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「ようだ」「みたいだ」「そうだ」「らしい」「っぽい」
英語だと like (似ている)、likely (~しそう) で表す言葉が日本語にはたくさんあります。
そのちがいを見てみましょう。
ようだ
漢字で書くと「様だ」。
様子・状態を表す「様 (よう) 」+助動詞「だ」
見た目・雰囲気が似ている
状態・性質がほかの物事と「似ている」こと。
似ているけど、そのものではない。
そのもののときには使わない。
例:
まるで子どものようだ。
(子どもに見えるけどじっさいは子どもではない。大人である。じっさいに子どもなら「ようだ」はつかわない)
体言 (名詞) につけるときは「の」が必要。
活用例:
子どものような人だ。 (連体形)
子どものようにはしゃぐ。 (連用形)
まるで真冬のようだ。
(真冬の寒さだ。でも、じっさいは真冬ではない。真夏だったりする)
ようにする。ようになる
その状態・性質に「変化する」ときにつかう。
主観的な推量
断定できないけど自分では「そうだと思う」
例:
どこも壊れていないようだ。
(ほんとは壊れているかもしれない。確信はない)
用言 (形容詞・動詞など) につけるときは直接つけられる。
「の」は要らない。
台風が近づいているようだ。
(雨風が強くなってきたことから、想像する。確信はない。ほんとは台風ではないかもしれない)
みたいだ
=ようだ
「見たようだ」からの音変化。
「ようだ」の口語的な言いかた。
上の例がすべて「みたいだ」に置き換えられる。
「ようだ」とちがい体言でも用言でも、直接つけられる。
例:
まるで子どもみたいだ。
子どもみたいな人だ。 (連体形)
子どもみたいにはしゃぐ。 (連用形)
まるで真冬みたいだ。
どこも壊れていないみたいだ。
台風が近づいているみたいだ。
「試したい」という意味の「 (~して) みたい」とはちがうので注意。
行ってみたい。
食べてみたい。
これらは「やって・みる / して・みる」+希望の助動詞「たい」。
そうだ
目のそう (見た目)
自分が見た主観的な想像・予想
動詞の連用形、形容詞の語幹+そうだ
活用に注意。
例:
雨が降りそうだ。 (動詞の連用形)
(自分で空を見て「降るのではないか?」と予想しているが、確信はない)
このケーキはおいしそうだ。 (形容詞の語幹)
(見た目で判断しているだけ。まだ食べていないのでほんとうにおいしいかどうかはわからない)
元気そうでよかった。 (ナ形容詞の語幹)
(見た目が元気に見える。ほんとに元気かどうかはわからない)
耳のそう (伝聞)
自分の想像や考えではなく、人から聞いた話
動詞・形容詞の辞書形 (終止形) +そうだ
雨が降るそうだ。 (動詞の辞書形)
(天気予報でそう言ってた)
このケーキはおいしいそうだ。 (形容詞の辞書形)
(自分は食べたことはないし、予想もしてないけど、人がそう言ってた)
元気だそうでよかった。 (ナ形容詞の終止形)
(本人または人から聞いた)
明日は雨だそうだ。 (体言+だ)
らしい
動詞・形容詞の辞書形 (終止形) 、体言、ナ形容詞の語幹+らしい
主観的な推量
≒ようだ
台風が近づいているらしい。
≒台風が近づいているようだ。
あそこにいるのは猫らしい。
≒あそこにいるのは猫のようだ。
「らしい」「ようだ」のちがい
どちらもほぼおなじ意味だが、「らしい」のほうが「ようだ / みたいだ」より根拠や確信がある。
「ようだ / みたいだ」は自分が持っているいろんな、しかし不確かな情報 (その中には伝聞もふくまれるのだが) や自分の経験や知識から導き出した結論だが、あくまで想像で確信はない。
それに対して「らしい」は「耳のそう」とおなじように「伝聞」の意味が強い。
主観的な推量なのか伝聞なのか区別がつかないこともある。
また「らしい」は「ようだ」の「似ている」の意味では置き換えられない。
「らしい」には「似ている」ではなく後述の「そのもの」の意味を表す使いかたもある。
伝聞
雨が降るらしい。 (天気予報で言ってたから)
≒雨が降るそうだ。
この店のケーキはおいしいらしい。 (知り合いがそう言ってたから。また巷で評判だから)
≒この店のケーキはおいしいそうだ。
この絵は猫らしい。 (子どもが書いた絵。猫😺に見えない。でも書いた本人がそう言ってたから)
≒この絵は猫だそうだ。
接尾語
上の「らしい」が助動詞なのに対して、こちらは接尾語で別の言葉として扱われていますが、物の状態・様を表す言葉として語源的にはおなじものでしょう。
それがそれである状態 (ステレオタイプ)
唯一、じっさいと見た目がおなじときにつかう言葉。
「あるべき姿」をしているとも言える。
男らしい。 (じっさいに男が男の姿・形をしていて、男の振る舞いをしている)
女らしい。 (じっさいに女が女の姿・形をしていて、女の振る舞いをしている)
子どもらしい。 (同上)
人間らしい。 (人間が人間であるべき姿・状態)
春らしい。 (春らしい陽気、のように本来、春であるべきとおりの陽気)
「ようだ」とちがいは「そのもの」を指すこと。
じっさいそうでないときは、「春のようだ」「春みたいだ」をつかう。
そのように見える
わざと・らしい。 (わざとのようだ。わざとに見える)
もっとも・らしい。 (もっとも、納得がいくようだ。でも疑わしい)
気持ちを表す
かわいい→かわい・らしい (愛情を強調する)
汚い→きたな・らしい (不快感を強調する)
このようにもともと形容詞なのにさらに「らしい」をつけることで気持ちを表す。
っぽい
軽蔑
じっさいとはちがう姿。
多くは軽蔑・不愉快の意味を持つ。
男っぽい。 (女が男のような姿をして、男の立ち居振る舞いをしている)
女っぽい。 (男が女のような姿をして、女の立ち居振る舞いをしている)
子どもっぽい。 (大人が成熟していなくて子どものように幼稚な振る舞いをしている)
男にも「男っぽい」をつかえないことはないが、ほめるときは「男らしい」のほうがふつう。
特定の感情を持つ
軽蔑の意味ではなく特定の感情をふくむ場合。
ほとんど例がない。
色っぽい。婀娜っぽい。艶っぽい (魅力的。すべて女性につかう言葉。して、ほぼ死語💦)
性質・状態・傾向
よくない
怒りっぽい。 (すぐ怒る。短気)
飽きっぽい。 (すぐ飽きる。根気がない)
忘れっぽい。 (すぐ忘れる。物忘れが激しい)
理屈っぽい。 (理詰めで不愉快)
水っぽい。 (水分が多すぎてまずい)
粉っぽい。 (パサパサしていてまずい)
単なる傾向 (おもに色)
赤っぽい。 (赤に近いが真紅ではない)
黄色っぽい。 (黄色の系統だが、真っ黄色ではない)
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