日本語教師にとっての外国語学習の悩み

foreign language 外国語学習

「日本語教師」「外国語学習」「日本語がいちばん」

外国語をおぼえたい。しかし

オンラインで教えていると対面の事前のお膳立てがある日本語学校とちがい、コミュニケーションを図るための共通言語がかならず必要です。

日本語学校では

直接法

日本語学校では直接法といって日本語で日本語を教えます。

まったく日本語がわからないベトナム人などに日本語で教えてわかるんでしょうか?

お膳立て

まあ事前準備といいましょうか、日本語0の人に日本語で話したってわかるわけがありません。
だから教室用語としてあいさつからはじまり、
「本を開いてください」
「読んでください」
などの基本的な言葉だけは学習者の言葉、つまりベトナム人ならベトナム語に翻訳した紙を渡しておいて覚えておいてもらいます。

直接見える、触れる

対面式の教室ではおなじ空間に先生と生徒がいるから、「本を開いてください」といってポカンとしてる生徒には、まず先生が言いながら自分の本を開く。
また直接、生徒の本を開いてみせる。
またほかの生徒が本を開いているのを見て、「本を開く」という意味だということが想像できます。

オンラインで1対1では

上に書いたような教室でできることができません。

初対面で30分とか

まず最初はかならず初対面です😄
それは教室でもおなじですが上に書いたとおり事前準備があります。

それに対してオンラインの授業では事前準備がありません。
ぶっつけ本番です。

だからおじさんは初めてで初級の生徒からリクエストを受けたときは、親切にも教室用語のテキストファイルをメッセージで生徒に送るんですが、ちゃんとこれを読んでおぼえる生徒はあまりいません😅

おじさんが生徒だったらそんなものがなくてもあるていど自分で勉強するし、先生からそんなありがたいものを頂いたら印刷するか紙に書いて机に置いとくんですが。

間接法

外国人は意外となんの準備もせずにオンラインの授業を受けることが多くて、とくにアメリカ人は英語がどこでも通じると思っています😄

だからかならずコミュニケーションのための共通語、媒介語が必要になります。

みなさんが日本で中学、高校と英語を勉強するのがこのやり方ですね。
日本人の先生が日本語で説明してくださいます。
だから先生の言ってることは言葉としてはわかります。
話の内容が理解できるかどうかは別問題ですが😄

もし初めからアメリカ人やイギリス人などの英語のネイティブが英語だけで授業をしたら英語をおぼえられると思いますか?
無理ですね。

赤ん坊とちがって大人には母語 (日本人なら日本語) の体系と母語耳ができあがってしまっているので、100万回聞いても英語は虫の声や車の音とおなじ雑音、背景音にしか聞こえません。
意味のある言葉にはなりません。

大人はかならず自分で単語の意味を調べ、おぼえて、最低でも1000語くらいはおぼえて、発音練習して、文法も勉強しなければなりません。
聞き流すだけでは虫の声とおなじです。

外国語。聞いて覚えられるのは、赤ん坊のうちだけ! (舌の位置)

英語は世界共通語

おじさんは英語が世界でいちばん偉いとは思っていません。
その実、英語は世界でも文法的にはカンタンだけど、発音がわからない言語だからです。

じっさいネイティブという人たちでさえ、発音はまちまちです。
決まりがないんです。
ネイティブでさえ、初めて見た単語は読みかたがわからない。

卑近な例ではdirectは「ディレクト゜」という人と「ダイレクト゜」という人がいます。
どちらもまちがいではありません。
もうすこし言うと英語にとって母音はつなぎで虫の声とおなじようなものなので、どうでもいいんです。
子音さえはっきり発音して聞き取れれば。

英語脳の人は、子音を左脳、母音を右脳で聞く!

アメリカ人は論外、ヨーロッパの人たちは第2言語としてだいたい英語を勉強します。

それは共通のコミュニケーションツール、いや意思疎通の道具だからです。

アジア圏では日本人とおなじく英語はしゃべれない人が多いです。
そうなるとおじさんは中国人、韓国人、ベトナム人、インドネシア人などの超初心者に教えることは不可能です。
彼らもわかっているからおじさんにリクエストしません😅
何人か生徒はいますが日本語中級以上です。

繰りかえしますがオンラインの1対1の授業で間接法では、ということです。

道具としての英語

タイトルには外国語と書いたけど有り体に言えば英語です。
それは世界でいちばんつかう頻度が高い外国語だからです。
人口からすると中国語だけど、インド人も14億人だからやっぱり英語かな。

おじさんがかりにフンダラベッチャ語を完璧にマスターしてもそれは一生つかうことがないでしょう。

さっちゃん
フンダラベッチャ語ってどこの言葉?
ひげおじさん
おじさんが考えた言葉じゃ😄

悩み

といっても深刻なことではありません。

外国語を習得するにはその言語に24時間浸って、聞くのも、読むのも、はたまた考えるのもすべてその言語にするのがいちばんいいことです。
1日に30分英語を聞いても覚えませんよ😄

しかし自分は日本語を教えるのが仕事

おじさんの今の英語のレベルはB1 (中の下) 、というか下の上くらいのレベルでとくに聞き取りが苦手です😅
そこでvoaなど聞いて、読んで、発音しているんだけど、英語はあくまで道具。
教えるのは日本語。
自分は日本語のマスターでなければならない。

日本人なんだから日本語しゃべるくらいどうってことないでしょ?と思うかもしれないけど、日本人同士でおしゃべりをするのと外国人に教えるのでは訳がちがいます。

まず自分は正しい言葉と文法をつかって、できるだけきれいな発音で話すことが必要です。

「ほら、あのあれよ。わかる
じゃダメなんですね😄

日本語が出てこない💦

日本語では何て言うの?

