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「テ形」「音便」
五段動詞、サ変、カ変で音便変化が起きるけど、一段動詞に音便変化はありません。
テ形の音便
🎼
うつる って
ぬぶむ んで
く いて
ぐ いで
する して
くる きて
いく いって
(す して)
これを「雪山讃歌」 (Oh My Darling Clementine) のメロディで歌います。
てにをは
テ形の「て」って「てにをは」の「て」です。
促音便「って」
会う→会って
立つ→立って
ある→あって
撥音便「んで」
死ぬ→死んで
飛ぶ→飛んで
読む→読んで
イ音便「いて / いで」
聞く→聞いて
急ぐ→急いで
サ変
する→して
カ変
来る→来て
サ変、カ変はこれだけしかありません。
サ変を前に持ってきたのは、歌のメロディが日本語のピッチアクセントと合うからです。
行く
行く→行って
(話す)
話す→話して
サ変の「する→して」があるのに最後になんで「す して」があるのか不思議に思いましたが「す」で終わる動詞のことを言っています。
おじさんとしては、これは音便変化しているとは思いません。
ていうかしてないでしょ。
だから ( ) しています。
日本人は「ん」以外はすべて「子音+母音」のセットで文字を書いて発音するので、子音の概念がないし子音と母音を切り分けることもありません。
ただこれを取ってしまうと、歌が字足らずになるのでしかたなしに入れてます💦
学習言語の文字をつかうべし
ローマ字で書くとsu→shiになるから音便変化と捉える人もいるけど、そもそも日本語の「し」はshiです。
ローマ字をつかうのは、ひらがなを覚えるときだけです。
「テ形」を勉強する段階でまだローマ字をつかっていることがまちがい。
ひらがなで勉強すべし。
みなさんは英語を勉強するときにカタカナでやりますか?
えっ!やる!?
run と ran どうやって区別しますか?
カタカナで書けば両方とも「ラン」です。
カタカナ英語をつかっているかぎり正しい英語の発音は永遠に身につきません。
riceとliceは両方とも「ライス」、
thinkとsinkは両方とも「シンク」になってしまいます。
日本語はひらがな、カタカナ、漢字で勉強すべし。
その他もろもろ
もとの活用と発音
会いて→会って ※
立ちて→立って
ありて→あって
死にて→死んで
飛びて→飛んで
読みて→読んで
書きて→書いて
急ぎて→急いで
行きて→行って
行って
書きて→書いて
なので、
行きて→行いて
になるはずですよね。
これだけは「行って」になるので特別です。
「言いて (いいて) 」と混同するので「行って (いって) 」にしたのかもしれないけど、皮肉なことに「言いて (いいて) 」も現在では「言って (いって) 」になったのでおなじ音になってしまいました💦
「会いて」と書きましたが、古語や現在の西日本では「会ふて」→「会うて」で「おうて」と発音します。
だから「言う / 言ふ (いう) 」も「いうて」です。
共通語でもこの名残りがあり「言う」は「ゆー」と発音しますね。
ただ
「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に雲がくれにし 夜半の月かな」
のように「逢ひて (あいて) 」という活用と音便もあります。
音便の数
多いと思うか、少ないと思うか。
おじさんは意外と少ないと思いました。
日本語の動詞の語尾ってこれしかないの?
あかさたなはまやらわ (うくすつぬふむゆるう) の中でないのは、「ふ、ゆ」だけなんですね。
あと濁音では「ぐ、ぶ」があります。
むかしは「会ふ (あふ) 」で「おう」と言いました。
西日本ではいまでも「会った (あった) 」ではなく「会うた (おうた) 」をつかいます。
ハ行転呼音
ハ行はワ行の発音になり、ワ行はワ以外はア行と同化してしまったので、まるでア行のような顔をしていますがじつはワ行です。
それは「ない形 (未然形) 」だけに現れます。
会う→会わない
買う→買わない
ややこしいのが
味わう→味わわない
「わ」が連続するのでしばしば「味あわない」と発音されますがこれもあながちまちがいともいい切れません。
これも発音の問題で起きる音便変化とも考えられます。
これが許せないなら「飛びて」が「飛んで」なんて「とんでもない」話です。
問う
規則にならえば「問って」です。
しかし「問うて」ということが多いです。
ていうか、そもそも「問う」という言葉自体が古いので現代ではほとんどつかいません。
「訊く (聞く) 」とか、「質問する」ですね。
だから古語の形がそのまま引き継がれているんです。
じっさいにはアホな自民党が何かといえば「信を問う」と馬鹿の一つ覚えのように言って、解散選挙をやりたがるときにしか聞きません。
あとは時代劇で「問うておるのはわしじゃ!」くらいのもんでしょうか😄
見ゆ
むかしは「見える」を「見ゆ」といい、語尾の「ゆ」がありました。
ほかにも「聞こゆ→聞こえる」、
インスタ映えの「映ゆ→映える」など。
死ぬ
授業であまりつかいたくない言葉ですが、現代語では「ぬ」で終わる言葉がこれしかないのでつかいます。
むかしは「往ぬ / 去ぬ (いぬ) 」という動詞がありました。
西日本ではいまでもつかいます。
「往んだら (いんだら。帰ったら) 」とか、
「往のうか (いのうか。帰ろうか) 」とか言います。
カッコいいです🎉
「往ぬ」は「去ぬ」とも書くように、正確には「帰る」ではなく「去る。その場を離れる」という意味です。
はよ、しね!
