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「カタカナ語」「日本語」
日本語はあるけど日本語を使わない😄
日本語では何て言いますか?
日本語教師をしているといちばん多い質問が
「日本語では何て言いますか?」
です。
たとえば
「pride (プライド) は日本語では何て言いますか?」
「いちおう日本語では『誇り』という言葉があるけど使わないですね。日本でもプライドと言います💦」
そのたびに英語のカタカナ語が日本語として定着していておじさんは苦笑しながら、また恥ずかしさにいたたまれなくなるのです😅
ケーキ、エンジン、コンピュータ、インターネットなど日本になかったものはともかく、日本語があるにもかかわらずカタカナ語に置き換えられています。
その理由は、外国語のほうが「新しい」「カッコイイ」というフィーリング (雰囲気、感じ) です😄
以下、英語その他外国語をそのままカタカナにして、もともとあった日本語が駆逐された例を挙げます。
氾濫するカタカナ語
プライド-誇り
コントロール-支配・制御 (する)
ショップ-店
コミュニティハウス-集会所😅。もう赤面してしまいます。
ファストフード-fast (すぐ) 食べられる食事。日本ではファーストフードというのが一般的。first (ファースト) という言葉が先に定着していたので、たとえファストと書いてあってもファーストと読んでしまう。ファストと書いてあってもファーストに書き直されてしまう。
もっというとfastはファーストと伸ばす発音もある。
スイーツ-甘いもの
(アル) バイト- (<ド Arbeit 働く) 副業、臨時雇い、非正規雇用労働者
パート-パートタイマー。非常勤者。短時間労働者
ハンガー-衣紋掛け (えもんかけ。死語?)
デスク-机
チェア-椅子
テーブル-卓
ドア-戸、扉
ウィンドウ-窓
フロント-前
リア-後ろ
ペンケース-筆入れ (筆は入れないか)
ハンドタオル-手拭い
フェイスタオル-顔用のタオル
グローブ-手袋
コンプライアンス-法令遵守
プロダクツ / プロダクト-製品
コマーシャル / アド (advertisement) -広告
ガーデニング-庭いじり (ジジくさい?)
ライス-米
ドリンク-飲みもの
ビバレッジ-飲料😄
アパレル-服
スピード-速度、速さ
エキスポ (exposition) -万国博覧会 (万博)
ランナー-走者
ウォーカー-歩行者
ランニング-走行、走ること
ウォーキング-歩行、歩くこと
スリーピングバッグ-寝袋
バッグ-袋
ソックス-靴下
シューズ-靴
メンテ (ナンス)-整備
メカニック-整備士
アイデンティティ-同一性。カタカナでも漢字でも意味のわからない言葉です。
リスペクト-尊敬 (する)
ディスる-disリスペクトから。侮辱する
オファー-申し出、申し込み
インスパイア-感化・触発する (される) だいたい受身でつかう。
リノベ (ーション) ≒リフォーム-改築。リフォームすら「古く」なったのでリノベというようになった。
イノベーション-革新
インベンション-発明
インキュベーション-孵化🐣→起業を支えて育成すること
キュレーション-情報を特定のテーマで集めること。ようするに「まとめ」。
グルメ- (<フ gourmet) 本来「食通」「美食家」のことですが、「おいしい食べものに関係するもの・こと」全般につかわれています。
トイレ-便所、厠、雪隠、憚り、お手洗い、化粧室 (これは直接汚物を連想するのを避けるためなので、つぎつぎと呼び名が変わっていきます。英語でもbathroomとかrestroomなど直接的な表現を避けます)
色
ホワイト-白
レッド-赤
ブルー-青
イエロー-黄色
ブラック-黒
ブラウン-茶色
グリーン-緑
バイオレット、パープル-紫
ピンク-桃色
オレンジ-橙色 (死語か!)
グレー-灰色、鼠色🐭 (ネズミそのものを見たことがない人のほうが多いか)
ゴールド-金色
シルバー-銀色
ショッキング・ピンク、ペールオレンジ、オフホワイト、コバルトブルー、ベージュ、シャンパンゴールドなどなど。
もう訳わかりません💦
ていうかみんなわかって使ってんのか!
