conjugation 動詞の活用・用語 ~ 日本語

u-verb 動詞の活用

「動詞」「活用」「用語」

学校文法、「みんなの日本語 (直接法) 」、「げんき (間接法) 」で分類や呼びかたがまちまちなので対応表をつくりました。
学校文法の未然形、連用形などの「形」は省略しています。

動詞の活用

五段活用

スマホの方は表を見るとき画面を横にしてくださいね

column 語例 文例
ア行 学校文法 語幹 行 (い)
row 1 ア段 未然 negative ない ~ない ない形 nai-form
上一段 2 イ段 連用 ます ~ます ます形 masu-form
3 ウ段 終止

連体
辞書形 end form
/noun modifying
/dictionary form
とき

~とき
下一段 4 エ段 仮定

命令
conditional  /imperative ~ば

ば形 ba-form
5 オ段 意向形 * volitional ~う
行って ~て て形 ** te-form

五段活用では、仮定・命令がおなじ「エ段」
意向形が「オ段」です。

語幹 焼 (や) 消 (け) 持 (も) 死 (し) 飲 (の) 切 (き) 買 (か) 急 (いそ) 飛 (と)
1
2
3
4
5
て形 いて * って んで んで って って いで んで

ハ行とヤ行はありません。
また、サ行は音便変化しません。

ハ行はワ行と同化して、さらにワ行はワを残してア行と同化してしまいました。
むかしは「買ふ」と書いて「買う」と読んでいました。

ヤ行も「見ゆ」「聞こゆ」などの動詞があったのですが、「見える」「聞こえる」のように「ゆ」→「える」と変化したのでなくなってしまいました。

例に上げる動詞は日常的につかうもので教科書のはじめのほうに出てくるものがいいんですが、「書く」だと「書かない (かかない) 」、「聞く」だと「聞きます (ききます) 」のようにおなじ音が重なり混乱を招くおそれがあります。
また「聞く」は語頭の「き」が無声化するので聞き取りにくくなります。

さっちゃん
ちぇっ!ダジャレかよ!
ひげおじさん
さっちゃんだって、小さいとき「蛾ががいた」とか言ってたんだよ😄

やまとことば~ハ行転呼音。パピプペポだった!?

Japanese voiceless sound 日本語の無声音 (化) ~ 日本語

上下一段活用

語例 文例
学校文法 英語 語幹 見 (み) 寝 (ね)
未然形 negative
・ない
~ない ない形 nai-form
連用形
・ます
~ます ます形 masu-form
終止形

連体形
辞書形 end form / noun modifying dictionary form とき
/ ~とき
仮定形 conditional ~ば ば形 ba-form
命令形 imperative
意向形 * volitional ~う
見て ~て て形 ** te-form

上下一段活用では、未然・連用は辞書形の「る」を取ってそのまま「ない」「ます」などをつけます。
命令形が「オ段」
意向形が「よ」になります。

五段活用と上下一段活用のちがい

きる (切る-着る)

語幹 切 (き) 着 (き)
ない形 ない 着・ない
ます形 ます 着・ます
辞書形
ば形
命令形
意向形

かえる (帰る-変える)

語幹 帰 (かえ) 変え (かえ)
ない形 ない 変え・ない
ます形 ます 変え・ます
辞書形 変え
ば形 変え
命令形 変え
意向形 変え

「変る」の語幹は「変え」なのに「え」を書くのは、「変る (かわる) 」と区別するためです。
「変る」だとどっちだかわかりませんね。

不規則活用

カ変・サ変

来る する
ない形 来 (こ) ・ない し・ない
ます形 来 (き) ・ます し・ます
辞書形 来 (く) 
ば形 来 (く) 
命令形 来 (こ) 
意向形 来 (こ) 

「来る」と「する」しかありません。
語頭の音から変わってしまうので語幹と呼べません。
屈折語っぽいところですね。

まあ2つしかないのでヨーロッパの言葉に比べれば楽です。
ただ、活用自体がとても複雑ですが。

カ変はカ行変格活用、サ変はサ行変格活用の略です。

用語

(学) 学校文法
(直) 直接法
(間) 間接法

この順番で書きます。
この分類でない学校や教科書もあると思いますが、便宜的にこの言葉をつかいます。

五十音図

段:横の列。ア段~オ段。5つあるので5段です。
行:縦の列。ア行~ワ行

ローマ字をつかうことで縦と横を逆にした五十音図がつかわれますが、外国語を勉強するときはその言語の文字をつかうべきです。
ひらがなでこの向きでつかいましょう。

語幹 stem

「行 (い) く」は、ない、ます、のように、「行 (い) 」が変わらず、その後ろが「かきくけこ」と変わります。
この変わらない部分「行 (い) 」を語幹といいます。
後ろの「かきくけこ」と変化する部分を活用語尾といいます。

