないのでまったく聞き取れないでしょう。
万が一、あなたが特殊な能力の持ち主で完璧に聞き取ったとしてもまったく意味はわかりませんね。
それではそれこそ無意味です😄

たとえば上の例だと、あなたがsueño (スウェーニョ) が夢だと知っていれば、スウェーニョだけが耳にはいります。
脳に言語として伝わります。
あとは背景雑音です。

語彙を増やすこと

だからとにかく聞くことも大事だけど、それ以上に語彙 (知ってる単語) を増やすことが大事です。

興味があること。フレーズで覚える

でも、暗記帳アプリなどで覚えるのはやめましょう。
つまんないから。
続かない。

何より覚えない😄

人の記憶は興味あることや、衝撃的なことに対しては強く残ります。

何の意味もない音の羅列は覚えられません。

たとえば
3.14159265358979…という円周率の数字の羅列や、
般若波羅蜜多時観自在菩薩…という般若心経の音など。

お経は意味がちゃんとわかれば覚えられますが、ただの音の羅列だと覚えられません。

門前の小僧習わぬ経を読むなんてえ諺もあるけど、それは毎日朝から晩までそれだけ聞きつづけたらで、またかりに覚えたとしても意味はわかりません😄

だから自分が興味があることを聞いて覚えましょう。

それから単語だけを単独で覚えるのではなく、日常的につかうフレーズで覚えるんです。

careだけ覚えるのではなく、
take care of yourselfのように定型句、決まり文句で覚えるのです。

じっさい日常会話ではこのように決まり文句でつかわれることが多いのです。

また単語レベルでは意味が多すぎます。
辞書を引けばわかるけど、単語だけではずらーっといろんな意味が出てきて、これを全部覚えるのは不可能と言っていいでしょう。

また、よくある「一番上の意味だけ覚える」のは何の意味もありません。

たとえばtakeを「取る」とだけ覚えても、
take part inが出てきたときに「取る」ではまったく何のことかわかりません。

こうして語彙とフレーズを増やしていくと、それにヒットする確率が高くなります。
そうすると脳は意味のある言語として認識します。

あなたはセミの声を何十年聞いても、その意味がわからないでしょう😄
セミ語とセミの語彙を増やさなければセミの言葉は言語として脳には伝わりません。

ただの雑音・騒音です。

発音できない音は聞き取れない

これは矛盾してるようですが、

聞き取れない音は発音できない

とも言えます。
これが赤ん坊とはちがうところです。

大人は母国語の音声体系で脳が固まっている

だから大人は母国語以外の言語を学習するときには、これを両方均等にやる必要があります。

たくさん聞くことは大事だけど、聞くだけではダメです。

あなたが英語を勉強していて、
Disneylandを「デズニーランド」と日本語の文字と日本語の発音で覚えたとします。

するとじっさいにDisneylandという音声を聞いても「デズニーランド」とは聞こえないのであなたの耳にははいりません。
あなたの脳には何も伝わりません。

かならず英語の文字のまま、英語の発音で覚えます。

自分で発音する

そのために大事なことは自分で「英語の発音をする」ことです。

たとえばpropulsionという単語を「プロパルション」と日本語の文字と発音で覚えると、いざpropulsionという音声を聞いてもまったく聞き取れません。

だって発音が全然ちがうから。

無理やりカタカナで書けば「プロポーション」のように聞こえます。
「プロパルション」と覚えたら、一生かかっても聞き取れません。
聞き取れるわけがありません。

なんどもそのネイティブの発音を聞いて、ただ聞くだけではなく、自分でなんども発音します。
ネイティブのマネをして。

こうして自分がネイティブの発音に近い発音で覚えたら、その音が聞こえたときに聞き取れます。
聞いたことがない、自分の音声サンプル、辞書にない音は何万回聞いても聞き取れるわけがないんですよ。

口腔断面図と国際音声記号

聞いてマネするのも限界があります。
なぜなら大人は母国語の音声体系ができあがってしまっているからです。

聞くだけだと日本人は一生、英語のrが発音できません。
日本語のラ行で発音してしまうからです。

これをクリアするには聞くだけではダメで、口腔断面図と国際音声記号を駆使して、自分の舌の位置を確認しながら音を出し、耳で聞いてそのちがいを理解して行く必要があります。

もう1度言います。
日本語のrと英語のrのちがいを理論的に、また舌のイメージとして理解して覚えて発音練習しないかぎり、聞いただけでは一生日本語のrのままです。

このままだと発音できないだけではなくて、聞き取れないのです。

発音できない音は聞き取れない。

じっさいにやること

語彙を覚えるのはもちろん。

できれば文字がついてるpodcastや動画を選びます。

  1. 字幕 (文字) なしで全力で聞く。
  2. 字幕 (文字) を見ながら意味を確認する。
  3. 文字をできるだけネイティブの発音とおなじように声を出して読む。
  4. もう1度、字幕なしで聞く。
  5. これを何度も繰り返す。

こうすると、最初はまったく聞き取れなかったのが、2回め、3回めになると耳に飛びこんでくる単語が増えるでしょう。

いろんなものを聞くのではなく、おなじものを何度も聞く

聞き取れないままただ数を聞くよりも、おなじpodcastの記事、おなじ映画を何度も見たり聞いたりします。
すると、何についての話題かわかるし、繰り返すごとに聞き取れる単語が増えていきます。

たとえはあまりうまくないかもしれないけど、テニスをやり、バレーボールをやり、水泳をやり、サッカーをやるよりも、テニスだけやってるほうが上達するんです。

あれこれ手を出すとけっきょく虻蜂取らずで、どれも中途半端になってしまいます。

わたしは日本語教師をしています

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