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「全員」「ぜんいん」「ぜーいん」
はじめに
音位転換の記事で音の場所が入れ替わることを書きました。
音位転換 metathesis 山茶花 (サンサカ→サザンカ)
入れ替わるのではなく、音が変わったり、短くなったり、促音化することもよくあります。
その例をいくつか書きます。
音そのものが変わる
全員
もちろん「ゼンイン」ですが「ゼーイン」と発音する人がいます。
じつはおじさんもその1人です😄
これも「サンサカ」と似ていて
ゼ/ンイン と平板型で2番目の音が高くなり、しかも間の悪いことにそこに「ン」がいらっしゃいます😄
そもそも日本語には「ン」の音はありませんでした。
漢語とともにはいってきた外国語の音なんです。
だから日本語で唯一の子音、そして苦手な音です。
「ン」にアクセントが入れづらいのはいづこもおなじ。
さらに「ン」の後ろが母音という超むずかしい発音です。
日本人でもむずかしいことに気づいてないで無意識に音を変えてしまっているぐらいで外国人にはかなりむずかしい音の並びだと思います。
「ン」の直後の母音は鼻音化するので前の「ン」との境界が曖昧になります。
で、その通り発音するより鼻音化した「イ」を伸ばしたほうが楽じゃん、ということで「ゼイーン」という音になりますが、さらに日本語では「エイ」は「エー」というので「ゼーイン」になってしまうんですね。
まあこれも走りは音位転換の一種と言ってもいいでしょう。
ただ「員 (イン) 」は元通りなので、音が移動したのか、変化したのかはっきり区別はできません。
これはまちがいというより自然な成り行きです。
そして聞いた人も「ゼーイン?ゼンインだろ?」とはツッコみません。
それは「ゼンイン」を「ゼーイン」と発音したと認識したのではなく、「ゼーイン」と聞いても「ゼンイン」と脳が処理してしまうからです。
これは言語を操るうえでとても重要な脳の自動修正機能です。
現代人にはオートコレクトと言ったほうがいいか😄
AIとちがうのは、まったくおなじでなくても「似た」言葉を脳の辞書から引っ張り出してくることにあります。
店員
これも「テンイン」だけど「テーイン」と発音することもあります。
もちろん話してる人はそんなこと意識していないし、聞いてる人も「えっ?」と思いません。
人間の脳は自動修正機能があるからです。
ニ重母音が短くなる
体育
「タイイク」ですが、「タイク」という人が多いです。
おじさんもその1人です😂
4拍 (モーラ) ではなく完全に3拍で終わっています。
これも聞いた人が「タイク?タイイクだろ?」とは思わないんです。
そのまま脳では「体育」という文字と意味に変換されてしまうからです。
これは人が言語をつかいコミュニケーションを取るときに必要な能力です。
一つ一つの音を正確に聞き取っているのではなく、文脈、前後のつながりから「似た」音と言葉を脳の辞書から引っ張り出してきてつなぎ合わせることで、スムーズな会話が成り立ちます。
もし一つ一つの音を全部正確に聞き取っていたら、いちいち
「今、ゼーインって言った?ゼーインって何?」
「今、タイクって言った?タイクって何?」
ということになり話が進みません。
外国語が聞き取りにくいのは単に慣れていないだけではなく、この自動修正機能が働かないで一つ一つ音を聞いてしまうからです。
油揚げ
なんて読みますか?
「アブラアゲ」
ほんとにそう読みますか?
おじさんは
「アブラゲ」と言います。
じっさい店に「あぶらげ」と書いてあることはよくあります。
さらに「アブラゲ」と入力すると候補に「油揚げ」が出てきますよ😄
じっさいにやってみてください。
これはもう「アブラゲ」でいいでしょ。
「おはようございます」は本来「おはやくござります (お早く御座ります) 」だけど誰もツッコまないでしょ。
いろんな挨拶 (あいさつ) の語源 ~ やまとことば
促音化
洗濯機
いまだに辞書には「センタクキ」と載っていますが、たいていの人は「センタッキ」といいます。
だって楽器・学期を「ガクキ」という人はいないでしょう。
促音化して「ガッキ」になります。
食器は「ショクキ」ではなく「ショッキ」
八角形は「ハチカクケイ」ではなく「ハッカッケー」です。
外国人からしたら
「なんでやねん!」とツッコむところでしょう。
なんで洗濯機だけ「センタクキ」なの?
ちょっと前までは「センタッキ」と入力しても「洗濯機」に変換されなかったんだけど最近は変換されるようになりました。
暖かい
なんて読みますか?
「アタタカイ」
そうですね。
でも会話では「アッタカイ」というのがふつうです。
タ行はそもそも発音に時間とエネルギーが必要だし、それが連続するとなると大変です。
英語でも「t」の音は弾き音に変わるか、最終的には消えてしまいます。
フランス語なんかとっくに語尾のtは発音しないし。
人類怠け者の法則🦥です。
waterはワラ。
letterはレラー。
twentyはト゜ウェンティではなくト゜ワニィ
castleはキャスト゜ルではなくキャスル。
イギリス英語ではwaterをウォーターではなくワʔアと発音します。
これはglottal stop (声門閉鎖音) です。
とにかく舌を動かすのがめんどくさいんですね。



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