げんきでは「行き」を語幹 stem としていますが、これは明らかに誤りであり、学習者に混乱を与えるものです。
さらにローマ字では「ik-」を語幹にしているので大混乱です。
音声学的には「ik-」の部分が変わらないけど、日本語はひらがな、漢字で表記し、「く」は「k+u」には切れません。
k のうしろが aiueo と変化すると教えるより、「かきくけこ」と変化すると教えたほうがいいです。

ローマ字から脱却すべし

繰りかえしますが、日本語はひらがな、漢字で書くもので、ローマ字で書くものではありません。
日本人が英語を勉強するとき the を「ザ」と書いて発音していたら永遠に「ザ」のままで [ð] にはなりませんよね。
また英語圏の人が発音する ra は日本語の「ら」ではありません。

Japanese phonetic pronunciation 音声学的な発音 ~ 日本語

五段活用 G1 u-verb

「行く」は語尾が「かきくけこ」と変化するので「五段活用」と呼ばれます。
サ行、タ行などもおなじように五段の変化をします。
前述のとおり、
「かさたなまらわがば」だけです。
「は」「や」はありません。
(直) Group 1
(間) u-verb

日本語の動詞はすべて「ウ (u) 」で終わるので、u-verbという呼び名はふさわしくないです。

上下一段活用 G2 ru-verb

イ段はウ段の1つ上なので「上一段 (かみいちだん) 」と呼ばれます。
エ段はウ段の1つ下なので「下一段 (しもいちだん) 」と呼ばれます。

「見る」は「-iru」なのでイ段、上一段。
「食べる」は「-eru」なのでエ段、下一段。

このように語尾は「-iru」か「-eru」だけ。
最後は「る」で終わりますが、五段動詞にも「る」で終わる動詞はたくさんあります。

Group 2、ru-verb

「見る」も「走る」も「-iru」で終わりますが、「見る」は上一段活用、「走る」は五段活用です。
おまけに「る」で終わる動詞はとても多いです。
だから動詞を作るのに名詞や外来語に「る」をつけて「愚痴る」「バズる」「ディスる」「サチる」などと言うくらいです。

u-verb, ru-verb という分けかたはわかりにくい

さらに u と ru は文字も音もとても似ていて区別しにくいです。
この u-verb, ru-verb という呼び名と分けかたは、学習者にも教師にも非常にわかりづらく混乱と誤解を招くものです。

「切る」は kir-u で
「着る」は ki-ru で切るのはただただ日本語を複雑怪奇なものにしているだけです。
繰りかえしますが日本語の「る」は「r+u」ではありません。

じっさい、これでつまづいてる生徒はとても多いです。
わたしが教えている外国人 (英語圏) の生徒も、「わかりにくい」「変だ」と言っています。
そして、五段動詞、一段動詞のほうがわかりやすいと言っています。

カ変、サ変 G3 irregular

カ変=来る
サ変=する

これしかありません。
Group 3、irregular (不規則)
そのままの呼び名です。

「する」は万能動詞で、これさえ覚えてしまえば、
「勉強する」「ランニングする」「ショッピングする」のようにほかの動詞の活用を覚えなくてすみます。
さらに「確かめる」→「確認する」、「見る」→「視聴する」のようにすでに漢語が日本語になっていて、日本人も活用をやめる傾向にあります。
「声をかける」→「声かけする」のようにどんどん「名詞+する」に変わっていきます。
もっと症状が進むと「温めますか?」→「温めは?」になります。
末期症状です。
「走る」の可能形「走れる」もつかわなくなり、「走ることができる」というようになっています。
50年後には活用がなくなっているかもしれませんね。
日本語教師も要らなくなるかもしれません。
まあ、おじさんは50年後には生きていないので関係ありませんが😅

意向形 volitional

学校文法では「未然形」にふくまれます。
まだ起きていないということで。
もともと「行かむ」が「行かう」になり、発音が「行こう」になった経緯があります。

「む」と「ぬ」

連用形

「用言」に連なる、接続する。

用言

活用する単語、品詞。
動詞・助動詞・形容詞 (い形容詞) ・形容動詞 (な形容詞)

形容動詞が「動詞」と呼ばれるのは、もともと「名詞+だ (助動詞) 」からできているからです。
元気+だ → 元気だ → 元気な
便利+だ → 便利だ → 便利な
ただ、名詞といえないものもあります。
静か (だ) 、きれい (だ) など。