生徒の質問でいちばん多いのが「日本語では何と言いますか?」です。

しかし生徒の質問が英語だと頭が英語脳になっているので、それにふさわしい日本語がすぐ出てこないんです。

たとえばバイク好きの生徒が言いました。

「英語ではfirst ride。日本語では何ですか?」

う~む。

そのまま訳せば「初めて (バイクに) 乗ること」でまちがいではないけどなんかしっくり来ない。
なんかいい日本語ないのか?
でも
「first=初めて」「ride=乗ること」
という図式ができあがってしまうと、もうそこから抜け出せません。

授業が終わってから、「ああいいのがあった!」

「初乗り」って言えばいいんだ。
というようなことがよくあります。

いちばん大事なのは日本語

もしみなさんがアメリカに観光や仕事で行くだけ、あるいはそこで生活するなら、日本語は忘れて英語に100%染まってもいいでしょう。
とくにアメリカで生活する人はそれくらいの覚悟が必要です。

日本人のアイデンティティとか文化とかいう話ではなく、そこで生活するための道具としてです。

しかしおじさんは日本語を教えるのがいちばん大事なことです。
だから日本語を忘れてはいけないどころか、ふつうの日本人以上に日本語を知らなければなりません。
そして人に説明できなければなりません。

だからおじさんは日本語教師の学校に行っていたときはもちろん、日本語教師をはじめてからもずっと日本語を勉強しています。
寝ているときも日本語について考え目がさめてしまうことがあります。

知らない日本語。不思議な言い回し

みなさんが日本で日本人として生活して日本人と話すときにはまったく必要ないんだけど、外国人に教えるとき、あるいは質問されてはじめて「日本語では何と言うのか?」「言われてみれば変な日本語」というのが山ほど出てきます。

教える立場では「なんか変なんだよな」とか「日本語ではそういうんだから四の五の言わずに丸暗記しろ」では教師失格です。

それはただの日本語ネイティブに過ぎません。

もちろん理由がないものもあります。
しかし調べればちゃんとした理由があるものもあります。
言葉は恣意的で生きているので時代と地域によってもコロコロ変わる。
それもまた真理です。

でもそれらのことをちゃんと理解した上で生徒に教えなければなりません。

現代語の矛盾は古語を勉強すると理解できることもあります。
もとはこういう意味とつかいかたでこういう変遷があってちょっとおかしな現代語になったんだということがわかります。
外国人に日本語を教えるのに高校生のときに買った古語辞典をまたこんなに開くようになるとは思わなかった。

タラレバなんかいい例で、これらはかならずしも「仮定」の意味ではないということもそうです。

「たら」「れば」のちがい ~ やまとことば

さっちゃん
おじさん高校のときの古語辞典まだ持ってるの?
ひげおじさん
物持ちがいいからな✌

発音が危うくなる

日本語と英語の発音でいちばんちがうのは「r」です。
th, f, vなんかはむしろ日本語にないのでこれらを覚えても日本語には干渉しません。

問題なのは「r」日本語の「ラ行」です。
これはまったくちがう音です。

英語の「r」を練習しすぎると、日本語を教えているときに英語の「r」になってしまいます。
ここは意識して日本語の弾き音の「ラ行」を発音せねば。

とくに英語圏の人の「r」は日本語の「ラ行」とちがうので逆にこちらが日本語の弾き音を生徒に叩きこまなければならないところです。

あっ、ただ無理強いはしません😄
とくに発音を気にする生徒にはここを指摘して、音声学的に発音の仕方のちがいを説明します。
「ラ行」の音こそ、100万回聞いてもおぼえられません。
おじさんが60年間、英語の「r」がわからなかったように。
いやはや日本人の英語の先生、いやネイティブの英語話者でもこのことをわかっている人はほとんどいないでしょう。
高校の先生は巻き舌とか言ってたけど、巻き舌ではありません。
専門的には英語の「r」は接近音で舌をどこにもつけません。
だから母音に近い「う~」という唸り声に近い音です。

おもしろいことにおじさんは日本語を勉強しはじめて、初めて英語の「r」を理解しました。

すくなくともお手本として自分は正しい日本語の「ラ行」で話す必要があります。

ということで道具としては英語をおぼえたいけど、それが日本語の妨げになってはいけない。
そこが悩みのタネです。

Japanese phonetic pronunciation 音声学的な発音 ~ 日本語

「ん」の直後の「ら行」は発音しにくい ~ やまとことば

わたしは日本語教師をしています

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表示名はToshiです。

https://www.italki.com/teacher/8455009/japanese

さっちゃん
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