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「12」「数」「身のまわり」
12は不思議で身近な数
人間界はふつう10進法をつかいます。
両手の指が10本だからです。
未来少年コナンは足の指もつかうので20進法です😄
しかし12というのは中途半端。
倍々にしても24、36とつかみどころのないすうじ。
1と12以外に、2、3、4、6で割り切れるというマルチプレイヤーという側面もあります。
身のまわりには12でできているものがなぜかたくさんあります。
1年は12カ月
まずこれですね。
これは偶然ではなく必然です。
朔望月 (さくぼうげつ)
人がまいにちの生活でいちばんわかりやすいのが月の満ち欠けです。
それにくらべて太陽の位置の動きはわかりにくいです。
月は約30日 (29.5日) で満ち欠けを繰りかえすので、文字どおりこれを「ひと月 (ひとつき) 」としました。
新月を1日とすると、満月が15日。
上弦、下弦の半月はその半分なので7日、約1週間。
とてもわかりやすいです。
もし月の満ち欠けが300日もかかったら変化が少ないのでつかわなかったでしょう。
12回、月が満ち欠けを繰りかえすと太陽の位置 (じっさいには地球の位置) も季節的にももとのおなじところにもどってくるので、これを1年としました。
だから1年が12カ月というのは必然的に生まれたものです。
英語の month も moon からつくられた言葉です。
朔旦立春 (さくたんりっしゅん) ~ 立春=新月は19年周期
2月はなんで28日しかないの? 閏年はなんで2月にふやすの?~暦
時計の文字盤
時計の文字盤は1から12までです。
午前が0時から12時まで、午後も0時から12時まで。
午前0時、午後12時はいつ?という問題はほかのサイトに譲ります。
生まれたときからつかっているので誰も気にしたことないと思うけど、12ってわかりにくい数字ですよね。
むかしの日本では1日を12に分けていたので、文句なしの12です。
一時 (いっとき) は約2時間です。
約というのは、日の出から日の入りまでを6等分、日の入りから日の出までを6等分していたので季節によって長さが変わるからです。
時 (とき) と刻 (こく)
一時の1/4を刻ということもあれば、一時とおなじ意味でつかわれることもあるので注意が必要です。
一時を4つに分けて丑三つ時のようにつかうこともあれば、3つに分けて上中下で丑の上刻のようにつかうこともあります。
合わせて「時刻 (じこく) 」ですね✌
1年が12カ月であることから時間も12時間にしたのか、十二支で表したので12になったのかはわかりません。
日本には中国からはいってきました。
ただ、ヨーロッパでも12時間であることから考えると十二支説はなしですね。
十二支 (じゅうにし)
日本人で知らない人はいない。
子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥
🐭🐮🐯🐰🐲🐍🐴🐑🐵🐔🐶🐗
日本では、
ねうしとらうたつみうまひつじさるとりいぬい
といいますが、もとは
シチュウインボウシンシゴビシンユウジュツガイ
と読み、動物とは関係ありません。
こんな呪文みたいな言葉は中国人でもおぼえにくいので、動物を割り当てたそうです。
おかげでわれわれ日本人でもおぼえられるんです。
十二支はありとあらゆるものにつかわれます。
年
これがみなさんおなじみの「干支 (えと) 」と呼ばれているものです。
「十干十二支 (じっかんじゅうにし) 」で「干支」だという話はほかの人におまかせします。
直接、年齢を聞くのははばかられるときも「干支は?」という言葉でちゃっかり聞いちゃったりします。
若い人ならわかるけど60くらいになると、48か72かわからないこともありますね💦
「ああ還暦ですか?」と聞いたら、
「まだ48です😡」ということも。
(あっ、老けて見えるね…とは言えません😅)
還暦
いまでは干支というと十二支しか言わないし、おじさんも自分の干のほうは知りません。
十干
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸 (きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのと)
で「きひつかみ」とおぼえます。
それぞれ「兄 (え) 」「弟 (と) 」の組になっています。