ます形

連用形を「ます形」といいますが、「行き・ます」のように「ます」に接続する形だからです。
「ます」は助動詞で、「ます、ました、ません」のように活用するので用言です。

て形

「て」は接続助詞なので厳密には連用形につくのはおかしいです。
ただ、もとは「行き・て」が「行っ・て」と音便変化したため学校文法では「連用形」にふくまれます。

連体形

「体言」に連なる、接続する。

体言

活用しない単語、品詞。
名詞・代名詞
「実体がある」という意味で「体言」と名づけられましたが、「とき」「こと」のように実体がないものもあります。

副詞や接続詞など活用しないものもたくさんありますが、体言にはふくまれません。
有り体に言えば、名詞です。
名詞でいいような気もしますが。

連体形は終止形 (辞書形) とおなじ形のまま直接、体言 (名詞) に接続します。

「行く・とき」「歩く・人」のように。
外国人学習者はしばしば「行くのとき」「歩くの人」のように「の」を入れる傾向があります。
また形容詞の後ろにも「の」を入れてしまいます。
「大きいの人」「重いの荷物」のように。

中国語では形容詞語尾に「~的」をつけるのでそれを「の」に置き換えてしまうと聞いたことがありますが欧米人もやるのでほかの理由がありそうです。

たとえば「たくさんの」「すこしの」「この」「あの」などと混同してしまうのでしょうか。

辞書形のまま名詞に接続できることを教えてあげましょう。

連用形と連体形の瑕疵

連用形は用言に接続すると書きましたが、じっさいには「行き・ながら」「行き・つつ」のように接続助詞にも接続します。
接続助詞は用言ではなくとうぜん活用もしません。
また、「降りはじめる」のように「動詞→動詞」の接続はあるけど、「降り新しい」のように「動詞→形容詞」の接続はありません。
「行き・たい」の「たい」は形容詞のような活用をするのに助動詞に分類されています。

連体形も然り。
体言に接続するといいながら、「行く・なら」「行く・ように」「行く・らしい」など助動詞にも接続します。
助動詞は用言です。
ちなみに「なら」は「だ」の仮定形ですが、「行く・だ」とは言わないのは不思議ですね。
もともとは「行く・の・だ」「行く・の・なら」の「の」が省略されたのでしょうか。
また「ように (ようだ) 」は「様 (よう) +だ」と考えると、体言の「様」に接続しているので合っています。
「ようだ」の仮定形は「ようなら」で、「行く・なら」と「行く・ようなら」のちがいは何ですか?と聞かれると長くなるのでこのへんにしておきます。

このようなことから連用形・連体形という呼びかたはふさわしくありません。
もっとも連用形・連体形の、用・体が、用言・体言であることを知っている人はほとんどいないと思いますが。

おじさんとしては「接続形」がいいと思います。
接続形1、2。

もっというと、連体形は終止形 (辞書形) そのままなのでわざわざ連体形という呼び名と分類をやめて、終止形はそのままで様々な品詞に接続するとしたほうがいいと思います。

仮定形 ~ば

「ば形」「条件形」ともいいます。
「条件形」は英語の conditional から訳したものと思われます。

仮定を表す言葉は「~したら」「~するなら」などいろいろあるので、げんきでは2冊めの最後のほうの命令形のさらにあとに申し訳程度に出てきます。
みんなの日本語では2冊めのはじめのほうに出てきます。

命令形

日常会話では「しろ!」という命令形はふつうつかわないので、げんきでは2冊めの最後のほうのしかも欄外にちょこっと書いてあるだけです。
ふつうは「~してください」、げんきでは「~しなさい」という表現にとどまります。

このニュアンスがわからないと英語をそのまま訳して「しろ!」と言ってケンカになるかもしれません😅
ただ言葉は知らないと、強盗に襲われて「手を上げろ!」と言われたときポカ~ンとしてたら撃たれてしまうかもしれません。
強盗は「手を上げてください」とは言いませんからね。
「動くな!」という否定命令もフレーズとしては教えたほうがいいかもしれません。
かつて日本人留学生が「freeze (動くな) !」がわからなくて撃たれてしまった事件がありました。

みんなの日本語では2冊めのはじめのほうに出てきます。
禁止命令も同時に出てくるのでこちらのほうが実践的 (実戦的?) かもしれません。

ひらがなか、カタカナか

永遠の課題です。

おじさん個人としてはひらがなが好きです。
ではなぜカタカナをつかうのか?
どういうときにカタカナをつかうのか?