岡山弁で「はよしね」は「早う、しね」←「早くしな (さい) 」という意味です。
驚かないでくださいね😄
日本語教育の問題点
u-verb と ru-verb
そもそもおなじ「きる」という動詞を
切る→kir-u
着る→ki-ru
のように別の場所で「切る」のが不自然です。
あっ、ダジャレじゃありませんよ💦
この2つの動詞に音声学上のちがいはありません。
ピッチアクセントがちがいますが、「しゃべる」と「食べる」のようにおなじ中高型でも、u-verb と ru-verb に分かれるのでアクセントと動詞の活用に関連や規則はありません。
日本語教育の問題点
上をu-verb、下をru-verbなどといいますが、u と ru は聞き分けにくいです。
とくに英語圏の人の r は、接近音なので「う」と聞こえます。
この分けかたをすることで日本語の動詞すべてを難解なものにしてしまいますが、じつは「見る」や「走る」のように「る」で終わる動詞の活用が2通りあるだけのことです。
u-verb 日本の学校文法では「五段活用」をおぼえておいて、「る」で終わる動詞だけはべつの活用 (ru-verb 上下一段活用) があると教えたほうが親切です。
ます形
実用的な日本語として、「見る」「走る」のように辞書形 (終止形) でつかうことはなく、「見ます」「走ります」のように「ます形」でつかうことが圧倒的に多いので、日本語教育では「ます形」から教えます。
でも、そうすると「見ます (みます) 」を辞書で調べようとしても出てこないんです。
「見る (みる) 」を見ないとわかりません。
でも、外国人の学習者はどうやって「見ます」から「見る」に辿りつけばいいんでしょう?
また「ます形」から教えることによって、ru-verb (上下一段活用、G2) のほうが「見る」→「見ます」と語幹は変わらず「る」を取って「ます」をつけるだけでいいのでカンタンだと考え、ru-verb から教えます。
でも、その結果、u-verb に進んだときに活用がちがうのはもちろん、語尾がおなじ「る」で終わる動詞が出てきたときに混乱します。
それを例外として教えますが、例外は例外と言えないくらい多いですよ。
ヨーロッパの辞書
英語は世界でも稀に見るほど動詞の変化が少ない言語なので、saw を引けば「のこぎりと、べつに see の過去形」と載せてくれています。
日本語では、「見る」の活用形「見ない」「見ます」「見る」「見れば」「見ろ」「見よう」「見た / 見て」をぜんぶ載せたら辞書の厚さがいまの10倍くらいになってしまいます。
漢字で書けばぜんぶ「見」がつくので想像がつきますが、初心者はまだひらがなだけしか覚えていません。
また動詞の語尾も「る」なのか「く」なのか「見ます」からは知る由もありません。
ローマ字で勉強なんて以ての外です。
「つなぐ」のテ形「つないで」が出てきたときに、生徒が「それは否定形ですか?」と質問しました。
おじさんにはその質問の意味がまったくわからなかったんだけど、すったもんだしてるうちに「つないで」の「ないで」が否定だと思ったということがわかりました。
子ども向けの絵本がひらがなだけだと、とても読みにくくてこのような誤解やまちがいも起きます。
「しんだいしゃたのむ (寝台車 / 死んだ医者) 」とか「おしょくじけん (お食事券 / 汚職事件) 」なんてのもあります。
漢字がはいると言葉の区切りやまとまりがわかりやすくなるし「見」のように意味がわかれば文法を完璧に理解していなくてもだいたいわかる言葉もあります。
繰りかえすけどローマ字はダメですよ。
mukashimukashiarutokoroniojiisantoobaasangaimashita💤
スペイン語などのラテン語系の言葉、ドイツ語などは現在形だけで1.2.3人称、単数複数で6通りに変化します。
さらにスペイン語では過去形が2通りあって、接続法現在、過去、接続法過去には ra形と、se形があって60通りくらいに変化するのでぜんぶ辞書に載せるわけにはいきません。
ゲルマン系の英語にもむかしはもっと変化があったんだけどノルマン・コンクエストでフランス語の流入などもありどんどん省略されて、活用が極端に少ない現在の言葉になってしまったんですね。
古い英語にはドイツ語とおなじように have の活用に hast がありました。
活用表は辞書の最後に載ってるけど、この単語が何の活用で辞書形は何か推測するにはすこし語学的なテクニックやセンスが必要になってきます。
日本語も「走れます」という活用をやめて「走ることができます」という言いかたが増えてきたのでそのうち活用がなくなってしまうかもしれません。
「確かめられます」も「確認できます」
言葉は変わっていくものですが「ランニングします / できます」というような言い回しには危機感をおぼえます。
おじさんは日本語を教えていますが、生徒が「これは日本語でなんといいますか?」という質問に「日本でもランニングといいます」と汗をかきながら答え、なんてカタカナ言葉が多いんだ!と日々実感し、あと50年くらいで日本語は「がのにを」と「する」「できる」くらいを残して消えてしまうのではないかと思ってしまいます。
外国人学習者には都合がいいですが、日本人なら活用しろよ!と思うのもおじさんくらいでしょうか?
u-verb、ru-verb を教える必要もなくなります。
まあ、50年後にはおじさんのほうが先に地上から姿を消すので心配ありませんが😄
ロマンス語 (英語とラテン語の関係)その1~ノルマン・コンクエスト
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