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「スーパー」「ハイパー」「超」
「スーパー」と「ハイパー」どっちがすごい?
結論からいうと、どちらも同じ!
super (スーパー) はラテン語。hyper (ハイパー) はギリシャ語。
語源は “uper” 「上」「超えて」「過度」
語源はどちらも「印欧祖語 (インド=ヨーロッパの言葉の先祖) 」の “uper” から来ています。
英語の “over (上に) ” もこの仲間です。
ラテン語はイタリアのラティウム地方の方言です。
ギリシャの「イ」Y, υ (y)
Υ, υ (ウ・プシロン。単なるウという意味。またはイ・プシロンともいう)
似た音にΕ, ε (エ・プシロン) というのがありますが、これも「単なるエ」という意味です。
もともとは「ウ」でした。
これが時代とともに「ユ」に変わっていきました。
ヨーロッパの国々では ” i ” と区別して、” y ” を「ユプシロン」といったり、「ギリシャの “イ” 」といったりします。
スペイン語では、イ・グリェガ (ギリシャの「イ」) 。
ドイツ語では、ユプシロンといいます。
” y ” ではじまる単語は少ない
ギリシャのイなので、ラテン系の言葉にはほとんど ” y ” ではじまる単語がありません。
もともとなくて、ほとんどが外来語です。
おじさんの家にある、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ語の辞書には、” y ” のページが1ページしかありません。
ポルトガル語にいたっては載ってる単語数が少ないので0です。
ラテン語の辞書には3つしかなくて、そのすべてが語頭の ” h ” が脱落したもので、もとの単語はすべて “hy” ではじまります。
ギリシャ文字には「h」がない!
それなのに、なんとギリシャ文字には「h」がありません!
でも、「h」の音はあります。
なので「h」ではじまるときは「’」のような記号をつけます。
しかも「u (ギリシャ語ではy) 」ではじまるときは、かならず「hu (hy) 」と発音します。
それでギリシャ語では “uper” が “hyper” になったんです。
ギリシャでは「ヒュペル」、英語では「ハイパー」と発音します。
h, y
ほかの子音の後ろに h や y がくっついていたらギリシャ語と思ってまちがいありません。
chrono- (時) , philo- (愛) , -phobe (嫌い) , phono- (音) , physico- (自然、物理) , rhythm, diarrhea (下痢) , psycho- (魂) , dys- (病気) , gyro- (回る) , Lycaon (ギ神 リュカオン→リカオン) , myco- (菌) , pyro- (火) , syn- (ともに) , xylo- (木) , zygo- (対の)などなど枚挙にいとまがありません。
ヨーロッパの言語は基本的に「ローマ字読み」です。
英語やフランス語などは表記と発音がちがう「特殊な」言語です。
わたしたち日本人は、はじめに英語を習って、しかも英語だけなので、つい英語が外国語の標準であるかのように思いこんでしまいますが、英語は数ある言葉のうちの一つにすぎません。
しかも変わり種です。
スペイン語やイタリア語は基本的に読みかたは1つしかなく、例外はほとんどありません。
それに比べて英語はヨーロッパの言葉の中でも表記と発音が一致しない、または複数の読みかたがある厄介な言葉です。
「a」を「ア」と読むときと、「エイ」と読むときがあります。
さらに「ャ」になったり、曖昧母音になったり、「イ」と発音することさえあります。
また書くのに読まない「黙字 (e、k、gh、pなど) 」もあります。
でも、文法はかなりやさしい部類にはいります。
日本語で「海」を「うみ」というときと、「かい」というときがあるのに、すこしだけ似てるかな=^^=
黙字についてはこちらにも書いてます↓
英語の単語は丸暗記しなければいけないから覚えるのが大変? そんなことはないよ!
ラテン語では
“uper” の前に “eks- (ex-)「外」「超えて」の意” がついて
“eks-uper” になり、その後、頭の “ek” が取れて “super” になりました。
super-duper (スーパードゥーパー)
「超すごい! 」というような造語があります。
おじさんがこの言葉を知ったのは、「英語であそぼ」です。
マリーお嬢さまのクロイ・マリー・マクナマラさん。
可愛かったですね!