それは見やすさの問題です。

「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」

子どもの絵本にありがちなひらがなだけの文章。
どこからどこまでが1つの単語で切れ目なのかわかりません。

適当に漢字がはいっているとわかりやすくなります。
でも漢字がないときはひらがなかカタカナで書かなければなりません。

「て形」にするか「テ形」にするか。
このように「 」でくくれば問題ないけど、
「これはて形です」のような文章だと「これはて」が1つの塊になって、「形」だけ分離して別の言葉のようになってしまいます。
このときカタカナをつかうとこのようになります。
「これはテ形です」
「は」と「テ」が分かれてべつの言葉だということがわかります。
「これはえ段です」もわかりにくいですね。
「これはエ段です」と書けばわかります。

もう1つの方法は「、」を入れるか、分かち書きにする。
「これは、て形です」
「これは て形です」
こうすれば切れ目がわかりますがあまり「、」を入れても見苦しくなります。

漢字だけでも見にくく
「直接的に当てます」だと
「直接、的 (まと) 」のつもりで書いても「直接的 (てき) 」と読まれてしまいます。

また外国人学習者は最初にひらがなをおぼえるので、ひらがなをつかったほうがいい場合もあります。
でも、テ形を勉強するころにはカタカナくらいおぼえているでしょう。
いや、おぼえているべきです。

じっさい3カ月経っても、ひらがなを全部おぼえていない生徒はやる気があるのか疑います。
そもそも授業を先に進めることができません。
アルファベットをおぼえてないのに英語の勉強はできないでしょう。
カタカナで仮定法過去を勉強しますか?

ということで、ひらがなかカタカナか、はたまた漢字か、ぜったいどれがいいかとか、どれにすべきかという正解はなく毎回、悩みながら書いています。
この文も「、」が多いですね😅
この言葉はかならず漢字をつかうということはなく、ひらがなだけがつながって読みにくくなったら漢字にする場合もあります。
逆もまた然り。
漢字ばかりだと「直接的」のように本来べつの言葉がつながってしまうときはひらがなで書くこともあります。

言語による活用のあつかい

日本語では活用するのは「動詞」「助動詞」「形容詞」「形容動詞」です。
これらを用言と呼ぶのは上に書いたとおりです。
しかし、これは日本語での分類で言語によって変わります。

conjugation ≒ 活用

日本語の活用に相当する言葉は一般的に英語の conjugation がつかわれますが、英語では beautiful などの形容詞は活用しないので厳密にはちがいます。

declension 格変化

ヨーロッパの言語は、名詞、代名詞、形容詞も性・数・格によって変化するので格変化 declension と呼ばれます。
(動) decline (形) declensional
英語で「わたし」は主格では I、目的格では me になりますね。
ドイツ語では冠詞まで格変化します。
まるで日本語の「がのにを」のごとしです。
英語は the しかないのでちょろいもんです😄
日本語では「わたし」という代名詞は変わることがなく、代わりに後ろに「がのにを」などをつけて格を表します。

ドイツ語の名詞と冠詞の格変化一覧表 ~ おじさんバージョン

inflection, inflexion 屈折

言葉の屈折 (変化) をまとめて inflection, inflexion といいます。
活用その他で言葉が屈折する言語を屈折語といいますが、日本語の動詞の活用も屈折であり、これも線を引いたように分けることはできません。
語尾だけでなく全体の形が変わってしまうものもあります。

日本語の「来る (くる) 」「来ない (こない) 」「来た (きた) 」などがそうですね。
日本人はだれも気にしないけど「くる」と「こない」と「きた」じゃまったくちがう言葉です。
また「来た (きた) 」という言葉を辞書で調べようとしても「来る (くる) 」にたどり着くことは不可能です。
「北 (きた) 」しか出てきません。
「来ました (きました) 」なんかお手上げです🙌
そもそも「来」をなんと読むのかわかりません。
いまはネットがあるのでいいですが、辞書だと調べようがありません。
日本語チョーむずかしい💦

白黒つけることはできません。
灰色があり、それも白っぽいのと黒っぽいのがあります。
白黒だけでなく、青、赤、黄、紫、橙、緑と色は様々で、じゃあ赤と紫の境目はどのへんなのかと聞かれてもはっきりしません。

わたしは日本語教師をしています

プロフィール・レッスン予約はこちら。
表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
わたしはさっちゃんです!watashi wa Sacchan desu!
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わしはひげおじさんじゃ!washi wa hige-ojisan ja!

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