「えと」という読みかたはこれから出ているんですね。
音読みでは、
コウオツヘイテイボキコウシンジンキです。
10干と12支の組み合わせで、10と12の最小公倍数が60で、60年経つと一周りしてもとにもどるので「還暦」といいます。
ちなみにこれを書いてるおじさんは今年、還暦を迎えました。
満年齢ではまだ50代です😋
甲子園
つくられたのが大正13年 (1924年) 「甲子 (きのえね) 」の年だったのでこう名づけられました。
月
1年12カ月なのでそれぞれの月に十二支が割り当てられます。
11月の子 (ね) がスタートで10月の亥 (い) で終わります。
11月スタートなんて変だと思うかもしれませんが、冬至が1年の始まりです。
これも無理やり西洋のカレンダーに合わせたからこうなったので、現在では12/22頃です。
いちばん日が短くて、これから日が伸びていく日を1年の始まりと考えるのはごく自然なことです。
日付
日付も十干十二支で表します。
60で一周りするので約2カ月で最初にもどります。
庚申堂 (こうしんどう)
お寺によくあります。
庚申 (コウシン、かのえさる) の夜に人が寝ている😪間に体の中にいる三尸 (さんし) という虫🐛?が天の神さまにその人のふだんの素行をチクリに行きます。
バチが当たったり、地獄に落とされたりしないようにその晩は飲んで騒いで寝ないようにします。
青面金剛 (しょうめんこんごう) が祀られていることが多いです。
時間
時間も。
上に書いたように、1日を12に分けて十二支で表します。
真夜中の0時が「正子 (しょうし) 」で前後1時間ずつ、つまり夜の11時から翌1時までが「子 (ね) 」の時です。
真ん中を「正 (しょう) 」といいます。
だから、反対に昼のど真ん中の12時は「正午 (しょうご) 」といいます。
そして、その前が「午前 (ごぜん) 」、そのあとが「午後 (ごご) 」です。
あとは「丑三つ時」「丑の刻参り」くらいでしかつかいませんね。
あっ、おじさんはつかいませんが。
方角
時計の文字盤とおなじように上 (北) が「子 (ね) 」で文字どおり「時計回りに」十二支を並べます。
すると6時の方向、つまり下 (南) が「午 (うま) 」になるので南北の経線のことを「子午線 (しごせん) 」といったりします。
そうそういま「6時の方向」と書きましたが、自分がいま向いてる方向つまり正面を12時として、時計の文字盤を思い浮かべて方向につかうことがあります。
2時の方向なら斜め右前です。
人によっては「左右」を区別できないこともあるのでこれをつかうのかもしれません。
もちろん「アナログの時計の文字盤をいつも見ている人」が前提条件ですが。
上下はわかるけど、「みぎ」「ひだり」という言葉と方向がリンクしないらしいです。
だから指は「右」をさしてるのに「そこ、左に曲がって」といったりします。
この場合、指をさしてる「右」が正解です。
鬼門 (きもん)
現代、残っているのはこれでしょうか。
北東の方角を「鬼門」といって嫌います。
おじさんは気にしません😄
北東は丑と寅の中間なので「うしとら」といいます。
漢字では「艮」と書きますが、「良」とはまったく関係ありません。
もともと「鬼 (おに) 」というのは角をはやした化け物ではなく、得体のしれない、人に災いをもたらすものの象徴でした。
現代の?鬼が🐮の角に、🐯の毛皮のパンツをはいているのは方角の「うしとら」から来ていると思われます。
そもそも日本に🐯はいないのでこの姿になったのはわりと最近になってからです。
なぜこの方角が縁起が悪いとされたのか?
これはおじさんの想像です。
家の中でいちばん日当たりが悪く寒い場所。
真北ではなく北東なのは、日の出直後が最低気温が出る時間で、おなじ太陽高度でも午後、夕方のほうが気温が高いので北西のほうがまだ気温が上がるからです。
朝日は拝めるけど、西日は眩しいでしょ。
朝は放射冷却で気温が下がり、ときに朝靄がかかることもありますが、昼間は太陽に照らされて夕方は水蒸気が飛ばされていて遮るものがないこともあります。
北側には台所や水回り、トイレ、風呂が置かれることが多いのでヒートショックなどで死ぬ人が多い。
そんなことで北東の方角に「悪いものがいる」と思われたのではないでしょうか?
あくまでおじさんの考えです。
裏鬼門に南西の方角がありますが、こちらは逆に日当たりが良くて気温が上がるので食べものが腐り、それを食べた人が当たって死んだことから言われるようになったのではないでしょうか?