映画や曲の題名
むかしは日本語に訳していましたが、さいきんはそのままカタカナにします。
「Gone with the wind→風と共に去りぬ」のように直訳のパターン。
「Hard to say I’m sorry→素直になれなくて」のように意訳するパターン。この訳は秀逸だと思います。
「Frozen→アナと雪の女王」
そのまま「フローズン」または「凍った」では訳がわからないのでちょっと工夫したけど、なぜ「エルサ」は出てこないのか謎です😅
これではアナが主人公で、雪の女王は付け足しみたいです。
「○と△の~」はお約束で、
「千と千尋の神隠し」
「愛と青春の旅だち」
とか、長くもなく短くもなく題名として程よい長さで、なんとなく内容がわかりそうな雰囲気があるからです。
「世界の中心で、愛をさけぶ」なんて長ったらしい名前をつけて「セカチュー」にするなら、最初から短い名前をつけたほうがいいです😄
そのままカタカナにするパターン
「トップガン」
「マトリックス・リローデッド」
まったく意味がわかりません。
略語
LGBTQIA+ 様々な性のありかただけど、こんなに「区別」すること自体「差別」だと思います。
これらを主張する人たちが逆差別だと思います。
SDGs 自分で調べてください😄
M&A チョコレートの銘柄?これくらいケチらないで、めんどくさがらないで「吸収合併」と書きましょう。これなら何となく意味がわかるでしょう。
おじさんは何でも省略して、けっきょく誰も意味がわからないのに使っていることが滑稽です😄
そしてすぐそれに乗っかり、猫も杓子もそれを使う。
それを使うことがカッコイイことだと思っている。
中国人は頑張ってる
なまじ日本にはカタカナ、ひらがなという「表音文字」が存在したため、外国語をそのままカタカナにするということが起きてしまいましたが、中国には漢字しかないのでぜんぶ漢字で書きます。
そのため、意味を訳したものなのか、音を表したものかわかりにくいです。
日本なら「よろしく」を「夜露死苦」と書くようなもの。
これだと一つひとつの漢字の意味を考えてしまいますね。
この場合あえて、そうしているのだけど。
古いものでは般若波羅蜜多心経なんてえもんがあります。
これは「音訳」つまりサンスクリット語の音を漢字で表したものです。
もとは「Prajñā-pāramitā-hṛdaya プラジュニャーパーラミター・フリダヤ」
プラジュニャーパーラミターを般若波羅蜜多 (はんにゃはらみった) と漢字で書いたんです。
もちろんこの読みかたは日本での発音なのでもとの中国語の発音はわかりません。
フリダヤのところは意味を訳したんですね。
计算机・电脑 / 電脳 (コンピュータ) 、电视 / 電視 (テレビ) とか漢字を見ただけでだいたい意味がわかるので素晴らしいと思います。
乌克兰 (ウクライナ) なんかは知らないと読めないですね。
同音異義語を避けるため
カタカナ語をつかうことについてちょっとだけ弁護すれば、同音異義語を避けるのが目的ということがあります。
たとえば「ほこり」だと「誇り」か「埃」かわからないからです。
もちろん文脈でわかるけど「プライド」といえば絶対「埃」とまちがえません。
とくに漢字とともにはいってきた漢語には同音異義語が多いです。
それはPCで漢字の変換をするときに自分が求めている漢字がなかなか出てこないのでわかりますね。
こんなにおなじ音の漢字 (言葉) があるのかと驚きます。
たとえば「かん」だけでも、
感、完、館、漢、間、干、甘、缶、巻、管…いやはや、あとはみなさん変換候補を見てください😄
「そんなかんじがある」を変換すると
「そんな漢字がある」と「そんな感じがある」が出てきます。
「漢字」を出したいのに「感じ」に変換されるとイライラします😅
それで多いのが気づかずにそのままどこぞに提出してしまうこと。
よくあるのが「しないように」が「し内容に」に変換されてるパターン😄
でもやっぱりカッコつけ
これも死語になったけど「アベック」なんてフランス語をつかうのもカッコつけですね。
avec は英語の with で、「~とともに」という前置詞または副詞。
恋人とか、伴侶とか、ペアとかいう意味はありません。
でもいいんです。
カッコイイから。
なんかわかんないけど、ホントの意味がわかんないほうがカッコイイから。
裸の王様
ホントの正しい意味なんかどうでもいいんです。
むしろふつうの日本人が知らない外国語をつかって煙に巻いて、聞いたほうも知らないくせに、「知ったかぶり」をして、「ああ、ああ、わかるう」といって雰囲気トークをしています。
おじさんはアイデンティティだの、コンプライアンスだの、アジェンダだの、意味わかってつかってんのか!ってツッコみたくなります。
いえいえ、「フィーリング」ですから😄
わたしは日本語教師をしています
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表示名はToshiです。