wictionaryによれば、1947年には雑誌に使われていたようです。
この言葉と対で、whooper-grooper, pepper-stepperというのがあったけどこちらは調べても出てきません。
英語では使いわけている
スーパーとハイパーは、単にラテン語とギリシャ語のちがいなんだけど英語では程度やその対象によって使いわけをしています。
「super-sonic」と「hyper-sonic」
super-sonic (超音速)
音速を超えるので「超音速」というのですが、用語としてはマッハ1.2~5.0をさします。
マッハ数。
音速を1とします。
音速は気温と圧力により変わるので定数ではありません。
hyper-sonic (極超音速)
マッハ5.0以上をこう呼びます。
super-, hyper-のつく言葉
super-alloy 超合金。
super-car 超高性能自動車。いわゆるスーパーカー。
super-conduct 超電導を起こす。
super-conscious 人間の意識を超えた。 (hyper-consciousとの意味の違いに注意! )
super-cool 過冷却の。
super-heat 過熱する。
super-difficult 超むずかしい(^^)
hyper-ventilation 過呼吸。
hyper-acid 胃酸過多の。
hyper-confidence 自信過剰。
hyper-conscious 意識過剰。
hyper-tension 高血圧。
hyper-bola 双曲線。
superは単に「超~」というのに対して、
hyperは「過剰」でよろしくないもの、「病名」などに使われることが多いようです。
ハイフン「-」はわかりやすいように入れてあります。
英語がめんどうなのは、アクセントの位置が移動すると、本来の意味の上のまとまりを無視して、ハイフンの場所も移動することがあることです。
言語によって「好きな」音がある
これは本当です。
ラテン語は「s」が好き
superの場合は、eks-uperの頭音ekが落ちたんだけど、それ以外にギリシャ語のhがラテン語ではsに置き換わる単語がいくつかあります。
ラテン語の辞書ではいちおう”h”の項がありますが数はすくないです。
やはりあまり得意な音ではないようです。
ラテン語の現代語のロマンス語やドイツ語の一部でも”h”は書いても発音しません。
h と s はまったくちがう音ですが、摩擦音 (空気のかすれる音) としてはおなじなので、ギリシャ語の”h”を”s”で代用してしまうことが多いようです。
ギリシャ語は「h」が好き
上に書いたように、ギリシャ語では語頭の “u (y) ” と ” r ” にはかならず ” h ” がつくという決まりがあります。
英語にrhythm (リズム) というなんとも奇妙な綴りの単語があるけど、ギリシャ語が元になっているからです。
rの場合は、前でなく後ろにhがつきます。
スペイン語は「e」が好き
英語ではSpainですが、本家本元スペイン語ではEspañaです。
英語で星はstarですが、スペイン語ではestrellaです。
英語ではspecialですが、スペイン語はespecialです。
副詞になるとなぜかespeciallyといいます。
イタリア人は「i」が好き
英語とフランス語でrestaurant、スペイン語はrestaurante、イタリア語はristorante。
イタリア語を見ると何か気づきませんか?
じつは英語のrestore (修復する、回復させる、元気にする) と同じ語源なんです。
spaghetti (スパゲッティ) , Martini (マルティーニ、マティーニ) , Campari (カンパリ) 。
人の名前も「i」で終わるものが多いです。
Rossi (ロッシ) , Capirossi (カピロッシ。原田哲也に体当りした奴です) , Da Vinci (ダ・ヴィンチ) , Giovanni Domenico Cassini (ジョバンニ・ドメニコ・カッシーニ) などなど。
サンスクリット語は基本的に「a」
maha raja (マハ ラジャ。大王の意)
般若心経も、般若波羅蜜多 (はんにゃはらみった) 。
般若波羅蜜多のもとのサンスクリット語は、
Prajñā-pāramitā (プラジュニャー・パーラミター) と基本的に「ア段」です。
梵字はアルファベットやひらがな・カタカナと同じ表音文字ですが、基本の文字は「ア段」で他の母音 (イ、ウ、エ、オ) の場合はその母音を書き足すという方法を取ります。
梵字についてはこちら↓
「s」と「h」
semi-とhemi-
どちらも「半分」という意味です。
semi-がラテン語、hemi-がギリシャ語です。
これも使いわけされています。
semi-
semi-annual 半年ごとの。
semi-circle 半円。 (hemi-cycleもあるけど一般的ではありません)
semi-colon セミコロン「;」。半分、コロン。日本人にはこの違いはよくわかりません(^_^;)
semi-conductor セミコンダクター。いわゆる半導体。
semi-cylinder 半円筒。
semi-final 半分決勝→準決勝。
semi-professional セミプロ。
semi-quaver 16分音符♪
hemi-
hemi-metabolism 不完全変態。
カマキリみたいに生まれたときからほぼ親と同じ形をしている昆虫を不完全変態といいます。
チョウのように芋虫から蛹になって劇的に変化するものは完全変態といいます。
hemi-sphere 半球。
hemi-cycle 半円。 (ふつうはsemi-circleを使います)
hemi-ptera 半翅目。pteraは「羽根」。カメムシはこの分類にはいります(^_^;)。
アクセント位置の移動によってハイフネーションはhe⋅mip⋅ter⋅aになってしまいます。
中にはこんなのも
hemi-demi-semi-quaver 64分音符♪ わかりにくいですね💦
demi-
ラテン語dī-midium→フランス語→英語
なので数は多くありません。
demi-country 小国家。
demi-glace ドミグラスソース。
demi-god 半神半人。
demi-semi-quaver 32分音符♪
数
「6」ラ sexa-, ギ hexa-
sexa-genarian 60歳代の人。
sex-angular 6角形の。
hexa-gon 6角形。
hexa-hedron 6面体。
hexa-ne ヘキサン。炭素数6コの炭化水素。
「7」ラ septa-, ギ hepta-
Septem-ber 7月! → 9月。
hepta-ne ヘプタン。炭素数7コの炭化水素。
数字に関してはこちらに詳しく書いてます↓