これもおじさんの考えです。
それにしてもむかしの人は原因がわからないので「鬼」とか「悪魔」とか「縁起が悪い」とかいって色んなものを恐れましたね。
神社に神さまを祀るのも「ありがたい」からではなく「こわい」からです。
病気や災害も「神=鬼」が起こしていたと思っていたので、「どうか病気を撒き散らさないでください」「どうか暴れないでください」というのがもともとの発想です。
だからもともと「疫病をはやらせる神 (鬼) 」が時代とともに「疫病を追い払う神」と思われるようになってきました。
「疫病をはやらせる神」がおとなしくしている→疫病がはやらない→神さまが疫病を追い払ってくれた、という図式ですね。
牛頭天王、スサノオノミコトもその類です。
蘇民将来の話では、スサノオノミコトは疫病を撒き散らしていますからね。
自分にごちそうしてくれた蘇民将来の娘だけには茅の輪をつけさせ病気にならなかったという話です。
菅原道真なんか「雷を落とす神 (悪霊) 」→「学問の神さま」です。
すごい出世です😄
十二宮
星占いの十二星座。
これも12です。
これは偶然ではなく、1年の12カ月に合わせてつくったので、必然です。
十二平均律 (じゅうにへいきんりつ)
1オクターブはドレミファソラシド、8つの音なので octave といいます。
octo- は「8」の意味です。
英語パーツ辞典 ~ 英語の単語は丸暗記しなければいけないから覚えるのが大変? パーツをおぼえればいい!
音の種類としてはドレミファソラシの7つですね。
ピアノの鍵盤を見ると、白鍵が7つ。
その間に黒鍵 (半音) が5つあります。
合計12の鍵盤、いいかたを変えると、12コの半音からできています。
ギターのフレットも12フレットで1オクターブ。
1フレットが半音1つです。
クラシックやフラメンコギターでは棹がちょうど胴に刺さっているところが12フレットです。
そして、12フレットは弦の長さのちょうど半分です。
西洋音楽の音階は人間がつくったものですがデタラメや気まぐれにつくったのではなく、和音がうまく調和する間隔でつくったらこうなったんです。
もちろんむかしの人は「音の周波数」なんて物理的には知らなかっただろうけど、弦楽器や管楽器をやっている人なら、それがかぎりなく小さい倍数 (倍音) でできていることは知っているのではないでしょうか。
倍音、周波数、振動数、波長
専門的に書くと長くなるのでそれはまたべつの記事で。
弦楽器なら弦のちょうど真ん中、つまり半分の長さにすると音程はちょうど2倍の1オクターブ上の音になります。
波長が半分になると、振動数は2倍になります。
反比例の関係ですね。
振動数の比は、
完全5度が2:3
完全4度が3:4
と振動数 (1/波長) ができるだけ小さい整数の比で重なるところを取っています。
こうしてつくられたのがドレミです。
そして、この比率で半音も取っていきます。
できあがったのが12の半音の間隔からなる音程。
これは小さい整数の比で和音と音階をつくっていったらたまたま12になったので偶然です。
純正律と平均律
ただ、この方法で取っていくと、それぞれの半音の間隔は一様ではありません。
広いところと狭いところが出てきます。
ピアノの白鍵だけをつかって、ハ長調 (C) の曲を弾くだけならいいけど、この調律でイ長調 (D) の曲を弾くと、和音がきれいに共鳴しません。
これを純正律といいます。
いろんなキーや和音を弾くために苦しまぎれに半音の間隔を一定に揃えたのが平均律です。
間隔は12√2です (2の12乗根。12コかけると2になる数字)
これだとすべての曲や和音をそれとなく弾けるんだけど、正しい和音が1つもないというジレンマがあります。
ピアノは自分でその場で調律できないのでそのまま弾くしかありません。
管楽器も穴位置は決まっているので自分で変えることはできません。
管を少し抜いても全体の音程が下がるだけで、お互いの音程の間隔は変わりません。
唇の緊張を変えることで多少、音程を上下できるようですが。
ギターなら曲によってそのつど調律を変えて、純正律とまでは行かないけどその曲にあった調律をすることができます。
ギターもフレットの間隔を変えることはできないけど、開放弦の間隔を変えたり、押弦する左指をネックの方に引っ張ったり、反対にブリッジの方に押して音程を下げたりすることができます。
ギターの超マニアックなチューニング方法 ~ チューナーでは満足できない人へ
十二律 (じゅうにりつ)
まぎらわしいけど上の平均律ではなく、日本の音楽でつかう12の音です。
中国からはいってきた言葉とシステムです。
これも半音ずつなので12の音になっています。
壱越 (いちこつ) D 、断金 (たんぎん) D#などといいます。
くわしくはこちら↓
フラメンコのコンパス
フラメンコでは12で1コンパスと数えます。
楽譜に書くときは6/8と3/4の混合拍子で書いたりします。
前の6拍を3・3、あとの6拍を2・2・2で取ります。
はじめは奇妙なリズムに感じるかもしれないけど、なれてくると気持ちよくなります。
わたしは日本語教師をしています
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表示名はToshiです。